パパと結婚したいー
そんな想いから
パパと入れ替わった娘ー
けれどー…?
———————
”もう一度パパに会いたい”
父・兼五郎と入れ替わり、
兼五郎になった希恵は、
そう思い始めていたー
あれから年月が流れて、
希恵になった兼五郎は、希恵として
高校を卒業したー
しかも、高校入学のころから
父娘でエッチしていたことによって、
娘の希恵は妊娠してしまうー
もちろん、兼五郎の子供を、だー。
普通に生まれる保証はないー
色々な問題がそこにはあるー。
法律上も、生まれてくる子供もー…
それでも、希恵(兼五郎)は
”パパの子供を産む”と叫んでいるー。
子供を産まないという選択肢は、
今の希恵(兼五郎)にはないようだー
パパが大好きだった希恵にとっては
理想の展開なのかもしれないー
自分は、パパと入れ替わり、
大好きなパパそのものになることができたー
パパの記憶もすべてを、手に入れたー。
そして、希恵になったパパは、
希恵として、自分のことを
好きだ!好きだ!と言ってくれているー。
これこそが、
”大きくなったらパパと結婚したい”という
理想を抱いていた希恵のー
幸せなのかもしれないー
でもー
違う。
「パパが、いないー」
兼五郎(希恵)は、一人悩んでいたー
最近、その思いが特に強くなっているー
パパの身体は、ここにあるー。
今は、自分のものだ。
けれど”パパがいない”
入れ替わったとき、
希恵の身体になった父親の兼五郎は、
希恵の記憶が流れ込んでくる際に
兼五郎としての自我を失ってしまい
希恵の記憶に支配されてしまったー
中身は兼五郎でも、
兼五郎としての人格も、記憶も失っている。
身体も、希恵だー。
それは、もう、パパであって、パパでないようなものー
今の状況はー
希恵がふたりいるようなものだと、
兼五郎(希恵)はそう思い始めていたー
「もう一度…パパに会いたい…」
自分が父親に身体になっても
父親の記憶を手に入れてもー
本当のパパがいなくなってしまったんじゃ意味がないー
最近、その思いが、兼五郎(希恵)の中で
強くなっていたー。
そんな兼五郎(希恵)は、
希恵(兼五郎)が出かけている間に、
あの時使った”おまじないの本”を見つめていたー」
何かー、
何か方法はないだろうか?
とー。
そしてー
見つけた
”元通りのおまじない”
「-ーーこれなら…」
兼五郎(希恵)は、本を見つめながら笑みを浮かべるー。
”おまじないの効果を消し、
元通りにする”という力を持つ
おまじないがそこに載っていたのだ。
これを使えばー
元通りになれるかもしれない。
大好きなパパ・兼五郎の身体のままで
いたいという気持ちはあるけれど、
もう一度パパに会うためには
これをやるしかないー。
希恵の身体になって、
記憶も人格も完全に希恵になってしまった
父・兼五郎を元通りに戻せそうな
おまじないは、これしかない。
”パパ、怒るかな…”
ふと、そんな風に思ったー
娘である自分が身体を勝手に入れ替えて
その上、”元・自分の身体”とエッチして
妊娠までさせてしまった。
パパはきっと怒るだろう。
兼五郎(希恵)はほほ笑むー
”こら!危ないぞ!”
パパに怒られたことを思い出し、
懐かしく思うー。
「---パパ」
兼五郎(希恵)は決意するー
”元通りのおまじない”を使うことをー。
そして、もう一度”大好きなパパ”に
再会することをー。
「--ただいま~!」
希恵(兼五郎)が帰宅する。
今のパパには、パパであったころの記憶がない、
自我もないー。
希恵の身体になって、希恵の記憶に支配されて
完全に希恵そのものになってしまっているー。
「---希恵…」
兼五郎(希恵)は、希恵(兼五郎)のほうを見つめる。
この”おまじない”を使うことによって
今、この幸せが壊れてしまうかもしれないー
でもー。
それでも、パパにもう一度会いたい。
このまま、
自分が兼五郎として、
元自分を溺愛して、
子供も産んでもらってー
そんな生活も、とっても幸せだし、
このまま続けたいー
でもー
それ以上にーー
「わたしは…
わたしはパパにもう一度会いたい!」
兼五郎(希恵)はそう口にした。
「…パパ?」
希恵(兼五郎)がふしぎそうに兼五郎(希恵)のほうを見つめる。
「----
決意したー。
兼五郎(希恵)が、おまじないを唱え始めるー
パパー
パパ
パパ
パパー!
頭の中がパパでいっぱいになったー
兼五郎の身体になって、
兼五郎の記憶が流れてきて、
大人的な思考もできるようになった希恵。
あれから約10年、
兼五郎として過ごしてきた希恵。
それでもやっぱりー
希恵はパパが大好きだったー
パパとして、元自分である娘に接するのもいいー
でも、やっぱりー
自分が希恵として、
パパに愛してもらいたいー
「-----え」
おまじないを唱え終えると、
希恵(兼五郎)が、目を震わせていたー
「---え」
兼五郎(希恵)も驚くー
ふたりはー
”もとに戻っていなかった”
希恵は、父である兼五郎の身体のまま。
兼五郎は、娘である希恵の身体のままー。
「--どうして?」
兼五郎(希恵)が唖然として
おまじないの本を開くー。
確かに”元通りのおまじない”と書かれている。
けれど、元に戻れていないー
ーーー!!!
兼五郎(希恵)は思うー
10年前、使ったおまじないは、
本来”両想いのおまじない”と呼ばれるもの。
それを、当時小学生だった希恵は、
言い間違えて、結果的に
身体が入れ替わってしまったのだー
つまり、
失敗ー
イレギュラーなおまじないになってしまったー
だから…?
正規のおまじないじゃないおまじないで
入れ替わったからー
”元通りのおまじない”では
元に戻れないー?
「--う…あ…う、、、う、、うわあああああああああああ!」
背後にいた希恵(兼五郎)が叫んだ。
「--ぱ、、パパ!?」
兼五郎(希恵)が振り返る。
「---な、、な、、、な、、、
え…お、、俺…?な、、、なんてことを…!」
希恵(兼五郎)が叫ぶー
可愛らしい顔を恐怖に歪めている。
「--き、希恵?」
兼五郎(希恵)が声をかける。
”パパ”と呼ぶべきか
”希恵”と呼ぶべきか。
「--おれは、、俺は希恵じゃない!
な、なんだこれは!?」
希恵(兼五郎)が叫ぶー
身体は戻らなかったー
けれど、
希恵の身体になっていた
兼五郎の記憶が戻ったー
「な、、、なんてことを…
なんてことを…!」
父・兼五郎としての記憶を取り戻した
希恵(兼五郎)が頭を抱えるー
あまりにも恐ろしい現実を知ってしまったからだー
何も知らず
”希恵”として過ごした10年間の記憶を
残したままー
”兼五郎”としての記憶と自我を取り戻してしまったー
身体を娘と入れ替えられてしまってー
その時に父としての自我と記憶を失いー
パパ大好き!と過ごしてきた10年間ー
妻とは離婚しー
その妻はすでに2年前に事故で死んでいてー
しかもー、
中身が希恵の父親とエッチをして、
今、この身体は妊娠しているー
「うっ…うわあああああああああああああ!」
希恵(兼五郎)は、あまりのショックに
悲鳴を上げたー
この世のものとは思えないほどの
恐ろしい形相で頭を抱えて叫ぶ。
「パ、、、パパ!」
兼五郎(希恵)は叫ぶー
希恵(兼五郎)は、かわいらしい顔を
恐ろしいほどまでに歪めながら
叫んでいるー
錯乱状態に陥っているー
「パパ!ごめんなさい!パパ!」
兼五郎(希恵)が、希恵(兼五郎)を抱きしめて叫ぶー
しかしー
希恵(兼五郎)のパニックは収まらなかったー
泣き叫びながら、兼五郎(希恵)を突き飛ばす
希恵(兼五郎)-
”もう一度パパに会いたい”
その思いから、
”元通りのおまじない”を使ったー
でもー
「--俺は、、俺は、、うあああああああああ!」
希恵(兼五郎)は、泣き叫びながら、壁に
自分で頭を打ち付けているー
「パパ…」
兼五郎(希恵)は、唖然として、その光景を見つめるー
あまりのショックに錯乱してしまった
希恵(兼五郎)を見て、
兼五郎(希恵)は
”大好きなパパが壊れてしまった”と感じたー
「--わたしが…わたしがパパを…」
兼五郎の姿のまま、涙を流す希恵。
入れ替わるおまじないなんて
この古文書のようなものを見ても
載っていないー。
あの時、自分がどのようにおまじないを
間違えてしまったのかも、もう、覚えていないー。
もうーーー
お互いが、元の身体に戻ることはできないー
そして、
仮にもとに戻ったとしても、
もう、この傷跡が癒えることはない。
「--俺は…俺は…」
希恵の姿で泣きじゃくる兼五郎。
それからー
数日が経過した。
希恵(兼五郎)は、
ショックで寝込み、廃人のような状態に
なってしまった。
兼五郎(希恵)が部屋に入ろうとしても
「来るな!」と声を荒げてモノを投げてくるー
”パパに嫌われてしまったー”
”パパを苦しめてしまったー”
泣きながら「ごめんなさい!ごめんなさい!」と
兼五郎(希恵)は叫ぶー
それでも、希恵になった兼五郎は
心を閉ざし、ふさぎ込んでしまったー。
妊娠していて、精神的にも
不安定になりつつあるー。
「------」
兼五郎(希恵)は、頭を抱えた。
どうすればー
どうすればいいのか。
大好きなパパに、
元気な姿でいてもらいたいー
大好きなパパにー。
このままでは、
ふたりとも、苦しむだけだー
「---…」
おまじないの本を見つめる兼五郎(希恵)-
そして、見つけたー
「このおまじないなら…」
やってみようー
そう思った。
「パパ…」
兼五郎(希恵)が希恵(兼五郎)の部屋に入る。
「来るな!」
声を荒げて、ぼさぼさの髪を乱しながら
叫ぶ希恵(兼五郎)。
そんな希恵(兼五郎)に近づきー
兼五郎(希恵)は抱き着いた。
「パパー」
抱き着かれた希恵(兼五郎)は「はなせ!」と
必死にもがいているー
「パパ…大好き…」
そう呟いて、
おまじないを使ったー
希恵(兼五郎)が、次第に落ち着いた表情になっていくー
そしてーーー
「--あれ…パパ…?」
希恵(兼五郎)がそう呟いたー
「わたし…?」
希恵(兼五郎)は、そう呟いて周囲を見渡すと
「あれ?何悩んでたんだっけ?」と
笑いながら言った。
希恵(兼五郎)は、
おまじないによって
兼五郎としての自我と記憶を再びなくしてー
完全に希恵になったー。
兼五郎(希恵)は、そんな姿を見つめながら
”ごめんね、パパ…”と心の中で呟いた。
こうでもしないと、パパはずっと
壊れたままだー。
こうするしかなかったー
そしてー
「---わたしが、パパになるねー」
希恵(兼五郎)に使ったのと同じおまじないを、
今度は兼五郎(希恵)は、自分に使うー
記憶が、薄れていくー
大好きなパパが、いなくなってしまったー
もう、元通りのパパには会えないー
だったらー
わたしが、パパになるー
「----あれ」
兼五郎(希恵)が呟くー
「--俺は…」
兼五郎(希恵)は
自分が希恵だった記憶をなくし、
希恵の自我もなくしたー。
「---パパ~!」
完全に希恵になった兼五郎が、嬉しそうに抱き着いてくる。
「希恵!ははは、どうしたんだ~?そんなに甘えて~」
完全に兼五郎になった希恵が、希恵を抱きしめるー
幸せそうに微笑む2人ー
その傍らでは、
床に放り投げられたおまじないの本が、
静かに横たわっていたー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
入れ替わりのリクエストを題材にした作品でしたー!
リクエストの原文は、
”
12/26
父親のことを好きな幼児がいました。大人になったらパパと
結婚するのが夢でした。しかし、友だちからパパとは結婚できないんだよ
と聞き、それ以来心のそこに押し殺してました。数年後、学校の図書館
で偶然好きな人と両想いになるおまじないの本を見つました。
そのおまじない通りにすると父親と入れ替わってしまいました。
親子で行為をするとお互いの記憶が交換され、
女の子になった元父親は女の子の記憶に支配され父親の時の記憶がなくなります。
父親が大好きな女の子になりました。
元女の子の方は女の子の時の記憶も父親の記憶もあります。
父親になった女の子は母親と離婚し女の子になった父親から
パパについて行くといわれ母親も仕方なく認めました。それから、
2人で法律上は結婚できないが夫婦として生活し
10年後元父親の女の子は妊娠します。そこで、
元女の子の父親が、元父親の記憶をおまじないでもどします
。記憶をもどした元父親は驚愕しぼうぜんとする。元父親にとってはダークな話となります。”
と、いうものでした。
変えてある部分もありますが
こんな感じになりました!
お読み下さりありがとうございました~!
コメント
SECRET: 1
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
偶然にも他サイトで、同じような話が新しくUPされてました。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=12237459
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=12237459#1
作者が違うまたは、リクエストだと話の持って行き方が全然違い面白かったです。
SECRET: 1
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
偶然にも他サイトでよく似た新作品がありました。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=12237459
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=12237459#1
リクエストや作者が違うと話が全く違い面白かったです。
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
ありがとうございます~!
題材が同じでも、
書く人によってガラリと内容が変わったりするので
楽しいですよネ!
誤字です。
「この世のものと思えないほどの恐ろしい形相で頭を抱えて避けぶ」
正しくは「頭を抱えて叫ぶ」ですね。
こういう話はすごく好きです。この話とは性別が逆で、母親と息子バージョンみたいなのも見てみたい気がしますね。
この話みたいなファザコンの娘の話は他にもありましたが、マザコンが暴走する話はなかった気がするので。
コメントありがとうございます~!
楽しんでいただけて何よりデス~!
逆バージョンも確かに面白そうですネ…!
誤字の修正も行っておきました☆!