入れ替わってしまった兄と妹ー
立場が逆転する中、
二人が最後に辿り着いた運命は…?
---------------—-
「--こら!!!いい加減にしなさい!」
母親の佐津子が叫ぶー。
弦太が美穂を叩いていて、
美穂が助けを求めていたー。
怒られる弦太(美穂)-
「--ふん!そいつが悪いんですよ~だ!」
弦太(美穂)は
すっかり不貞腐れた態度を取ってしまっている。
「---…お、、お兄ちゃんなんて大っ嫌い!」
美穂(弦太)がそう叫ぶー。
妹の身体と立場ってのは、便利なものだー。
こうして弱弱しい演技をしていればー
”親”という名の盾を利用することができるー。
「----」
ニヤニヤしながら美穂(弦太)は
弦太(美穂)の方を見つめるー。
弦太(美穂)はふて腐った態度で
母親に反抗するー
「こら!弦太!」
母の佐津子も困り果てた様子で叫ぶ。
弦太になった美穂はー
再び立場を逆転されて、
自暴自棄になってしまっていたー
母親と父親に反抗し始めただけでなく
学校でもイタズラや悪事を
繰り返しているー。
美穂(弦太)は、
そんな風になってしまった弦太(美穂)を
見ながら笑っていた。
”身体を入れ替えようなんて
考えるからこうなるんだぜ”
とー。
両親からの説教が終わって
部屋に戻ってくる弦太(美穂)-
そんな弦太(美穂)を
部屋の前で待ち構えていた美穂(弦太)は、
弦太(美穂)の方に近づいてきて、
耳打ちするー
”これからもよろしくね。お兄ちゃん。”
とー
笑みを浮かべながらー。
弦太(美穂)は、美穂(弦太)を睨み返すー。
「おいおい、そんな顔するなよ。
この身体をくれたのはお前だぜ?
これからはもっともっと、お前を追い詰めてやる…!
ふふふふ…
最高の身体をありがとう」
美穂(弦太)はイヤらしい笑みを浮かべて微笑んだー
普段の美穂が絶対に見せない、
邪悪な笑みだー。
美穂(弦太)は、自分の身体になった美穂が
どうなろうとどうでもよかったー
元々、妹の美穂のことが嫌いだったし、
美穂の身体になってみて
”この方がいい”と感じているー
もう、元に戻る必要もないし
そんな身体はくれてやるー
「---」
弦太(美穂)は、そのまま無言で部屋の中に
戻って行くー
そして、部屋の中で暴れ出したのか
物音が聞こえてきた。
「--ふふふふ…俺が妹だもんね~!」
美穂(弦太)は、隣の部屋から聞こえる物音を
聞きながら笑みを浮かべたー。
学校でもー
家でもー
妹の美穂として振る舞うことになれてきた
美穂(弦太)
最初はトイレにも困ったし
スカートにも困った…
最初、スカートを無理矢理履かされたときは、
本当に気味が悪かったし、
どうしていいのかも分からない感じだった。
けど、今は違う。
スカートは、開放感があって気持ちいい。
むしろ、ズボンだと締め付けられてしまっているような
そんな感じを受けるぐらいだー。
ざわざわ…
教室がざわついている。
「--?」
美穂(弦太)が、ツインテールにした自分の髪を
触りながら、何かあったのかと周囲の子に聞くと、
どうやら、他の学年の男子が問題を起こしたらしいー
そしてーー
問題を起こしたのは、兄の弦太…
中身は美穂の、兄の弦太だったことを知るー
「---おらぁ~!」
弦太(美穂)は教室で暴れていたー
机を放り投げて
周囲の児童に暴力を振るい、
最後には、突然ズボンを下ろして
教室でそのまま放尿したー。
「--あっははははは!
どうせ俺なんて!どうせわたしなんて!
あはははははは~!」
周囲のクラスメイトはドン引きしているー
やがて先生が駆けつけて、弦太(美穂)は
抑えられるー。
すぐに職員室に連れていかれてー
母親の佐津子が迎えに来てー
そのまま弦太(美穂)は自宅へと帰って行った。
「----」
美穂(弦太)は昼休みにその様子を
偶然目撃して微笑んだー。
弦太になった美穂は
完全に壊れてしまったー
「悪いのは、お前だよ」
美穂(弦太)は静かに呟くー
妹の癖に生意気だからこうなるんだー。
と、妹を嘲笑いながらー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その夜、母親と父親からさらに
説教された弦太(美穂)は、
悪態をつき、
母親からついにビンタされてしまうー
それでも弦太(美穂)は反抗的な
態度を取りつづけたー。
翌日からー
弦太(美穂)は学校でも孤立したー
さらにー
タイミング悪く、
お腹の調子を崩した弦太(美穂)は、
教室で漏らしてしまい、
クラスメイトたちから大笑いの対象に
なってしまうー。
そして、ついに弦太(美穂)は
いじめの対象になってしまったのだったー。
1週間が経過し、
美穂(弦太)は、女の子ライフを
満喫していたー
おしゃれな服を買ったり、
色々な髪型を試してみたり…
「あぁぁ~美穂…
最高の身体をありがと~
って感じだよ へへへ」
美穂(弦太)は笑うー
もう、このまま身も心も
女の子になってしまおうー。
弦太はそんな風に思いながら、
今日も部屋で、色々な髪型を
試して、笑顔で鏡を見つめているー
その時だったー
弦太(美穂)が部屋に入ってくる。
「あ、おにいちゃ~ん!」
美穂(弦太)が笑いながら言うー。
完全に学校でも家庭でも
居場所を無くした弦太(美穂)は、
”ボロボロ”と表現するにふさわしい
見た目になっていたー
ここ数日は学校にも行かず、
部屋に引きこもって
両親にも呆れられているー
しかもー
腕にリストカットしたような跡まで
あった。
「--お兄ちゃんって、ほんっとバカだよね~」
美穂(弦太)は勝ち誇った表情で
弦太(美穂)をポンポンと叩く。
「俺とお前の身体を入れ替えて
俺に仕返ししようとしてたみたいだけどさ、
やっぱバカだよ~!
妹って立場を使えば
簡単に立場逆転させられるのにさ~!
ははっ!
ほんっと、お前って昔からバカ丸出しだよ!
ど~して、俺にはこんなゴミみたいな
妹ができちゃったのかな~!」
美穂(弦太)は
美穂の姿で、弦太(美穂)の周りを
くるくると歩きながら笑う。
「--お前なんか、死んじゃえばいいのにー」
美穂(弦太)が言うー。
実の妹に対する、言葉ー。
兄・弦太と
妹・美穂の間柄は、それほどまでに壊れていたー
「生きてる価値、もうないよ、おまえ!
お母さんもお父さんも困ってるし
学校でも孤立してるんだろ?
もう、誰もお前を必要としてない」
美穂(弦太)は
可愛い声で辛辣な言葉を口にすると、
弦太(美穂)の正面に立った。
そして、弦太(美穂)を叩きはじめる。
「早くわたしの部屋から出て行けー!」と
叫びながら。
「くく…」
弦太(美穂)が笑みを浮かべた。
「--?」
美穂(弦太)は首をかしげる。
最近の弦太(美穂)は正直不気味だ。
あまりにも行動がおかしいー
完全に頭がイカれてしまったのかー
いやー
「--あははは、あは、あ~っはははははははは」
弦太(美穂)が大声で笑う。
「何笑ってんだお前!」
美穂(弦太)が叫ぶ。
こいつ、完全におかしいー。
弦太は思ったー
まるで、
”わざと”自分が嫌われたり
怒られたりする行動ばかり
最近は繰り返しているーーー
完全に、頭がおかしいーーー
「----ははははははははは!
あはははははははは!」
ーーー!?
いつの間にかー
美穂(弦太)は、自分が笑っていることに気付くー
「---え?」
そう思いながら、
目の前を見ると、
目の前にはーー美穂が立っていたー
そして、
美穂が大笑いしているー。
「---は?」
弦太は首をかしげた。
そして、
美穂は笑ったまま
姿見を指さした。
「---!!」
弦太は驚きのあまり目を見開いたー
「えっ…えっ…!?」
弦太が表情を歪めるー
”元に、戻っているー?”
「--お兄ちゃん…ふふふ…
元通りになっちゃった~♡」
笑う美穂ー
「な…なんで…!?」
弦太は狼狽える。
「--元に戻りたかったでしょ~?
お兄ちゃん…!
だから、元通りにしてあげたの!」
美穂が勝ち誇った表情で笑うー。
美穂は、最初からこうするつもりだったー。
どこまでも意地汚い性格の兄は、
必ず身体が入れ替わったあとも、
自分をいじめてくるー、と。
身体を入れ替えられてしまったぐらいでは、
兄は、すぐに立ち直るー、と。
だからー
”わざと”おかしな行動を繰り返したー。
「--お、、、お前…」
弦太が顔を真っ赤にして
ぷるぷると震えているー。
今の弦太はー
母親と父親にすっかり呆れられてしまっているー
美穂が弦太の身体で好き放題やったからー…。
弦太が美穂をいじめていることに
両親はもう気付いてしまっているし、
学校では、弦太は完全に孤立している。
「お前…!こ、、、こんなことして…ただで済むと思うなよ!」
弦太が叫ぶー。
「お前…お兄ちゃんをこんな風にして楽しいか!」
顔を真っ赤にする弦太。
「い、妹のくせに!妹のくせに生意気だぞ!!!」
大声で叫ぶー。
顔はトマトのように真っ赤になっているー
「---ふふふ…
色々大変だと思うケド、頑張ってね!」
美穂がにっこりとほほ笑むー
これがー
復讐。
「---テメェー!」
弦太は美穂に殴り掛かる。
「--きゃあああああああああああ!」
美穂はわざとらしく叫んだ。
母親の佐津子がすぐに駆けつけてくる。
「こら!弦太!あなたまた…
いい加減にしなさい!」
佐津子が弦太の方を向いて叫ぶー。
「--ち、違う…!罠だ!これは罠なんだ!」
弦太はじたばたしながら
大声でわめき散らす。
「美穂のやつが、俺と身体を入れ替えて…」
「--そんなこと、あるわけないでしょ」
呆れ果てる母親ー
その日の夜ー
弦太は父親と母親に
激しく説教されたー。
その日以降ー
弦太は激しく落ち込み、
家の中でも学校でも
孤立してしまった。
「----」
美穂は思う。
”もう、さすがに何も企んでないよね”
とー。
美穂の思う通り、
弦太は”もう何も考えていなかった”
完敗ー。
兄と妹の戦争は、
こうして幕を閉じたのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・
それから1週間が経過したー。
全校集会が開かれる。
深刻な表情の先生たち。
そこに、見知らぬ男と、
警察官がやってくる。
「---?」
美穂は首をかしげた。
見知らぬ男と、
美穂のクラスメイトが壇上に立つー。
檀上に立った美穂のクラスメイトー
それはー
”父親の入れ替わり薬”を無断で
学校に持ってきていた子だったー
「---少し前に、娘が、
開発中のとってもあぶない薬を
勝手に学校に持って行ってしまいました。
で…
娘はその薬を無くしてしまった。
娘は、誰かに取られたと言っています。
その薬は、とっても危険なものです」
小学生にも分かるような言葉を必死に
選びながら、見知らぬ男が言うー
入れ替わり薬を持ってきていた子の父親だろう。
「---もしも、もしもこの中に
娘から入れ替わり薬を取ってしまった…という子は
今、静かに手をあげてください」
男が言う。
入れ替わり薬を勝手に、娘が持ち出したことに
ようやく気付いた父親が、学校と相談し、
警察と共に、学校にやってきたのだー。
「----」
美穂は、心臓が飛び跳ねるほどドキッとした。
”盗んだのはわたしだー”
もし、、、
もしもここで、、、
ばれたら…?
大丈夫…
黙っていれば
分からない。
大丈夫…
「はいーーーー」
!!?!?!?
美穂の他に、別の児童が手をあげたー。
「----僕の妹が、盗みました」
兄の弦太だったー
すっかり孤立して、落ち込んでいた兄の弦太ー
どよめく体育館。
弦太は美穂の学年のほうを振り返って
ニヤリと笑った。
そして、もう一度叫んだ。
「僕の妹が、盗みましたー」
とー。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
リクエストによる作品でした!
リクエストの原文は昨日のあとがきに
載せてあります~!
結局最後に笑ったのは…!!
…ちなみに、小学生の設定だったので、
このぐらいの年齢だと、Hに走るんじゃなくて
仕返し優先になるかなぁ~…ということで、
こういう内容になりましたー!
お読み下さりありがとうございました!!!
コメント
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最後の最後でどんでん返しが……!
やり返しがエスカレートして2人とも救いのない終わりになりましたね〜
SECRET: 0
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> 最後の最後でどんでん返しが……!
> やり返しがエスカレートして2人とも救いのない終わりになりましたね〜
ありがとうございます~☆
どんどんエスカレートして二人とも~
みたいな結末になりました~☆!