友人から受け取った憑依薬で
部長に憑依して、復讐しようとしていた男ー
しかし、復讐は失敗し、
事態は思わぬ方向に…?
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「楽しそうだから、わたしも混ぜて~!」
笑いながら着席する
眼鏡の女子高生・恵理。
制服姿のままということは
下校直後なのだろうか。
「--え、恵理ちゃん?どうしてここに?」
亜津奈が言う。
亜津奈には、陽吉のオタク仲間である卓が
憑依しているが、当然、他の誰にも
そんなことは言っていない。
女子高生モードで
恵理という女子高生と会話している。
「---どうしてって?」
恵理がクスと笑った。
「そいつを、つけてきたの…」
恵理が、陽吉の方を指さした。
「え…」
陽吉が戸惑っていると、
恵理は座席から立ち上がって微笑んだ。
「くふふふふふふ…
これで俺もJKだ~!
あははははははは♡」
眼鏡をかけた大人しそうな少女が、
狂った笑みを浮かべて自分の
胸をわしづかみにした。
「--!!」
亜津奈が表情を歪める。
「--ま、まさか!」
陽吉は叫んだー。
”部長” とー。
「ふふふふ~♡
お前から盗んだ憑依薬のおかげで
こ~んな可愛いJKになれたぜ!
うひひひひひひっ♡」
胸を揉み続けている恵理。
完全に正気ではない。
「--亜津奈ちゃん…
いいえ?卓くんだったかな?
いい薬を、ありがとう」
恵理はそう言うと、
にっこりとほほ笑んで、
唖然とする亜津奈を無視して、
席に座って、足を色っぽく組んで見せた。
「ーーさ、歌お?JK2人で?」
恵理が言う。
亜津奈は戸惑っている。
「--ど、、どうするつもりだ?」
亜津奈は、本性を隠そうともせずに
そう呟いた。
「--どうって?」
恵理は、カラオケで歌う曲を
選びながら笑っている。
「--ひ、憑依薬のこと…どうするつもりだ?」
亜津奈は言うー
亜津奈に憑依している卓は
せっかく手に入れたJKライフを
奪われることを恐れていた。
しかしー
恵理は立ち上がると、
亜津奈の方に近づいて行く。
「--んふふふふふ…
どうもしないわよ…
私は恵理として、
あなたは亜津奈として
生きて行くだけ」
恵理がにっこりとほほ笑む。
そして、亜津奈を壁際に追い込んで
亜津奈の胸を触ると、恵理は微笑んだ。
「--あなたのことは言ったりしない」
恵理はそう言いながら、亜津奈の
胸を触ったり、
スカートの中を触ったりしながら
イヤらしい笑い声をあげるー。
少しイヤそうな表情をしながら
亜津奈は、”こいつをどうにかしろ!”と
言いたげに陽吉の方を見た。
「ねぇ?一緒に楽しみましょうよ?」
恵理は笑いながら、今度は亜津奈の手を掴んで
自分の胸を触らせた。
ドキッとしてしまう亜津奈。
普段、大人しい恵理の
いつもと違う姿。
亜津奈はいつの間にか興奮していた。
「--ほら!JK同士いちゃいちゃしようよ!」
笑う恵理。
亜津奈もその気になったのか、
亜津奈と恵理はカラオケボックスの中で
抱き合ったりキスをしたり、
胸を触ったりしているー。
とてもイヤらしい光景がそこには
広がっていた。
唖然としている陽吉。
「お、おい…!卓!」
やっとの思いで声を振り絞る陽吉。
そんな陽吉の方を見て
亜津奈と抱き合っていた恵理ー。
部長が微笑んだ。
「---俺もさ、
あの会社には不満があったんだよ。
俺も所詮中間管理職だから
サービス残業もさせられてたし
上からしょっちゅうガミガミ言われてた」
恵理はそう言うと、
亜津奈から離れて、座席に足を組んで座り、
煙草を吸い始めた。
「あっ…!」
陽吉は女子高生の身体で煙草は…!と
止めようとしたが
「どうせ誰も見ちゃいねぇよ」と
恵理は乱暴に吐き捨て
煙草を味わい始めた。
「---俺も、お前も、社畜だ。
お前の気持ちはよく分かる」
恵理は笑いながら言う。
”お前に、俺の気持ちなんて分かるものか”
陽吉は、そう言いたくなったが
言葉を飲み込んで、恵理の話の
続きを聞こうとする。
「--俺も、
上のやつらに、
いつまでも黙ってヘコヘコしてると思うなよって
ずっと思ってた」
陽吉も内心思っていたことを
恵理は言う。
そして、恵理は煙草の火を消すと
可愛らしい鞄の中にそれを入れて
静かに微笑んだ。
「--お前の復讐、俺が手伝ってやるよ」
恵理はそう言って微笑むと、
再び亜津奈の方に向かって行くー
「亜津奈ちゃんー」
恵理が耳打ちをする。
亜津奈はー少し困った表情をしていたー。
「どうする?
ふふふ…♡」
イヤらしい笑みを浮かべる恵理。
陽吉は二人が何を話していたのか分からず、
困惑する。
亜津奈は陽吉の方を一目見ると、
悲しそうな表情で、
恵理の方を見た。
「---うん!そうしよう!」
亜津奈はそう言った。
「え…?」
戸惑う陽吉。
恵理は勝ち誇った表情で
陽吉の方に近づいてくると
微笑んだー。
「亜津奈ちゃんとわたし、
女子高生として生きて行くことに決めたわ」
恵理が言う。
「は?ど、どういうことだ…?」
陽吉が卓が憑依している亜津奈の方を見る。
「---このままわたしと一緒に
女子高生ライフを楽しもうよ、ってわたしが提案したのー」
恵理が微笑む。
このまま憑依のことをお互いに黙っているなら
邪魔はしないー。
その変わり、陽吉のことは諦めろー、
と、恵理が亜津奈に提案したのだった。
「--悪いな…陽吉。
この部長さんが、俺が騒がなきゃ、
憑依のこともずっと黙っててくれるって
言ってくれたからさ」
亜津奈が言う。
「俺は亜津奈としてー
部長さんは、恵理ちゃんとして、
生きて行くことに決めたよ」
亜津奈が言い終えると
恵理は「ふふふ、そういうこと♪」と微笑んだ。
陽吉を置いてカラオケボックスから
手をつなぎながら出て行こうとする2人。
「す、卓!裏切り者!」
陽吉は叫ぶー
しかしー
亜津奈は冷たい表情で呟いた。
「憑依薬なんて大事なモノ…
盗まれたお前が悪いんだろ」
ーと。
そして、
恵理は微笑んだ。
「--復讐には、力を貸してあげるー
お前の願いを、かなえてあげるー。」
とー。
そのまま二人の女子高生は
仲良く手を繋ぎながら、
カラオケボックスから出て行ってしまったー。
一人残された陽吉は
茫然とすることしかできなかった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
家に戻った陽吉。
オタクグッズに囲まれながら
絶望の表情を浮かべるー。
憑依薬を部長に盗まれたりしなければー
今頃自分は会社への復讐を果たし、
女子高生として、
卓が憑依した亜津奈と一緒に
JKライフを味わえていたはずなのに…
それどころかー
復讐には失敗し、卓という友人にも
見切りをつけられてしまった。
「くそっ…」
陽吉は悔しそうに表情を歪める。
「ん…?」
ふと、陽吉は思う。
「--復讐には、力を貸してあげるー」
部長に憑依された恵理はそう言っていた。
力を貸す、とはどういうことだ?
薗部部長も
会社には不満を持っていたと言っていた。
恐らく、あの横暴な態度は、
上からの不満を自分よりも弱い人間たちに
ぶつけていたことによるもの…
つまりは、八つ当たりだろう。
「協力ってなんだ…?」
憑依薬を失った陽吉に
もう、会社に復讐する力は残されていない。
会社に復讐しようものなら
簡単に叩き潰されるだろうし、
強引な手段を使えば
会社が悪者どころか、
陽吉が犯罪者になってしまうー。
「---いったい…」
その時だったー。
陽吉は急にふわりとするような
不気味な感触を覚えてー
そのまま意識を失ってしまったー…。
・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
サイレンの音が聞こえる。
一体、何だろうか。
陽吉はわけも分からず、目を開ける。
いつの間に自分は寝ていたのだろうー。
と、いうよりもここはどこだー?
混乱しながら目を開ける陽吉。
そこにはー
滅茶苦茶になった自分の勤務先の
光景が広がっていたー
「え…」
陽吉は困惑する。
周囲には人間が倒れているー
先日、部長に憑依されて
滅茶苦茶にされた晴美も、だ。
「--何が、起きているー?」
陽吉は慌てて、
周囲を見渡す。
自分の身を守らなくてはいけない。
そう、思ったからだ。
だが、しかしー
「---高倉 陽吉!」
警察官が陽吉の周囲を取り囲む。
「えっ?俺?」
陽吉は、事態を理解できずに居たー。
しかしー
ようやく理解する。
”憑依薬”
まさかー
「ま…待て!ち、、違います、違います!」
陽吉は身体中から冷や汗を
流しながら叫んだ。
きっと自分は、薗部部長か
卓に憑依されて、いいように
されていたんだ…!
復讐のために身体を使われていたんだ。
「ち、違います!
お、俺は憑依されて、身体を…!」
陽吉が自分を取り囲んだ警官隊に
向かって叫ぶ。
しかしー
そんな言葉、聞き入れる人はいない。
「--ふざけたことを言うな!」
警官が叫ぶ。
陽吉は涙目になって叫んだ。
「お、俺は無実です!冤罪です!
俺は憑依されて…!」
叫ぶ陽吉。
警官の一人が”狂ってる”と小さな声で呟いた。
違うんだ!
陽吉は大声で叫ぶー
しかし、
そんな陽吉の言葉を信じる人間はいなかった。
陽吉は連行されてー
そのまま”犯罪者”の烙印を押されることに
なってしまったのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「--今日もかわいい~♡」
亜津奈が拍手しながら微笑む。
恵理の家の両親は
いつも帰りが遅い。
チャイナドレス姿の恵理が、
足を組みながら煙草を口にして微笑む。
「でしょ~?」
大人しい眼鏡女子の恵理が
チャイナドレスを着て、大胆に足を
見せつけながら煙草を口にしている。
恵理の外見と
憑依されていることによる、中身のギャップ―
この上なくたまらない光景だった。
陽吉の友人である卓が憑依している
亜津奈も網タイツ姿で笑う。
「ふふふふ!わたしも恵理ちゃんも
こんなに可愛いのに、
それを利用しないんて
宝の持ち腐れだよね!」
ツインテールを触りながら亜津奈が言うと、
「ほんとうにネ!」
と恵理は微笑んだ。
「わたしなんて、地味なズボンとか
ロングスカートしか持ってなかったのよ!
マジあり得ない~!」
恵理がそう言いながら
自分の部屋の棚の中を見せる。
今では可愛らしいスカートや
派手な服装がずらりと並んでいた。
「あはははは!すっご~い!」
亜津奈が笑いながら言う。
「あ、そうそう、わたし、メイドカフェで
バイト始めたの~!
男の人を誘惑するのって楽しい~!」
亜津奈が言うと、
恵理も「えぇ~!いいな~!」と目を輝かせながら言うー。
女子トークに花を咲かせると、
やがて二人は甘い表情で近づいて、
お互いに抱き合った。
「じゃあ…今日も楽しもっか…亜津奈ちゃん?」
恵理が甘い声で囁くと、
亜津奈は嬉しそうに「うん…♡」と答えた。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
会社への復讐モノは
これまでにもいくつかあったので
今回はちょっと違うタイプの作品にしてみました!
これから楽しい学性…学生生活が待っていそうですネ!
お読み下さりありがとうございました~!
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