<憑依>憑依暗殺部隊~地獄ノ呼び声~①”闇”

ターゲットの身近な女性に”憑依”して
ターゲットを始末する特殊部隊ー

”憑依暗殺部隊”

そんな彼らに、最大の危機が訪れた…!

※憑依暗殺部隊の最終章デス
 過去作品はカテゴリでまとめてあるので、そちらからご覧くださいー!

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とある特殊機関では、
”表沙汰に出来ない事件”や
”不都合な人物”
秘密裏に葬っていた。

10を超える秘密部隊が
日々活動を行っており、
それぞれ特殊な力で、
暗殺を行っている。

”憑依暗殺部隊”もそのうちのひとつ。
他人に憑依する能力を用いて、
ターゲットの身近な女性に憑依、
油断させた後に”暗殺”を行う部隊だ。

今日も、憑依暗殺部隊は
”任務”を行っていた。
これから起きることを、知らずにー…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--ぐおおおおおおっ!?!?」
超がつくほどのブラック企業の副社長が、
悲鳴を上げていた。

背後には若い女性社員。

若い女性社員は、ワイヤーのようなもので
副社長の首を絞めている。

「---んふふふふふふ♡」

可愛らしい笑い声ー

副社長は、その笑い声を聞いたのを最後に、
この世から、葬り去られた。

「---ふふふふふふふ」

これが”憑依暗殺部隊”の仕事ー
隊員の一人・ガンマは
暗殺を終えると、
若い女性社員の身体から抜け出した。

笑みを浮かべたまま若い女性社員は倒れるー

「---えっへへへへへぇ~♡ きもちいい~♡」
秘書の女性が甘い声を出している。

その下には、初老の男性。
この悪徳企業の社長だ。

いつも真面目な美人秘書が突然豹変して
社長に襲い掛かってきたのだ。
エッチな社長は、それを迷うことなく受け入れて
美人秘書の身体を堪能していた。

「んあぁあああっ♡ あぁ♡」
美人秘書が、嬉しそうに声をあげている。

”堅物”
それが普段の彼女に対する印象。

その彼女がこんなに乱れてるなんてー

社長はこの上ない興奮を味わいながら、
笑みを浮かべたー

…そのまま、
社長は喉に激痛を感じて
一瞬にして何も考えられなくなった。

「ふへへへ…♡
 最後の晩餐、楽しめたかぁ…♡」

乗っ取った身体をしゃぶりつくしたあとに
暗殺を実行する隊員・ベータは、
笑みを浮かべると、そのまま秘書の身体を
捨てて離脱したー。

そしてー

「--ひっ!?!?やめ…!?」
経営顧問の男は、
自分の孫娘に追いかけられていた。

まるでロボットのように、
ゆっくりと自分を追いかけてくる
孫娘。

何かに乗り移られたかのようにー。

憑依暗殺部隊の隊長・アルファに
憑依された孫娘は
容赦なく、経営顧問の男を追い詰めた。

そしてー
冷たい目で男を見下すと
毒液を飛ばしてー

”任務”を完了させたー

「----」

任務を終えたアルファは、思う。
いつまでこれが、続くのだろうかー。

と。

理由はどうあれ、
人々を殺め、時に無関係な人間に
憑依して殺しをさせている自分たちは
いずれ、地獄に行きつくだろうー。

これまでに死んでいった仲間たちのところに、
自分もいずれ、向かうことに、なるのだろう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「---ご苦労だったな」
上層部の男、
コードネーム”エックス”が呟いた。

「---いえ」
アルファが頭を下げると、
上層部の男・エックスは
少し間を置いてから呟いた。

”白き華”がやられたー

と。

憑依暗殺部隊も一度共同で任務を
行ったことがある女性たちが率いる暗殺部隊
白き華が全滅したというのだ。

「ここのところ、我々の存在に気付き、
 我々を狙う何者かがいるようだ。
 諸君も気を付けたまえ」

上層部の男・エックスはそれだけ言うと
憑依暗殺部隊に下がるように言い放った。

一人残された上層部の男・エックスは
何かをボソッと呟いたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日-
憑依暗殺部隊のアルファ、ベータ、ガンマの3人は
上層部の男に再び呼び出されていた。

”今回は憑依能力を使う3人の抹殺だ”

上層部の男・エックスが言う。

「--憑依の存在は明るみに出してはならない。
 我々が始末する」

スクリーンにターゲットの3人が表示される。

”小日向 清十郎(こひなた せいじゅうろう)”
他人に憑依できるパンを販売している男ー。
ブラッディベーカリーという怪しげな店を経営しているー

”崎守 直樹(さきもり なおき)”
憑依能力を使って、女性を中心に”標本化”させている
狂気の昆虫収集家。

”猪上 卓也(いのがみ たくや)”
憑依能力を使って同級生たちに憑依し、
百合の花を咲かせている男子高校生

ターゲットの3人の確認を終えると、
憑依暗殺部隊の3人は、それぞれの
詳細情報を確認した。

「いずれの相手も、
 ”憑依”をよく知る人間たちだ。
 注意しろ。」

その言葉に、隊長のアルファは頷く。

「--我々3人で、この3人を始末すれば良い、
 ということですね?」

アルファが確認すると、
上層部の男・エックスは首を振った。

「いやー
 君たちは、このうちの1人でいい。
 相手はいずれも危険人物だ。
 1対1ではリスクが高い。

 君たちが選んだターゲット以外の2人は
 別の部隊に始末させる」

その言葉を聞き、アルファはターゲットの3人の
写真を見つめるー。

パン屋ー
昆虫収集家ー
百合の花を咲かせる男子高校生。

いずれも、危険人物だろうー。

「--」
アルファは無言でターゲットの一人を指刺す。

アルファが選んだターゲットは
昆虫収集家の崎守 直樹(さきもり なおき)。
選んだ理由は簡単だった。
パン屋と、高校生と比べても
最も”危険”なオーラを感じたからだ。

上層部の男・エックスも了承すると、
アルファたち憑依暗殺部隊のターゲットは
女性に憑依して女体を標本にしている
昆虫収集家の直樹に決定したー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

憑依暗殺部隊の3人が
暗殺方法を話し合っている。

「この男は、若く綺麗な女性を中心に
 声をかけて自分のテリトリーに引きずりこみ、
 憑依して意識を塗り替えて、標本に
 しているようだ。

 よって、この男の自宅周辺で女性の身体に
 憑依して、この男にあえて見つかり、
 自宅内に引きずり込まれたあとに暗殺する。

 私がその役をやる。
 ベータとガンマはサポートを頼む。

 結構は明日だ。以上」

ブリーフィングを終えると、
憑依暗殺部隊は、いつものように
憑依するために用いている装置の方に向かい、
準備を始めたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

明日ー

3か所でほぼ同時期に
”暗殺部隊”による任務が結構された。

アルファ率いる”憑依暗殺部隊”は、
昆虫収集家の直樹の家周辺で待機する。
アルファは既に近くを歩いていたショートパンツ姿の
女子大生への憑依を終え、スタンバイ完了だった。
ベータとガンマの二人も、それぞれOLと女子高生に
憑依して、サポート体制を整えている。

一方、別の場所では
高校から出てきた卓也を、
通称”猛獣”と呼ばれ、恐れられている部隊・
猛獣先輩率いる部隊隊員たちが、尾行していた。

憑依パンを販売するパン屋”ブラッディベーカリー”の
入り口では”戦国暗殺部隊”と呼ばれる部隊が展開している。
隊長のオダノブナガが叫ぶ。
「サル!準備は出来ているか!」
声をかけられた部隊員・ヒデヨシは「準備完了でございます」と叫ぶ。
「で、あるか」とうなずいたノブナガは、そのまま
ブラッディベーカリーの店内へと突入していくー。

任務は、順調なはずだったー

ジジ…

ジジジ…

「--!?」
女子大生に憑依しているアルファは、
昆虫収集家の自宅周辺で”異変”を感じ取った。

突如、不気味な少女のような人影が現れたのだー

少女の人影は笑うー

”あなたたちを、一人残らず消し去ります”

とー。

「--!?」
少女は可愛らしい笑みを浮かべる。
どこから現れたのかも分からないー
何者かも分からないー
不気味な少女ー。

「---!?」

昆虫収集家の直樹の家が突然
爆発を起こす。

「--ぐあっ!?」
近くで待機していた
憑依暗殺部隊のベータとガンマが吹き飛ばされたー。

「--な、、何だ!?」
女子大生の身体のまま叫ぶアルファ。

”これは、復讐”
不気味な少女が笑うー。

”憑依をこの世から、消し去るためのー”
少女は笑みを浮かべると、
子守唄のような歌を歌い始めたー

「--何者だ!」
可愛い女子大生の声で叫ぶアルファ。

しかしー
少女は答えないー

子守唄ー
いや、”滅びの歌”を口にしながらー

アルファたちのことを見下している。

「---任務中止!撤退しろ!」
アルファが叫ぶー
女子大生の喉がはち切れそうになるほど
大声でー。

だがー
その直後、昆虫収集家・直樹の家が
更なる爆発を起こして、
アルファたち3人は爆発に巻き込まれてしまったー。

不気味な少女の人影は笑うー

”憑依で人生を奪われたものたちの怒りを知れー”

少女の人影は、小声でそう呟いたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「う…」

目を覚ますと、
そこは、不気味な昆虫の標本が並ぶ
建物の中だったー。

少し、こげ臭いにおいもする。

「---!!くっ!?なんだこれは!」
女子高生に憑依していたベータは
大声で叫ぶ。

響き渡る可愛らしい声ー。

女子高生の身体は鎖できつく拘束
されていて、身動きが取れなかった。

「---…どうやら、捕まったようですね」
OLに憑依していたガンマが言う。

「--…だったら、さっさとこの身体から
 抜け出そうぜ!」

ベータが可愛らしい声で叫ぶ。

だがー
”できなかった

憑依暗殺部隊が他人の身体に
憑依して暗殺を行う理由のひとつが、
”身の安全を確保するため”でもあるー

いざと言う時には、憑依した身体を抜け出すことで、
自分たちは、その場から逃げ出すことができる。

だが-

今は、危機的な状況だった。

何故だか、乗っ取った身体から
抜け出すことが、できない。

アルファたち憑依暗殺部隊の憑依は、
乗っ取った身体のまま死んでしまえば
”中身も死ぬ”

「--それより、さっきの可愛い子は何者だ?」
セーラー服姿で拘束されたままのベータが言う。

「--さぁ…可愛らしい子でしたが…」
OL姿のガンマが拘束されたまま言う。

突然出現した
謎の少女ー

「--…」
部隊長のアルファは、生足を見せつけたまま
鎖で縛られた格好を屈辱に感じながら
対策を頭の中で練っていたー

そこにー

「ようこそー」
男の声がした。

暗がりから男が歩み寄ってくるー。

「--昆虫収集家の崎守直樹か…?」
女子大生の声で、アルファが呟く。

しかしー
暗がりから出てきたのは
好青年ーと言った感じの男。

「--崎守?あぁ、、彼のような人間と
 一緒にしないでもらえますか?」

にっこりと笑う男ー。

「--誰だお前は?崎守はどうした?」
ショートパンツ姿で足を開くようなポーズのまま
鎖で縛られているアルファが言う。
乗っ取られている女子大生は何の関係もない
普通の女子大生だから、とんだ災難だ。

「--僕は、、愛染 亮(あいぜん りょう)-」

それだけ呟くと、
アルファが反応したー。

”愛染 亮”は
オークションを中心に、裏で憑依薬を販売している男だ。
実体がつかめぬ危険人物として
確かに上層部もマークをしていた気がするが…。

「ーー……我々にどうしてこんなことをする?」
アルファは可愛い声で尋ねる。

愛染と自分たちが敵対する理由は特に思い当たらない。
憑依薬の売人と、憑依能力を使って暗躍する特殊部隊ー
今まで何のかかわりもなかった。
恨まれる理由もーないはずだ。

それともー
愛染とやらは昆虫収集家の崎守の友人なのだろうか。

「---復讐」

愛染は呟いた。

「憑依で人生を奪われた人間たちの怒りを知れ」

愛染はそう呟くと、笑みを浮かべたー。
顔は笑っているがー
目は笑っていないー

瞳の先には、
地獄のようなー深い闇が浮かんでいた。

②へ続く

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コメント

憑依暗殺部隊の最終章デス!
初期のころのシリーズのものなので
今書いてもアレかな~と思いましたが
せっかく毎日書いているので
たまにはシリーズのものも!ということで
今回書いてみました~!

今回は知ってる人向け(?)の作品なので
他作品の名前もチラホラ織り交ぜてみました!
(※憑依暗殺部隊以外は知らなくても大丈夫なようには
 書いています~!)

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憑依<憑依暗殺部隊>

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