姉の絵梨香とストーカー男が
入れ替わってから3週間…
姉の絵梨香は妹の萌美を助け出そうと、
決死の行動に出るのだった…。
もしも…
”もしも”異なる選択を妹がしていたら…?
ifの物語!
※リクエストによるifバージョンデス。
第3話の結末とは異なる結末をお楽しみください~☆
(先に本編をお読みくださいネ)
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高校1年生の少女
杉本 萌美(すぎもと もえみ)に
付きまとう不気味なストーカー男がいた。
小田切 和馬(おだぎり かずま)という名前の男だ。
妹・萌美がストーカーに
付きまとわれていることを知った萌美の姉、
絵梨香(えりか)は、妹に付きまとう男を
追い払うためにー
そのストーカー男と対峙した。
しかしー
その最中に雷が落ちて、
絵里香とストーカー男が入れ替わってしまう。
絵里香になったストーカー男は、
絵里香として、萌美を愛でていくー。
「もえみ…もえみ…もえみ…♡
ふふっ…も~えみ♡ もえみ♡
えへへへへ♡ へへへへへへへへへぇっ♡」
姉の絵里香になって、
萌美を愛でたい放題のストーカー男・和馬。
やがて、和馬の中には
姉としての感情までもが生まれていくー。
妹の萌美も、相手が姉の絵里香だということで、
警戒も何もしていないー
そしてー
入れ替わりから数週間。
姉の絵里香(和馬)と、妹の萌美は
休日を利用して姉妹で遊びに出かけていた。
妹の萌美として、
入れ替わってしまった姉に何の違和感も
なかったわけではない
自分を散々付け回していた
あのストーカー男は、自分の前に姿を現さなくなったー
そして、あの直後、姉の様子がおかしいと感じるときもあったが、
今はふつうー
いや、”前よりも強い愛情を感じる”
もしかしてー
妹の萌美は、どこかでそう思っていた。
けれどー
憧れのお姉ちゃんがこんなにも良くしてくれるし、
萌美によっても、最近の姉妹の関係は理想の関係だった。
うすうす”何かが起きているかもしれない”ことを
妹の萌美は気づいていた。
そんなとき、和馬(絵里香)が二人の前に姿を現したー
”最後の手段”を手に入れた和馬(絵里香)-。
自分が、本物の絵里香だとー
入れ替わってしまったのだと信じてもらうためにー
戸惑う萌美。
言葉巧みに言い訳を続ける絵里香(和馬)
そしてー
和馬(絵里香)はため息をついて、カエル柄のピンク色のスマホを出した。
そこにはー”最後の手段”が保存されているー
あの日、体が入れ替わってしまった瞬間、
それを録画した映像
たまたま、近くで遊んでた不良たちが、
”修羅場”として、面白半分で撮影した動画ー
ピンク色のカエルのスマホに拒否反応を示す萌美。
そこにはー
雷鳴と共に倒れる2人ー
目覚めた二人の様子が明らかにおかしいことー
「--僕が…萌美ちゃんの…
お姉ちゃん…?
ふふふふ…
ふほ、うへへへへへへへへ!」
という絵梨香の言葉が映し出されていたー
「こ…これは…」
萌美は、姉の絵梨香(和馬)の方を見る。
絵梨香の表情からは先ほどまでの笑顔が
消えて、表情には焦りが浮かんでいたー
「--萌美!騙されないで!
わたしが、絵梨香!」
目の前にいるストーカー男・和馬(絵里香)がそう叫ぶ。
「お姉ちゃんー」
萌美は呟いた。
「---そ、そんなもの、
いくらだって、、合成できるでしょ…!」
絵梨香(和馬)が裏返った声で言う。
明らかに苦し紛れな言い訳ー
2人が入れ替わっているのは、
もう、ほぼ確実だった。
それでもー
萌美はここ1、2週間のことを考えた。
大好きなお姉ちゃんとさらに仲良くなれて
毎日がとても楽しかった。
今までよりも楽しいと感じたし、
仮に中身が、ストーカー男だったとしても、
その楽しい日々は事実だったし、
姉は、本当に自分を心配してくれているー。
そしてー
目の前にいるストーカー男の和馬(絵里香)を見る。
「--萌美…」
和馬(絵里香)は目に涙を浮かべて萌美を見ている。
正直、”気持ち悪い”
そう思ったー
小太りの男が、目に涙を浮かべながら自分の名前を呼ぶ。
生理的嫌悪を感じたー。
仮に、
仮に中身が姉の絵梨香だったとしてもー
”気持ち悪い”
心からそう思った。
吐き気がする。
入れ替わっているという話は本当なのか?
萌美は頭をフル回転させる。
恐らく本当だー。
あの日、少しだけ姉の様子がおかしかった。
まるでストーカー男のように感じた。
けれど、最近は違うー
毎日が楽しい。
もしもここでー
ここで入れ替わったことを認めたらー?
横に居る姉の絵梨香はーー
中身がストーカー男の絵梨香は、どういう態度を示すのだろう…?
それにー
2人は元に戻ることができるのだろうか?
もしもできないなら、自分は、気持ち悪い男と一緒に
暮らすことになる?
中身が姉だと分かっていてもー気持ち悪いー
そんなのは嫌だ…絶対に…。
「お姉ちゃん…わたしを…守ってくれる?」
萌美は答えを出せないまま
そう呟いた。
「--当たり前でしょ…。萌美…!」
和馬(絵里香)が微笑みながら言う。
吐き気がする―
「---萌美…わたしを信じて」
横にいる姉の絵梨香(和馬)が優しく微笑むー
萌美は決断したー
もしーーー
もしも、この時の選択が違っていたのであれば、
その後の運命はー
大きく変わっていたのかもしれないー
「---どんな姿でもー
お姉ちゃんはお姉ちゃんだから」
萌美はそう呟いてー
和馬の姿をした絵里香のほうについたー
「----!!萌美…!」
絵里香(和馬)が表情を歪めるー
なぜだー?
あんなに、僕のことを気持ち悪がっていたのにー
「---萌美…」
和馬(絵里香)が、萌美の手を握る。
萌美は少し嫌そうな表情をしたものの
すぐに和馬(絵里香)の手を握った。
「-ーどんな見た目でも…
わたしのお姉ちゃんは…お姉ちゃんだけだから」
萌美が言うと、
和馬の姿になってしまった絵里香は
嬉しそうに頷いたー
「--ちょっと、見た目は気持ち悪いけど…」
萌美が苦笑いしながら言うと、
和馬(絵里香)も苦笑いしたー。
自分に付きまとっていた男の身体を
気持ち悪いと思うのは当然かもしれないし、
仕方がないーー
和馬(絵里香)はそんな風に思ったー
「わ…わたしが…わたしが絵里香よっ!」
絵里香(和馬)が叫ぶ。
「そんな、そんな気持ち悪い男に騙されないで!」
絵里香(和馬)が明らかに動揺しているー
「---…お姉ちゃんに、身体を返してあげて」
萌美が言う。
しかし、絵里香(和馬)はイライラした様子で
髪をぐしゃぐしゃに掻きむしると
乱れた髪型のまま叫んだ。
「---ははははははは!
僕のこと気持ち悪がってたのに!
どうして、どうして、そっちに行くんだ!」
絵里香(和馬)が本性を現したー
挙動不審な動きをしながら叫ぶ絵里香(和馬)
「僕は、萌美ちゃんを愛してる!
この身体で、萌美ちゃんを愛してあげる!
ほら、こっちに来なよ!
うへ、、うへへへへへへへへ」
絵里香(和馬)が欲望に満ちた笑みを浮かべるー
あのストーカー男が浮かべていた笑みと同じー
紛れもない、中身があの男だと証明していたー
「--元に戻る方法は、もうないよぉ…!」
絵里香(和馬)がひひひひひ、と笑いながら言うー
「---そんな」
和馬(絵里香)が表情を歪める。
「僕のこと、気持ち悪いって言ってたよねぇ~?
中身が本物のお姉ちゃんだとしても
そんなキモイ奴と一緒にいるなんて
耐えられないんじゃないの~?
それに、
お父さんやお母さんは理解してくれるのかなぁ~?」
絵里香(和馬)が悪い笑みを浮かべた。
遊園地の賑やかな音が耳に入らないぐらいに
萌美は、どうするべきかどうか、悩むー
けれどー
答えは決まっていた。
「-ーお父さんとお母さんは
わたしのこと、信じてくれるもんー
それにー
ちゃんと、お姉ちゃんとして振舞うから
安心して、萌美」
絵里香(和馬)が
再び絵里香の口調に戻って
萌美に手を差し出した。
「--萌美!」
和馬(絵里香)が叫ぶー
”騙されないで!”と言いたげにー。
そしてー
萌美が、絵里香(和馬)に向かって手を差し出す。
勝ち誇った表情を浮かべる絵里香(萌美)
”僕の勝ちだぁ…
萌美ちゃんは、僕のものだぁ…!!!!”
しかしー
パチン!
萌美は、絵里香(和馬)の手を握らずー
はたいたーーー。
「-!?」
絵里香(萌美)が表情を歪める。
「あんたなんて、お姉ちゃんじゃない!
見た目も記憶も、お姉ちゃんのものを
持っていたとしても、
あんたは、お姉ちゃんじゃない!」
萌美が、和馬(絵里香)の手を掴むー
「中身がお姉ちゃんじゃなきゃ、
記憶も見た目もお姉ちゃんでも
それは、お姉ちゃんじゃないの!」
唖然とする絵里香(和馬)。
「いこっ!」
萌美は、和馬(絵里香)の手を掴むー
たとえ、見た目が
ストーカー男でも
お姉ちゃんはお姉ちゃんだ。
たとえ、元に戻れないのだとしてもー
ひとり残された絵里香(和馬)は
笑い出す。
「くくくくくく…
くくく…
ははははは、
あははははははははははは♡」
絵里香(和馬)は絵里香の身体を奪っても
萌美に逃げられたことに絶望し、
泣きながら笑っていたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・
帰宅した萌美は、
和馬(絵里香)を外に待たせて
両親を必死に説得したー
けれどー
両親もそう簡単には納得してくれなかった。
当たり前だー。
娘とストーカー男が入れ替わったなどと
信じられるはずもない。
「-----」
「-----」
それでも、萌美は必死に説得を続けー
和馬(絵里香)はなんとか家に置いてもらえるようになった。
両親はまだまだ半信半疑のようだったし、
警察に通報する、などと言っている。
父親に至っては、娘の身体を奪ったやつを
見つけ出して八つ裂きにしてやる!
と怒り狂っているような状態だー
けれどー
それでも、
少しずつ
和馬(絵里香)は、絵里香として
認めてもらえるようになっていきー
1か月が経過したころには、
和馬は、元々の和馬の容姿とは
大きく異なる、清潔感のある容姿になっていたー。
「---なんか、ずいぶん変わったよね」
萌美が笑うと、
和馬(絵里香)はほほ笑んだー
「もう、戻れないかもしれないのに、
いつまでもくよくよしてるわけにはいかないから…」
和馬(絵里香)は笑った。
入れ替えられてしまったー
自分の身体を奪われてしまったー
けれど、
絵里香はまだ生きているー
家族といられる幸せがこの手にある。
和馬(絵里香)は仕事を探しながら
バイトをしている。
今の時代、なかなかすぐに正社員は
難しいけれど、
それでも、できる限りのことは
していきたい。
そう思ったからー。
「---それにしても、
お姉ちゃんとお兄ちゃん、
両方の立場を経験することになるなんて
思わなかったなぁ~」
和馬(絵里香)がほほ笑む。
その言葉を聞いて
萌美はにっこりとほほ笑んだー
「--ふふふ、
わたしもびっくり!
お姉ちゃんとお兄ちゃん、両方を
持つことになるなんて、ね?」
ふたりは笑い合うー
正直ー
”どっち”を選ぶかー
迷った。
姉の絵里香の姿をしたストーカー男を
選ぼうと、一瞬迷ったー。
それも事実だー
けれどー
やっぱりー。
記憶と、外見を持っていてもー
お姉ちゃんじゃないやつは、お姉ちゃんじゃない。
そしてー
お姉ちゃんは
お姉ちゃんだー。
「これからもよろしくね!」
「うん!」
ふたりは、笑顔で手を取り合ったー
・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
ーーーー萌美は目を覚ましたー
これは、もしも、の物語ー。
もう、選んだ道を引き返すことはできないー
「----ごめんね」
萌美の目から涙がこぼれたー
わたしはー
本当のわたしは、
”お姉ちゃんを捨てる道”を選んじゃったからー…
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
「もしも、最後の選択で
ストーカー男の身体のお姉ちゃんを選んだら」を見たいという
ご希望から生まれたifのお話でした!
ストーカー男(お姉ちゃん)を選んでいた場合は
こんな感じかな~!と想像しながら書きました!!
でも、、
事実を変えることはできないので、
最後はこんな感じに(笑)
お読み下さりありがとうございました!!
コメント
ーーー萌美は目を覚ましたーから以降が蛇足というか余計に感じます。話を台無しにしてます。その部分がなく終わったてたほうがスッキリします。他の小説でも蛇足と思える終わり方が多く関しました。
感想ありがとうございます~!☆
このお話の場合は、本編完結後に「別ルート」がどうしても見たいという
お声があったので、こういう展開にしてしまいました~!
他の作品では、スッキリしない終わり方にしちゃうことも
よくあるので、今後も色々試しながら頑張ります!★!