<憑依>綺麗な手を愛でる男①~手~

女性の手に興奮する男がいた。

そんな男が、憑依能力を手にした。

するべきことは、
もう、言うまでもなかったー

--------------------—

彼はー
女性の手を見ると興奮するー。

吉良 新之助(きら しんのすけ)-。
会社勤めの、ごく普通のサラリーマンだ。

だが、それは、表向きの姿ー。

彼はー
女性の手が好きだったー

会社でも、同僚の手を見ては、
内心で興奮しているし、
通勤中に女子高生や女子大生の手を見ると
彼はゾクゾクしながら、内心で興奮しているー

しかしー
彼は、愚かではない。

道端で女性の手を握れば、
それはもう、痴漢だ。
会社で女性の手を舐めれば、
豚箱行きだ。

そこのところの分別はついている。
彼は、愚かではない。

心という名の
プライベートオアシスで、
何を想像しようが自由だ。
何人たりとも、
自分の心の中の考えまで
縛ることはできない。
そう、会社の上司であっても
総理大臣であってもだ。
心は、自由だー。

「----(いいなぁ)」
会社から帰る途中ー
手の綺麗な女子高生を見つめながら
新之助は笑みを浮かべたー

もしも、もしも自分が女子高生だったら
毎日のように、その綺麗な手を
愛でているだろうー

帰宅すると、
彼は女性のマネキンの手を握ると
すりすりすりすりとこすりはじめた。

「んはぁ~♡」
彼は恍惚の表情を浮かべるー

その表情は、とても幸せそうだ。

そしてー
彼は部屋に飾ってあるモナ・リザの絵を見つめると、
その手に視線を合わせて
「んふふふふふふ♡」と笑みを浮かべた。

美しいー
実に美しいー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

郵便受けに得体のしれない小包が入っていたー

「なんだ?俺は尼存ではなにも頼んでいないけどな?」

尼存とは、この世界の大手
ネットショップのことだ。

ダンボールを開ける新之助ー

その中には、謎の液体が入った小さなビン。

ますます、新之助の頭の上に「?」のマークが出てくる。

なんだこれは?
意味が、わからない。

”憑依薬”と書かれている用紙が
入っている。

説明書を読んでみる新之助。

”あなたは人間の身体を所有することができ、
 所有した人間の身体は、あなたのために
 あなたの幸せを演出します”

「---翻訳ちゃんとしろよ」
新之助はその説明書を放り投げた。

いかにも怪しい。
エーサイト翻訳にでもかけたのだろうか。

「--憑依薬…」
新之助は、怪しい液体の入った容器を
もう一度見つめる。

そして、説明書の
怪文書のような文章を思い出す。

「もしかして…
 これを飲んだら他人に憑依できるなんてこと…」

新之助はそこまで思いついて
”いやいやいやねぇよ”と呟いたー。

そんなこと、あるはずがない。

他人に、憑依できるなんて、あり得ないー。
そんなことは、非現実的だ。

それに、こんな得体のしれないクスリを飲んで
もしも死にでもしたらー
それこそ、馬鹿だ。

彼はそう思い、憑依薬をしまうと、
そのまま仕事に行く準備を始めたー

「------」

仕事に向かう彼を、人影が静かに見つめていたー

・・・・・・・・・・・

会社に行っても、
”憑依薬”のことが
頭から離れず、落ち着かないー。

もしも、他人に憑依することが
できるのであればー

同僚のきれいな手を見つめながら
彼は興奮するー

綺麗な手がー
自分のものになるかもしれないー。

仕事を終えても、彼は落ち着かなかった。
綺麗な手を愛でたいー
綺麗な手を自分のものにしたいー

翌日ー。
新之助は、
もう一度憑依薬を見つめる。

「く…くくくくくくくく…
 そうだ、人生はチャレンジだ」

新之助は呟く。

「------」
そして、憑依薬をしばらく見つめると
深呼吸をしてー
その容器をひと思いに飲み干した。

「うっ!」
彼は苦しそうに胸を押さえるー

今までに感じたことのない刺激ー
”これが、心臓発作なのか?”と
一瞬思ったのと同時に
新之助の意識は途切れた。

・・・

・・・・・。

ーー!?

新之助が気付くと、
彼は宙に浮いていたー

「--ゆ、幽霊?俺、死んだ!?」
新之助が呟くー

下にはー横たわっている自分の姿。

だがー

「--!?」
新之助はあることに気づくー

自分の身体は呼吸をしているー
つまり、死んではいないー

「俺は幽霊じゃない?
 じゃあ、これは?」
新之助はそう呟いて、すぐに思いついたー

「---!まさか、憑依薬!」
新之助は、満面の笑みを浮かべたー

幽体離脱をしたということはー
他人に憑依することができる!?

「ひゃっはー!」
新之助は思わず叫んだー

そして、幽体のまま家から飛び出すー

しばらく家の前で漂ってみるー。
近所のおばさんがいたので、
あえて周囲を飛び回ってみたが
特におばさんが反応する様子はないー

つまりー
完全に”他人からは見えていない”状態ということだー。

「やったぜ!」
そう呟くと、近くの通りに出るー

ちょうど今の時間は通勤通学の時間だー。

彼の好みの子がいるかもしれないー。

女子高生ー
OL-
女子大生ー

彼にとっての”獲物”が、
何も知らない顔で街を歩いているー

「へへへへへ…」
思わず笑みを浮かべてしまう。

そしてー

「--!」

とても手の綺麗な、女子大生らしき子が
歩いてきたー

顔も、かわいらしいー
大学でミスコンのようなものがあれば
選ばれてそうな感じの子だー

「へへへへ…きれいな手じゃねぇか」
女子大生の真横を浮遊する新之助。

だが、女子大生は反応しない。
やはり、新之助のことが、見えていないようだー。

綺麗な手をじーっと見つめる新之助。

「んん~いい手だ。
 この手が、俺のものになるのか…
 くくくくくく」

不気味に笑う新之助。

もしも、彼女に
新之助の姿が見えているのだとしたら
今頃、彼女はパニックになっているだろう。

しかし、彼女は反応しない。
新之助のことが見えていないから
反応しようがないのだ。

「-ーーお邪魔しますぅ」
新之助がニヤニヤしながら、
彼女に身体を重ねてみる。

するとー

「ひぅっ!?」
女子大生がビクンと震えたー

「あ…」
急速に身体の感覚が変わるー
幽体の感覚から、
生身の人間の感覚にー

「あ…え…えへへへへ…」
女子大生は驚いていた表情を歪めー
不気味な笑みを浮かべ始めた。

「くふ…ふふふふ…きひひひひひひひひひっ♡
 あっははははははは~」

スカートがふわふわすることも気にせずに
蟹股で走り始める女子大生。

そのまま、新之助のアパートに駆け込み、
部屋の中に飛び込んだ。

「よっしゃあ!」
可愛い声を張り上げてガッツポーズする女子大生。

鞄をあさるー

やはり、新之助の予想通り
女子大生のようで、学生証が出てきたー

真鍋 里緒菜(まなべ りおな)かー。

新之助はそう思いながら
里緒菜の手を見つめる。

「ああぁぁぁ…きれい…」
里緒菜は自分の手を見つめながら顔を赤らめたー

里緒菜は、はぁはぁ言いながら
自分の手のにおいをかぎ始める。

「んんんんっ♡」
知らない男の家に上がり込んで
自分の手のにおいを嬉しそうに
かいでいる里緒菜の姿はー
異様な光景だった。

「はぁ…♡ はぁ…♡」
右手を嗅いでは、
続いて左手を嗅ぐ。

何度も何度も繰り返し手のにおいを
嗅いでいく里緒菜。

やがて、その行為に飽きると、
自分の手を、うっとりとした表情で見つめて
それを撫で始めた。

「んふふふふ…
 わたしの手…
 きれいな手…」

ゾクゾクしながら里緒菜は
自分の手をいとおしそうに
撫でていくー。

指を1本1本じっくり見つめて、
綺麗な爪をニヤニヤしながら
眺め続けるー。

「---へへ…くふ…ふふふふ♡」
里緒菜は、思わず笑いだした。

身体中が興奮して火照っているー
綺麗な手を持つ女子大生が、
自分の手を見て興奮しているー

いや、興奮させているー

そう思うだけでさらにゾクゾクしたー

「-ふふふふ…」
人差し指を口の近くに持っていくとー
今度は、その指をしゃぶり始めたー

くちゅくちゅと音を立てながら
人差し指を口に入れたり、出したりを繰り返す。

「あぁぁあ…♡ おいしい…」

実際には、おいしい味なんて
していないのにも関わらず、里緒菜は
嬉しそうに自分の指をぺろぺろぺろぺろと
舐め続けているー。

指を出したりー
入れたりー

指は里緒菜の唾液まみれになり、
唾液が時々、床に落ちていくー

人差し指を散々しゃぶりまわすと、
今度は中指を咥えて
嬉しそうに舐め始めたー

独身男性の部屋の中で、
見ず知らずの女子大生が
自分の指をしゃぶって満面の笑みを
浮かべているー。

何も事情を知らない人が見たら
驚くだろうー。

中指を舐め終えて、
薬指をぺろぺろと舐め始める里緒菜ー

里緒菜のスマホが鳴るー。

「---あ…?なんだようっせぇな」
可愛い声でそう言いながら、
里緒菜は仕方がなくスマホを見つめる。

唾液まみれの指でスマホを掴んで
画面を見ると
友達らしき名前がそこには表示されていた。

「なに?」
里緒菜という子が普段どんな風に
喋っているのかは分からない。

電話を無視しても良かったのだが、
なんとなく”女子大生の手でスマホを握りしめて
電話に出る自分”を経験してみたかった。

”里緒菜?
 どうしたの?大学にも来ないで?
 何かあったの?”

里緒菜が大学に来ないことを心配して
友達が電話をかけてきたようだ。

「---……」

里緒菜はどう返事をしようか迷ったー

だが、今、自分は里緒菜だ。
ここで変な返事をしたところで、
新之助が憑依しているなんてこと、
誰も気づかないだろうー

恥ずかしい思いをするのはー
里緒菜だ。
自分には関係ない。

「--自分の手を見てたら興奮しちゃって♡」
甘い声で返事をする里緒菜。

”へ…?”

電話の相手の友達が困惑するような声を出した。

まぁ、当然と言えば当然の反応だろう。

「--んふふふふ…わたしの手、すっごく綺麗だし
 エッチなんだもん!」

里緒菜は、いつもとは違う口調で言う。

”あ、、、あの…里緒菜だよね?”

「-ふふふ…そうだよ~?里緒菜だよ~!
 わたしねー、実は手フェチなの!
 自分の手を見て興奮しちゃう女なの!」

”ふ…ふ~ん”

友達は明らかに動揺している。

「そうだ!今度、そっちの手もしゃぶらせてよ!」

相手の名前を把握していない憑依された里緒菜は
そう言い放った。

”---え…あ、、、も、もう切るね!”

電話が切れたー

「あっはははは♡さいこう!」
里緒菜はそう言うと、スマホを乱暴に放り投げた。

そしてー
再び自分の手を見つめると
今度はぺろぺろと全体を舐め始めたー

②へ続く

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コメント

過去作品の
「タイツ狂い」ではタイツ大好きな男性の憑依
「髪~KAMI~」では髪が大好きな男性の憑依を書いたので
今度は手!ということで
この作品を書いてみました~!

続きは明日デス!

コメント

  1. 匂いフェチくん より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    女の手の匂いって最高です[絵文字:v-10]

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > 女の手の匂いって最高です[絵文字:v-10]

    コメントありがとうございます~!
    お楽しみいただけて何よりデス

  3. 123 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
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