<憑依>わたしの通信簿

通信簿ー。

子供たちにとってはドキドキの瞬間ー。

もしもー…
先生に憑依して好き放題成績をつけられるとしたら…?

※リクエスト作品デス!

---------------—

2学期も終わりが近づき、
担任の先生たちが
それぞれ通信簿をつける
時期がやってきたー。

担任教師の黒田 順五(くろだ じゅんご)は、
”もうそんな時期か”と思いながら
窓の外を見つめたー

・・・・・

クラスの中でも一番の優等生・
三崎 智恵子(みさき ちえこ)ー。
彼女は、表面上はとても大人しく
とても真面目だった。

容姿も可愛らしいー。

その裏には、
並大抵ではない、智恵子自身の努力があった。

そんな彼女は
”あること”に腹を立てていたー。

それがー
”成績”に関すること。

小学6年になった
智恵子は思うー

”この世は、ずるい”とー。

自分のようにどんなに努力をしても
思うような成績がつかないことも
あるし、ある程度適当にやっていても
ある程度の成績がついてしまうー

クラスでいじめをしている子も
不真面目な子にも
そこそこの成績がつくのだー。

それを”ずるい”と智恵子は
感じ始めていた

少し前までは
純粋に勉強を頑張って
先生や親に褒められて
喜んでー

そんな、素直な気持ちの持ち主だった。

けどー
1学期の終わりー
考えは変わった。
授業をさぼっている子も、
そこそこの成績がついていたし、
自分が勝手にライバル視している子がー
自分よりも高い成績がついていたー

”わたしが一番頑張っているのにー”

智恵子に、そんな
”負の感情”が育ち始めていたー。

2学期の終わりが近づくある日ー
智恵子は、下校中に声をかけられた。

赤いランドセルを背負う智恵子が
振り返るとー
そこにはー
優しそうな杖をついたおばあさんがいたー。

「--ーお嬢ちゃん…」
杖をついたおばあさんは言う。

「--この世は、”ずるい”…
 そうは思わないかい?」

とー。

・・・・・・・・・・・・・・・

帰宅した智恵子は
”杖をついたおばあちゃん”に
言われたことを思い出すー

そしてー
”プレゼント”を思い出す。

プレゼントとはー
”人に憑依することのできる力”

この力を使えば
先生になって成績を
自分の好きなようにつけることができるんだよー

と、そう杖をついたおばあちゃんに言われた。

「成績を…わたしがつける…」
智恵子は呟く。

そうー
先生は”ずるい”

ちゃんと、わたしたちのことを見ていないー。

そうだー。
わたしが先生になって、成績をつければー

智恵子は、
そのことで頭がいっぱいになっていたー

そして翌日ー。

「先生…」
智恵子は、にっこりとほほ笑みながら
黒田先生の元にやってきていた。

40代前半の黒田先生は
くたびれたおじさん、という感じの雰囲気だー。

智恵子は
「黒田先生の代わりに~…
 わたしが成績をつけてもいい?」と
微笑みながら言う。

まだ5年生の智恵子は
先生に対して敬語だったり
敬語じゃなかったり
その時によってばらばらだった。

「ーー三崎さんが成績を?」
黒田先生が笑う。

「ははは、三崎さんなら
 しっかり成績をつけてくれるかもなぁ…」

そう呟く黒田先生。
もちろん、冗談としか思っていない。

「じゃあ…」
智恵子が言う。

「わたしが成績をつけます!」

とー。

「--!?」
黒田先生がびっくりして振り返った時には、
智恵子はガスのような姿になっていて、
そのまま黒田先生の口に飛び込んだ。

「うわぁっ!?」
そう呟き、ビクンと震える黒田先生。

「--!?どうしました?」
職員室にいた、他の教師が気付いて
黒田先生の方を見る。

しかしー

「---いいえ、どうもしないよ~」
黒田先生は
いびつな言葉遣いでそう答えると
声をかけた教師も「そうですか」と
呟いた。

「ふふっ…」
黒田先生に憑依した智恵子は
にっこりとほほ笑んだ。

これでー
成績をつけることができる

”間違った成績”ではなく、
正しい”成績”をー。

ちょうど、昼休みで
黒田先生は成績を付けている
最中だったようだー。

にっこりと笑いながら
黒田先生として成績をつけていくー。

三崎 智恵子ー。
自分の通信簿を見つけると、
最高の成績をそこにはつけた。
担任のコメントも、智恵子を
褒めちぎる内容にしてみるー。

「ふふふふ…
 頑張ってるんだもん
 これぐらい当然よね」

そう呟くと、
自分の口から黒田先生の声―、
男の声が出ていることに気付き、
ハッとした。

そうだー
今、自分は黒田先生なんだー、と。

「---三崎、よくやったな、偉いぞ」

一人でそう呟くと
”ふふふふふ”と微笑みながら
黒田先生は成績付けを
続けていくー。

自分のライバルとも言える
クラスメイトには最低な点数をつけてやった。
”わたしの方が頑張ってるもん”と
小声でつぶやきながら
担任コメントにも”もうちょっと頑張ろう”などと
記入していくー。

不真面目な子ー
いじめっ子には、
最低な点数をつけて、
コメントには”最低”と書き込んだー

”ふふふふ…真面目にやってない罰よ”

満足そうに微笑む黒田先生。
クラスメイトたちの成績を
つけ終えると満足そうに黒田先生は
立ちあがった。

目的の通信簿はつけ終わったし、
そろそろ黒田先生の身体から
抜け出そうかな…とも思ったが、
智恵子はせっかくだから、と
今日1日は黒田先生に憑依したままで
いることにしたー。

もちろん、このまま智恵子として
家に帰らなければ
両親が心配するだろうし、
騒ぎになってしまうから、
夜になったら、黒田先生の身体から
抜け出して、
元の姿で家に帰らなくてはいけない。

5時間目ー

授業のやり方が分からないー

”どうしよっかな~”
そんな風に思いながら、
黒田先生として教室の前に立つ智恵子。

5時間目は算数だ。
智恵子が嫌いな教科。

成績は良いのだが、算数は嫌いだ。

「--よ~し、今日は自習にしよ~☆!」
中年のおじさんである黒田先生が
嬉しそうに叫んだ。

「-----」
クラスメイトたちが唖然としている。

黒田先生の少女っぽい仕草に
唖然としているのだー

「あ…うん…うん…自習だ」
黒田先生のような低い声を
わざと出すと、
算数の時間は自習になった。

先生として、前の机に座りながら
のんびりと算数の時間を過ごすー

「ん~!先生ってなんとなくラクチンだな~!」

先生の苦労を何も分かっていない
智恵子はのんきにそう呟いた。

そしてー

「こらっ!」と、自分の嫌いな不真面目な
生徒を叱りつけては、優越感に
浸るのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

夜ー

黒田先生として、
家に帰宅しようとする智恵子。

「ふ~…そろそろもどろっかな~!」
スキップしながら、家へと向かうー。
家の位置は、前に先生に年賀状を出したい!と
騒いだことがあって、教えてもらったので
知っているー

だが…
住所でしか見たことのない家に、
スムーズに辿り着くことは
できなかったー…。

「あの…」
黒田先生の姿のまま
近くの交番に入る智恵子。

「--ん?どうかしましたか?」
交番の警察官が言う。

黒田先生は
「迷子になっちゃった…」と呟いた。

突然交番に入ってきた中年のおじさんが
”迷子になっちゃった”と伝えてきたので
驚きながらも、
交番の警察官は、親切に黒田先生に
案内をした。

「お巡りさん!ありがと~☆!」
嬉しそうに手を振る黒田先生。

見た目は中年のおじさんでも、
今の黒田先生の中身は
小学生の智恵子。

交番の警察官は
苦笑いしながら、
まるで子供のような黒田先生に
手を振るのだったー…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

帰宅した黒田先生は
家の中を見渡しながら呟く。

「へぇ~ここが先生の家なんだ~!」
まるで少女のように
目を輝かせて周囲を見つめる
黒田先生ー

憑依しているのが、本当に少女だから
そうなるのも無理はないのかもしれない。

「--あら、お帰りなさい」
色っぽいお姉さんが出てくるー。

30、40代ぐらいに見えるものの、
色気がムンムンしている
大人のお姉様、という感じだー

「あ、お、、おじゃまします!」
黒田先生は思わず
そう叫んでしまった

「なにいってるの?」
苦笑いする女性ー

黒田先生の妻だったー。
妻は、「ご飯用意してあるわよ」と
呟くと、奥の方に向かって行く。

「きれいな人だなぁ…」
黒田先生がニコニコしながら呟く。

だがー
もうそろそろ憑依から抜け出して
家に帰らないと両親が
心配してしまう。

智恵子の最初の目的だった
”成績をつける”も果たしたし、
そろそろ黒田先生の身体から
抜けようー、と思って、
智恵子は始めて首をかしげた。

「あれ…?どうやって戻ればいいの…?」

とー。

「え…え…
 わ、、わたし、もしかして…?」

黒田先生は焦ったような表情を浮かべて叫んだ。

「元に戻れないのぉ~!?!?!?」

とー

「え…ちょっと…嘘!?」
黒田先生に憑依している智恵子は焦るー

まさか、まさか…自分はこのまま
黒田先生として生きていくことに
なるのだろうか。

「ちょ…ど、どうやって、元に戻れば…」

そういえばー
智恵子に力を与えた
おばあちゃんはー
”元に戻れる”とは
一言も言っていなかった。

当然、元に戻れると”思い込んでいた”
智恵子は、そもそもそんなこと
機器もしなかった。

当たり前のように、
元に戻ることができると、
そんな風に思っていた。

「そんな…」
愕然とする黒田先生。

黒田先生の姿のまま
先生の部屋らしき場所を見つけて
放心状態でその場にぼーっとたたずむ…

一体、どうすれば良いのか…
一体…

ガチャー

「--!?!?!?!」
黒田先生は驚くー。

その視線の先にはー
黒田先生の妻がいたー。

しかもー
智恵子が見たこともないような服ー。

「え…?」

黒田先生の妻は鞭を持ちながら微笑む。
SMの衣装を着た
中年の美魔女…とでも言えば
良いのだろうかー

智恵子には、
まだ何を意味するか、理解できないー
智恵子は、小学生だからだ

「さぁ、いつもの、行くわよ」
黒田先生の妻が妖艶に笑うー

「い、、いつもの?」
唖然とする黒田先生に、
妻は容赦なく鞭を振るったー

・・・・・・・・・・・・・・・

「はぁ……はぁ…
 な、、、なんなの…」

疲れ切った表情で先生は呟く。
智恵子にとって、さっきまで
されていたことの意味が分からない。

鞭による暴力ー
”黒田先生はいつも家でいじめられてたんだ”

そう思う智恵子ー。

黒田先生の妻が突然、
黒田先生のズボンを下ろして
アソコを咥えはじめた行為ー。

”何をしているのかまったく分からないー”

だんだん気持ちよくなってきて
射精してしまった黒田先生の身体ー

”急におしっこがしたくなって
 もらしてしまった”

「---先生…
 おもらししちゃってごめんね…」

まだ、そういう知識のない
智恵子は、心底申し訳なさそうに
黒田先生の身体でそう呟いたー

・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

このまま黒田先生の姿でいるわけにはいかないー

学校に登校すると
”智恵子が行方不明になった”と
学校中が騒いでいた。

そしてー

「--おとうさん!おかあさん!」
黒田先生の姿のまま、智恵子は
思わず叫んだー。

「---?」
智恵子の母親と父親は
疲れ切った表情を浮かべているー

昨日、黒田先生に憑依した智恵子ー
智恵子は黒田先生の中にいるー。
つまり、周囲は”智恵子が昨日からいなくなった”と
思っている

「--わ、、わたしだよ!おとうさん!おかあさん!」
黒田先生の姿のまま呟く智恵子。

けれどー

「ふ…ふざけないで!」
母親が叫ぶー

「……」
父親は、”相手にするな”と言わんばかりに
目を背けて、
母親は抱えるようにして、そのまま立ち去って行く。

「どうして……
 お父さん!お母さん!わたしはここに…!」

黒田先生の姿のまま叫んでも無駄ー。
そんなことは分かっていながらも、
智恵子は叫ばずにはいられなかったー

・・・

成績は良くなったー。

黒田先生に憑依して
自分に良い成績をつけたからだー。

けれどー

それを”受け取る”子が、いないー。

智恵子は、もういないー
自分は黒田先生に憑依して
そのまま抜け出せなくなってしまったー。

職員室で、自分…
智恵子に対する通信簿を見ながら、
黒田先生は涙をこぼすー。

もう、誰も受け取ることのない通信簿―。

そこにー
水滴がこぼれ落ちるー。

わたしはここにいるのにー
誰にも気付いてもらえないー。

黒田先生の涙は
しばらく止まることがなかったー…

もうー
受け取り手のいない、
通信簿を持ちながらー…。

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

リクエストによる作品でした~!

原文は

” 終業式シーズンであります。
> 通信簿の季節です。
> て、個人懇談、通信簿ネタです。普段は真面目、
優等生の女子児童が男性担任教師に憑依して通信簿を付けます。
ライバルやいじめっ子や嫌いな子にはテストの点が良くても最低の成績を付けます。
コメントにも最低の事を書きます。個人懇談ではお説教します。
逆に親友や好きな男子にはテストの点が悪くても最高の成績を付け
最高のコメントを個人懇談では褒めます。
> 無論、自分に最高成績を付けるのを忘れずに。
> あと、担任の先生の奥さんともエッチな事をします。で、
ダークな展開として全てが終わり元に戻ろうとするが、
今までの作者様の憑依作品にあるように元に戻れなくなり
男性担任として一生過ごさなければいけなくなるという設定で。
> (本当は、中、高生の設定にしたかったのですが、中学校、
高校は教科担任制のため、複数の教師に憑依しないと
いけなくなり設定に無理が生じるので児童、小学校としました。”

リクエスト頂いた要素が盛りだくさんだったので
駆け足気味になってしまいましたが、
こんな感じになりました~☆!

このぐらいの年齢だと…
エッチ云々はまだあまり分からないかな~…ということで
あんな感じの描写にしてみました!
(ちょっと駆け足で少な目になりました…)

リクエスト&お読み下さりありがとうございました~!

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小説

コメント

  1. 匿名 より:

    SECRET: 1
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    誤記と思われます。

    「はぁ……はぁ…
     な、、、なんなの…」

    疲れ切った記録だ先生は呟く。
    となっていますが、疲れ切った記録だ先生はて何でしょうか?

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    ご連絡ありがとうございます!!

    ”疲れ切った記録だ先生は呟く。”の部分ですが、
    ”疲れ切った表情で先生は呟く”に直しておきました!

    どうしてこうなってしまったのかは、、私にも…汗