入れ替わってしまった誘拐犯の男と
人質の女子高生ー。
両親に助けを求めて
警察にも通報し、
あとは…
-------------------------–
「くそっ!くそっ!!!くそぉぉぉぉぉ!」
もがく愛海(泰治)-
「へへへ…いい声でわめきますね~!」
泰治(愛海)は勝ち誇った表情で言うー。
「---…くっそ~…テメ~!絶対許さねぇからなぁ!」
愛海(泰治)が必死に叫ぶー
けれどー
入れ替わり前に自分で縛った鎖が
ほどけないー
まさか、入れ替わってしまって
自分で自分を縛ることになってしまうなんてー
「---…和江ちゃんを奪ったお前の父親に…
俺は、、俺は復讐するんだぁ!
和江ちゃんから、他の男の子供が生まれたなんて
俺は認めねぇ!
不良品であるお前を始末して、
俺が和江ちゃんと結婚してぇ、
俺が和江ちゃんの子供を作るんだぁぁぁ!」
大声で叫ぶ愛海(泰治)
さすがにー
そろそろ自分の身体で汚い言葉を
叫ばれることに、不快感を覚えてきた泰治(愛海)ー。
「--ーーー」
泰治(愛海)は、元に戻るタイミングを
慎重に考えていたー。
既に警察と両親には、この場所を伝えてある。
だからー
救出に来てくれるのは時間の問題だー。
ただー
今、もう一度入れ替わって
元通りになった場合ー
”両親や警察がここに来る前に、殺される”
可能性があるー。
元の身体に戻るということは、
愛海は再び縛られた状態に戻るということ。
両親や警察が来る前に、
この男が、やけくそになって自分を殺すかもしれないー
だからー
タイミングは重要だー。
逆に、入れ替わりで元に戻るのが遅れて
警察に泰治として捕まってしまったら
最悪、そのままになる可能性もゼロではないー
”誰かの気配がしたらすぐに”
入れ替わるしかないー。
さっきのように、愛海(泰治)が縛り付けられている
椅子めがけて倒れ込めば、元に戻れるーーー
”はず”
だー。
「---…」
足音が聞こえてきたー
警察官たちが、やってきたー。
「ーーーよし」
泰治(愛海)が、それに気づいて、
警察が廃工場の扉を開けるのを待つ。
泰治(愛海)が
愛海(泰治)の縛られている椅子の前に立つー
ガラッ!
廃工場の扉を警察官たちが開けたー。
「---く…」
愛海(泰治)が表情を歪めるー
そしてー
「わたしの身体、返してもらうぜ!」
泰治(愛海)がそう叫ぶとー
椅子に向かって、わざと躓きー
入れ替わったのと同じ状態を作り出したー
「ぎゃっ!?」
椅子に縛られたままの愛海が倒れてー
そして、泰治が上から覆いかぶさるようにして倒れるー。
「--何をしている!」
警察官5名が、愛海と泰治のほうを見るー
「う…」
倒れた椅子に縛られたまま愛海が
苦しそうにうめくー
”さぁ…助けて”
愛海がほほ笑むーーー
”助けて…人質の”俺”をなーー”
愛海が邪悪な笑みを浮かべたー
「え…」
起き上がった泰治が自分の身体を見つめるー
「--も、元に戻ってない!」
泰治(愛海)が叫んだー
愛海(泰治)が笑っているー
「そ、、そんな…くそっ!」
泰治(愛海)は、必死に叫んだ。
「---動くな!」
警察官たちが泰治(愛海)のほうを見つめるー
このままじゃ、自分が誘拐犯・泰治として
逮捕されてしまうー。
「-----な~んて…」
泰治(愛海)はいたずらっぽく微笑んだー。
「-!?」
椅子に縛られたままの愛海(泰治)が表情を歪めるー。
「---漫画とかドラマみたいに、
元に戻らない可能性も当然考えてありましたよ」
泰治(愛海)が、にこにこしながら愛海(泰治)に耳打ちするー
そうー
同じことをしても、もう一度入れ替わって
元に戻れるとは限らないー。
ちゃんと、泰治(愛海)はそこまで考えていたー
だからー
入れ替わった直後に
自分の赤いスマホを操作して、こっそり動画を
撮影しておいたー
いざと言うときに
ふたりの会話から”入れ替わっていることを証明するために”
「--動くな!」
警察官たちが言う。
愛海の両親、和江と昭介も廃工場にやってくるー。
「---あ、ま、待ってください!
わたしが愛海で、こっちが犯人です!」
泰治(愛海)が両手を上げながら言うー。
「---…ちがう!」
愛海(泰治)は叫ぶー
だがーー
今までの会話を記録されていたとなるとーー
まずい…
泰治(愛海)が、
愛海の赤いスマホを手にするー
さっき停止を押すまで、
動画を撮影しておいたー
ふたりのやり取りや音声が
記録されているー
これを見せて
入れ替わったことを証明しー
あとは、みんなに助けてもらえばー
きっと、元に戻ることができる。
愛海は、そう思っていた。
「--入れ替わった…?」
警察官の一人が言う。
「はい!わたし、犯人と身体を入れ替えられちゃったんです…
信じられないと思いますけど、ここにちゃんと証拠もあるので」
泰治(愛海)はそう言うと、
赤いスマホのロックを解除しようとするー
しかしー
「---!?」
泰治(愛海)の手が止まるー。
「--どうした?」
警察官の一人が言う。
「---…え、、あれ…?」
泰治(愛海)の表情に焦りの色が浮かぶー
「愛海!」
その隙に父の昭介が愛海の鎖をほどくー
愛海(泰治)は邪悪な笑みを浮かべてー
「ありがとう”おとうさん”」と
気付かれないように憎しみを込めて
言い放ったー。
「あれ…あれ…?」
泰治(愛海)が焦るー
自分のスマホのはずなのに、
ロックを解除できないー
「--何をしている!?」
警察官が叫ぶー
「--わたし、入れ替わってなんかいません!」
愛海(泰治)が叫ぶー
「その人のでたらめです!」
愛海(泰治)が指を指した。
泰治(愛海)が振り返る。
「--ちょっと!勝手なこと言わないで!
だったら私の誕生日はーー」
泰治(愛海)が叫ぶー
「--5月16日ー」
愛海(泰治)が即答したー
(そっか、、誕生日ぐらい調べればわかるし
この誘拐犯はそのぐらい調べてるよね…)
泰治の身体になっている愛海はそう思ったー
「じゃあ…逆に聞きますけど、
わたしの血液型は?」
愛海(泰治)が勝ち誇った笑みを浮かべているー
「そんなのーーー
Bに決まってるじゃん!」
泰治(愛海)が叫ぶー
自分の血液型を間違えるはずがない。
「--クス」
愛海(泰治)が笑ったー
「え…」
「--ざんねん。わたしはA型。
ね?和…じゃない、おかあさん」
愛海(泰治)が、母親である和江のほうを見る。
「そうー
愛海はA型よ」
和江が、犯人・泰治のほうを見るー
泰治(愛海)は瞳を震わせたー
えー?
どうしてーーー?
え…????
B型はーーー
愛海ではなく、泰治の血液型ー
「----」
愛海(泰治)は、赤いスマホー
愛海のスマホのロックを解除してみせたー
「----え……」
泰治(愛海)が震えるー
まさかー
そんなことーー
泰治(愛海)はある考えにたどり着くー
入れ替わったことでー
自分が愛海としての記憶を失っていきー
泰治になりつつあるのではないかとー
慌てて泰治ー、犯人のほうのスマホを手にする。
さっき”仕返し中”はロックを解除できなかった
泰治のスマホー
それを”無意識のうちに”解除できてしまったー
「うそ…」
泰治(愛海)は唖然とした表情を浮かべるー
「----…俺の勝ち」
愛海(泰治)が、泰治(愛海)に耳打ちをしたー
ーー!?!?!?
”入れ替わったのは、偶然じゃないー
ぶつかったのは、何にも関係ないー
俺はお前と入れ替わる前に、
入れ替わるための薬を飲んで置いたんだー
その力が出る直前に、
わざと転倒したふりをしてー
”演出”したんだー
あの時、単にお前に触れるだけでも
簡単に入れ替われたんだ
ケケケ…”
愛海(泰治)の言葉に
唖然とする泰治(愛海)-
「---…そんな…」
泰治(愛海)が震えるー
このままじゃ、自分が誘拐犯としてーーー
「---ちゃんと…思い出せないんだろう?自分の記憶。」
愛海(泰治)がニヤニヤしながら言う。
「--入れ替えられた側は、だんだん、だんだん、
自分の記憶、消えてっちゃうんだよねぇ。くくく…
で、だんだん”俺そのもの”になっていくー
だから、血液型も俺の血液型を答えちゃうし、
自分のスマホのロック解除できなくなって
俺のスマホのロックを解除できちゃう」
愛海(泰治)が耳打ちしていると
警察官たちが、愛海(泰治)のほうに近づいてきた。
「おっと、時間だ。
この身体は、もらってくよ」
愛海(泰治)は邪悪な笑みを浮かべると
そのまま警察官たちに保護されて
父の昭介と母の和江のほうに向かっていくー
「ち、、ちがう!わたしが、、わたしが愛海なの!」
泣き叫ぶ泰治(愛海)
大の大人が、泣きじゃくりながら叫ぶ。
「--いい加減にしろ!」
警察官たちが泰治(愛海)を取り押さえる。
「ちがっ!ちがう!!!わたしは、、俺は!愛海だっぁぁぁ!!!」
必死に叫ぶ泰治(愛海)
愛海(泰治)は勝ち誇った表情で、泰治になってしまった愛海を見つめるー
入れ替わってからどのぐらいで、記憶に影響が出るかー
それは分からなかったがー、
警察たちが来る直前に、
泰治になった愛海の口調が既におかしくなっていたことからー
愛海になった泰治は勝ちを確信していたー
「へへへ…いい声でわめきますね~!」
「わたしの身体、返してもらうぜ!」
警察が到着前からー
泰治になった愛海には既に異変が出始めていたー
「ねぇ、、、俺が愛海なの!!ねぇ、、信じてよ!ねぇ」
泰治(愛海)が叫ぶー
「--娘をこんな目に遭わせて!いい加減にしてくれ!」
「--これ以上、娘を怖がらせないでください」
父の昭介と母の和江が言う。
「ちがうよ…ちがうんだってば…」
泰治(愛海)は泣きじゃくってしまう。
警察が叫ぶ
「そんな言い逃れが通用すると思ってるのか!」
とー。
乱暴にパトカーのほうに連れていかれる泰治(愛海)
「--俺は…俺は愛海なんだよ!!
なぁ、信じて!信じてよ!!!!!」
泰治(愛海)が暴れながらパトカーに
押し込まれるー
そしてー連行された。
「-----」
愛海(泰治)はそんな光景を見つめながら
笑みを浮かべたー
”安心しなよ…
だんだん君は俺になるんだから…
ま、入れ替わり薬を飲んだ側の俺は
ずっと自分の記憶も持ったままだがなー”
愛海(泰治)はクスクスと笑いながら
両親のほうに向かっていったー
・・・・・・・・・・・・・・・
1週間後ー
「お母さん~!」
愛海(泰治)が
母親の和江に密着しながら
甘えているー
”あぁぁ…和江ちゃん…
くっつき放題だ…
ひひひひひ…♡”
愛海(泰治)が顔を赤らめながら
和江に頬をすりすりさせているー
”あぁぁぁ…興奮しちゃうなぁ…”
愛海(泰治)は笑うー
部屋に戻る愛海(泰治)
「あぁぁ…興奮する…
和江ちゃんから産まれた身体に
なれたんだ…
うふ…ふふふ♡ ふふ…♡」
愛海(泰治)は
自分の身体をべたべた触りながらほほ笑むー
「あとは…
和江ちゃんといっぱいいっぱい…
エッチなことしなくちゃ…
くひひ…
母娘のプレイだ…
ひひ…ひひひひひ
あぁぁ…想像しただけでイッちゃいそう…♡」
顔を真っ赤にしながら愛海(泰治)がニヤニヤしているー
「こいつの父親は…
俺から和江ちゃんを奪ったアイツは、
この身体を使って、地獄に落としてやるか。
娘に乱暴をする父親ーって、
ことにしちゃうのは…簡単だもんなぁ…
うっふふふふふふ♡」
愛海(泰治)は悪い笑みを浮かべながら
鏡を見つめたー
「---はぁはぁ…和江ちゃんから産まれた身体…
はぁはぁ…はぁはぁ…はぁぁぁぁぁ…」
部屋に置いてあった家族写真を手にすると、
愛海(泰治)は、狂気的な表情を浮かべながら
母・和江の部分をペロペロと舐め始めたー
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
「----…俺は………愛海なのに…」
泰治になってしまった愛海は、
ほぼ泰治の記憶に侵食されながらも
ギリギリ自分が愛海であったことを
忘れずにいたー。
「愛海なのに……
俺は、、、愛海なのに…!!!!」
留置場の中でー
彼は叫び続けるー。
憎しみを1日、1日、
溢れそうなほどに膨らませながらー
「俺は……愛海なのに………!」
やがてー
愛海になった泰治は、
父親を誘惑し始めて、
誘惑に乗らない父親を陥れるために
わざと服を乱して母親に助けを求めたりー
ネット上で助けを求めたり
高校で先生に助けを求めたりし始めたー
父・昭介は娘・愛海の豹変に困惑し、
娘に乱暴なんてしていないことを
証明しようとするも、
ついに、和江から離婚を告げられてしまうー
和江と二人で暮らすことになった愛海(泰治)。
ようやくー
和江が手に入ったー。
「---和江ちゃんは、、、俺のものだ…
くっふふふふふ♡」
愛海(泰治)は歪んだ表情で笑みを浮かべたー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
人質と誘拐犯が入れ替わってしまう
入れ替わりモノでした~!!
皆様の想像した通りの結末だったでしょうか~?
最後のほうの部分は1話書けそうな感じもしましたが
「誘拐犯⇔人質」の部分からは逸れてしまうので、
こんな感じにしてみました!!
お読み下さりありがとうございました!!
コメント
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ダークはいいですなー。
最高っす
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> ダークはいいですなー。
> 最高っす
コメントありがとうございます~!
最後までダークに突き抜けました!!
これからも頑張ります~