<憑依>彼女の豹変に耐えられたら100万円(前編)

”彼女の豹変に耐えられたら100万円”

そんな、謎のテレビ番組に応募した
男子大学生。

彼を待ち受ける運命はー?

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「なぁなぁ、こんなモノ見つけたんだけど、どう思う?」
男子大学生の末永 節史(すえなが せつじ)が
スマホを手に、彼女に話しかける。

同じ大学に通う、女子大生・
北原 咲奈(きたはら さな)が、節史の見せてきた画面を見つめるー

そこにはーーー
”彼女の豹変に耐えられたら100万円”と書かれていたー

一般人がいろいろな企画に挑戦し、
クリアできたら100万円が貰えるという
参加型のバラエティ番組だ。

「なにこれ~」
咲奈が笑う。

「--俺、いけそうじゃね?」
節史が笑いながら言う。

「たしかに…行けそう」
咲奈が笑う。

”彼女の豹変に耐えられたら”
という意味がよくわからないが、
この企画を見た時、
節史は確信した。

もし、この番組に出ることができれば
100万をゲットできる、とー。

条件に”彼女がいる方限定”と書かれており
彼女と一緒に参加する必要があると書かれていたため、
節史は咲奈に相談したのだった。

「一緒に出てみないか?
 もし100万円ゲットできたら二人でいろいろ遊びに行こうぜ」
節史の言葉に、佐奈は苦笑いしながら言う。

「う~ん、いいけど、”彼女が豹変”って、わたしが
 豹変するってこと?」
咲奈の言葉に節史がうなずく。

「まぁ…たぶん、佐奈が事前にスタッフと打ち合わせして
 俺にドッキリを仕掛ける系じゃないかな。
 でも、 俺、絶対動じない自信があるから!」

節史が笑う。

仮に振られても、
暴力を振るわれても
目の前で服を脱がれても動じない自信がある。

「---ふふ、じゃあ、一緒に出てみよっか」
咲奈がにっこりと笑ったー。

そしてー
ふたりは番組に応募するー。

1週間後ー
番組から”当選”の返事が返ってきたー
挑戦者として番組に出演できることになり、
挑戦日も決まる。

当日を迎えた節史と咲奈は、
番組の収録スタジオへと向かったー

「---お待ちしていました」
胡散臭そうな蝶ネクタイの男が姿を現す。

「ティーエステレビの、梶川と申します」
蝶ネクタイの男は、丁寧に名刺を
節史と咲奈に渡す。

「よろしくお願いします」
咲奈が愛想よく答える。
節史もそれに続く。

「じゃあ、さっそく、挑戦の準備に入りましょう。
 あ、彼女さんは、こちらのお部屋に」
梶川が、佐奈を案内する。

「--彼氏さんは、あちらのお部屋でお待ちください」
梶川が、別の方向の部屋を指さす。

「じゃあ、またあとで!」
咲奈が笑う。

「--わたしがどんな風に豹変しても
 驚いちゃだめだからね~!」
咲奈の言葉に、
節史は笑う。

「もちろん。100万円ゲットだぜ~!」
余裕を見せる節史ー。

そんな二人を見ながら案内人の梶川は
不気味な笑みを浮かべたー。

・・・・・・・・・・・・・

「ふ~~~」

”準備に30分程度かかりますので、
 こちらの控室でお待ちください”

部屋の放送機から案内が入る。

部屋はそれほど広くなかったが
冷蔵庫に飲み物が入っているほか
漫画や雑誌まで用意されていて、
快適だったー

”彼女の豹変に耐えられたら100万円”かー。
節史は頭の中で考える。

100万を手に入れるために、
色々と頭の中で”あり得そうな展開”を考えるー

部屋を分けたのは、佐奈と打ち合わせをしているのだろう。

咲奈がどんな風に豹変するのか。

いきなりとんでもないメイクで現れるのか。
それとも、過激な衣装で登場するのか。
”別れよう”とでも言ってくるのかー。

まぁ、そのあたりだろう。

「-俺は何が来ても驚かないぜ」
そんな風に思いながら、
ペットボトルのお茶を飲みながら漫画を読むー。

”お待たせいたしました”

声が聞こえてきたー

「お!もう時間か」
節史が立ち上がるー

”奥の扉から先に進んでください”という
言葉に従い、奥の扉を開けて、控室から出る。

薄暗い廊下で、
女性スタッフが姿を現す。
眼鏡の可愛らしい感じの人だ。

「--ルールを説明しますね」
スタッフがほほ笑みながら言う。

「--ルールは、30分間、彼女の咲奈さんの
 豹変に耐えきれれば、100万円…
 それだけです」

スタッフの言葉に、
「どんな状態になったら”耐えきれてない”って判断されるんですか?」
と、節史が聞き返す。
確認できるルールは、確認しておかなくてはならない。

「---こちらを」
スタッフが小さなボタンを手渡す。

「これは?」
節史が聞くと
「”耐えられない”と思った時には、そのボタンを押してください」と
スタッフがほほ笑んだ。

「それを押さずに30分耐えきれたら、100万円です!」
スタッフの言葉に、
節史は”なんだ、簡単じゃん”と笑みを浮かべる。

「---あ」
節史は、案内された会場の扉を開こうとして、
立ち止る。

「--例えば…咲奈がこのスイッチを押しに来たりとか
 スタッフの皆さんがこのスイッチを押して
 ”耐えられませんでした~”なんてことはないですよね?」
節史はスタッフに聞く。

”100万円をゲットさせないために 
 スタッフが強引にスイッチを押しに来るかもしれない”と
考えたからだ。

「ふふ、そんなことしませんよ。
 挑戦者の末永様が自分で押さない限り、
 大丈夫です」

節史はその言葉に「ありがとうございます」と頭を下げた。

100万円は頂いたー

そう思いながら、節史は会場の扉を開いたー

スタジオに入る節史。
咲奈の姿はないー。

”皆様、お待たせいたしました!
 これより、”彼女の豹変に耐えられたら100万円”を
 スタートいたします。”

さっきの蝶ネクタイの案内人・梶川が
MCを務めているー

”挑戦者はーーー
 大学生・末永 節史さん!
 彼女の豹変に耐えきり、見事
 100万円をゲットすることができるのでしょうか~?”

「----」
節史がテレビカメラやスタッフ、集まった観客っぽい人たちに
頭を下げる。

”そしてーーーー
 彼女の北原 咲奈さんの登場だぁ!”

MCの梶川が叫ぶー

反対側の扉が開くーーー

そこから出てきたのはーーー
網タイツとボンテージ姿の咲奈だったー

「ーーー」
節史は、冷静を保っていた。

”やっぱりエロ系か。
 でも、俺はそんな豹変ごときじゃ、
 全然大丈夫だぜ”

とー。

咲奈が、腰に手を当てて節史のほうを
挑発的に見つめるー。

「---どう?生まれ変わったわたし…」
咲奈がクスクスと笑う。

「はは、よく似合ってるよ」
節史が笑う。

”に、しても、咲奈もよくそんな格好しろって
 言われて受け入れたなぁ~”
内心で節史はそんな風に思いながら
咲奈のほうを見る。

「--ふふふ…わたし、
 身も心も、ご主人様のためにささげることに決めたの」
咲奈が甘い声を出しながら言う。

ボンテージ姿の咲奈がスタジオを歩くー。

色っぽい仕草で妖艶な笑みを浮かべている咲奈。

「--ははは…30分の打ち合わせで
 よくもまぁ、そんなシチュエーションができたなぁ」
節史は笑いながら咲奈を見つめる。

咲奈がここまで演技派だとは思わなかった。

「ボタン、押す?」
咲奈が馬鹿にしたようにクスクスと笑う。

「-い~や、押さないね!
 俺は100万円ゲットするんだ!」
節史は自信満々に答えた。

”やらせ”とあらかじめ分かっているだから、
ボタンを押すわけがない。
このまま100万円をゲットして帰るんだ。

「へ~~~。じゃあ、こういうのはどう?」
いやらしい格好の咲奈が自分の胸を
両手で揉み始めた。

「んふふふふ…♡ きもちいぃ♡」
甘い声を出しながら胸を触る咲奈。
腰をクネクネさせながら
気持ちよさそうに、うっとりと胸を触っている。

「--へへへ…咲奈らしくないなぁ~
 びっくりだぜー!」
節史は棒読みで言う。

咲奈が突然胸を揉み始めたのには
驚いたが、これも、番組側が用意した
シチュエーションだろう。

咲奈も100万円のために必死だ。
なら、彼氏である自分も
100万円のために、ちゃんと咲奈の
想いに応えないといけない。

”-チャレンジャー、まったく動じるそぶりを見せな~い!”
MCの梶川が叫ぶ。

既に5分が経過している。
この調子であと25分、ボタンを押さなければ
大丈夫だー。

「んふふふふ…興奮してきちゃった♡」
咲奈が顔を赤らめながら言う。

「--(咲奈がこんな表情できるなんてなぁ~)」
節史は内心で少しドキドキしながらも
平常心を装いながら咲奈を見つめるー

「--ふ~ん」
咲奈が冷たい目で節史を見る。

「わたしが、こんな別人みたくなってるのに、
 冷静ね」

咲奈の言葉に節史は笑う。

「当たり前だろ?
 咲奈ならよ~く知ってるはずさ」
節史の言葉に、咲奈は「あっそ」と呟いた。

咲奈はこんなに演技上手だっただろうか?
少し、節史が違和感を感じ始めるー。

「--じゃあ、こういうのはどう?」
咲奈が笑うと、
「おい!」と、奥に向かって叫んだ。

乱暴な口調ー。

「---」
奥から中年のおじさんスタッフが出てくる。

「---わたしの彼氏、なかなか動じないからさぁ、
 もっと驚かせてあげなくちゃ」
咲奈がおじさんスタッフに言うと、
「そうですね」とおじさんスタッフが頭を下げる。

まるで、咲奈が上司のような振る舞いだ。

「咲奈…?」
節史は初めて少しだけ不安になったー

咲奈が節史のほうを見て笑う。

「もっともっと、驚かせてあげる」
それだけ言うと、スタッフのおじさんのほうを見て
咲奈が言う。

「ほら、とっとと脱ぎなさい」
咲奈の言葉に、おじさんは「はい」と答えて
ズボンを脱ぎ始める。

「咲奈…?何を…」
節史が言うと、咲奈は笑みを浮かべながら
節史のほうを見た。

「--んふふふふ…
 わたしねぇ、男の人のおっきなおっきな棒を
 咥えるのが大好きになっちゃったの!」

咲奈の言葉に節史は「え!?」と思わず声を上げる。
咲奈は「んふふふふふふ♡」と笑いながら、
顔を赤らめて、下半身を露出したスタッフの方を見つめたー

「--んふふふふふ…
 おいしそう…♡」
咲奈が今まで聞いたこともないような
甘い声を出しながら、躊躇なくおじさんのソレを口で
咥え始めた。

「さ、、咲奈っ!?」
さすがに驚いてしまう節史。

”お~っと、チャレンジャー、
 さすがに彼女の豹変に驚いている~”

MCの梶川が叫ぶ。

「ちょ!?待てよ!」
節史が叫ぶー

しかし、咲奈はそれを無視して
おじさんのアレをうっとりとした表情で咥えている。

「わたしの口の中にい~っぱい出してもいいんだよ?」
咲奈がおじさんに向かって言う。

「ちょ!?!?咲奈!」
節史が叫ぶー

これも、100万円のためかー?
いや、やりすぎだー

「--ま、、待て!こんな映像、テレビにー…!」
節史は、テレビ番組の収録だと聞いているー
咲奈が男のアレを咥えている映像なんてーーー

「---まさか…!」
節史が唖然とする。

「こ、、これって、AVの撮影なのか!?」
節史の言葉に、MCの梶川は笑みを浮かべたー

「--お、、おい!咲奈!」
節史が叫ぶー。

咲奈は口元に白い液体を垂らしながら
節史のほうを見た。

「わたし、AV女優デビューしちゃうぅぅ~♡」
嬉しそうに言う咲奈ー

想像以上の彼女の豹変に、
節史は唖然とすることしかできなかったー

<後編>に続く

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コメント

毎週火曜日の分だけ、リアルタイムで書けないので
予め作っておいて、予約投稿というかたちで投稿してます~!

なので、いつも火曜日は1話完結がほとんどなのですが、
今週のお話は書いていたら、1話で終わらなかったので
次週に続く形式になっちゃいました汗

1週間お待たせしてしまいますが、
来週もぜひお楽しみくださいネ~!

コメント

  1. 匿名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    どうして毎週火曜日は書けないのですか?

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > どうして毎週火曜日は書けないのですか?

    私の私生活の都合上、執筆時間が取れず
    書けても、夜遅い時間になってしまうからですネ~…!

    いつもと同じぐらいの時間に公開できるように
    火曜日の分だけは、先に少しずつ書いておいて
    予約投稿しています!