職場恋愛からの結婚間近の女性ー。
周囲にも祝福されて、
間もなくゴールインというところまで
やってきていた。
けれど…?
※リクエスト作品デス!
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新城 唯香(しんじょう ゆいか)は、
職場の1つ年上の先輩社員 佐上 浩二(さがみ こうじ)と
付き合っていたー。
そしてー
3年間の付き合いを経て、
ついに浩二との結婚が決まり、
職場に報告、
職場からも祝福を受けたー
あとはー
”唯香の誕生日に合わせて入籍しよう”という
浩二の提案を受けて
その日を待つだけだった。
だがー。
職場の先輩女性社員で30代後半の
政野 麻子(まさの あさこ)だけはー
陰口をたたいているようだった。
表向きは麻子も
”よかったじゃない”などと祝福してくれてはいる。
けれどー
陰口を叩いているのを聞いてしまったー。
麻子は、
前から強い結婚願望を持っているが、
性格に少々難があり、恋愛にも結婚にも縁がないまま
30代後半にまでなっていた。
そんな麻子は浩二のことを密かに好きだったという
噂もあり、
”年下の女が先に結婚するー”
”自分の好きな相手を奪われた”という強い恨みを
唯香に抱いているようだったー。
「は~」
非常階段で景色を眺める唯香。
唯香は、休憩中、外の空気を吸いに
時々ここにやってきているー。
「もうすぐ、結婚かぁ…」
なんとなく、実感がわかない。
浩二のことは好きだし、結婚もしたい。
けれどー
自分が妻になったり、
もしかしたら母親になるかもしれない、という
現実をまだ唯香はあまり実感できていなかった。
「---あら」
背後から声がして振り返ると、
そこには先輩女性の麻子がいた。
「--先輩」
唯香は嫌な予感を覚える。
結婚が近づくにつれて
最近は露骨に唯香のことを
敵視しているのが分かるからだ。
「--最近は、離婚も多いみたいだから
唯香ちゃんも、気を付けるのよ」
ニヤニヤしながら言う麻子。
嫌味だー。
唯香はそう思った。
アドバイス目的で口にしている言葉ではなく、
唯香に対する嫌味目的で口にしている言葉に違いない。
唯香は嫌な気持ちになりながら、
「ありがとうございます」と答えた。
「---そうそう、それとね、
浩二くんだけど、他の女の子と仲良くしてるって
噂もあるから、気を付けた方がいいわ」
麻子が言う。
「---…」
唯香は、沈黙したー
おそらく”嘘”だー。
これまでにも何回は、”嘘”を吹き込んできて
危うく浩二と喧嘩になりかけたこともある。
麻子の、陰険な嫌がらせだ。
「---浩二なら、大丈夫ですよ」
唯香は答えた。
「あら?そう?」
麻子は不満そうな表情を浮かべるー。
「---なら、いいけど」
そう言って近づいてくる麻子。
麻子が唯香の方を見つめる。
「でも、男ってね…
急に心変わりすることもあるから、
気を付けることね」
それだけ言うと、麻子は非常階段から
立ち去ろうとした。
しかしー
!?
ちょうど、前日が大雨だったことで
非常階段が濡れていたー
足を滑らせる麻子。
突然ツルっと滑った麻子に驚く唯香。
そしてー
唯香を巻き込んで、麻子は階段から転落
してしまったのだったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「---起きて」
声がするー
「ねぇ、早く、起きて!
大丈夫?」
聞き覚えのある声―。
唯香が目を覚ますと、
目の前にーー
自分がいたーー
「えっ!?えっ…ひぇぇぇぇ!?」
唯香は思わずびっくりして声を出してしまうー。
口から出たのは自分の声じゃない声―。
目の前には、自分ー
「ど、、ど、、どうなってるの??わたし…?」
唯香は、目の前にいる自分を指さしながら
非常階段の中腹で叫んだ。
「---…どうやらわたしたち、入れ替わっちゃったみたい」
目の前にいる自分が言うー
”入れ替わったー?”
唯香は困惑した。
階段から転落して入れ替わるなんて
まるで入れ替わりの映画とかアニメの
テンプレートみたいな展開が
現実に起こるなんて…?
「---え、、え、、じょ、、冗談ですよね?」
唯香が言うー。
自分が麻子の身体になっていて、
麻子が唯香の身体になっているー?
「ザンネンだけど、現実みたい…」
目の前にいる唯香(麻子)が
自分の身体を触りながら言う。
「え…えええええええええ~!?」
思わず悲鳴をあげる麻子(唯香)。
「そ、そんな!先輩!どうしますか?」
麻子(唯香)が言う。
”表面上は仲良くしている2人”
唯香と麻子の関係はそんなところだ。
「……そうねぇ…」
唯香(麻子)は普段とはちがう口調で
考える仕草をする。
「---と、とりあえずみんなに伝えないと…!」
麻子(唯香)が非常階段から屋内に戻ろうとするー
それを見て唯香になった麻子が叫ぶ。
「待ちなさい!」
大声を出されてドキッとする麻子(唯香)。
「--そんなことしたら余計に混乱するだけよ。
大体、入れ替わったなんて、誰が信じてくれるの?
わたしたち二人の頭がおかしくなったと思われるだけじゃない?」
唯香(麻子)が腰に手を当てながら言う。
普段の唯子とは違い、強気な雰囲気だ。
「じゃ…じゃあ、先輩、もう一度階段から…」
麻子(唯香)が言うと、
唯香(麻子)は首を振った。
「同じことをして戻れる保証はないし、
死んじゃったらどうするの?
階段から転がるなんて、頭の打ちどころが
悪かったら、わたしたち、死ぬわよ?
そうなったら、浩二くんとあなたも結婚できない。
浩二くんもとっても悲しむわ」
唯香(麻子)がそう呟く。
「た…確かにそうですね…」
麻子(唯香)は納得してしまうー。
「じゃ…じゃあ、どうすれば…?」
麻子(唯香)が
普段の意地悪そうな表情ではなく、
本当に困り果てた表情を浮かべるー
中身が別人であることが、
事情を知るものからは、よく分かる表情だ。
「--とにかく…わたしが唯香ちゃんとして、
唯香ちゃんがわたしとして行動するしかないわ。
それが一番混乱しない方法よ」
唯香(麻子)が言う。
「--え…でも?わたし、先輩になりきれる自信なんて…」
麻子(唯香)が言う。
「それは、お互い情報交換をしながら
上手くやっていきましょう」
唯香(麻子)の言葉に、
麻子(唯香)はしぶしぶ頷いた。
仕事はデスクワークがメインのふたり。
幸い、仕事は、お互いの仕事を
やることができるが、
人間関係は、大きな問題になる。
「あの…」
麻子(唯香)が言う。
「--だいじょうぶよ。
元に戻る方法もちゃんと一緒に
見つけていきましょう」
唯香(麻子)はそう呟くと、
”あ、もう休憩時間終りね”と
呟いてそのまま社内へと戻って行った。
「……」
麻子(唯香)は不安そうな表情を浮かべるのだったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「---あ…浩二…あ、いや、佐上くん」
麻子になった唯香は、
”浩二”ではなく苗字で婚約者のことを呼ぶー
「あ、はい…政野さん?」
浩二が、振り返る。
麻子になった唯香はーー
”入れ替わったこと”を浩二にだけは
分かってもらおうと思って
声をかけたのだったー
しかしー
「あ~!浩二!ちょっといいかな?」
甘えるような仕草をしながら唯香になった麻子が割って入る。
「あ、うん。 あ、すみません政野さん、また後で」
浩二は、唯香(麻子)の方に行くと、
パソコンの作業の相談をする唯香(麻子)に
つきっきりになった。
唯香になった麻子が妙に浩二にベタベタしてる気がするー
「浩二…」
麻子(唯香)は悲しそうな表情でふたりを見つめた…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜ー
麻子になってしまった唯香は、
自分の家…
唯香の家に帰宅しようとした。
しかしー
「ーーーだめよ」
唯香になった麻子が言う。
「お互い一人暮らしとは言え、
あなたが急に唯香ちゃんとして
家に帰ったら、変よね?」
唯香(麻子)が言うー。
「--で、、でも…」
麻子(唯香)は戸惑うー
まさか、自分に麻子として
麻子の家に帰れというのか?、と
唯香は不安になる。
「--せ、先輩の家にお邪魔するなんて、そんな…」
麻子(唯香)が言うと、
唯香(麻子)はイヤらしい笑みを浮かべた。
「別に構わないわ。
それにあなたはこれから麻子として…」
そこまで言いかけて
唯香(麻子)はクスクスと笑うと、
言葉を言いなおした。
「元に戻れるまでは、お互いとして
暮らしたほうがいいわ。
急にあなたみたいな若い子の家に、
30後半のおばさんが入って行ったら
近所の人だって怪しむでしょ?」
そう言い放つ唯香(麻子)
確かに、それはそうだー。
「先輩ー…」
麻子になってしまった唯香は不安になる。
”このまま、元に戻れないのではないか”という不安も
当然あるし、
”麻子は、本当に元に戻る気があるのだろうか”という
不安も当然ある。
「--だいじょうぶ。必ず元に戻れるから」
そう呟く唯香(麻子)。
押し切られる形で、
麻子になってしまった唯香は麻子の家に
唯香になってしまった麻子は唯香の家に
帰ることになったー。
「分からないことがあったら
お互いLINEで確認しましょ」
そう言って微笑む唯香(麻子)。
「あ、スマホは自分の持っておいたほうが…」
麻子(唯香)が言う。
スマホまで、相手のものを持つ必要はない-
しかしー
唯香になった麻子は首を振る。
「だめよ。
スマホもちゃんと”自分の”持っておきましょ。
今はわたしが唯香なんだし、
あなたが麻子なのよ?」
そう呟く唯香(麻子)-。
「---で、、でも…」
「--わたしの言うとおりにしなさい」
唯香(麻子)が少し脅すような口調で言った。
「は…はい」
麻子(唯香)は困り果てた様子で、
そう返事をするのだったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・
麻子の家に帰ってきた
麻子(唯香)は、
周囲を見渡す。
一見、落ち着いた雰囲気の家ー。
しかしー
隠すようにして大人のおもちゃや
年齢にそぐわない派手な衣装が
置かれていたー
婚活をしている痕跡もたくさんあるー
そしてー
部屋に、同僚であり、唯香の彼氏である
浩二の写真が何枚も貼られていた。
「---こ…これって…」
麻子になってしまった唯香は震えるー。
なんで、浩二の写真が
こんなに飾られているのだろうかー
浩二が浮気しているとは思えない。
だとすればー
先輩の麻子が浩二のことが
好きなのかもしれないー
「わたし…
元に戻れるのかな…」
普段の麻子が浮かべないような
弱弱しい表情を浮かべる。
不安に思いながらも麻子(唯香)は、
どっと疲れが押し寄せてきて
ソファーに腰かけてうとうとするのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ふふふふふふふっ♡」
一方、唯香になった麻子は
嬉しそうな笑みを浮かべて
部屋の中に飛び込んだ。
鞄を放り投げると
可愛らしいスマホを手に、
唯香の彼氏である浩二との
やりとりを見つめた。
「んふふふふ…
生意気な小娘ね」
イチャイチャしてるやりとりを
見ながら憎しみの表情を浮かべる
唯香(麻子ー)
「--…でもね…
浩二くんは、もう、わたしのもの…」
LINEのメッセージを浩二に送るー
返事がやってくると
唯香(麻子)は顔を真っ赤にして
スマホを抱きしめた。
「んんん~♡浩二くぅん…」
そしてー
姿見の方を見つめると、
にっこりとほほ笑んだ。
「わたしは唯香…
わたしが唯香…
うふふふふふ♡」
唯香(麻子)は
何度も何度も、自分の名前を
呟きながら、
次第に興奮を覚えていくのだったー
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
リクエストによる入れ替わりモノです~!
少し前に別のリクエスト
”成りすまし結婚”というものを書きましたが
それとはまた別のシチュエーションの
リクエストにお応えした作品デス!
明日以降もぜひお楽しみ下さいネー!
コメント
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
リクエストしたものです。いつも楽しませていただいています。採用ありがとうございます。明日からの展開が楽しみです。
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
> リクエストしたものです。いつも楽しませていただいています。採用ありがとうございます。明日からの展開が楽しみです。
ご丁寧にありがとうございます~!
大変お待たせしました~☆
ご期待に添えられる出来栄えにできるかは
分かりませんが頑張りますー!