<入れ替わり>AV★ぱにっく①~本当に入れ替わった!?~

とあるAVの撮影現場…。

男女の入れ替わりを題材としたお話の
撮影中に事件は起きた…

役者が本当に、入れ替わってしまって…?

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「よろしくお願いします~」
AV男優の黒城 龍(くろじょう りゅう)が、現場に
やってきた。
職業柄、彼は本名を名乗っていない。

「あ、よろしくお願いします」
人気のAV女優・神沢 舞桜(かみざわ まお)が、
挨拶をする。
彼女も、本名を名乗っていないー

「--はい、よろしく」
今日撮影が行われるAVの監督
井頭監督が、二人に向かって笑みを向ける。

”ゾクゾク”というAVレーベルを展開している
業界では一目置かれている監督だ。

今日撮影が行われるのは、
真面目な姉と、不良な弟が入れ替わってしまい、
弟が姉の身体で好き放題する、という
シチュエーションのAV
”俺がお姉ちゃんよ”の撮影が行われる。

リハーサルが行われて、
そして本番の撮影目前となった。

出されたお茶を飲みながら、
龍は、派手な格好で本番を待つ。
”ワルな弟”という役柄に合わせた格好だ。

一方の舞桜も、お茶を飲みながら本番を待つ。
とても穏やかそうな
白のブラウスと黒のロングスカートという
清楚な格好だったー

舞桜は、とても清楚な雰囲気を持っていて、
乗っ取られた際のギャップや、
豹変した際のギャップがすごいことから、
TSFと呼ばれるジャンルのAVに
引っ張りだこになっていたー。

いよいよ本番が始まるー

「---こら!諭吉!
 悪さばっかりしてないで、そろそろ真面目にやりなさい!」

台本通り、物語が進行していく。

「うるせぇな~!俺の人生、俺がどう生きようと勝手だろ!」

反抗的な態度をとる弟・諭吉役の龍。

”弟”という役どころではあるものの
龍のほうが舞桜より10歳も年上だ。

”どう見てもおっさん”が
同級生だったり、弟だったりすることは
この業界ではそれほど珍しいことではないー。

そういうところに突っ込む人はあまりいないし、
AVに求められるのは、そこではないー
井頭監督は、ポイントをしっかりと理解していた。

大事なのは”ゾクゾク”であると。

「--こら!いい加減にしなさい!」
姉・穴子(あなこ)役の舞桜が叫ぶ。

「うるせ~!アナゴみたいな名前しやがって!」
脚本通りに進むー

このあとー
階段から転がり落ちるシーンに入ってー
入れ替わるー。

セットの階段の近くで口論を始めるふたりー
脚本通り。
このシーンは口論の場面が終わったら終了してー
次は階段から転がり落ちたあとのシーンだ。

階段から転がる場面は、
実際にAV男優とAV女優が転がるのではなく、
階段で、カメラをシェイクさせて
一人称視点で撮影するー

実際に舞桜や龍が転がる必要はないし、
スタントマンは呼んでいないー

「うるさい!アナゴ!」
「うるさい!この旧1万円札!」

二人の口論シーン。

そしてー
「なんだとこのやろぉ!」
諭吉役の龍が、穴子役の舞桜につかみかかるー

もちろん、
二人は本当に喧嘩しているわけではない。
これも、脚本通りに進んでいるー。

だがー

「--あっ!?」

舞桜がバランスを崩したー

「え!?」

舞桜を掴んでいた龍もバランスを崩すー

二人はー
本当にそのまま階段から転落してしまったー。

「---!!」
井頭監督が驚く。

階段と言ってもセットの階段だし、
念のため下にはマットが敷かれていたから
大事になることはないだろう、と思いつつも
井頭監督は階段から転がり落ちた二人のほうに
近づいていく。

「だいじょうぶか?」
井頭監督がそう言うと、
咲に舞桜が目を覚ました。

「--あ、、、はい、問題ないです」
舞桜はそう言うと、表情を歪めた。

「--どうかした?」
井頭監督が言うと、
舞桜は「あ、いえ…」と、不安そうな表情を浮かべたー

そして、龍も目を覚ます。

「--う…」
龍は周囲をきょろきょろすると、
舞桜の方を見て、目を見開いたー

「きゃああああああああああああ!」
龍は大声で悲鳴をあげた。

「わ、、わ、、わた、、わたしが目の前に…!」
龍が言うと、
舞桜は、「お、、落ち着け!」と叫んだ。

頭に?が浮かんでいる井頭監督。

そんな監督に向かって、舞桜は言った。

「監督…どうやら俺たち、本当に入れ替わってしまったようです」

とー。

舞桜(龍)と、龍(舞桜)は、階段から
転落した際に、”本当に”入れ替わってしまったのだったー

「-----」
呆然としている井頭監督。

やがてー
井頭監督は笑い出したー

「---あっははははははは!
 面白いな君たち…!」
井頭監督は涙が出るほど笑うと、
舞桜と龍の方を見た。

「なるほどなるほど。
 さすがに、TSF界には欠かせないAV男優とAV女優だ」
嬉しそうに井頭監督は言う。

「え…」
龍(舞桜)が間抜けな声を出す。

「--これぞ、リアリティの追求…すばらしい。
 私も以前、リアリティを求めて蜘蛛を食べたり
 したものだが、
 まさか、本当に入れ替わった”つもり”になるとはー
 すばらしいー」

井頭監督の言葉に
龍(舞桜)が言う。

「あ、、あの、、わたしたち…本当に」
弱弱しく龍(舞桜)が言うと、
舞桜(龍)も続ける。

「監督!俺たち本当に…!」
AV女優の舞桜が男言葉で言うのを聞いて
井頭監督はほほ笑んだ。

「ケガはないかな?
 じゃあさっそく、続きのシーンの撮影をしようか」

井頭監督は
”二人が本当に入れ替わってしまった”とは
夢にも思わず、そのまま撮影を続けようと宣言したー

「---ど、どうしよう」
龍(舞桜)が言う。

「--あ、相手のセリフ、覚えてる?」
舞桜(龍)が言うと、

「と、とりあえずは…」と
龍(舞桜)が言った。

このまま撮影を続けながら考えようー
監督は完全に俺たちがふざけてると思ってるしー

と、舞桜(龍)が呟くと
龍(舞桜)もそれに応じた。

撮影が再び始まるー

「ああーー…あぁああああ」
「俺たち入れ替わってるぅぅぅぅぅ!?」
脚本通りに撮影は進んでいくー

リアルだーーー
井頭監督は目を輝かせながらそう思っていたー

撮影は順調に進みー

次は姉・穴子の身体になった弟・諭吉が、
男友達を誘惑してエッチをするというシーンだ。

「-エッチなシーン…大丈夫ですか?」
龍(舞桜)が言うと、
舞桜(龍)は苦笑いする。

「--俺もさすがに女性の身体でエッチ
 したことはないからなぁ…
 この業界にいて、いろいろ見てきたけど…
 実際に女体で経験したことはないし」

「--あの…」
龍(舞桜)が提案するー

「もう一度、あの階段から落っこちてみませんか?」

とー

その言葉に舞桜(龍)は頷いた。

「確かにー
 入れ替わりモノって、最後同じことをして
 またもとに戻ることも多いからな…
 やってみるか」

舞桜(龍)と龍(舞桜)は、
休憩時間に先ほどのスタジオに戻ってー
そして、階段のセットのところに行くと、
二人で、階段から転がりおちたー

だがー

「あれ…」

「おっ!?」

舞桜も龍も入れ替わったままだった。

「お!二人とも」
井頭監督がそこにやってきたー

「休憩時間まで、入れ替わりシチュの練習か?
 熱心だねぇ」

笑う監督。

「あ、いえ、俺たち本当に…」
舞桜(龍)が言う。

だがー
井頭監督は完全に
”二人は演技にのめりこんでいる”と
思っていて、聞く耳を持っていないー

「--いやいや、素晴らしいよ
 ほかのAV男優や女優にも
 きみたちのことを見習ってほしいよ」

そう言うと、井頭監督は立ち去ってしまったー

「ど、どうします?」
龍(舞桜)が言う。

お互い、これまでに”入れ替わる”演技は
したことがあるが
実際に入れ替わりを経験するのは
当然、これが初めてだったー

「と、、とりあえず、元に戻る方法を考えながら
 今は撮影を続けたほうがよさそうだな…」
舞桜(龍)が言うー。

龍(舞桜)は仕方がなくうなずくー。

確かに、変なことをしてしまえば、
元に戻った後の仕事に影響が出るー

ここは、元に戻れる方法を探しながら
普通に撮影を続けるしかない。

顔を赤くしながらもじもじしている龍(舞桜)。

舞桜(龍)は、そんな龍(舞桜)に気づいて
「ど、どうかした?」と尋ねる

龍(舞桜)は、
顔を赤らめながら、恥じらう乙女のように言うー。

「わ、、わたし、今まで散々入れ替わる演技とか
 憑依される演技とかしてきましたけど、
 ほ、本当にこうなっちゃうなんて、なんだか
 ドキドキして…」

龍(舞桜)はそう呟きながら
恥ずかしそうにしている。

「ま、、まぁ、ほら、すぐ戻れるからさ、きっと。
 とにかく頑張ろう」

舞桜(龍)がそう声をかける。
そろそろ次のシーンのための準備を
しなくてはならないー

二人は別れて、
それぞれ個別のシーン撮影のための準備を始めるのだったー

・・・・・・・・・・・・・・

舞桜(龍)が次のシーンの撮影を始めていたー

姉・穴子の身体になった弟・諭吉が
穴子の男友達を誘惑してエッチをするというシーンだ。

悪でもある弟と入れ替わってしまった設定の姉・穴子は
色っぽい服装を着る設定になっているー

「---…(や、、やべぇ…)」
舞桜(龍)は顔を赤らめたー

AV男優である龍は、今までにエッチな場面も
エッチな格好をした女優のことも
たくさん見てきているし、
そういう場面もたくさん演じてきた。

だがー
まさか、本当に自分が女になって、
こんな格好をすることになるとは。

男の服装ではあまり感じることのできない
なんとも言えない落ち着かない感じを
味わいながらそわそわする舞桜(龍)。

ドキドキが止まらないー
興奮してきたー。

しかもー
このあとは、舞桜演じる穴子が男友達を
誘惑するシーンだ。

今、自分が舞桜の身体で
誘惑するようなセリフや行動を演じたらー
興奮して頭がおかしくなってしまいそうだー

「----舞桜ちゃん、大丈夫?」
監督の井頭監督が言う。

「顔、真っ赤だけど?」
井頭監督は、男友達役のAV男優・天野(あまの)が
不思議そうに見つめている。

「--え、あ、、こ、これは、、え、、ぇっと、
 ちょっと、この先のシーンを想像したら
 ドキドキして…」
舞桜(龍)は慌てて叫ぶ。

その慌てように
井頭監督は笑った。

「リアリティがあって、いいね」
と、嬉しそうに言う。

そして、撮影が始まった。

「ねぇ…腹巻くん…
 わたしと…遊ばない?」
甘い声を出す舞桜(龍)。
腹巻くんとは、男友達役の役名だ。

さすがに、演技者なだけはあるー。
入れ替わって舞桜の身体になってしまっても、
演技をしっかりとこなしていく龍ー。

興奮して濡れ始めているのが分かったが
なんとか意識しないようにして演技を進めていく。

「いい…非常にいいぞ」
井頭監督が笑みを浮かべるー。

今日の舞桜は、
いつも以上に演技力に磨きがかかっているー

そう、
まるで”本当に入れ替わってしまったかのようなー”

そんな、感じだ。

井頭監督は
”あぁぁ…エロエロなシチュエーションだ
 俺のアンテナビンビンだぜ”

と、心の中で叫んだー。

シーンの撮影が終わる。

すっかり興奮してしまった舞桜(龍)は、
へとへとになって控室に戻るのだったー。

次は、龍(舞桜)のシーン。
龍(舞桜)が入れ違いで撮影に向かう。

「---ど、どうでした?」
龍(舞桜)が言うと
舞桜(龍)は「や、、やばいわ」と答えたー

リアルの入れ替わりがここまで
ドキドキするものだったなんて…と
苦笑いする舞桜(龍)

二人の苦難は、まだまだ始まったばかりだった。

②へ続く

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コメント

入れ替わりモノの撮影中に
本当に入れ替わってしまった!!というお話ですネ~

AVの撮影現場がどうなっているのかは
私には分からないので、
本当の撮影現場とは全く違う部分も
たくさんあると思いますが
実際のものとは違う”架空の現場”ということで、
お楽しみくださいネ…!

お読み下さりありがとうございました!

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