<憑依>告らせ屋②~希望と絶望~

「恋愛ごっこ」は、
実に楽しいー

女に憑依し、
男をその気にさせてー

そして、地獄のエンディングを見せつけるー

その瞬間の顔は、
実に美しいー。

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「--んぁ…あ…♡ あっ♡」
部屋で、自分の身体から液体を垂れ流しながら
少女が気持ちよさそうにほほ笑んでいるー。

通称・”告らせ屋”に憑依されている
女子高生だー。

部屋を汚しながら、
エッチな笑みを浮かべる少女ー

「ふふふふ…ふふふ…」

深夜2時ー

夜更かしは、身体に毒かもしれないー。
だが、そんなことはどうでもいい。

「どうせ、自分の身体じゃないんだしー」
少女は、自分の身体に付着した液体を
舐めると、笑みを浮かべるー。

そうー
この身体はどうせ、自分のものではない。
遊び終わったら捨てる身体だー
そのあとのことは、知らないー

乱れ切った髪を触りながら
よろよろと立ち上がる少女ー

自分はなぜこんなことをしているのかー。

彼の人生はー
歪んだー。

彼も、昔はまじめなサラリーマンだった。

だがー
とある女に弄ばれていたことを知り、
全てがどうでもよくなってしまった。

彼は、まじめすぎたのかもしれない。

まじめだったサラリーマンは、今、
裏社会で”告らせ屋”としてー
男を絶望に落とし、女の身体を弄びー
日々を過ごしているー

・・・・・・・・・・・・・・・・・

放課後ー

「お、今日も図書委員の後輩と
 イチャイチャか~?」

友人の雄太郎が笑いながら言う。

「ち、違うって!」
武雄が顔を真っ赤にしながら言う。

「顔がトマトみたいに赤くなってるぞ~?」
雄太郎が茶化すようにして笑う。

そんな雄太郎に腹が立った武雄は言い返す。

「お前だって、また今日も
 菜々美ちゃんに告白する夢でも見てたんだろ~?」

武雄の言葉に、今度は雄太郎が顔を赤らめる。

「うっ、、うるせー!」

「なんだよ図星かよ」

武雄は勝ち誇った表情で、雄太郎にそう言い放つー

「-----」
その様子を彼女の純奈が、にこにこと遠くから
横目で見つめていたー。

「--純奈?」
純奈の親友・菜々美が不安そうに純奈のほうを見るー

「----あ、ううん。なんでもないよ」
純奈はいつものように優しい笑みを浮かべたー

・・・・・・・・・・・・・

図書室に到着すると、
後輩の美乃梨が、
何かぶつぶつと一人で呟いていたー

「ごめん。担任の先生の話、
 いつも長くてさ…」
少し遅れ気味に到着した武雄が声をかけると、
美乃梨が「あ!?い、、、先輩!?いたんですかぁ!?」と
驚いて声をあげた。

あまりに驚いたのか、眼鏡もずれてしまっている。

「いたんですよぉ!」
武雄がふざけて返事をすると、
美乃梨がにっこりとほほ笑んだー

美乃梨は、眼鏡をかけたおとなしい子だが、
最近はなんだか積極的になったような気がするー

武雄は、あくまでも”先輩”として接していて
やましい心は、ないー
つもりだ。

純奈のことが好きだし、
純奈を悲しませるようなことはしたくないー。

そう思っているー

図書委員の仕事をしながら
本の話題で盛り上がりー
そして、今日も解散するー

「ふ~~~」
武雄は図書委員の仕事を終えて、
美乃梨と別れると、
そのまま昇降口へと向かったーー

「た・け・お!」
背後から声をかけられて武雄は驚いて振り返るー

すると、そこには
幼馴染で彼女の純奈がいたー

「---あ、純奈!って、なんでここに!?」
武雄が驚く。

純奈は先に帰ったとばかり思っていた。

「なんでって~?
 彼氏の帰りを待ってちゃいけないの~?」

純奈の言葉に、武雄は
「い、いや、そういうわけじゃないけど
 てっきり帰ったと思ってたからー」
と、驚くー。

「---……」
純奈が武雄のほうをじーっと見つめる。

「--な、、なんだよ~?」
武雄が照れ臭そうに言うと、
純奈は少し低い声で呟いたー。

「---あんまり、わたしを嫉妬させちゃうと、
 修羅場イベントが起きちゃうゾ?」

小声でボソッと純奈はそう言った。

ゲームが好きな純奈は、
よく独特な言い回しをするー

「しゅ、修羅場!?」
武雄が驚いて声をあげると、
純奈は「な~んちゃって!」とほほ笑んだー。

そんな純奈の後ろ姿を見ながら
武雄は思うー。

”今のは、本気だった気がする”

ーーと。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夜ー

「あ?なんだって?」
イライラした様子で少女が誰かとスマホで話をしている。

少女の可愛らしいスマホは、
机の上に置かれたままー

もう一つのスマホ…
少女に憑依している”告らせ屋”のスマホで
誰かと通話をしているのだ。

ミニスカート姿で足を組んで、
イライラした様子で貧乏ゆすりのような動きをしている少女ー

「--この前言っただろ?
 俺、今、西地区のJKに憑依して
 恋愛ごっこしてるんだよ。
 
 そのあとなら対応してやるって」

少女は激しい口調で相手に言葉をかけるー。
本来の彼女は絶対にこんな口調では話さない。

「---はぁ?今日?
 チッ……
 わ~ったよ、じゃあ、今から行くから。

 あぁ…あぁ…ったくしょうがねぇなぁ」

少女は苛ついた様子で電話を切ると、
スマホを投げつけた。

そして、動きやすいショートパンツ姿に着替えると
そのまま出かけて行ったー。

夜の廃墟に、女子高生が一人で出かけていくー。
出かけさせられているー

知り合いの男と会うと、
少女は、男が監禁されている部屋に入るー。

裏社会の抗争ーー
”告らせ屋”は時々依頼を受けて協力することがあるー

今回は急な依頼だった。
仕方なく乗っ取った少女の身体のまま、
依頼をこなすー。

監禁された男に殴る、蹴るの暴行を
少女の身体をままふるうと”依頼”を終えて
少女はそのまま帰宅したー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

「--大丈夫?」
純奈の親友・菜々美が、あることに気づいた。

純奈の手に、打撲のようなものがあるのだー

「---ん?」
純奈が菜々美のほうを見て、
そのあとに自分の手を見る。

「あぁ、これ?
 大丈夫大丈夫~!
 ちょっとね」

純奈がいつものように優しく微笑むー

「あ~、今日も菜々美ちゃんに告白する夢を見たぜ~」
雄太郎が苦笑いしながら武雄に言う。

純奈と菜々美は教室の反対側にいるがー
雄太郎の声が大きいので、絶対に
菜々美本人にも聞こえている気がする。

「---お前、絶対聞こえてるぞそれ」
武雄が言うと、
雄太郎は「えっ!」と顔を真っ赤にしながら
純奈と菜々美のほうを見た。

ふたりは、雄太郎のほうを見ている様子はなく
普通に雑談をしている。

「いやぁ、聞こえてないって」
雄太郎は、顔を赤くしたままそう答えたー

純奈が嫉妬しているー。
武雄は、そう感じていたー。

確かに、
後輩の女子と親しくしているように見えてしまうのは、
純奈にとって不安なのかもしれないー

だがー
それ以上に、”何かがある”
そんな気もするー。

後輩の美乃梨に、素直に打ち明けて
少し距離を取った方がいいのかもしれない。

武雄は、あくまでも
純奈との恋愛と、美乃梨との先輩・後輩の関係は
別だと思っているし、
純奈の恋愛があるから、距離を取る、とか
そういうことをするつもりはなかったー

けれど、そうしないといけないのかもしれない。
武雄は恋愛経験がないために
どうしたら良いのかよくわかっていないー

そして、美乃梨が、武雄に好意を抱いていることにも
武雄は正直、あまり気づいていないー

・・・・・・・・・・・・・・・・

昼休みー

武雄は職員室に提出物を提出した帰りー
偶然、ある光景を目にしたー。

「--!?」

空き教室で、彼女の純奈と、図書委員の後輩・美乃梨が
何やら会話をしているー

イヤな予感を感じて、
教室の外から二人の会話を見守るー。

「--これ以上、武雄に近づいたら許さないから」
純奈が、今までに聞いたことのないような
低い声で美乃梨に言葉を投げかけている。

「純奈…?」
教室の外から、武雄は不安そうにその声を聞くー

「---…後輩を、脅すんですか?」
美乃梨が負けじと反論しているー
大人しそうな美乃梨からは考えられないことだー。

「---脅す?何よその言い方!」
純奈が声を荒げる。

「--わたしは、先輩を振り向かせて見せますから」
美乃梨が宣戦布告をするー

”振り向かせるー?”

武雄は、その時初めて
自分が美乃梨に好意を抱かれていることを
少しだけ悟るー

「えっ…」
武雄は思わず顔を赤らめるー

「おー、武雄、こんなところで何を」
友人の雄太郎がちょうどタイミング悪くやってきてしまったー

「ば、、馬鹿!静かにしろ!」
武雄はそう言うと、純奈たちがいる空き教室の前から
雄太郎を引き離し、別の場所へと移動した。

「なんなんだよ、そんなに慌てて」
事情の分からない雄太郎に対して
武雄は「俺、修羅場を見ちまった…」と答えるのだった。

?を浮かべる雄太郎。

「な、なんだって、
 全然、意味が分かんねーぞ」

「いや、気にしなくていい」

武雄がそう言うと、
少し間をおいてから雄太郎が、
にやりと笑みを浮かべた。

「あ、そうそう、今度、俺、
 夢を正夢にすることにしたよ!」

雄太郎が笑いながら言う。

「は?」
武雄が首を傾げると
雄太郎はご機嫌な口調で答えた。

「--菜々美ちゃんに告白しようと思ってさ!」

雄太郎の言葉に、
武雄は「あ~、また菜々美ちゃんか、正夢になるといいな!」と
適当に返事をした。

雄太郎が、
菜々美に告白する夢ばかり見ていると知ったら
菜々美ちゃんも気持ち悪がるだろう…

そんな風に思いながら武雄は、自分の教室へと戻るのだったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「---ふふふふふ♡」

少女が鏡の前で笑うー

少女のお金で勝手に購入した
ロリータ系ファッションに身を包み、
嬉しそうにほほ笑むー

「わたし…かわいい…」
憑依された少女はゾクゾクしながら
自分の指をペロリと舐めるー

「--もうすぐ…もうすぐ…」
興奮しながら顔を赤らめる少女ー

男をその気にさせるまでの
”恋愛ごっこ”は実に楽しいー

もうすぐー
もうすぐだー

「えへへへへ…」
少女が思わず口から涎をこぼすー。

もうすぐその瞬間がやってくるー。

その瞬間ー
男子に絶望を与えるその瞬間ー
その時の顔を見るのが、
その時のリアクションを見るのがー
本当に、楽しみだ。

その時のことを想像するだけで
興奮してくるー

「んんんんんっ♡ もうだめ!」
少女は机の角で自分の気持ちいい部分を
刺激し始めると、
顔を真っ赤にしながら喘ぎ始めたーーー

・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

放課後に図書当番の仕事をしていると、
後輩の美乃梨が武雄に話しかけてきた。

「あの…先輩、、このあと、お話いいですか?」

「--え…あ、うん」

武雄はそう返事をする。

図書室の開放時間が終わり、
図書室に二人きりだけになる。

夕日が差し込む中ー
美乃梨は口を開いた。

「--わたし、、先輩のこと…ずっと、好きだったんです…」

美乃梨が静かに言う。

「---……」
武雄は、窓の外の夕日を見つめるー

自分に、身体は2つは、ない。
複数の人間に好かれるということはー
誰かを悲しませることでもあるー。

ふたりの想いに、まとめて答えることはできないー。

武雄は、頭を下げた。

「ごめんーーーーー。
 俺には、、、彼女がいるから…。

 だからーーー
 その思いには答えられないーーー
 ごめんーーー」

武雄はーー
美乃梨のことを笑うこともなく、
言い訳をすることもなく、
単刀直入に、告白を断ったー

「----ふふふふ…
 ふふふふふ」
美乃梨が笑いだす。

「---!」
武雄が、びっくりして美乃梨のほうを見る。

「---あははははははははははっ!」

ーーー!?

表情を歪めた美乃梨のほうを驚きながら見るー

美乃梨は、不気味な笑みを浮かべながら
武雄のほうを見つめたー

③へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・

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ついに告らせ屋が正体を現して…?

続きは明日デス~

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憑依<告らせ屋>

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