<他者変身>見えない侵略者②~気付いて!~

”周囲が、今いる麻奈美は偽物である”と
気付いてくれなければ、
本物は処分されるー

リミットは1週間ー

麻奈美に変身した偽物に、
家族は気づくことができるのかー?

---------------—-

2日目ー。

麻奈美は、焦っていた。

自分が偽物とすり替わっていることに、
家族は気づかない。
母の良枝も、父の大輔も、弟の圭吾も、祖母の富美子もだ。

いやー
それだけじゃないー

正方形の部屋に置かれたテレビを
見ながら麻奈美は「お願い…!気付いて!」と呟く。

いつもハンカチを手放さない親友の笹子と、
一緒に歩いている偽物の麻奈美。

笹子は、いつものように他愛のない話を
相手が偽物の麻奈美とも知らずに、しているー。

学校に登校した偽物の麻奈美は、
”いつも通り”振る舞っているー
記憶までも、完全に読みとられているー

”普段と何も変わらない行動”

これじゃ、
周囲が偽物に気付くはずがないー。

麻奈美自身は思うー。
もしもー
もしも自分が逆の立場だったらー

仮に、親友の笹子が偽物と
入れ替わっていたとしても、
普段と同じ行動をされていれば、
気付くはずがないのだ。

「--笹子…」
それでも、麻奈美は祈らずには
いられなかったー。

親友の笹子なら、わずかな違いにも
気付いてくれるかもしれない。

”容姿”と”記憶”
この2つがカンペキだったとしても、
どこかでボロが出るはずなのだー。

「---ふふふふ…♡」
体育の授業前、
偽物の麻奈美は、顔を赤らめながら
笑みを浮かべていたー。

この宇宙人に、性別の概念が
あるかは分からないが、
とにかく顔を赤らめていた。

着替えを見て興奮しているかのようだ。

「えっへへへ…じゅる…♡」
偽物の麻奈美は、ニヤニヤしながら
涎をこぼしてしまう。

「ま、麻奈美?だいじょうぶ?」
友達の笹子がそれに気付いて
偽物の麻奈美の方を見るー。

偽物の麻奈美は
「みんなの着替え見てたら…くふふ…」と
笑みを浮かべた。

”気付いて!”
その映像を離れた場所から見ながら、
本物の麻奈美は祈った。

”わたし、クラスメイトの着替えに興奮したりしないから!”と
麻奈美が叫ぶー。

けれどー
テレビから伝わってくる映像と言う名の現実は
残酷だったー

「--麻奈美ってば、
 もしかして百合に興味があるの~?」
笹子が笑いながら言うー。

そういえばー
笹子は、百合系ジャンルが大好きだった。

”ちがーう!”
本物の麻奈美は
テレビに映し出された偽物の麻奈美と
親友・笹子の会話を見ながら思わず
そう叫んだ。

「---笹子…」

笹子は明るい性格でずばずばモノを言うけれど、
案外、天然なことを忘れていたー。
これじゃ、気付いてもらえそうにないー。

やはりー
家族の誰かが気付いてくれるのが一番ー。

「--は~…」
偽物の麻奈美が帰宅する。

じゅる…
額のあたりが一瞬、ドロリとしたー。
偽物の麻奈美は慌ててタオルを鞄から
取り出すと、その部分を拭くー。

暑さで、”変身にゆがみ”が生じたー。

偽物の麻奈美は
「あぶないあぶない」と呟くと、
家の中に入って行った。

帰宅した偽物の麻奈美は
部屋で自分の服を漁ると、
生足を露出したショートパンツ姿に着替えた。

「ふ~…少しは涼しくなったかな~」

麻奈美に変身している”宇宙人”は
暑さに比較的弱い―。
慣れれば、ある程度は平気だが、
宇宙人の出身地とは、地球の環境が
異なっていて、
少し暑いのだ。

生足を出した状態で
ぐったりしている偽物の麻奈美ー。

”ちょっと、そんな格好しないでよ!”
映像を通して偽物の様子を見ている
本物の麻奈美はそう叫んだー

この服は、
親戚のおじさんが、
何も考えずに買ってきてくれたものだ。

”おしゃれしたい年頃だろ~?”なんて
言ってたが
ちょっと麻奈美には派手…というか
大胆すぎて着ていない服だった。

今、思うと、もしかしたら
親戚のおじさんに下心が
あったのかもしれないけれどー。

その親戚のおじさんは、
半年前に、”栄養失調”で亡くなっているー。
おじさんの妹が、栄養失調で亡くなっている
おじさんを見つけたのだー

「わっ!?姉さん!?」
弟の圭吾が部屋に入ってきた。

姉の麻奈美が、大胆に生足を晒しているのを見て
圭吾はドキッとしてしまった

「---ふふ、そんなに驚かなくたっていいじゃない」
偽の麻奈美が言うと、
圭吾は「あ、うん、いや、そんな格好してるの珍しいから」と
圭吾が顔を赤らめながら言う。

「姉さんにも色気ってもんがあったんだなぁ~」
圭吾が苦笑いしながら言う。

姉の麻奈美は”可愛い”部類に入る容姿だー。

だがー
弟としていつも一緒に暮らしていると
なかなかそういう風に思うことはないー

けど、
今日は唐突な生足にドキッとしてしまった。

「ふふ…それで、何の用?」
偽の麻奈美が言うと、
圭吾は「あ、ほら、先週借りてたやつ、返すよ」
圭吾が、本を偽の麻奈美に手渡した。

「あ~、ありがと!」
偽の麻奈美は思い出したかのようにして言う。

記憶を探り出すことは、容易なことだ。

「---ところでさ」
偽の麻奈美が笑みを浮かべた。

「え?」
圭吾が振り返ると、
偽の麻奈美は圭吾に近づいて、
ある部分を触った。

「わ!?!?ね、姉さん!?」
圭吾が驚くー。

生足の姉を見て
興奮してしまった圭吾ののアソコが
大きくなってしまっていた。

「--大きくなっちゃって…クス…♡」
甘い声を出す偽の麻奈美

「ね、、姉さん…やめて…」
ドキドキしながら圭吾が言う。

偽の麻奈美は
その言葉を無視して
イヤらしくそれを撫でるー

「くふふふふ…♡
 こんど、わたしが、気持ちよくしてあげよっか?」
偽の麻奈美が言うと、
圭吾は「い、、、いいよ、、今日はどうしちゃったんだよ?」
と呟くー

目を泳がせながらー

「---姉さん…”お願いします”でしょ?」
偽の麻奈美が言う。

「---ゴクリ」
スケベな圭吾が唾を飲みこむ。

そして、
圭吾は簡単に誘惑に負けたー

「姉さん…お、、、お願いします」とー

「ふふ…いい子ね」
偽の麻奈美が圭吾の頭を撫でる。

圭吾はドキドキしながら
部屋から立ち去ったー。

その映像を
幽閉された正方形の部屋から見ていた
本物の麻奈美は叫んだ。

「バカ――――っ!」と。

弟の圭吾には失望したー。
明らかにわたしじゃない行動を
取ってるのに、
あんな顔を赤らめて
下心丸出しにするなんて。

「帰ったら、ただじゃおかないから!」

本物の麻奈美は、ぷんすかしながら
テレビを見つめたー

その夜ー
家族と普通に団欒を済ませー
お風呂で少し、エッチなことをしていたが誰も気づかずー
そのまま、偽物の麻奈美は自分の部屋に向かうー

「---おや」

偽物の麻奈美の背後から声がした。

「---?」
偽物の麻奈美が振り返ると、
最近はほとんど寝ている祖母・富美子の姿があった。

「あ、おばあちゃん」
偽の麻奈美が微笑みかけると、
祖母の富美子は言った。

「あんた、誰だいー?」

とー。

”おばあちゃん!!”
本物の麻奈美は嬉しそうに叫んだ。

映像が映し出されたモニターに食い下がる

「---チッ」
偽の麻奈美は舌打ちしたー。
一瞬驚いたー

だがー
偽の麻奈美はおばあちゃんの表情を見て
すぐに理解した

”ボケてるのか”
とー。

「おばあちゃん、わたしはわたしだよ。
 ほら、孫の麻奈美!」

そう言うと、
富美子は、「あ…あ、、」とうなずいた。

正体がばれているわけではなかったー。

本物の麻奈美はその映像を見ながら
”おばあちゃん…”と悲しそうに呟いた。

・・・・・・・・・・・・・・・・

3日目ー

学校では、誰も気づかないー
家でも、誰もー

いやー

「麻奈美、最近悩みでもあるのかー?」
夜ー
父の大輔が
偽の麻奈美に対してそう言い放った。

「なやみー?」
偽の麻奈美が笑いながら答える。

「--あぁ…なんていうか、
 一昨日ぐらいからかな…
 なんか、こう、上手く言えないけど、
 お前が疲れてるような…
 そんな感じがするんだ。

 あ、いや、俺の勘違いならいいんだけどな」

父の大輔がそう言うと、
偽の麻奈美はにっこりとほほ笑んだ。

「おと~さん!心配してくれてありがと~!」

父の大輔に抱き着く偽の麻奈美。

「うぉ!?急にどうしたんだ!?」
びっくりしながらも
まんざらではない様子の大輔。

麻奈美が小さい頃を思い出しながら
大輔は、娘に抱き着かれたことを
喜んでいたー

そんな様子を、ホンモノの麻奈美は
正方形の部屋から、テレビで見つめていた。

「も~!お父さん!わたし、そんなことしないでしょー!」
本物の麻奈美が叫ぶ。

だがー
大輔は、偽の麻奈美の頭を撫でると
”よ~し、今度、麻奈美が行きたがってたスイーツ店、
 一緒に行くか~”と
大輔が呟いた。

すっかり、偽の麻奈美の手中におさめられているー

「わ、、わたし…
 このままじゃ…」
正方形のj部屋に設置されたタイマーを見る。

あと4日ちょっとー。
それまでにもしも、誰かが”偽物”だと
気付いてくれなければ、
わたしはーー
わたしは、処分されてしまうー?

「--そ、そんなのイヤ!」
麻奈美は叫ぶ。

見た目も
記憶も
全てが、わたしでも、
そいつはわたしじゃないー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

4日目ー。

友人の笹子と偽の麻奈美が
仲良く談笑しているー。

何やらゴニョゴニョと小声で話していて、
モニター越しにその様子を見ている
本物の麻奈美には、会話の内容が
伝わってこない

そしてー
偽の麻奈美が、こちらを指さした。
友人の笹子がこちらを見るー。

「な…なに…?」
本物の麻奈美は驚く。

まるで、カメラ目線で
偽の麻奈美と笹子がニヤニヤしながら
こちらを見ている。

「いったい…何を会話しているの…?」

本物の麻奈美は
なんとなく得体の知れない恐怖を感じた。

夜ー

「ふ~~…」
偽物の麻奈美は、
部屋に帰ると下着姿だったり、
時には全裸でのんびりしていることが多かった。

”そんな格好で、圭吾が入ってきたらどうするのよ!”
本物の麻奈美はモニター越しにその様子を見ながら叫んだ。

結局ー
その日は、偽物の麻奈美は部屋にこもって
一人ファッションショーをしたり、
何かブツブツ呟いたりしているだけで
母や祖母、父、弟と関わることはなかったー。

だからー
誰にも気付いてもらうことができなかったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

5日目ー

「んっふっふ~♡」

学校から帰宅した偽の麻奈美宛てに
何か荷物が届いていたー

本物の麻奈美は、その映像を見ながら
首をかしげる。

そういえばー
昨日、ずっとスマホをいじっていたー
偽の麻奈美が何かネットで注文したのかもしれないー

「---麻奈美…!」
母の良枝が、飛び出してくる。

「--その荷物…何を買ったの?」
良枝が少し困ったような表情で言う。

”そうだよ!お母さん!そいつ、わたしじゃない!
 わたし、ネットで買い物なんてほとんどしないでしょ!”
本物の麻奈美は叫ぶー。

「----」
自分の部屋にその荷物を持っていこうとしていた
偽の麻奈美は立ち止まる。

「----…ちょっと、見せて」
母の良枝が言う。

普段、ネットで買い物しない麻奈美宛てに
大きな荷物が届いたことに
良枝は疑問を感じていた。

「---……」
偽の麻奈美は観念したのか、
ダンボールを置く。

そして、それを開いて見せたー

中にはー
バニーガールの衣装や
レオタード、ブルマ、
スクール水着、パーティドレス、
まるで紐のような衣装、
アイドルのコスプレ衣装などが
入っていたー

「--なに…これ」
母の良枝が唖然としている。

「---」
偽の麻奈美は表情を歪めたー

地球人の女で、エッチなことを
楽しもうと思っていたのにー。

その様子を
幽閉された正方形の部屋から見ていた
本物の麻奈美は叫んだ。

「お母さん!それ、わたしじゃないよ!」

とー。

気付いてお母さん!

本物の麻奈美は、祈るようにしてそう呟いたー

③へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

家族の一人が、突然、変身した何かと入れ替わってても、
容姿と記憶がそのままだと
最近ヘンだよ~!
ぐらいにしか、気づけ無さそうな気もしちゃいます(笑

皆様は気づくことができますか~?

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