憑依薬を手に入れた大学生は
知り合いの女子大生に憑依して
イタズラをしようとする。
しかし…?
※リクエスト作品デス!
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憑依薬ー。
近くの大学に通う
男子大学生・佐々井 平助(ささい へいすけ)は、
数日前、偶然、それを手に入れた。
ネットを見ている際に
”憑依薬”と書かれた怪しげな広告が出ていて
つい興味本位でそれを選択したところ、
憑依薬を抽選でプレゼント…という怪しげな
キャンペーンをやっていて、
”何が憑依薬だ”と半分呆れながらそれに応募したところ、
”憑依薬が当選した”と、
自宅に送られてきたのだ。
最初は”マジかよ”と思いながらも、
同じアパートに住む一人暮らしのOLに
試してみたところ、本当に憑依できたー。
なんとなく背徳感が強くて
ちょっと胸を触ったぐらいで
抜け出してしまったが、
とにかく、憑依薬がホンモノで
あることは確認できた。
本物であればー
イタズラをしてみたいー。
憑依薬で誰にイタズラをするか?
そんなことを考え出した平助の頭に
一番最初に浮かんできたのが、
宇美だった。
舞野 宇美(まいの うみ)ー
平助の悪友とも言える女子大生で
中学時代からの付き合いなのだが
高校時代から急速にギャル化(?)が
進んでしまい、今ではすっかり
ギャルな女子大生になってしまった。
あまりギャルとかチャラいのと縁のない平助は、
宇美の豹変に戸惑ったものの、
そのまま友人としての付き合いを続けていた。
いつも自分のことを何かとからかってくる宇美に
憑依してー
イタズラをしてやろうー
平助はそう思ったのだった。
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平助は大学の休日を利用して、
宇美が大学へ向かうために利用している道に
足を運んだ。
宇美に憑依して、宇美をからかってやるー。
ギャルな宇美は、
恋愛経験の少ない平助のことを
よくからかってくる。
今日は、その仕返しだ。
今度はこっちが宇美をからかってやるー。
「いたいた…」
大学に向かう宇美の姿を発見した平助。
派手な髪に
短いスカート、
メイクもいかにもギャルという感じの彼女。
後姿だけでもよく分かる。
派手な髪に
短いスカート…
宇美だ。
「へへへー…
宇美…いつもの仕返しだ~!覚悟しろよ~!」
平助は宇美を見つめながら、
憑依薬を適量飲み、
そして、霊体となったー。
霊体になった平助は
迷わず宇美の身体へと突進していくー。
そしてーーー
「あぅっ!?」
宇美が、ビクンと震えて、
変な声を出したー。
「---あ…はぁ、、、はぁ…はぁっ…
ふふふ…宇美…
しばらくお前の身体、借りるぜ」
宇美になった平助は
ニヤニヤしながら、鞄を探る。
そしてー。
手鏡を見つけると、
鏡で宇美の姿をーーー
「------!?」
表情が思わず歪んだー。
鏡に映っていたのはーーー
”宇美”じゃなかった。
「---えっ!?!?えっ?」
平助は戸惑う。
慌てて学生証を探すと、
そこには、
神月 蘭(こうづき らん)という名前と
宇美とは別の女子大生が写っていたー
「えっ…」
蘭に憑依してしまった平助は困惑したー
「くそっ!髪型とスカートの雰囲気と
後姿がそっくりだったら
てっきり宇美かと…」
蘭の口でそう呟く。
顔立ちも良く見ると似ている。
宇美ほど派手ではないが、
結構派手な感じだー。
だがー。
この蘭と言う子はー
”名門大学”に通っているようだー。
宇美の通う大学の近くにあるから
確かにこの子がここを歩いているのは
おかしなことではない。
「くっそ~!」
その場で思わず叫んでしまう蘭。
見ず知らずの子に憑依してしまったー
憑依薬の量には限りがある。
すぐに蘭の身体から抜け出すことはできるが、
それでは、憑依薬を無駄してしまうー。
「だったら…」
「蘭~!」
横から別の女子大生に声をかけられて
蘭が振り向くとー
そこにはー”宇美”がいたー。
「う、宇美!?」
思わず蘭の姿のまま、宇美は叫んでしまったー
「--へ?」
今日も相変わらずギャルっぽい宇美は、
不思議そうに返事をした。
この子(蘭)と、宇美は知り合いだったのか?
通う大学は違うはずなのに…。
宇美に「あ、いや、なんでもない」と呟きながら
とりあえず、宇美に言われるがままに
二人で歩きだす。
宇美の口ぶりから、二人は普段、
お互いの大学の近くまで
一緒に歩いているようだった。
話をしていくうちに、
二人は”間違えられた”ことをきっかけに
友達になったのだと言う。
同じバスで、蘭の友達が、蘭と宇美を
間違えて、宇美に声をかけたことで、
蘭と宇美が知り合い、
”似ている”ということから
なんとなく意気投合、こうして
毎朝一緒に大学の近くまで向かったり
時々プライベートで遊んだりしているらしい。
「あ~あ、でも、蘭みたいになってみたいな~!」
宇美が言う。
「あたしはこんなだから無理だけど
蘭みたいにお嬢様~!って感じの人生も
味わってみたかったなぁ~」
宇美が言う。
”お前にゃ無理だよ”
蘭に憑依している平助はそう内心で
思いながらも、口にはしなかったー
ん…?
”蘭の人生を味わってみたい?”
そんな言葉を聞いた平助は、
とあるイタズラを思いついたー
昔から
下らないことを思いつく速度だけは、
とても早いのだ。
「---…ねぇ」
蘭が口を開く。
「--ちょっとの間だけ、入れ替わって見ない?」
蘭の突然の提案に、
宇美は、顔を赤くして「はぁ?」と声をあげた。
「---い、入れ替わるって?」
宇美の言葉に、蘭は微笑む。
「---わたしたち、友達から
間違えられるほどに似てるだr…じゃない?
だったら、メイクとか服とか
持ち物とか全部交換すれば、
入れ替われるんじゃない?」
蘭の提案に
宇美は「そ、そんな無茶な…!」と苦笑いする。
だがー
宇美も興味があったのか、
その提案に乗ってきたー
”へへ…バカで助かるよ”
平助は内心でそう呟くと、
とりあえず今日はそのまま蘭として大学に
向かうことにし、
お互いの大学が終わったら合流して
二人の入れ替わりをする約束をしたー
「--へへへ…この蘭ちゃんの身体で
宇美になりすまして、
最初の予定通り宇美として
イタズラしてやるぜ~」
蘭は汚らしい笑みを浮かべながら呟くー。
最初の予定とは変わってしまったが
憑依と入れ替わりを同時に味わえるようなものだし、
悪くないー
そんな風に思いながら、蘭として名門大学に
足を踏み入れるー
”住む世界の違い”に驚き、疲れながらも
なんとかその1日を終えた蘭は、
約束通り、宇美と合流したー
一人暮らしの宇美の家で、
蘭と宇美は”入れ替わり”をすることにしたー
「どうやって振る舞えばいいの?」
宇美が言う。
蘭は「周囲に合せてればなんとかなるし
多少のことは大丈夫」と答えた。
全然大丈夫ではない気がするが、
蘭の身体は自分の身体ではないし、
関係のないことだー。
二人はーー
似ている容姿を、”人工的に”入れ替えていくー
髪型をお互いの髪型にして、
髪色をお互いの色に合わせる。
服を交換しー
メイクを相手から教わり、
持ち物まで交換したー。
「---…わぁぁ…本当に蘭になったみたい」
蘭の髪型・メイク・服を身に着けた宇美は、
にっこりとほほ笑むー。
ちょっと違う部分もあるが
言われなければ、みんな蘭と思うぐらいに
宇美は、蘭に成りきっていたー。
蘭もそうだー
平助が後姿で間違えて憑依したぐらいに
元々似ているのだが、
宇美の髪・メイク・持ち物にしたことによって、
宇美そのものと言える状態になっていた。
「ーーふふふ…本当に蘭になったみたい!」
蘭の外見になった宇美が嬉しそうに
飛び跳ねる。
流石に、家族がいれば気付くだろうが、
幸い、二人とも一人暮らしのようだから
その心配はないだろうー。
外の人間なら、
気付かないかもしれないし、
もし気づかれたとしても、
その時は蘭の身体から抜け出して
トンズラすれば良いだけのこと。
「ふふふ…明日は、俺が宇美ちゃんとして
宇美ちゃんが蘭として
過ごすのね…ふふふ」
宇美の格好をした蘭が言う。
「---え?」
蘭の格好をした宇美が首をかしげた。
「--今、おれって言わなかった?」
ギクッ!
宇美の格好をした蘭が、ドキッとする。
つい癖で”俺”って言ってしまった。
いくら他人に憑依していても、
なかなか普段の癖というのは
すぐには消せないー。
つい、俺と口に出てしまった。
「え~…っと…
気のせいじゃないかな?」
蘭が言うと、
宇美は「そっか。確かに気のせいかも~」と
ゲラゲラ笑いだした。
”お前がバカで助かったよ”
蘭に憑依している平助は内心が笑った。
むしろ、普通だったら
服装とメイクと持ち物を交換して
入れ替わって見ない?なんてとんでもない提案に
乗る子は少ないだろう。
それをすんなり受け入れて嬉しそうにしている宇美を
見ながら、平助は
バカなのか大胆なのか…と苦笑いするのだったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
ギャルの格好をした蘭は、
”宇美”として宇美の通う大学へと向かう。
当然”最低限”の人間関係などは
教えてもらったから
なんとか成りすますことが
できるかもしれない。
「へっへっへ…」
ギャルの格好をしている蘭。
蘭自体、お嬢様だからこんな格好をしたら
違和感を感じるかもしれないし、
何より今の蘭は、平助に憑依されている。
「こんな短いスカート履いて…
寒いし、なんか、そもそも
パンツ一丁で外歩いてるような感じで
落ち着かねぇなぁ…」
宇美の格好をした蘭が呟く。
「--っと…」
そろそろ、最初の目的を果たす時だ。
宇美の身体に憑依して、
日頃から自分のことをからかってくる
宇美に仕返しを兼ねた”イタズラ”をするのが
当初の目的だった。
後姿で憑依する相手を間違えた結果、
思いもせぬ結果になったが、
まぁ、これはこれで悪くないかもしれない。
蘭の身体であろうと、
宇美の格好をしているのだから、
周囲からは、宇美として
見られるだろう。
「さみー!」
宇美の格好をした蘭は叫ぶー。
こんな、短いスカートで足を晒して
冬に外を歩くなんて
正気じゃない!と蘭に憑依している
平助は思うー。
「ってか、この短さだとホントに
露出してる感が強くて落ち着かねー!」
男である平助は、
ズボンで外出するー
小さい頃は半ズボンで外に出たりもしたが
今はそういうこともない。
常に、足の下の方までズボンに
包まれているのだー
それが、ないー
超がつくほどのミニスカートを
履いているとー
なんだか、自分が何も履かずに
外に出ていてしまったような
そんな感覚がする。
「う~っ!だめだ!」
スカートが落ち着かず、
スカートを抑えるようにして、
もじもじし始める。
そこにー
宇美の友達がやってきたー。
「おはよ~!蘭ちゃん」
友達が言う。
「--蘭?」
”宇美の格好をした蘭”は、
首をかしげた。
「--おはよ~!蘭ちゃんでしょ?
一瞬宇美かと思ったけど?」
友達が笑いながら言う。
宇美の髪型、髪色、服装、化粧、持ち物ー
カンペキだと思っていたのに…
宇美の格好をした蘭は頭を抱えて叫んだ。
「ばれてるじゃねぇか!!!!」
とー。
②へ続く
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コメント
リクエストを元にした作品デス!
”間違えて憑依した後に、
あえてそのまま入れ替わる”と
リクエストにあったので
最初は憑依したあとに入れ替わりかな~!と思っていたのですが
よく読んでみたら
”(身体ではない服装とか生活の入れ替わり)を提案し実行します。”と
書かれていたので、
むむっ!?となりました(笑)
自然に入れ替わりできるように、
設定を変えた場所も多かったりします~!
(リクエストの原文は明日のコメントで~!)
私にとってもチャレンジ(?)な感じですが、
明日もぜひお楽しみ下さい~☆
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