母親から虐待を受けていた娘は、
ある日”入れ替わり”の力を手に入れる。
その力を使って娘は母親への復讐を
画策するのだったー。
※リクエスト作品デス!
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小倉家ー。
父親・勘吉(かんきち)と、
母親・富恵子(ふえこ)、
そして、長女・桃華(とうか)の3人暮らしの
ごく普通の家庭ー…
「---お父さんありがとう~」
小3の長女・桃華は嬉しそうに父親の勘吉が
仕事帰りに買ってきてくれたおみやげを
手にしているー
母親の富恵子もそんな様子をほほ笑みながら
見ているー
だが、この家庭には、外から見えない”闇”があったー。
深夜ー
「いつもいつもふざけやがって!」
父である勘吉が、母・富恵子に暴力をふるったり
暴言を吐いたりしていたー。
娘・桃華にはとても優しい勘吉だったが、
母・富恵子にはDVを繰り返しているー。
娘の前では、そういう姿を見せないように
しているつもりの勘吉だったが、
娘・桃華はそのことをとっくに知っていたー。
そしてー
「--あんたのせいよ!」
昼間ー
父・勘吉がいないタイミングになると
今度は母・富恵子が、娘の桃華に
激しいいやがらせを繰り返すー
富恵子は、夫である勘吉からのDVによる
ストレスや怒りをすべて桃華に
ぶつけていたのだー。
これが、小倉家の闇。
両親の間に何があったのかは知らない。
父・勘吉が悪いのか
母・富恵子が何か先にしかけた結果なのか、
それは分からない。
けれど、まだ小さな娘であった桃華にとっては、
自分にとっての敵は母・富恵子のほうだった。
父・勘吉は、桃華のことを可愛がってくれていている。
桃華に対しては何もしてこない。
けれど、母・富恵子は桃華に対して
いやがらせ、時には暴力まで仕掛けてくる。
だから桃華は、富恵子が嫌いだった。
富恵子がDVを受けているから、だとか
DVそのものがどうだとか、
そんなことを考える年齢ではなかった。
”わたしをいじめるわるいやつ”
桃華は、母・富恵子のことをそう思い、
憎んでいたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
金曜日ー。
”最近はどうじゃ”
祖父と電話で雑談をしている桃華。
桃華は、おじいちゃんのことが大好きだ。
おじいちゃんと電話をしている最中は
心の底から笑顔になれる。
そんなおじいちゃんに心配をかけまいと
桃華は、電話では家族の悪いことは一切言わない。
外では、桃華も、父の勘吉も母の富恵子も
”仲良し家族”を演じている。
だからこそ、
小倉家の闇には誰も、気づくことが
できていなかったのかもしれないー。
だが、ある日ー
その”闇”は別の”闇”に
塗り替えられることになるー
「え……」
夜中ー
桃華は、不思議な光景を見たー
マスクをかぶった人影があるー。
そして、その人影は桃華のほうを見ると、
何かを呟いたー
”今のつらい状況を変える力を、
きみのランドセルの中に入れておいたー”
マスクの人影はそう呟いたー
「え…」
桃華は”だれ?”と聞こうとしたが
それを聞けないままーー
目が覚めたー
「夢…?」
朝日が差し込む部屋。
桃華は、不思議な夢を見たなぁ、と
思いながらちょっと気になって
自分のランドセルを開けてみた。
するとそこにはー。
不思議な光を放つ物体が
入っていたー。
そして、メモ書きが入っている。
そのメモ書きは、”力”の使い方だった。
他人との身体を入れ替える力ー。
それを見て、
桃華は思ったー
”この力があれば、お母さんに仕返しを
することができるー”
と。
桃華は、仕返しを決意する。
母・富恵子への仕返しを。
父・勘吉が、母・富恵子を
叩いたりしているのは、よく知っている。
母・富恵子は、父・勘吉には何も
することができず、従っている。
つまりー
自分が勘吉になれば、
母・富恵子に仕返しすることができるのだ。
「--わたしがお父さんになって…
悪いお母さんをやっつける!」
桃華はそう呟いたー
・・・・・・・・・・・・・・
夜ー
説明書を再確認する桃華。
父・勘吉はリビングでテレビを見ている。
説明書には入れ替わりの手順と、
その注意点が書かれていた。
まるで、桃華のためだけに書かれたような
説明書で、
桃華がまだ習ってなさそうな感じには
フリガナがついていた。
”二日以内に元に戻らないと、身体に”定着”し、
元の身体に戻ることができなくなる”
”入れ替わった相手の身体の記憶を読み取ることができる”
”相手側は、入れ替わり後しばらくすると、
自分の記憶を失い、入れ替わり先の身体本人として行動する
(元に戻った時に、本人としての記憶を取り戻す)”
などなど、
色々なことが書かれている。
説明書きの下には、桃華でもわかりやすいよう、
子供向けの表現で注釈も加えられていた。
「--よしっ!」
桃華はそう呟くと、
リビングに向かった。
光を発するスーパーボール状の
何かを持ったままー。
「お父さん!」
桃華が父を呼ぶ。
父・勘吉はテレビから目をそらし、
桃華のほうを見る。
「お、桃華!どうしたんだ?」
妻に暴力をふるう勘吉も、
桃華のことは溺愛していて、
桃華の前では”とても優しい父親”だ。
母・富恵子は今、お風呂に入っていて、
ここにはいない。
今がチャンス。
「--お父さん……!わたしね…」
桃華は、”お母さんにいじめられてるの”と
一瞬言おうと思ったが、やめたー。
「--お父さんになってみたいの!」
それだけ言うと、
「え?」という勘吉をよそにーーー
光を放つスーパーボールのようなものを
使ったーーー
光に包まれる周囲ー
「うっ…お、、、わわ…!」
大人の男の身体になった桃華は、
自分の身体を見つめて、驚く。
桃華は、勘吉になったのだー
「え…お???ああああぁ??なんだこれ!?」
桃華になった勘吉が驚きの声を上げる。
「---ちょ!?!?な、なんだこれ!?」
桃華(勘吉)が女の子の声で叫ぶ。
「お父さん!ごめんね…わたし、ちょっとだけ、ちょっとだけ
お父さんになりたいの!」
勘吉(桃華)が言う。
今日は土曜日。
ちょうど、明日は休みだから
”仕返し”もやりやすい。
月曜日も祝日で休みだ。
「---お、、おいおいおい、どうなってるんだこれ?」
桃華の身体で男口調をしゃべる。
大股で歩きながら勘吉になった桃華のほうに近づくと、
「い、、入れ替わってる!?」と桃華(勘吉)は叫んだ。
「うん!お父さん!ちょっとだけ!お願い!」
勘吉(桃華)が無邪気な笑みを浮かべて
お願いするー
しかし、
桃華(勘吉)は戸惑っていたー
小さな子の身体にー
生まれて初めてのスカートの感覚ー
長い、髪。
”って、いけねぇ、娘の身体で興奮するとか
洒落にならないぞ!”
勘吉は内心でそう叫ぶと、
「も、、元に戻ろう。な?」と
勘吉(桃華)に向かってほほ笑みかけた。
しかしー
「やだもん!」
勘吉(桃華)は大人の男が絶対に言わなそうな言葉を
口にしたー
「い、、いやだって、、ちょ、、おい!」
桃華(勘吉)が戸惑うー
そして、次の瞬間ー
「あ、、、あれ…なんか変だぞ?」
桃華(勘吉)が戸惑いだす。
頭の中がごちゃごちゃして整理ができないー
「え…お、、俺は勘吉…?え…あれ?」
桃華(勘吉)は
入れ替わりの力の説明に書かれていた通りーーー
桃華の身体の記憶に飲み込まれ始めていたー。
「あれ…?わ、、わたし、、何を…?」
桃華(勘吉)は、今、自分がどうして
不安を感じていたのかを忘れてしまって
完全に桃華になってしまうー
”お父さん、明日が終わったら元に戻すからね”
勘吉(桃華)は、
桃華になりきってしまった勘吉を見て
心の中でそう思った。
”二日以内”
だから、明日が終わるまでに元に戻せば
それでいい。
元に戻すための力もランドセルの中に
一緒に入っていたー
だからー
それで、元に戻ればいいー
そしてーーー
「----!!!!!」
突然、父・勘吉のこれまでの人生が
桃華の中に流れ込んできたー
入れ替わった側は、相手の記憶を
読み取ることができるようになるのだー
まるで、喉の奥に流れ込む水かのように
これまでの父親の人生が大量に流れ込んでくる。
経験したことのない奇妙な感覚ー
それを、勘吉になった桃華は味わっていたー
あまりに一度に流れ込んできたものだから
全ての記憶を一度に頭の中で処理することは
できないが、とても新鮮な気持ちだった。
まだ小学校通いの桃華にとって、
あまりにも衝撃的な記憶がたくさん流れてきたー
勘吉(桃華)は、しばらく放心状態になるー
「お父さん…?」
完全に桃華になってしまった勘吉が
不思議そうに言う。
「ん、、あ、、え、、あ、大丈夫、大丈夫だよ~!」
勘吉(桃華)は父親の身体で明るく振舞うと
立ち上がった。
”いろいろとびっくりしたけど、これでお母さんに
仕返しできる…”
そんな風に思いながら勘吉(桃華)は
立ち上がったー
お風呂に入っている母・富恵子が
お風呂から上がったら、復讐の時間だー。
「---おとうさ、、じゃない、、
桃華は、、え、、えっと…
部屋に戻ってなさい」
父・勘吉っぽく振舞う桃華。
桃華(勘吉)は
「え~なんで~?」と言っていたが
やがて「は~い」と言って
自分の部屋に戻って行ったー
ついに、仕返しできるー
わたしをいじめてばかりいた
悪いお母さんをー。
……
母・富恵子がお風呂から上がってくるまでに、
父・勘吉の記憶をいろいろと探ってみた。
その結果ー。
父・勘吉が母・富恵子にきつく当たるようになった
理由が分かったー。
母・富恵子は、浮気していたのだー。
富恵子は今でこそ浮気をやめたようだったが
最初に暴力や暴言が始まったのは
母・富恵子の浮気が発覚してからー
だったようだー。
浮気ってなに?と
一瞬思ったが、それも、父・勘吉の記憶を
探ることで理解できた。
桃華は大人の世界にちょっと憧れを
持っていたー。
けれど、勘吉の記憶を探れば探るほど、
大人の世界は、自分が思っているような、
綺麗な世界ではない、ということが
理解できたー。
「---ふぅ」
母・富恵子がお風呂から出てきたー
「----お母さん」
勘吉(桃華)は、お風呂から出てきた母親にそう声をかけた。
「え?」
富恵子が勘吉(桃華)のほうを見る。
「--あ…」
勘吉(桃華)は、間違えた!と頭の中で叫ぶ。
”お母さん、じゃなくて、富恵子って呼ぶんだった”
「ふ、、富恵子!」
勘吉(桃華)は慣れない呼び方に違和感を感じながら叫ぶ。
そして、父親の記憶を必死に読み取りながら
父親として振舞う。
”わたしはお母さんを許さない”
”仕返ししてやる!仕返ししてやる”
「--おか、、お、お前!桃華を虐待しているみたいだな」
勘吉(桃華)として振舞うー。
「え、、そ、そんなこと…」
母・富恵子が戸惑っている。
富恵子は、父・勘吉がいないときしか
娘の桃華に暴力をふるったり、暴言を吐いたりはしない。
母は、夫に隠しているのだー
バン!
勘吉(桃華)は机を思いっきり叩いた。
「---桃華になんてことを!」
勘吉(桃華)として振舞うー
そのことを意識しながらも、
桃華としての怒りも表に出てきてしまい、
より激しい形相で勘吉(桃華)は
富恵子を怒鳴りつけた。
「だ、、だって、仕方がないじゃない!
あの子が、あの子が!」
富恵子が言い訳を始めたー
「--この、馬鹿野郎が!」
勘吉(桃華)は
母・富恵子を殴りつけたー
”仕返し”
娘・桃華の仕返しが、この瞬間から、始まったのだった。
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
リクエストによる入れ替わりモノですネ~!
続きは明日デス~!
頂いたリクエストの原文も、明日ご紹介します!★
コメント
SECRET: 1
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
今までのリクエスト作品で1番良かったです。小さな女の子が中年の男性になりすまして偉そうにするのにゾクゾクし興奮して抜いちゃいました。笑
リクエストでは、ありませんがこういうジャンルの作品を今後も書いていって欲しいです。明日も楽しみにしてます。
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
コメントありがとうございます~☆!
明日も頑張りますネ~!
今後も…考えておきます~笑