<憑依>1年後の美貌①~支配~

憧れの女性の身体を奪ったー。

けれど、
”その美貌”を1年後も維持していることは
できるのか…。

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高校3年生の橋山 隼吾(はしやま じゅんご)には
好きなクラスメイトがいたー

同じクラスの影野 千奈津(かげの ちなつ)-。
少し前まで生徒会長をやっていて、
とても可愛らしく、明るく、友達も多く、成績優秀ー
全てにおいて完璧とも言える女子だった。

そんな千奈津に、隼吾は
憧れと好意を抱いていた。

だがー、
隼吾は成績は悪く、暗く、容姿にも恵まれなかった。
また、性格が致命的に悪いこともあって
友達もほとんどいないー。

自分などが千奈津に告白しても
相手にされるわけがない。
むしろ、千奈津を怖がらせてしまう。

高校の卒業も近づいていて
既に千奈津も隼吾も進路が決まっている。

千奈津は上京して一人暮らしを
始める予定なのだとか。

このまま高校を卒業すれば、
もう千奈津に会うこともないだろう。
一生、接点もなくなると思う。

だからー
隼吾は、卒業する前に、
せめて…と千奈津に告白するつもりでいた。

たとえー
その結果がどうなってしまったとしてもー

・・・・・・・・・・・・・・・・・

告白を考えていた隼吾ー。

「---…告白って……どうすれば……」
隼吾は、小さいころから通っている
近所の雑貨屋のおじさんに相談していた。

この雑貨屋のおじさんは、隼吾が小さいころから
何かとよくしてくれているし、
隼吾も雑貨屋のおじさんに対しては
心を開いていた。

「そうだなぁ~」
おじさんがニコニコしながら笑う。

店内には、怪しげなものがいろいろと置かれている。
”いつでもドア”
”キラーノート”
”万年パズル”
”ブリードアイランド”

ーー…。

「こんなものはどうかな?」
おじさんは奥から何かを取り出してきた。

「---じゃ~ん」
やけにノリのいいおじさんが取り出したのは
真っ白なジグソーパズル。

「なにこれ?」
隼吾が尋ねると
おじさんは、「このジグソーパズルに
自分で文字を書いてから、バラバラにして渡すんだ。
渡された子が、ジグソーパズルを完成させたら
ラブレターが読めるようになるってやつさ」
と答えた。

隼吾は苦笑いする。
「僕に無理だよ」
とー。

「--そっか~」
おじさんも苦笑いしながら、
じゃあそれなら、と違うものを持ってこようとするー

その時だったー

「おじさん、あれは?」
隼吾がお店の隅っこのほうに
ホコリが被った状態で置かれている
とあるものを指さした。

「ん?あぁ、あれは隼吾くんには関係ないよ」
おじさんは軽くスルーしようとした。

だがー
隼吾はお店の隅っこに置かれたそれが
気になって仕方がなかったー

”憑依薬”
他人に憑依できる薬ー。

この雑貨屋には昔から得体のしれないものが
売られていたが、憑依薬とはー…

「--おじさん、これ下さい」

2980円ー
そう書かれた憑依薬をおじさんのところに持っていく

「えぇ!?」
おじさんが驚く。

「それ、告白用の道具じゃないよ?」
おじさんの言葉に
隼吾は首を振った。

「でも、これ使えば僕が影野さんになれるんでしょ?」
隼吾が言う。

「そ、そりゃあ、まぁ…」
おじさんはそこまで言うと続けた。

「でもね、隼吾君の好きな子は、
 その子だからこそ、輝いて見えるんだ。
 中身が変わったら…
 そうだなぁ、1年もすれば別人になっちゃってるよ」

おじさんの言葉に耳も貸さずに
隼吾は1000円札を3枚、カウンターに置いた。

「あ!ちょっと!」
慌てるおじさんー
隼吾はそれを無視して、憑依薬を購入してお店から
飛び出したー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

帰宅した隼吾は笑みを浮かべる。

憑依ー
そんなこと、本当にできるのだろうか。

隼吾も、そういう話を読んだことがある。
他人の身体を乗っ取って
好き放題やるお話だ。

最近は、クラスメイトの女子高生を乗っ取った
いじめられっ子が、その子の人生を奪って
嘘のように明るくなって
人生をエンジョイするー
というような話も読んだー

「まさか…現実に憑依薬があるなんて…」
隼吾は笑みを浮かべる。

千奈津に憑依することができればー
人生は、変わるー。

「そうだー…僕は人生を変えるんだ」
隼吾は笑みを浮かべたー

隼吾に友達ができない要因のひとつは
とにかく”自己中心的”な性格であること。

だが、隼吾にその自覚はない。
今だってそうだー。
隼吾は、憑依薬を手に震えているー。

千奈津を乗っ取ったあとのことを考えて喜んでいるのもあるー。
そして、”この憑依薬は本当に効果があるのか、
飲んだら、実は毒で死んでしまうようなことはないか”
そんなことを考えて、震えているー

だがー
”乗っ取られる”千奈津のことは何も考えていない。
奪われる側のことなんて、どうだっていいー

…いや、どうだっていいとすら、思っていない。

本当に”何も”考えていないのだ。

どこまでも”自分本位”な考えー
それが、隼吾に友達ができない原因の一つでもあった。

「---毒…じゃないよな?」
隼吾は憑依薬の容器を持ちながら震えている。

得体のしれない薬を飲むのは怖い。
もし、この憑依薬が本物でなかったらー
いや、人間にとって害のあるものだったら、
隼吾はこれを飲んだとたんに死ぬ可能性だってあるー

「ふふふ…ふふ」

隼吾は、びびりながらも
”もし本物だったら?”を考えるー

千奈津になればー
一気にクラスの人気者だ。
頭もよくてなんでもできる女の子になれる。
しかも、超がつくほどかわいい。
あの”かわいい”を自分のものにできる

そしてー
自分とは一生縁がないと思っていた
あんなことやこんなこともできてしまうー

まさに、楽園がそこにあるー

”危険を冒して、千奈津の身体を手に入れるか”

それとも

”リスクを回避して憑依薬を飲むのをやめるか”

隼吾は考えていたー

「-----」
千奈津に憑依して、千奈津の姿で
”隼吾くん、だいすき”と言ってみる光景を
頭に浮かべるー

千奈津がエッチな声を出しながら
胸を触っている場面を妄想するー

その妄想が、実現するかもしれないー

「----ーーー僕は…!」
隼吾は、そう叫ぶと目を瞑って
憑依薬を飲み干した。

ズキッ!

激しい痛みが走るー
急激に気が遠くなるー

”え…”

隼吾は思うー

”最悪の展開”になりつつある気がしたー

「も、、、もしかして…」

激しい頭痛ー
吐き気ー

どうにもならない苦しみー
呼吸がしにくいー

これはー

もしかするとー

「う…あああああああ」
隼吾がもがき始める。

急激にせき込んで、
吐血する隼吾。

”憑依薬って…まさか…”
隼吾は苦しみながら思うー

これって、毒じゃ…?

とー

自分の部屋の扉を開けて
母親に助けを求めようとする隼吾。
だが、身体が激しくしびれ始めて
うまく動かないー

そのまま隼吾はー
一人、部屋の中に倒れてしまったー

・・・・・・・

・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・

「あれ…」
隼吾が目を覚ます。

自分はーーー

「うっ…うわあああああああ!」
隼吾が叫ぶ。

自分の身体が目の前で
血を吐いて…
倒れている。

「--う、、うそだ!うそだうそだうそだ!」

まさか、死ぬなんて思っていなかったー
自分の身体は明らかにやばい状況だ。

ぴくぴくと痙攣しているようにさえ見える。

焦る省吾ー。
自分の身体に慌てて戻ろうとする。

だが、アニメや映画とかで
よくある”自分の身体に霊体を重ね合わせる”
方法では元に戻ることはできなかった。

やがて、ビクンビクン震えていた
自分の身体の震えは止まり、
口から液体を垂れ流しながら
動かなくなってしまう。

「うわあああああああああ!」
隼吾は大声で叫んだ。

「----!」

だがー
隼吾はふと正気に戻った。

「待てよー?
 これって死んだんじゃなくて
 憑依薬の効果じゃないか?」

そう思ったのだ。

死んだ経験はないからわからないけれど、
こんな風に自分のような幽霊が
ふわふわしているとは思えない。

隼吾は”人間、死んだらおわり”だと
そう思っている。

だがー。
こうして自分は宙に浮いている。

自分は死んだのではなく、
これこそが憑依薬の効果なのではないかー

「そ、、そうだ…!影野さんに…」

隼吾は飛んだー。
空をー。

千奈津の家は知っている。
別にストーカーをしたわけではない。
千奈津の家は高校から近い場所にあって、
隼吾が帰る際に、普通にその前を通る。
それだけのことだ。

「---♪~」
隼吾の霊体が、千奈津の家に到着する。

「たしかここだよな~」
空を浮遊するー
初めての感覚。

もちろん、空を飛ぶ経験も初めてだったし
生身の肉体ではなく、幽霊として、だから
感覚がより異なっていた。
なんとも言えない感覚だ。

壁をすり抜ける。

特に感触はないのだが
精神的になんだか違和感があるー

そしてー
壁をすり抜けると、
そこには読書中の千奈津がいた。

落ち着いた部屋着で
読書を続けている千奈津。

「---そろそろ寝ようかなぁ~」
時計を見つめる千奈津。

時間はもう夜遅くなっていた。

隼吾は、そんな千奈津の姿を見つめながら
”やっぱりかわいいなぁ”と思う

そして、
この身体を手に入れることができればー

と、笑みを浮かべる。

この可愛さも、
この明るさも、
たくさんの友達も
成績も、
全てを手に入れることができる。

自分の人生、逆転することができる。

「-影野さん…その身体、ちょうだい!」
隼吾は笑みを浮かべながら千奈津の身体に
飛び込んだ。

「はぅっ!?!?」
千奈津がビクンと震える。

身体にずぶずぶと自分の霊体が入り込んでいくー

「あ…あぁああ…?」
持っていた本を落とす千奈津。

がくがくと震えながら「な…に…?」と
怯えた表情を浮かべる。

「ふふふふふ…影野さんは僕のものだ!」
隼吾が叫ぶ。

千奈津にはその言葉は聞こえていないー

「ひ、、、や、、やめて…!?なに…?
 はいってこないで…!?」
千奈津が叫ぶ。

”何かが入ってくる”感触を感じた
千奈津が必死にもがく。

「---うぅぅぅぅ…負けてたまるか!!」
隼吾が叫ぶ。

千奈津の身体からはじきだされそうになるー。

だが、隼吾の”千奈津の身体を奪いたい”と
いう想いが、それに勝ったー

「ひっ!?!?」
千奈津がさらに激しくふるえてー

そして、ゾンビのようにその場にうなだれたー

「---…あ、、、ふふ…や、、やった」
千奈津が自分の両手を見つめながら笑いだすー

「…やった!!やった!!僕が影野さんだ!」
部屋の鏡を見つめるー

大はしゃぎの表情を浮かべる千奈津。

「やった!!!あははははっ!僕が影野 千奈津だ!

 いいや、わたしが影野 千奈津よ!

 やった…ははは、!あはははははははははははっ!」

可愛らしい顔を歪めて
嬉しそうに飛び跳ねる千奈津。

「--隼吾くんのこと…だ~いすき…!♡
 この身体、、好きに使わせてあげる…!
 うふふっ♡」

自分で甘い声を出して
あまりのうれしさに自分を抱きしめる千奈津ー

これで、人生が逆転するー
そう、思っていたー

1年後、自分がどうなっているかも、知らずにー

②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

憑依で憧れの子の身体を乗っ取っても、
ずっとその状態を維持できるの…?を
小説にしてみたお話デス~!

1年後…
どうなっているのかは、明日のお楽しみ~

憑依<1年後の美貌>
憑依空間NEO

コメント

  1. 匿名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    最近は、クラスメイトの女子高生を乗っ取った
    いじめられっ子が、その子の人生を奪って
    嘘のように明るくなって
    人生をエンジョイするー
    というような話も読んだー

    これは責任持って書いてもらいたいですねぇ笑笑

    それと骨董屋の商品上からドラえもん、デスノート、遊戯王、ハンターハンターが元ネタですね笑笑

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > 最近は、クラスメイトの女子高生を乗っ取った
    > いじめられっ子が、その子の人生を奪って
    > 嘘のように明るくなって
    > 人生をエンジョイするー
    > というような話も読んだー
    >
    > これは責任持って書いてもらいたいですねぇ笑笑
    >
    > それと骨董屋の商品上からドラえもん、デスノート、遊戯王、ハンターハンターが元ネタですね笑笑

    コメントありがとうございます~笑
    エンジョイするお話~!
    機会があれば~笑

    商品は…正解デス~!
    楽しそうなお店ですネ!

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