彼女の様子に違和感を感じる彼氏ー。
”ストーカーの件は解決した”
そう言い放つ彼女。
だがー
彼女への疑念は日に日に膨れ上がっていき…?
---------------------
「ーーー♪~~~」
口笛を歌いながら里桜が
廊下を歩いている。
「あ、おはよ~!」
里桜は他の友達を見つめると
笑みを浮かべて挨拶をしたー。
里桜は、綺麗な太ももを晒しながら
廊下を歩いているー。
少し前より、スカートを短くしたようだ。
「--♪~」
女子とは縁がなさそうな
ロックバンドの歌を口ずさみながら
里桜が教室へと入って行く。
「---」
そんな里桜の様子を見ながら
彼氏の洋平は、やはり、違和感を
ぬぐえずにいた。
おかしいー…
何かあったのだろうか。
里桜は、座席に座ると、
ガムをクチャクチャしながら
スマホを見つめているー。
「---」
最近は、学校での素行が悪くなってきている気がするー
そう、異変が始まったのは
里桜が”ストーカーのことは全部解決”と
言い放ったあの日からだー。
ちょうど、1週間前のことだ。
その前日まで、
里桜は”いつもの里桜”だった。
がー
あの日から、里桜の様子がおかしくなった。
髪型をポニーテールに変えたのも
思えばあの日からだったし
何だか、態度も少し変わった。
洋平のことを避けるような様子を見せている。
だがー
”ストーカーに悩んでいる”様子や
”怯えている”様子は無くなった。
むしろ、日々をとても楽しんでいるようなー
そんな様子に、見える。
もちろん、洋平が話しかければ
里桜も笑顔でそれに応じてくれる。
だが、やはりー
なんとなく、おかしいー。
一昨日の夜、里桜と電話で話した時は、
なんだか妙に息が荒かった。
まるでーー…
そうーー
考えたくはないがー
エッチをしたあとのようなー
そんな光景が洋平の中に浮かんでしまった。
「--(浮気…なんてことはないよな)」
洋平は、心の中に浮かんできた疑念を
自ら否定する。
里桜は、浮気などする子じゃないー。
だがー
学校でガムを噛んだりする子でもなかったはずだー。
授業は真面目に受けているように見えるし、
休み時間や朝の時間だけだから
別の自由と言えば自由なのかもしれないがー
それでも、里桜らしくないー
洋平はそんな風に思うー。
文化祭の準備が進む中、
洋平は、”里桜に申し訳ない”と思いながらも、
”里桜を尾行してみること”にしたー。
「---うん!また明日~!」
微笑みながら友達と別れる里桜ー。
”一見、いつもの里桜に見える”が、
”何かが違う”
洋平は、里桜が校門から出たのを確認して、
こっそりと尾行していく。
”俺は何をやってるんだ”
洋平は自虐的に心の中で叫ぶ。
彼女を尾行するなんて
これじゃ、まるで俺がストーカーじゃないか!
とー。
「ふぁ~あ!めんどくせ~」
里桜が呟きながら
大きなあくびをする。
「----」
やはり何かおかしい。
洋平はそんな思いを強めて行く。
「ふ~」
歩きながら里桜は、
ロックバンドの歌を口ずさんでいる。
今まで一度も、バンドが好きだと聞いたことはないー。
だがー
里桜はノリノリな様子で
時折身振りを小さく加えながら
歌を呟いている。
里桜が、コンビニに入って行く。
「----…」
洋平は、コンビニの外から、
里桜の様子を見つめるー
里桜は、数分でコンビニから出てきた。
どうやら、ガムを買ったようだった。
ガムを噛みながらクチャクチャと音を立てる里桜。
「--(ガム、好きだったっけな…)」
洋平は、今までの里桜のことを浮かべながら
里桜の尾行を続ける。
同時にー
周囲のことも警戒している。
あのー
”ストーカー男”の問題は解決したと、里桜は
言っていたがいつヤツが現れるか分からないし、
洋平は、やつが里桜を脅したりしているのではないかと
そんな風にも、少し、考えていた。
「---ただいま~!」
やがて、里桜が家に帰宅する。
「---」
違和感はあるが
”明らかに”おかしい部分はなかったー
ロックバンドは実は好きだったのかもしれないし
ガムも、別に女子高生が噛んでいたからと言って
どうこう言うべきことではないー。
「---俺の思い過ごしか」
そんな風に思いながら、
洋平は、物陰で一息つく。
「---」
だがー
それでも里桜に何か変化があったことは
間違いないと洋平は思う。
彼氏だからこそ分かるー。
洋平は、ザンネンながら
里桜の両親と面識はないー。
里桜の両親に”何か変わったことがあったかどうか”
聞くことができる間柄であれば、よかったのだが…。
そんな風に思いながら
考え事をしていると、
再び里桜の家の玄関が開いた。
鎖をジャラつかせて、
出てきた女を見ながら、
洋平は思うー
(お姉さんか妹さんか?
随分派手なんだな~)
とー。
ミニスカートと胸元を強調した…
なんというか…
パンクロックな衣装…?
とでも言うべきだろうか。
とにかく、どう表現したら良いのか
今までみたことのない里桜の
格好を見ながら洋平は困惑していた。
鎖のようなアクセサリーを
ジャラジャラさせながら、
その女が歩き出す。
「---あ?もしもし~?
これから行く~!」
「---!?」
洋平は、ハッとする。
今の声ー
里桜の声じゃないか?
とー。
いや、姉か妹なら、
里桜と声が似ていても…
そう思いながら、洋平は
キョロキョロしながら物陰から飛び出した。
里桜の家の表札を確認する。
”おいおい、これって、俺、完全にストーカーじゃね?”
そんな風に思いながらー
だがー
里桜の家には、3人分の名前しか
書かれていないー
一人は父親だろう。
そして、もう一人は父子家庭でもない限り
恐らく母親だ。
里桜が”お父さんとお母さん”と言っていたから
父子家庭ではないはず。
となると、表札に書かれている3人の名前は
里桜本人、里桜の父親と母親ということになる。
「---あれが…里桜?」
洋平は不安に思いながら
派手な格好の女を追う。
「---」
ジャラジャラと鎖のようなアクセサリーを
ぶら下げながら、その女が歩いている。
ヒールのコツコツという音が響き渡る。
「---ま、、まさか里桜じゃないよな」
洋平は呟く。
里桜があんな格好をするとは思えないし…
「---!!」
その女が振り返ったー
「-----!!!」
洋平は物陰に隠れていたので、
女に気付かれることはなかったー
だがー
あれは、里桜だ。
「里桜…」
洋平は不安になる。
里桜がいつもしないような派手なメイクと
格好でどこかに向かっている。
まるで、別人のようだー
洋平の不安はさらに膨れ上がって行く。
そしてー
里桜は夜の繁華街へと入って行ったー。
「--…お待たせ~!
んふふふふふ♡」
里桜が甘い声を出す。
やってきた里桜を見て
金髪の男が笑みを浮かべる。
「くへへ…今日も楽しませてくれよ、里桜ちゃん」
”里桜”
やっぱり里桜本人だ。
「--うん…♡ ふふふふふふ♡」
彼氏の洋平にも出したことのない
甘い声を出す里桜。
里桜は、その男にもたれかかるようにして、
繁華街を歩いていくー
「--里桜…どういうことだ!?」
洋平は呟く。
浮気ー?
いやー…
訳が分からない。
最近、里桜の様子がおかしいのは、
あの男と付き合い始めて
男から悪い影響を受けているのかもしれないー
洋平はそんな風に思った。
人ごみをかき分けながら
里桜の追跡を続ける洋平。
しかしー
洋平は里桜と男を見失ってしまった。
「くそっ!」
洋平は、ふと不安に思うー
里桜たちを失った場所が、
ラブホテルの近くだったからだー。
「ま…まさか…な」
洋平は、ラブホテルの方を不安になりながら見つめた。
・・・・・・・・・・・・・・・
洋平は、追跡をあきらめて
自宅の方に向かうー。
明日、里桜に聞いてみよう。
里桜本人じゃないと信じたい。
だがー男には”里桜”と呼ばれていたし、
顔と声は里桜だったー
里桜があんな格好をするなんて
信じられないし、
まさか、夜の街で男とー。
あれでは浮気だー。
しかも、”ラブホテル”に
入って行った可能性もあるー
混乱して、
泣きだしたい気持ちになる。
里桜に一体何があったのか。
あれじゃ、まるで別人だ。
「-----」
さっきの里桜の姿を思い出す。
「----!!!」
ふとー
ストーカー男のことを思い出す。
ジャラジャラとぶら下げた
鎖のようなもの…
さっきの里桜と
ストーカー男のファッションは
なんとなく、似ていたー
「---」
洋平は、里桜が変わり始めたのが
”ストーカー男が現れなくなった頃”と
一致することに気付く。
「---…な、、何か関係があるのか…?」
洋平は不安になって、そう呟いた。
自宅に帰宅すると洋平は
里桜にLINEを送るー。
”里桜、今、何してる?”
とー。
”え?どうして?”
学校では距離感が生まれているが、
LINEを送ればこうして返事はあるし
拒絶されているわけではない。
しかし…
洋平は思う。
里桜が、少し洋平から
”フェードアウトしようとしている”
気がしてならないのだ。
”今は家でのんびりしてるよ~”
洋平はその返事を見て
悲しい気持ちになったー。
”そっか”
洋平はそれだけ送って
LINEの画面を閉じる。
どうして、嘘をつくのか。
やはり、浮気かー?
ストーカー男に何か言われたのかもしれないー
ストーカー男と付き合い始めた可能性もあるー
恐怖からおかしくなってしまった可能性もあるか…?
”彼女がストーカー男に憑依されている”
答えは、それだー。
だが、”憑依”なんてものが実在するとは
夢にも思っていない洋平が
その考えに辿り着くことはなく
里桜のことをただただ心配することしか
できなかったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「---あ~!うっぜぇな!」
髪をイライラした様子で
掻き毟りながら里桜が笑う。
「--どうしたんだ~?里桜ちゃん~?」
一緒にいた男が笑う。
この男は、里桜が数日前に街で捕まえた男で
特に深い関係ではない。
里桜の身体で誘惑して、ゲットした男だ。
女の身体を楽しむための、おもちゃ。
「ううん、なんでもな~い!」
里桜は甘えた声を出しながら
男にくっつく。
(ふふふ…里桜はもう俺のものなんだぜ)
里桜は、不気味な笑みを浮かべたー。
里桜がいる場所はー
洋平の”嫌な予感”が的中していたー
そうー
里桜は、男と、ラブホテルにいたのだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日は休日だった。
洋平は、昨日のことが
もやもやして頭から抜けない。
里桜がー
里桜は、一体どうしてしまったのか。
洋平は意を決した。
”じっくり話すしかない”
とー。
学校では、授業の時間だったり
他のクラスメイトだったり
何かとジャマが入って逃げられてしまう。
だからー…
洋平は、里桜の家に向かった。
そして、インターホンを鳴らす。
インターホンを鳴らすと、里桜の母親らしき人物が
玄関から姿を見せた。
「--…はじめまして。
クラスメイトの戸田洋平と申します」
洋平は緊張した様子で言う。
母親が、里桜との関係を知っているかどうか
分からないからだ。
暗い表情の母親は、
少しだけ笑みを浮かべた。
「あ…里桜の彼氏の…?
いつも里桜がお世話になってます」
母親にも伝わってたー
洋平は少しほっとしながら言う。
「あ、どうも…
今、里桜はいますか?」
洋平が言うと、
母親は2階の方を見上げて呟いた。
「…いますよ…
でも…」
母親は気まずい表情をした。
「最近、里桜、なんだかおかしくて…」
その表情は、困り果てた表情だったー
やはり、里桜の母親も里桜に違和感を
感じているようだ。
洋平は、里桜の母親に案内されて
里桜の部屋の前に向かう。
部屋をノックする洋平。
「は?なんか用?」
里桜の声が聞こえる。
その声には敵意がにじみ出ていた。
「--俺だ。洋平だ。
里桜、ちょっと話があるんだけど、いいかな?」
洋平が言うと、
里桜が「はぁ!?なんでお前が!?」
と返事をした。
”お前?”
洋平は違和感を感じながらも
もう一度
「大事な話があるんだ!入ってもいいか?」と叫ぶ。
その言葉に、里桜は「まぁ、いいけど」と
興味無さそうに返事をする。
里桜から許可を貰った洋平が
里桜の部屋に入るとー
そこはー
まるで”男”のような部屋になっていた。
元々、こういう部屋だったのかー
それとも最近、変えたのかー
里桜の部屋に来たことがない
洋平には分からない。
だが、違和感を感じる。
「--で、何?」
里桜はボサボサの髪で
ロックバンドの一員のような
服装をしているー。
鎖をジャラジャラとさせながら。
「---り、、里桜…」
洋平は里桜を見て驚く。
耳にピアスをぶら下げて、
牙のような形のネックレスをしているー
本当に、別人のようだー。
「ーーり、里桜、聞かせてくれ…
な、何があったんだ?」
洋平が言う。
「なにって?」
里桜は面倒臭そうにあくびをする。
部屋の中にはロックバンドのBGMが流れているー
「---なにって?じゃない!
何もなかったとは言わせない!
最近の里桜は何かヘンだ!
教えてくれ!何があったんだ!?」
洋平がそう叫ぶと、
里桜は、にっこりとほほ笑んだ。
そして、洋平の方に近づいてくると、
里桜は呟いた。
「それじゃあ、教えてやるよ」
とー…
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
ついに憑依された彼女と話し合い…!
憑依された里桜は、
何を口にするのでしょうか~?
明日が最終回デス!
コメント
SECRET: 0
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たぶんですが、無名さんはスチームパンクを誤解されてると思うのです。パンクロックが適当なのではないかと
SECRET: 0
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> たぶんですが、無名さんはスチームパンクを誤解されてると思うのです。パンクロックが適当なのではないかと
コメントありがとうございます~☆
普段しない格好なもので、
画像検索などもしながら確認したのですが、
確かにパンクロックの方が私の
イメージしている内容に近いですネ~!
本文の内容を変えてみました!