<憑依>社畜の反乱①~やってられるか!~

来る日も来る日もサービス残業。

気弱な彼は、それでも耐え続けたー

しかし、そんなある日、彼が憑依薬を手にしてしまい…?

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「おい!高倉!今日は、何時まで残れるんだ?」

上司の薗部(そのべ)部長が言う。

「--え、、、えっと、、あの…」
社員の高倉 陽吉(たかくら ようきち)は、
言葉に詰まっていた。

今日は、
自分の楽しみにしていたPCゲームの
発売日で、早く帰りたかったのだ。

しかしー

「---よ~し!今日も頼むぞ!」
薗部部長が言う。

「--え…あ、、あの、、今日は」

「あ?」

陽吉の言葉に、薗部部長が
鋭い眼光で、振り返る。

「-あ、、、あ、、、あ…」
小太りな陽吉は、汗をかきやすい。

汗だくになって、モゴモゴと
しゃべりだす陽吉を見て、
薗部部長は陽吉の肩に手を置いた。

そして、舐めていたのど飴を
わざと音を立てて噛み砕いた。

「---あ?なんだって?」
ゴリゴリとのど飴を噛み続けている薗部部長。

薗部部長が部下を威嚇するときに
よく使う手法だー。

「う…う…よ、、喜んで、、残業させていただきます…」

びびってしまった陽吉は、
そう呟いた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「くっそ~!」

24時ー。
帰宅した陽吉は、
怒りのあまり叫んでいた。

部屋には美少女フィギュアやAV、
ポスターなどが貼られているー。

「---あぁぁぁ~マリンちゃん~」
陽吉の好きなキャラのフィギュアを
ぺろぺろ舐めると、
陽吉はぐふふふふふ、と笑みを浮かべたー

30代独身の彼は、女性との恋愛経験がない。
本人も、このまま生涯独身だろうと自覚しているー
おしゃれにも興味がないし、中年太りしているし
そもそもハゲてきている。

陽吉にその気もない以上、
恋愛においてはもう、チェックメイトであると言ってもいい。

だが、
それはそれで、別に本人は気にしていなかった。

しかしーーー
陽吉の悩みは別にあったー

それはー
”ブラック企業”勤務であることだー。

大学卒業後に、
なんとか見つけた就職先ー

そこが、運悪くブラック企業だったのだ。
小規模な会社で、社員はそう多くない。

しかし、
サービス残業はあたり前。
有給休暇はいつの間にか消化されている。
パワハラセクハラは当たり前。
愛情と言う名の暴力もあるー。

オタク仲間からは”お前、社畜だな!”などとゲラゲラ
笑われてしまう始末ー

自分が今から転職となると難しいー

そう感じている陽吉は、
長年、耐えてきたー

しかし、その我慢の限界も
近づきつつあるー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー。

ガリっ…

薗部部長が、のど飴をかみ砕いた。

「これ、お前のミスだよな?」
薗部部長は、自分のミスを
女性社員に押し付けようとしていたー

「い、、いえ…」
薗部部長に脅されている20代女性社員・晴美(はるみ)は
困り果てた様子で言う。

しかしー
薗部部長は、さらに2つほどのど飴を
口に放り込むと、
それをバリバリと噛み砕いて、晴美を睨みつけた。

さらにー
晴美の胸を触りながら薗部部長は叫んだ。

「--お前の魅力はおっぱいだけかぁ~?」

とー。

完全なセクハラだ。

「自分のミスを認めることもできないのかぁ~?あ~?」

晴美は目から涙をこぼしながら
震えているー

「---わ、、、わたしの、、ミスです」
晴美は、薗部部長のミスを押し付けられるカタチで、
責任を取らされてしまうー

他の社員は、見てみぬふりー。

「-----」
もちろん、陽吉もー。

だが、できることなら、陽吉は薗部部長を
ぶんなぐってやりたいとすら思った。

だがー
臆病な陽吉には、そんなことはできなかった。

「このおっぱい星人が!」
薗部部長が捨て台詞を吐きながら
自分の机に戻って行くー。

ゲラゲラと笑う周囲の社員たちー

”最低な会社だ”

そう思いながら、陽吉は、イライラしたまま
仕事を続けるのだったー

・・・・・・・・・・・・・・・・

数日後ー

久しぶりの休日。

陽吉は、友人と待ち合わせをしていた。
カラオケしながら昼食を食べたあとに、
アニメグッズを買いに行くー
そういう予定だ。

「--おせぇな、卓(すぐる)のやつ」

陽吉はスマホを見ながら呟く。

いつもなら、大体早く到着している卓が
今日は遅い。

どうしたのだろうかー。

「---あの~」

背後から声をかけられた陽吉が
振り返ると、そこには可愛らしい美少女がいたー。

可愛らしいミニスカート姿に
ツインテールの美少女だー

高校生ぐらいだろうか。

「--へ、ひぁ?」
女性慣れしていない陽吉が、
急にカワイイ子に声をかけられて
戸惑うー。

「--高倉さんですよね?」

「へ?」
陽吉は、何でおれの名前知ってるの?と思いながら

「ど、どちらさまですか?」と
首をかしげる。

「--ふふふふ…卓くんの友達です!」
少女が微笑む。

そしてー

「先に入っててって、卓くん
 言ってたので、先にカラオケ入りましょ?」

微笑む少女。

「え、、あ、、え、、??は、はい」
わけが分からぬまま良吉は
その少女と一緒にカラオケへと入って行くー

個室に入った良吉は
落ち着かない様子でそわそわしていた。

少女はにこにこしながら良吉の方を見ている。

”遅いな~卓のやつ…”

女の子と二人なんて落ち着かない。

しかも、卓の友達に女の子なんていたのか?
年齢もかなり若く見えるし…

「---ねぇ…」

ふと気が付くと、少女が良吉の真横に
身体を密着させていたー

「ひっ!?」
良吉は思わず声をあげた。

「--ふふふふふふ…♡」
少女は、甘い声を出すと、
良吉に突然キスをしたー

「むぐっ!?」
驚く良吉。

「---ふふふふふ♡」
少女は良吉が逃げられないように
良吉を抱きしめると、そのまま激しくキスをし始めた。

少女の軟らかい唇ー。
胸があたり、良吉は興奮してしまうー

女性に対する耐性のない良吉のアソコは
あっという間にパンパンに
膨れ上がっていたー

「ま、、まってくれ!」
良吉は慌てて少女を振り払う。

その時ー
少女の鞄から、何かが落ちたー。

”納谷 亜津奈”
高校の生徒手帳だー。
可愛らしいロングヘアーの写真が写っているー

”やっぱり高校生ー”

良吉はそう思うー

この子はいったいー?

「---ふふふ、こんなぴんぴんになっちゃって…
 もっと気持ちよくしてあげようか?」

少女がはぁはぁ言いながら
良吉のズボンを指さす。

「--な、、な、、なんなんだ君は!」

叫ぶ良吉。

ツインテールの少女は、
顔を赤らめながら、良吉に近づく。

「ほら、ズボンを下ろせよ!」
少女が乱暴な口調で言う。

「--や、、やめろ!君は誰だ!?
 本当に卓の友達なのか?」
陽吉は思わず叫ぶ。

30代の自分が
高校生とこんなことしていたら、捕まるー

髪や胸が当たるー
いや、この亜津奈という少女は
わざと当ててきている気がする。

「--くへへへへ…!
 一度女の子として
 咥えてみたかったんだよなぁ~!」

顔を真っ赤にしながら
はぁはぁ言っている亜津奈。

「--なんだって?」
陽吉は思わず聞き返した。

「--陽吉ぃ?まだ気づかないかぁ~?
 ふふふふふふ…」

妖艶に微笑む少女・亜津奈を見て
陽吉ははっとしたー

「はっ?」
陽吉は可愛い声で
男のような口調で話す亜津奈を見て
首をかしげた。

ズボンを無理やり下ろそうとする手を止めると
亜津奈は微笑んだ。

「俺だよ…卓だよ」

生徒手帳を拾って笑う亜津奈。

「な、、何を言ってるんだ君は…?」
陽吉は困惑した様子で亜津奈を見る。

わけがわからない。

「---納谷 亜津奈…
 この子の身体はもう、俺のものだ」

亜津奈は自分の胸を両手で
掴みながらいやらしい笑みを漏らした。

「な…なんだって??」
陽吉はさらに混乱する。

「--考えてみろよ!
 こんなカワイイ子が
 お前みたいな冴えないオタクを
 誘惑して何の意味がある?」

亜津奈が言う。

女子高生にそう言われると
へこんでしまうー

「な…な…」
混乱して、言葉を失っている陽吉。

亜津奈は溜息をついて、
可愛らしいキーホルダーのついた鞄から
何かを取り出した。

液体の入った容器だ。

「--憑依薬」
亜津奈は呟いた。

「これで、このJKの身体、
 貰ったんだよ~!
 あははははははっ」

面白そうに笑う亜津奈。

「そ、、そんなことって…」
陽吉は冷や汗をかきながら呟く。

「嘘じゃねぇよ。
 この子はもう、俺の思いのままなんだぜ。

 エッチすることも、
 こうしてお前みたいなやつを
 誘惑することもな…くくく」

亜津奈の表情を見るー
確かに、卓が浮かべていたイヤらしい笑みに似ている。

「---見ろよ」
亜津奈は自分の生徒手帳を手にとって、
亜津奈の写真を見せつけた。

ロングヘアーの真面目そうな少女ー

だが、今、目の前にいるのはツインテールの少女。

亜津奈は自分の髪を触りながら言った。

「俺、ツインテール好きなのは知ってるだろ?
 こうやって、乗っ取った女を自分好みに
 することだってできるんだぜ?」

亜津奈はニヤニヤしながら笑った。

「--ほ、、ほんとうに卓なのか?」
陽吉の言葉に、
亜津奈は笑った。

「あぁ。俺はこれから亜津奈として
 生きてくことにしたよ。

 この身体なら、コスプレし放題だぜ!
 うへへへへへ」

亜津奈は自分の手を舐めながら笑うー

「---そ、、その子はどうなるんだ!?」
陽吉が言うと、
亜津奈は微笑んだ。

「うふふふふ…
 どうだっていいじゃない?
 ほら、わたし、今、こんなにニコニコしてるの!
 楽しそうでしょ?」

女の子っぽい口調で言われて
ドキッとしてしまう陽吉。

「そ、、それで…お、、俺に…」

そこまで言うと
亜津奈は微笑んだ。

「---お前にも、憑依薬をやろうと思ってさ」」

机の上に置いた憑依薬を指さす。

「--な、、何だって!?」
陽吉が叫ぶ。

「--お前、、ブラック企業だのなんだの
 いつもぼやいてたじゃねぇか。
 それを使って、JKになって、人生、変えようぜ」

亜津奈が言う。

「--ほ、、ホントに憑依できるのか?
 毒じゃないのか?」

その言葉に、亜津奈ば微笑んだ。

「ホンモノだよ。
 俺がこうしてこの子に憑依できてるのが証拠だー」

亜津奈の方をじっと見る陽吉。

本当にこの子は、卓に憑依されているのかー?

そう、疑問に思いながらも、陽吉は憑依薬を手にした。

「お…俺も…」

憑依薬を手にした陽吉。
それを見て、亜津奈が写真を取りだした。

「わたしのクラスの集合写真…
 どうせなら、一緒にJKになろ?」

微笑む亜津奈。

亜津奈と、他の生徒たちが微笑んでいる写真ー
可愛い子も何人かいる。

「--お前がそんなおっさんだと、会いにくいし
 通報されるかもしれないからさ、
 クラスメイトになろうぜ」

亜津奈の言葉に、
陽吉は写真を受け取って頷いた。

「--その前に」

陽吉は呟く。

「会社に復讐してもいいか?
 憑依薬で」

陽吉が言うと、
亜津奈はにこっと微笑んで頷いた。

憑依薬を受け取った陽吉は
カラオケボックスの外に向かおうとする。

そんな陽吉をスカートをめくりながら
呼び止める亜津奈。

「ねぇ…遊んでかないの?」

甘い声を出す亜津奈。

中身は(おそらく)卓だと分かっているのに
女性への耐性がない陽吉は
ドキッとしてしまう。

「--え、、え、、っと、、 
 き、、今日はやめとく」

陽吉は慌ててそう言うと、カラオケボックスの
外へと出て行った。

個室に一人残された亜津奈は微笑む。

「さ…
 歌って踊っちゃおっかな!うふふ…♡」

そうう呟くと、
亜津奈は女の子の身体で歌うのが
ぴったりな曲を何曲か、選び始めた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

陽吉は決意する。

憑依薬の使い方は卓から
教わったー

「いつまでもヘコヘコしてると思うなよ…」

そう呟くと、陽吉は、会社へと向かうのだった。
鞄に、憑依薬を潜ませて…。

②へ続く

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会社への復讐…
どんな風に憑依薬を使うのでしょうか…!

続きは明日デスー

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