夜の廃虚に遊びに来た女子大生たちー。
しかし、そんな彼女たちは
身体を奪われー
弄ばれる
”闇のかくれんぼ”に挑むことになってしまうー
-------------------------
肝試しー
5人組の女子大生は、
夏休みを利用して、
肝試しを楽しんでいたー
寂れた廃虚に、
やってきている5人ー
この廃虚では、
以前、、大学生が”失踪”したという噂がある。
けれどー、
噂は噂。
そしてー
そういう噂のある場所は
肝試しにはもってこいだった。
「--ふぇぇ…怖いよぉ…」
友達に無理やり連れてこられた
加治 萌美(かじ もえみ)は
震えながら周囲を見渡している。
「あはははは!大丈夫だって!
おばけが出てきたらあたしがやっつけてやるから!」
ボーイッシュな、榊田 蘭(さかきだ らん)が
握りこぶしを作って笑う。
「---幽霊なんて、非現実的なもの、
存在しませんから」
眼鏡をかけたインテリ女子大生・浜井 潤子(はまい じゅんこ)が
幽霊なんてありえない、と言う。
「ーーわっ!」
「きゃああああ!」
怯えていた萌美を驚かして笑うのは、
いたずら好きの小堀 美月(こほり みつき)-
そしてー
「--やっぱり、何も出てこないね~」
ほんわかした天然な雰囲気の女子大生・香川 奈江(かがわ なえ)が言う。
結局、何も出てこなかった。
そろそろ廃虚探検に飽きたところで
美月が笑う。
「--あ、そうだ!みんなでかくれんぼしない?」
美月の言葉に
ボーイッシュな蘭が笑う
「かくれんぼって、あんたいくつよ~?」
しかし、美月は食い下がった。
「ほら!こういう機会じゃないと、
かくれんぼなんてできる年齢じゃないし!
せっかくだからやってみようよ!
隠れる場所たくさんあるし! ね!」
美月の言葉に
他の4人が顔を合わせる。
確かにー
大学生でかくれんぼを楽しめる機会は
なかなかない。
しかしー
誰も居ない、この夜の廃虚なら
存分にかくれんぼを楽しめる。
「確かにー
この機会に楽しむのも良いかもしれませんね」
眼鏡をいじりながら潤子が言う。
「でも、危なくない?」
欄が言う。
「--大丈夫!スマホがあるでしょ?
制限時間は30分で、
30分したら、またここに集合!
そうすれば危なくないし、
スマホで連絡を取り合えば、
見つからないまま~なんてこともないし!」
美月の言葉に、
他の4人は頷く。
「--で、でも、鬼は誰が…?」
萌美が怯えながら言うと、
他の4人が萌美を指さした。
「え~~~~~~~!?!?!?!」
臆病な萌美が慌てふためいている間に
他の4人は笑いながら走り出して
あっという間にどこかに行ってしまう。
夜の廃虚にひとり残された萌愛。
「ふぇぇぇぇぇ…」
萌美は、困り果てた様子で呟く。
「怖いよぅ…」
震える萌美ー。
ただでさえ怖いのに、
一人になってしまったー
萌美はがくがく震えながら
他の4人を探し始めるのだったー
・・・・・・・・・・・・・・・・
「---ここなら、ばれないでしょ!」
イタズラ好きの美月は、
かくれんぼが得意だった。
小学生時代は、
”透明人間”などと言う
あだ名をつけられてしまうぐらいに
かくれんぼが得意だったのだ。
決して印象が薄かったわけではないー。
「--……ふふん。萌美ちゃんに
わたしを見つけることは不可能~♪」
ご機嫌な美月。
しかしー
”きゃあああああああああああああああ!”
悲鳴が、闇の中から聞こえた。
ーーー!?
美月は一瞬驚く。
周囲は暗くて、よく見えない。
何が起きているの?
少し焦った美月だったが、
すぐに冷静さを取り戻した。
臆病な萌美が、
何かを幽霊と見間違えて
悲鳴をあげた。
それだけのことだろうー
「ふふふん…」
美月はご機嫌そうに、
自分の隠れ場所に、
隠れつづけた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ボーイッシュな女子大生・欄は
廃虚の物陰に隠れていた。
「かくれんぼとか…久しぶりだな」
欄は笑う。
小さい頃は、男子とばかり遊んでいた。
あの頃はよく、かくれんぼもしたものだー。
泥だらけになって。
男子からはよく、
欄は男だもんな!などと言われていたが
やっぱり自分は女だったー
まぁ、そんなことは今はどうでもよくてー
”きゃあああああああああああああああ!”
別の場所に隠れている美月も聞いた悲鳴ー。
それを、欄も聞いた。
「あん?」
欄は、悲鳴のした方向を見る。
しかしー
闇の中に隠れていて、
何も見えないー。
萌美のことだからー
何かをおばけと見間違えたのだろうー。
そう思っていたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
”きゃあああああああああああああああ!”
「---!?」
眼鏡をかけたインテリ女子大生の潤子が
表情を歪めた。
”悲鳴ー?”
「-ー…怖がっていると
何でもおばけに見えるものですからね」
潤子はそう呟いた。
萌美の悲鳴は、
何かを見間違えたものだろうー。
頭の良い潤子にはすぐに分かったー
”知識”は
最強の武器になる。
潤子は、そう信じて疑わない。
この隠れ場所も、絶対に見つかるはずがないのだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「……」
天然女子大生の奈江が
隠れ場所を見つけて、そこに入る。
「ここなら見つからないかも~!」
ご機嫌そうに言う奈江。
しかしー
普通にお尻が見えているー。
奈江は、頭だけ隠して、満足していた。
どこか抜けている。
それが、奈江だ。
ザッ
足音が聞こえてくる。
「---!」
奈江はドキッとした。
萌美が近くにいる。
「---……」
息をひそめる奈江。
奈江は、穏やかな性格だったが、
勝負となれば話は別ー。
「--……」
絶対に、最後まで隠れきって見せる。
”み~つけた”
背後から声がする。
「--わたし?」
奈江は一瞬首をかしげる。
いや、見つかっているはずがないー。
お尻が見えていることに気付いていない奈江は
そう思った。
近くに、潤子か、美月か、欄が隠れているのだろうー
とー
しかしー
かすかな明かりが近づいてくる。
萌美が懐中電灯か何かを使っているー
「---…」
足音が消えたー
光が消えたー
「----…ふぅ」
奈江は溜息をついたー。
やっぱり、見つかったのは、
自分じゃなかった。
そう安堵する奈江。
しかしー
”み~つけた”
背後から不気味な声がしたー。
振り返った奈江。
そこにいたのはー
萌美などではなくー
白い服を来たー
不気味な少女だったー
”きゃあああああああああああああああ!”
奈江は、悲鳴を上げた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ズブッ…
「あ…ぁ…」
信じられない光景が広がっていたー
奈江は、白い少女に、
光の触手のようなもので捕まえられていたー
そしてー
ズブ…
”うふふふふふふ…
かくれんぼ、楽しそう~”
「---あ…」
虚ろな目で少女の方を見る奈江。
”わたしもま~ぜて!”
微笑む少女。
触手がズブリと奥にさしこまれていき、
少女の姿が光となるー
そしてー
奈江の中に吸い込まれていくー
「あ…」
倒れる奈江。
すぐに奈江は起き上がった。
「---うふふふふふ…
たのしい たのしい かくれんぼ~♡」
奈江は、自分の身体についた土を
舐めると、顔を汚したままふらふらと歩き始めたー
「ひひひひひひひひひひ…」
歩きながら奈江は
白目を剥いて、身体をピクピクと痙攣させている。
まるで、ゾンビかのようだー
「あ…ひぐっ…う…」
苦しそうな声を出しながら
ふらふらと歩く奈江。
その口からは涎が垂れ流れている。
「-だ…すげ…て…」
奈江がぶつぶつと呟く。
やがて、にやりと笑みを浮かべると
奈江は微笑んだ
「他に3人隠れてるんだぁ~♡
制限時間は30分~」
奈江たち5人が決めたルールを
奈江の記憶を吸収して、
理解するー
奈江に憑依している白い少女は、
奈江以外の顔を思い浮かべるー
「へぇぇ…♡
どこに…隠れてるのかなぁ」
記憶を読み取るのを終えて
目の輝きを取り戻した奈江は
ニヤニヤしながら歩き出した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「---さっきの悲鳴は…」
ボーイッシュな女子大生・蘭は
不思議そうな表情を浮かべていたー
隠れてから3分ー
悲鳴が聞こえた。
最初は、みんなを探している萌美が、
何かをおばけと見間違えて
悲鳴を上げたのだと思っていた。
だがー
あれから5分ー
何の音も聞こえないー
萌美が気絶でもしてしまったのではないかと
蘭は少し心配になる。
誰の声もしないー
まだ、誰も見つかっていないだけなのか。
それともー?
「--…!」
その時だったー
懐中電灯の光のようなものが
蘭の隠れている場所に、かすかに見えた。
「やべっ!」
萌美がこっちに来たー。
蘭はそう直感する。
廃虚の物陰に身を隠して、
息をひそめる。
ズサッ…
ズサッ…
ズサッ…
足を引きずるような不気味な音。
蘭は、足音が変だと感じて、
物陰から顔を出すー。
そこにはー
鬼役であるはずの萌美ではなくー
天然女子大生の奈江がいたー
しかもー
奈江はゾンビのように、よたよたと歩いているー。
「はぁぁあぁああ~♡」
興奮しているかのような声を出す奈江。
「ど~こかな!ど~こかな!
えへへへへへへっ!」
蘭は、思わず身を隠した。
萌美が、探す役ではなかったか?
そう思いながらも、
蘭は「そういえば、奈江ちゃんはいつも
急に変な行動するからな…」と呟く。
そう、いつもの天然なーー
”みーつけた!”
「--!!!」
蘭の隠れる物陰にー
奈江がやってきていたー
「--ひっ!?」
蘭は思わず驚いて声を出してしまう。
「---み~~~つけた!」
唇が避けそうなぐらいに
三日月型に口を歪める奈江。
「--お、、驚かさないでよ…!」
蘭が叫ぶ。
「大体、あんた、隠れる側だよね?
何してんのよ?」
蘭がやれやれと言う様子で呟くと、
奈江が呟いた。
「たす…け…」とー。
「---え?」
次の瞬間、奈江の身体から白い煙のようなものが
吹きだすー。
「~~~み~~~つけた!」
白い服を着た少女が、
奈江の身体から出てくるー
「--!?!?!?ひっ!?」
蘭は思わず声をあげた。
奈江の耳からランプの精のような感じで
白い格好の少女が出てきている。
奈江は白目を剥いてピクピクしながら
その場に立ち尽くす。
そしてー
白い少女と奈江が同じ表情をすると、
二人同時に呟いた。
「みーつけた!」
とー。
思わず尻もちをついてしまう蘭。
ショートパンツから覗く太ももが
地面の冷たい感触を蘭に伝えるー
「---次は、あんたが鬼ー」
白い少女と奈江が同時に呟く。
「---な、、何を言って…!」
蘭が戸惑っていると、
白い少女と奈江が微笑んだ。
「もう、この身体はいらないー」
とー。
すると、白い煙のようなものが
大量に噴きだしてー
奈江が悲鳴を上げ始めるー
「--あ、、、あぁああああ、、た、、す、、げ…」
奈江の身体が白い煙によって
風船のように膨らんでいきー
パンパンに膨れ上がった奈江が、
恐怖を浮かべながら蘭の方を見た。
「----あ…あ」
言葉にならない悲鳴―
「ひぃぃぃっ!?」
蘭は思わず逃げ出そうとした。
しかしー
ズブッ…
白い少女から放たれた光の触手のようなものが
耳に突き刺さる。
「んへぇっ♡」
蘭は変な声を出してしまう。
脳みそがクチュクチュされるような感触。
「んへ♡ あ、、あ、、んぎ♡ ぁぁああああん♡」
喘がされた蘭は、
そのまま白い少女に乗っ取られてしまったー
「--た…」
パンパンに膨れ上がった奈江が、
なおも蘭に助けを求めているー
奈江の方を見る蘭。
蘭はにっこりとほほ笑んだ。
「ばいばいー」
とー。
次の瞬間、
奈江の身体がさらに膨張しー
運動会の大玉ぐらいのサイズにまで
膨れ上がるとー
パァン!と音を立てて”破裂”したー
「--んふふふふふふ~♡」
蘭は、その様子を見届けると、
残りの2人を見つけるために
ゆっくりと歩き始めるー
口元を不気味に歪めながらー。
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
恐怖のかくれんぼー。
夜の廃虚でかくれんぼは
怖いですネ…!
コメント