男が、ツイッターを眺めていると、
あるものが目に入ったー
それは、
「フォロー&RTでわたしの身体をあげちゃいます」という
ツイートだったー
--------------------
夜ー
「いない!?」
男が叫ぶ。
男の目線の先に
いるはずの人間がいなかったー
「---どこに消えた!?」
男が叫ぶー
男が仲間を呼ぶー
”消えた人物”を
必死に探し回るー。
だが、その人物は見つからないー
男は、舌打ちをしたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「---ふぅ~」
大学生の雲山 辰雄(くもやま たつお)は、
暇そうにツイッターを眺めていたー
とにかく食べることと寝ることが大好きで、
自分の容姿に無頓着ー
それだけなら良いのだが、
最低限の身だしなみにも無頓着で、
”不潔”と言われてしまうような状態で
平気で外に出て言ったり、
性格が滅茶苦茶にエロかったりと、
周囲から避けられていたー
だがー
本人は気にしていない。
辰雄は今日もエッチな情報を求めて
ツイッターを徘徊しているのだった。
ツイッターには、たくさんのおかずに
満ち溢れているー
エロのバイキングと言ってもいい。
少し探せばいくらでも見つかる。
日替わりのおかずだ。
辰雄は、そう思っていた。
それなりのワードで検索を書ければ
いくらでも、そういう写真や動画を
見つけることができる。
あわよくば、裏垢女子と知り合って
良い思いをすることができる。
「ふひっ」
辰雄は、人妻の写真を見ながら笑みを浮かべるー
本当にこの写真を載せている人が
本人なのかどうかは分からない
”ムラムラしちゃったわたしを見て”などと
ツイートしているが
もしかしたら本人じゃないかもしれない。
でも、そんなことはどうでもいい。
所詮はおかずだ。
辰雄からしてみれば、おかずは人間ではない。
おかずは、おかずだ。
「---ん?」
そんな達夫が、あるツイートに目を奪われた。
”フォロー&RTでわたしの身体をあげちゃいます”
という、ツイートだ。
フォロー&リツイート。
ツイッターではよく見かけるもので、
「〇〇をプレゼントします!」という発言を
リツイート(拡散)した上で、その発言をしている人を
フォローすると、抽選でそのプレゼントがもらえる、
というものだ。
ただ、実際にプレゼントをしていない人も多くて、
フォロー稼ぎなどにもたびたび使われる方法でもあるため、
応募する際には、そのツイートをしている人が
信用できる人かどうかを、見極める必要がある。
「--いやいや、絶対釣りだろ」
辰雄は呟く。
そのツイートをしているアカウントは
”かすみ♡”というアカウントで、
女子大生とプロフィールに書かれている。
顔は隠されているが、可愛らしい雰囲気の女性が
ヘッダーとアイコンに写っているー
「--すげぇ、あやしい」
辰雄は笑った。
”こんなの引っかかるやついるのかよ”
とー。
だがー
その子らしき写真が何個か載っていて、
とても可愛らしい雰囲気だったー
「えへへへへ…
もしもこんな女になれたら最高だなぁ」
辰雄はよだれを垂らしながら呟く。
ポテトチップスを食べながら頭をボリボリと
掻きむしり、そのアカウントに興味を抱くー
大方、フォロー稼ぎであることは間違いない。
中の人だって男かもしれないし、おばさんかもしれない。
けれどー
写真がたくさん載っているし、
本当にこの女の子が
”身体をあげちゃいます”と言っているのかもしれない。
女の子の中にも、エロい子はたくさんいるし、
自分の写真をネットに出す子もたくさんいるー
「--まぁ…もし偽物でも、フォローとリツイートするだけなら…
問題ないか」
辰雄は勃起しながら
かすみ♡ の”フォロー&RTでわたしの身体をあげちゃいます”という
ツイートをリツイートした。
当然、かすみ♡もフォローする。
”絶対嘘だろ”
”ありえない”
”最低”
などと否定的なコメントがたくさんついているー。
まぁ、そうだろう。
身体をあげちゃいます、なんてありえないー。
”抽選で1名様に、わたしの身体をあげちゃいます
わたしと、当選者様の身体の交換になります”
などと、そう説明がついているー
つまりは、入れ替わりだ。
辰雄も、入れ替わりのお話はこれまでに
いくつも見たり、読んだりして
息子がお世話になっている。
息子とは、アレだ。子供ではない。
「---…へへ…」
辰雄はニヤニヤしながら、その日以降、
かすみ♡のツイートを全部リツイートし、いいねもつけた。
”きみのボディがほしいな♡”という気持ち悪いDMも
送り付けた。
そしてーー
2週間が経過した。
辰雄は、体重がまた5キロ増えたことに
笑みを浮かべながら
コーラの1.5リットルを一気飲みして
大きくげっぷをすると、スマホで
ツイッターを見つめた。
DMのところに①と表示されている。
誰かからダイレクトメッセージが届いた証だ。
「--?」
友達がいない達夫は、
ネット上でも過激な発言を繰り返したりするため、
メッセージをやり取りするような
親しい関係の人はいなかった。
だから、こうしてDMが届くこと自体、
辰雄にとっては珍しいことだ。
「誰だ…?」
そんな風に思いながらDMを開くと、
DMは「かすみ♡」からだったー
”当選、おめでとうございます~♡”
と書かれている。
「は…はぁぁあ?」
辰雄は驚いたー
フォロー&RTでわたしの身体をあげちゃいます…
そんなことあり得ないと思っていたからだー
”あぁ…そうか”
辰雄は思う。
フォロー&RTの悪質な利用方法として
”個人情報を抜き取る”というものがある。
”当選しました~”と送り付けて
住所や電話番号、銀行口座などを抜き取るのだ。
「---だまされねーぞ」
そう思いながら達夫が見つめているとー
「あ?」
かすみ♡のほうから
全ての個人情報が送られてきた。
本名・狩谷 美奈津(かりや みなつ)
住所、電話番号、メールアドレス…
何もかもが書かれているー
いやー
どうせ偽情報だろうー
そんな風に思う達夫。
”きっと、疑ってると思いますけど、本当です”と、
保険証のコピーまで送ってくるー
確かに、名前も住所も一致している。
そしてー
それに続けて
”これからあなたの身体になるので、
個人情報はばらさないようにしてくださいね!”
と書かれていたー
確かに、本当に自分が美奈津になるのだとしたら
個人情報をばらすわけにはいかないー
”入れ替わった後に脅されるのか?”
辰雄はそんな風に思う
いいやー
だが…。
どうせ、大して面白くもない人生だ。
もし、
もしも
本当に入れ替われるならー
本当に、この子になれるのなら、
人生は、変わるー
楽しいJDライフを送ることができるようになるー
辰雄は、美奈津と会う約束をするのだったー
・・・・・・・・・・・・・・
辰雄は、汗だくになりながら
待ち合わせの場所に向かう。
「ふっふっふ~
胸を揉み揉みするのが楽しみだぜ~!」
ぐふふふふふ、と達夫は笑いながら
待ち合わせの場所に到着したー
しかし、誰もいないー
「---しばらく、待ってみるか」
辰雄は、時計を見つめながら
しばらくその場所で、美奈津が
やってくるのを待った。
だが、美奈津はやってこない。
約束の時間から15分が過ぎているー
「--やっぱ、いたずらか」
辰雄ががっかりしたその時だったー
「---ごめんなさい。お待たせしました」
背後から可愛らしい声がしたー
「ふほっ!?」
辰雄が変な声を出して振り返ると、
そこにはー美奈津がいたー。
「はじめまして!美奈津です!
ちょっと遅れちゃってごめんなさい!」
走ってきたのだろうー
息を切らしながら美奈津が言うー
「--あ、、あぁ、、は、、はじめまして」
辰雄はそう言いながら美奈津のほうを見てほほ笑んだー。
美奈津に言われて、美奈津の家に向かう。
美奈津はアパートで独り暮らしなのだという。
辰雄は思うー
”そこで、俺はボコされるのか?”と。
明らかに怪しすぎる。
詐欺な気がするー
「--ーあの…本当にお金も取りませんし
わたしが向かう先に男の人が待ってたりとか
しませんから、大丈夫ですからね?」
美奈津が言う。
「--あ、、あぁ」
辰雄は”心を見透かされた”気分になりながら苦笑いする。
初対面なこともあり、ぎこちなく話をしながら
辰雄は美奈津の家に到着した。
「どうぞ!」
美奈津がほほ笑む。
”おいおい、初対面で女子大生の家に入るとか
やばくね?”
滅茶苦茶エロい辰雄でさえも「いいのか?」と
戸惑いながらも、
”いいや、このJDになって胸を揉みまくったりできるなら…”と
ズボンをパンパンに膨らませながらニヤニヤしていたー。
「----」
美奈津が、辰雄が勃起しているのに気づき、
少し不快そうな表情を浮かべたが、
そのことに辰雄は気づかなかった。
家の中に入るふたり。
家の中は、妙に片付いていて、
生活感があまりなかった。
「----」
美奈津が部屋の中を見回して
少しだけほほ笑むと、
「じゃあ、入れ替わりましょうか」
と、呟いた。
「--あ、、あぁ、、うへへへへ…
あ、、あのさぁ」
辰雄が口を開く。
「入れ替わったあとは、好きにしていいんだよな?」
辰雄が言うと、
美奈津は頷く。
「はい!」
とー。
「--じゃあさ、、仮に、、仮にだよ、
きみの身体になったら、恥ずかしい格好して
胸を揉みまくったり、エッチしまくって
イッチまったりしてもいいのかぁ?」
辰雄が言うと、
美奈津は「はい!」と答えたー
「--へへへへ…うへへへへへ」
辰雄が下心丸出しの笑みを浮かべる。
「お互い、死ぬまで相手の身体を使い放題ですし、
わたしも、”身体を返して”とか、そういうことも
絶対言わないので!」
美奈津の言葉に、辰雄は頷いた。
美奈津が、謎の錠剤を手にする。
そして、辰雄にもそれを差し出す。
「--入れ替わるための薬です」
辰雄は、警戒する
よく考えたら、話がうますぎる。
”毒”かー?
と。
だが、それを見透かしたかのように美奈津は、
錠剤を2つ机に並べていて、
”好きなほうを選んでください”とほほ笑んだー。
「--選ばなかったほうを、わたしが先に飲みますから。
--きっと、毒入りか?とか、心配してますよね?
だから、安心してください」
美奈津の言葉に辰雄は苦笑いしながら
ひとつ選ぶ。
選ばなかったほうの入れ替わり薬を美奈津が飲む。
美奈津は元気そうだー。
辰雄はそれを確認してから、自分が選んだ
入れ替わり薬を飲み込んだー
そしてー
美奈津が「いきますよ~!」とほほ笑むと、
そのまま突然キスをしてきた。
「---!?!?!?!?!?」
唇が常にガサガサで出血しているような辰雄にー
躊躇なくキスをする美奈津。
辰雄は、人生初めてのキスだったー
急激にふらふらを感じると、
ゾク!と激しい悪寒のようなものがしてーーー
世界が回るような感じにわけがわからなくなったあとーーー
「---あ、、、、」
辰雄は、美奈津になったーー
「---入れ替わり、成功です!
やった~~~~~~!!!!!!」
辰雄になった美奈津が大声で叫んでガッツポーズする。
「--うへへ、、うへへへへへへ」
美奈津になった辰雄は口元を歪める。
辰雄(美奈津)が「ありがとうございました」とお辞儀をするー
「この家も、差し上げますから、
女子大生ライフ、ぜひ満喫してくださいね!」
それだけ言うと辰雄(美奈津)は、
必要最低限の”美奈津として生きていくための情報”を告げて
意気揚々と立ち去ったー
かなり太っていて、身だしなみも全然ダメな辰雄の身体で
なんであんなに喜んでいるのかーー
この時、美奈津になった辰雄は
それを理解していなかったー
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
ツイッター上で、フォローとリツイートすると抽選でプレゼント!の中には
すご~く怪しいものも混ざってますよネ!
それを見かけたときに浮かんだ入れ替わりモノです!
と、いうことは…
次回の展開は…?
続きは明日デス~!
コメント