どうしても、あの人を振り向かせたい…
そんな想いから、
彼女は、ある計画を実行に移した…!
※リクエスト作品デス
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とある大学。
とあるカップルを見つめながら、
明日菜(あすな)は、不機嫌そうに
昼食を食べていたー
どうして不機嫌なのかー。
それは、幼馴染の男子大学生・泰一(たいち)に
彼女が出来て付き合い始めたからだった。
「--…」
明日菜は泰一のことが好きだった。
けれどー
告白したときには遅かった。
「ごめんー
明日菜のことは好きだけど…
俺、彼女が出来たんだ」
告白しようかどうか迷っている間に
同じ大学の女子・愛恵(まなえ)に
先に告白されてしまい、先を越されてしまったのだった。
明日菜はー
表面上は、泰一と愛恵のことを祝福していたー
けれどー。
明日菜は我慢ならなかった。
泰一が好きだと言う感情が
日に日に増していくー
そしてある日ー
明日菜は手にしてしまった。
ネットで見かけた”憑依薬”という薬をー。
”そんなことあるわけないでしょ”
と思いながらも、
明日菜はついにそれを注文して
購入してしまったー
「……泰一は、わたしのものなの-」
明日菜は呟く。
”明日”計画を実行に移すつもりだー。
泰一は誰にも渡さない。
愛恵なんかに渡さないー。
・・・・・・・・・・・・・・・
翌日
「--じゃ、また明日」
大学からの帰路ー
愛恵と泰一がお互いの家に帰るため、別々の道を歩きはじめる。
「--明日、楽しみにしてるからね!」
愛恵が振り返って言うと、
泰一も笑って返事をしたー。
明日は休日のデート。
それを2人とも楽しみにしていた。
「--♪~」
愛恵がご機嫌そうに家への道を歩いている。
その姿を
背後から、見つめる女子大生の姿があった。
同じ大学の明日菜だー。
明日菜は愛恵の身体を
奪うつもりだったー。
「---…」
明日菜は一瞬、迷いの表情を浮かべる。
しかしー
もう、後には戻れない。
ここに来る前に、
明日菜は、”やった”-。
愛恵を陥れるための”あること”をー。
もう、後戻りはできない。
「--愛恵ちゃん!」
背後から声をかけた明日菜。
既に憑依薬を事前に飲み干していた明日菜は、
振り返った愛恵に、キスをしたー。
人通りのない場所で
キスをする女子大生ふたり。
突然のことに、愛恵が驚いて明日菜を
振り払おうとするも
明日菜は無理やり舌をからめさせて
激しいキスを続けたー
「あ…ぁ…あああ…」
愛恵が苦しみ出すー
明日菜は満面の笑みを浮かべたまま倒れた。
愛恵にしがみついていた明日菜が
抜け殻のようになって、その場に倒れる。
「-----」
一方、愛恵は立ち尽くしたまま。
ゾンビのように、力なく、
猫背でだらん…とした様子で立ち尽くしている。
しかしー
しばらくすると、
愛恵は笑いだした。
「くくくく…あはははははは…
やった…わたしが、わたしが愛恵よ!
やった!!!やったぁああ!」
裏路地で大笑いしながら叫ぶ愛恵。
これで、泰一はわたしのものだ、と
愛恵を支配した明日菜は笑う。
「---あはははは…ぐっ…」
愛恵は突然、激しい吐き気を覚える。
”きた”
愛恵に憑依している明日菜は思った。
あまりにも激しい吐き気に
愛恵はそのまましゃがみこんでしまうー
そして…
「うげぇぇぇええええ…!」
愛恵は、汚らしい声を出しながら、
その場に、何かを吐いたー
吐いたのはー
汚物ではないー
黄色く光る、謎の球体。
スーパーボールぐらいのサイズの、
小さな球体だ。
「--ふふふ」
愛恵になった明日菜は笑う。
これはー
”愛恵”の魂ー。
購入した憑依薬に書かれていた通りー。
身体の中から元々の宿主の魂を
吐きだして完全に身体を乗っ取ることができるー
「--ふふふふふふ」
愛恵は、自分の魂を見つめながら微笑む。
「あんたの身体は、わたしのものよ」
普段は穏やかな愛恵が
嫉妬深い明日菜と同じような表情を浮かべて
魂を見つめる。
”このまま踏み潰してあげようかしら”
そんな風に思ったー
けれどー
「--ふふふ…我慢我慢」
愛恵は笑うー
”せっかく、アレをした”のだからー
「---愛恵ちゃん…
あんたは、わたしとして生きるのよ!」
愛恵になった明日菜は、
倒れている自分の身体に、
愛恵の魂を落としたー
そしてー
「う…」
明日菜が目を覚ます。
中身は、愛恵ー
「えっ…?」
裏路地で目を覚ました明日菜は
戸惑った。
さっき、急に同じ大学の明日菜に
声をかけられてー。
「---わ、わたし…?」
ふと、自分の声ではない声が
出たことに気付く。
慌てて自分の身体を見つめる明日菜ー。
「えっ…ええええええええ!?」
明日菜の身体に憑依させられてしまった
愛恵は、一人、悲鳴をあげたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
愛恵と泰一は嬉しそうに
昼ごはんを食べていた。
「愛恵~、今日はやけにご機嫌だな~」
泰一が笑いながら言う。
「うん!泰一と一緒にお昼ご飯
食べられるのが幸せなんだもん!」
嬉しそうに、泰一に身体を寄せる愛恵。
「おいおい、積極的だなぁ、今日は」
泰一はそう言いながら顔を赤らめていた。
ーー愛恵に憑依した明日菜は、
愛恵の素振りを徹底的に真似ていた。
基本的な行動が同じならー
少し積極的になったぐらいでは気付かれないー。
「--ふふふふふ♡」
愛恵はゾクゾクしていたー。
憎い女の身体を奪って
こうして愛恵として泰一といっしょにいられるー
幸せを身体ごと奪った。
愛恵に憑依している明日菜は
そんなことを考えながら、興奮していたー。
それに影響されて、愛恵の身体も
火照り始めているー。
「---泰一のこと、ずっとずっと
大好きだからね♡」
甘い声で言うと、泰一も
顔を赤らめたー
その時だったー
「た、、泰一…!」
泰一と愛恵が振り返るー。
そこには、
明日菜の身体に憑依させたてた
愛恵の姿があった。
「明日菜…?どうした?」
泰一が言う。
幼馴染の泰一は、
明日菜のことも、下の名前で呼ぶ。
恋愛感情とかではなく、
幼馴染として、だー。
「--だ、騙されないで…!
わ、、わたしが愛恵なの!」
明日菜が自分を触りながら言う。
「はぁ?」
泰一は笑いながらそう言った。
「--何を言ってるの?」
愛恵は勝ち誇った表情で言う。
”今はわたしが愛恵なのよ
邪魔しないでー”
と言う態度を隠そうともせずにー。
「---泰一!お願い!信じて!
わたしが愛恵なの!
今、そこにいるわたしは、わたしじゃなくて…
明日菜ちゃんで…!」
明日菜が混乱しながら言う。
憑依されて身体を奪われた挙句、
自分が明日菜の身体に憑依させられたー
入れ替わり状態などと、言っても
信じてもらえるはずなどなかった。
「おいおい明日菜~
冗談きついぜ~」
泰一が笑う。
「じ、冗談じゃない!わたしが愛恵なの!」
明日菜は叫ぶー。
しかし、愛恵がその言葉を遮った。
「あの……
そういうの、、やめてほしいんだけど…」
愛恵らしさを出すために
少し遠慮がちに、けれども強い言葉で言う。
「お、、お願い…!
明日菜ちゃんでしょ!?
わ、わたしの身体を返して!」
明日菜になった愛恵がなおも叫ぶ。
あまりにも必死に叫んでいるため、
食堂がだんだん騒ぎになってきた。
”うっさい女ね”
愛恵は舌打ちした。
もうこの身体はわたしのものー
私が愛恵ー
あんたが明日菜。
愛恵のふりをするために
なるべく穏やかに対応していたけれど、
仕方がないー
こうなったら…
愛恵がイライラした様子で
暴言を吐こうとしたー
しかしー
その時だった。
「--明日菜!悪ふざけはやめてくれないか」
泰一が、真剣な表情でそう言い放ったー。
泰一の言葉に、明日菜は震えながら言う。
「た、泰一…
お、、お願い…信じて…!」
明日菜が涙をこぼす。
泰一はそんな明日菜の様子を見て、
戸惑うー。
本当に、愛恵が明日菜に
なってしまったのか…?
とー。
しかしー
「--泰一…いこっ」
愛恵が泰一の腕に抱き着いて、
泰一を明日菜から引き離す。
「あ、、あぁ…」
泰一は”そんなことあるはずがない”と
愛恵に言われるがままに、
愛恵と一緒に歩き出した。
「泰一…!!」
明日菜はその場に泣き崩れてしまう。
幼馴染の明日菜の性格は
よく知っているー
泰一は、明日菜の行動に
戸惑いを隠すことができなかったー…。
愛恵は泰一の腕にしがみつきながら微笑む。
”ふふふ…無駄よ”
とー。
明日菜になった愛恵は
もうじき、”大学には居られなくなる”はずだー。
何故ならー。
”ふふふ…泰一…
愛恵ちゃんの身体で悩殺してあげるわ…
あなたはわたしのもの”
愛恵になった明日菜は泰一に胸をわざと
触れさせながら
一緒に歩くのだったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「--泰一…」
明日菜は泣きそうになりながら
歩いていたー
どうにか、しないと…
その時だったー
「ちょっと、お話よろしいでしょうか?」
スーツ姿の男2人に囲まれる明日菜。
「えっ…」
明日菜は戸惑う。
そのスーツ男の一人が、
警察手帳を出していたからだ。
「---ど、、どういう…」
戸惑う明日菜に
警察の男は言う。
「--昨日の、万引きの件、
お話をお聞きできますか?」
警官の言葉に
明日菜は驚き、動揺する。
「ま、万引きって…わたし…」
わたしはしていないー
そう言おうとして
明日菜に憑依させられてしまった
愛恵は言葉を止めるー
確かに”わたし”はしていないー
けどー。
そうー…
明日菜は、昨日、
愛恵に憑依する前に、
明日菜の身体になった愛恵を陥れるため、
万引きし、逃亡したのだったー。
「--…わ、、わたしは…」
明日菜は身を震わせながら涙を流す。
”身体を奪われた”
そんな言葉、信じてもらえるはずがないー
明日菜になった愛恵は
そのまま連行されたー。
初犯であったために
厳重注意で済んだものの…
親は激怒ー
大学を退学することになってしまうー。
退学の手続きを終えた明日菜は
絶望の表情で
大学を歩いていたー
「---ふふふ…これで泰一はわたしのもの」
勝ち誇った表情の愛恵がそこにいた。
「--ど、、どうして…どうしてこんなこと!」
明日菜は泣きながら叫んだ。
自分の身体を奪われた挙句、
明日菜の身体に憑依させられた愛恵は
泣きながら叫ぶ。
「--どうしてって…?」
愛恵は笑う。
「あんたが、泰一をわたしから盗むからじゃない」
ニヤニヤしながら言う愛恵。
「この、泥棒猫!」
嫉妬心むき出しの愛恵に
明日菜は何も言い返せない。
明日菜になってしまった愛恵は
元々大人しいタイプー。
中身が明日菜の愛恵の
強気な態度に、何も言い返せなかった。
「うふふ…
わたしのお父さんとお母さん、
怒ってたでしょ?
わたしのこと結婚させたがってたし…
あんたは私の代わりに
明日菜として、田舎に帰って
結婚しなさい…くふふ」
愛恵はそう言うと
勝ち誇った表情で
自分の身体を触りながら宣言した。
「-この身体も、
泰一も、わたしのものよ!
あははははははははっ♡」
大人しい愛恵が
絶対にしないような大笑いを
しながら、愛恵はその場から立ち去ったー
「--どうして…うぅ…」
明日菜になってしまった愛恵は
どうすることもできず、
その場に座り込んだー
・・・・・・・・・・・・・・・・・
ほどなくして、明日菜は
激怒した両親に実家に
連れもどされて、
強制的に縁談を持ちかけられー
結婚させられてしまった。
近くの農家仲間の一人息子とー。
30代後半の
ハゲていて、太っているおじさんー
それが、明日菜の結婚相手だったー
明日菜は、魂の抜けたような
虚ろな目でー
まるで死んだような人生を送ることになってしまったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ふふふ~♡ もう明日菜ちゃんのことなんて忘れようよ!」
泰一に抱き着きながら言う愛恵。
無理やり泰一をホテルに連れ込んだ。
大好きな泰一と溶け合うためだ。
「うふふふふふ…♡ たいちぃ~」
「ま、、愛恵~…!なんだか最近せっきょくて…」
戸惑う泰一に覆いかぶさる愛恵。
「んふふっ♡泰一くんはもう、わたしのものなの♡」
そんな愛恵に少し疑問を感じながらも、
愛恵を受け入れた泰一ー
明日菜は愛恵の身体も、好きな人も、何もかも
奪い去りー
そして、愛恵を、どん底に陥れたー。
「恋愛はね…奪った勝ちなのよ・・・?
ふふふふふ♡」
愛恵になった明日菜は
自分の身体を撫でながら
妖しく微笑んだ…。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
リクエスト作品でした~!
原文は
”最後の一言
これのダークバージョンをリクエストします。
明日香は麻美子に完全になりすまし、
明日香とはばれない。麻美子の人生を完全に乗っ取る。
今回はバス事故は無しで、明日香に憑依された
麻美子は麻美子の体から追い出され明日香に。
麻美子だと説明するが彼氏には信頼されない。その上、
明日香が麻美子に憑依する直前に万引きをしていた
、防犯カメラで明らかになり警察が麻美子宅にくる。
初犯だったため逮捕は免れ厳重注意ですんだが大学は
退学になり親に強制的に田舎に連れて帰られ親の決めた農家の
ハゲデブと結婚させられてしまう。一方明日香は麻美子
として彼と結婚し幸せになる話をリクエストします。”
というものでした!
”最後の一言”とは以前書いた作品ですが
↑の頂いた内容だと、
まったく別内容になるので、
最後の一言の別バージョンではなく、
別作品というかたちでお応えさせていただきました!
リクエスト&お読み下さりありがとうございました~!
コメント
うーん、明日菜が憎い恋敵の愛恵を悲惨な目にあわせたいのは分かりますが、下手に身体を与えると逆襲される危険があるので、身体を与えず、踏み潰すか、あるいは小動物とかにでも憑依させちゃう方が安全で確実な気がしますね。実際、自分が本物だと騒がれて、厄介なことになりかけてましたし。
ところでこの話って、ジャンルは憑依ですが、実質的には入れ替わりなんじゃないですかね?
だいぶ前に見たこの話をまた見たくなって探したのですが、憑依ではなく、入れ替わりというイメージが強かったせいで、中々見つけられなくて苦労しました(自分がタイトル名を忘れてたせいでもありますが汗)。
ジャンルのとこに入れ替わりとも、書き足したりとか、あるいは小説一覧のとこで憑依のとこだけではなく、入れ替わりのとこにも置いて、二重にしておけば、分かりやすくていいんじゃないですかね?
コメントありがとうございます~!
方法が憑依によるものだったので、
憑依に分類していましたが、
結果的に入れ替わり状態にもなっているので
確かに入れ替わりにも入れてよかったかもですネ~!
コメントをお返ししている今日は、もう時間が遅いので、
後日考えてみます~☆!