都心のホテルでパーティが行われていた。
そこに現れる武装集団ー…!
ミッションは
”占拠されたホテルを”憑依”で救うこと・・・”
※音調津様との合作デス!
こちらは私が書いた「人質視点」の物語になります!
音調津様のPixiv(→こちら)のほうで、「工作員視点」の物語が描かれていますー!
※今日の小説は”寄生生物ぴんく”は午前中に投稿済みデス!
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都心のホテルで建国記念のパーティーが催されている最中それは起きた。
そこに、パーティの様子を取材している
新人記者がいた。
川上 美晴(かわかみ みはる)
まだ20代中盤の彼女は
初々しい笑みを浮かべて、
パーティの様子を見つめていた
「すっごいなぁ…
こんなところ、わたしじゃ一生かかっても来れないよ」
自分とは場違いな会場。
「--私ってば、ラッキーなんじゃない?」
仕事であることも忘れて、美晴はにこにこと笑みを浮かべている。
思えば、昔からラッキーだった。
小学生時代には、給食のおかわりじゃんけんでいつも買っていたし、
中学時代には、キライな女子が、交通事故に遭って不登校になった。
高校時代には、えばっている男子をわら人形で呪ったら、体調を
崩して退学になった。
とにかく、ラッキーだった。
「私ってば、ラッキーガール♪」
そんな風に思っていた。
しかしー
会場の外から聞こえる乾いた音が何発か聞こえ少しずつ音が大きくなってくる。
「--?何の音?」
美晴が不思議そうに会場の入り口の方を見る。
そしてドアを蹴破り粗野な鼠色やカーキ色の戦闘服に身を包んだ男たちが
雪崩れ込むや否や天井に向かってAKを乱射した。
「このホテルは八島統一戦線が占拠したっっ!!」
「----?」
美晴は思わず拍手してしまった。
シーンとする会場。
「びっくり!サプライズイベントですね!」
美晴は、バカだったー。
銃声が響き渡り、近くに居た男性の足が撃ち抜かれた。
「----えっ!?」
「ぎゃあああああ!」
男性が苦しそうな声を上げる。
「あ…あははははははははは」
美晴は手を上げて、その場にしゃがみ込んだ。
ーーーー
「貴様ら全員、手を挙げて中央に集まれ!」
八島統一戦線の男が叫ぶ。
男の戦闘服だけ派手な装飾が施されており、
リーダー、あるいは副官か、
それなりの立場であることが分かる。
「---こ、これは記事になりますぞ~!」
美晴は密かに微笑みながら呟いた。
「--ビッグスクープ!
謎の武装集団現る~!なんちゃって~!
こんな瞬間に立ち会えるなんて、
やっぱりわたしはラッキー!」
「-----」
派手な装飾の男に、睨まれた美晴は、
「あ、あはははは」と言いながら
中央の方に移動していく。
「スマホや電子機器は全部こちらに投げてもらおうか」
八島統一戦線の男が言うと、
人質は全員、中央にスマホなどを放り投げた
「--おまえ」
美晴はドキッとする
「-2つ持ってるだろう?」
ばれたー
美晴はせっかくのスクープなのに~と
涙を流しながらスマホを放り投げた。
しかしー
”ふっふっふ!わたしはスマホ3つ持ちだよ~ん”
美晴はそう思いながら、
スマホでこっそりと音声の録音を始めた…
銃声が廊下の方から聞こえてくる。
先ほどから部屋に居た派手な装飾の男よりも
さらに派手な装飾の男が入ってきた。
恐らくは、リーダーだろう。
「--葛城(かつらぎ)、問題が起きた」
リーダーらしき男が、先ほどから部屋にいた
派手な装飾の男・葛城に話しかけた。
「--なんだ?」
「--見回りからの応答が途絶えた。
何か起きたのかもしれない。」
リーダーがそう言うと
副官の葛城は、言った。
「--わかった。こっちはこっちで警戒しておく」
そう言うと、リーダーらしき男は、部屋の外の方へと向かって行った。
「おい!お前らは、じっとしてろ!」
八島統一戦線の副官・葛城が叫ぶ。
「ーーもしかして」
美晴は、大人しくしながらも、スマホで録音を続けて、
さらにー
こう思った
”白馬の王子様”が助けに来てくれたのカモー
と。
「---了解した」
葛城が通信機の相手に返事をしている。
「--おい!」
葛城がパーティ会場に居た、数人の兵士を呼ぶと、
何かをひそひそと呟き、3人はそのまま外へと向かった。
「チッ…」
葛城が不機嫌そうに言う。
何か、彼らにとって、問題が起きているのだろう。
この部屋に残っているのは、あと3人。
副官の葛城と、兵士2人だ。
”ザザ…ザザ…
こんの小娘ェ!”
”バババババババ”
葛城の通信の音が聞こえてくる。
「--何がおきている?
女に俺たちがやられているのか?」
葛城が動揺した様子で言う。
「ぷっ…」
美晴は思わず笑ってしまう。l
こんな重武装の武装集団が女に制圧されている。
そんな光景を想像して、笑ってしまったのだ。
パァン…!
「---!!」
美晴の3台目のスマホが撃ち抜かれた。
「--次は、貴様の頭が飛ぶぞ」
葛城がそう言うと、
美晴は「は、、はひっ…」と、身体を震わしながら座り込んだ。
し…死にたくない…!
美晴はそう思った。
今までのラッキーは、こうやって死ぬからなの?
彼女はそんな風に思う。
こんなわけのわからないなんとか戦線になんか
殺されてたまるか!と
美晴は思う。
しかし、廊下の警備員たちは、始末したと
先ほど兵士の一人が言っていた。
と、いうことは…
”会場に3人…”
副官・葛城の元に、通信が入ってきた。
”謎の女”に脅されて、部下が、この会場にいる人数を喋ったようだ。
葛城は周囲を見渡す。
この部屋には、自分と兵士2人。
これで3人ー。
だが、さっき、リーダーは
外に出て行っている。
つまり、まだこちらには”4人”いるー
「---くく」
葛城は笑った。
女が何者かは知らないが、
この通信は、リーダーも聞いているハズ。
ならば、リーダーは身をひそめて、
その女が”残り3人”だと思って、
この会場に来るのを待っているだろう。
「--来るなら来い
このパーティ会場が貴様の墓場だ!」
葛城は笑った。
”助けてー
白馬の王子様”
美晴はそう思いながら
”一昨日、人のツイートをパクってバズったことを
お許しください神様”
と、神様に向かった謝罪の言葉を述べたー
その想いが通じたのかは分からないー
ガチャ!
ガー!
「!?」
副官の葛城が、入り口の方向を向く。
入り口から何か入ってきた。
兵士2人がそちらに向けて発砲する。
しかしー
扉から入ってきたのは、拳銃だった。
葛城と残り2人が唖然とする中、
扉が突然開いたー
美晴は
「白馬の王子様!」と叫ぶ。
黒のボレロを羽織り、レース模様が入ったベージュ、
下は正面に大きなリボンが特徴のネイビーブルーといったパーティードレスの女性、
等持院聖(とうじいんひじり)が
返り血を浴びた状態で、鋭い眼光で部屋に飛び込んできた。
そのドレスの女性は、
スコーピオンを数発ずつ撃ちこみ、二人を制圧したー
副官の葛城は物陰にいたため、聖の視界には入らなかった。
葛城はどうするべきか考えていると、声が聞こえてきた。
「おっと、鉄砲ごっこはそこまでだお嬢さん、銃を捨てな」
リーダーが女に銃を突き付けている。女は要求に従いスコーピオンはその場に落とす。
「たしかお前は等持院聖だったよなぁ……?
おてんば娘どころか清楚で華奢なお嬢様が随分いい度胸じゃねぇか」
「へっ、その清楚なお嬢様に制圧されかかってる無能がよく言うぜ、
もっとまともな訓練させろよ、立ち回りなんか酷すぎるぞ」
「へっ、銃がなくなって虚勢でも張ってるのか……?」
「違うな……俺は銃を持ってるんだよ!」
と聖は右手でAKの銃身を掴んで狙いを逸らす、
そして胸に挟んでおいたデリンジャーを左手で取り出し撃ち込んだ。
瞬間男は電源が切れたアンドロイドのように膝を着き倒れた。
「ふぅ……まったくこいつの胸に救われるとはな……」
「え…な…なに…」
美晴はあまりの展開に、驚きを隠せない。
ちょうどテーブルなどの障害物で、あまり良く見えなかったが、
聖という華奢なお嬢様があっという間に
八島統一戦線を制圧したのだった。
物陰に身をひそめていた葛城は思う。
”おい!リーダー!クソ雑魚じゃねぇか!”と。
リーダーがここまで弱いとは思わなかった。
まるで瞬殺。かませ犬だ。
「これは……えーと……あー……」
大暴れした令嬢が笑っている。
「お、オホホ……興が過ぎましたわね……」
と銃を捨てて会場の外へ去って行く。
「……こ…このクソアマァ!」
隠れていた副官の葛城が飛び出していこうとする。
「---うりゃああ!」
美晴は、近くのテーブルにあった食器を
葛城の頭に叩きつけた。
「がふっ!?」
葛城は驚いた表情を浮かべて、その場に倒れた。
「スマホの恨み~!」
美晴は、倒れた葛城に目もくれず、
悠々と歩き去るお嬢様を見て、微笑んだ。
「--あぁ、わたしの王子様!」
とー。
・・・・・・・・・・・・・・
後日ー
美晴は仕事を辞めて、
ある場所へと向かっていた。
ある豪邸のインターホンを押す。
「私…決めた!」
等持院。
そう書かれた豪邸に足を運んだ美晴は微笑む。
あの素早い身のこなし
可愛いのに鋭い眼光ー
颯爽と助けに来て、立ち去る姿
まさにー
白馬の王子様!
「--あの~!この屋敷で住み込みで働きたいんですけど~!」
美晴の声が響き渡るー
結局この事件は仲間割れによる自滅、
人質の前で起こった出来事は諜報機関の潜入していた
女性諜報員によるものとして表向きに処理された。
がー
聖のもとには、変な女性がやってきてしまうことになったー
等持院家に、百合の花が咲くのは時間の問題だったが
それはまた別の話である。
おわり
・・・・・・・・・・・
コメント
音調津様との合作でしたー!
実はだいぶ前に完成していたのですが
色々な事情で
公開までなんと1年近くかかってしまいました笑
(2019年2月に書きあげていました!笑)
今回、こうしてようやく日の目を浴びることができて
良かったデス!
良ければ別視点のお話のほうも
読んでみてくださいネ~!
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