生まれつき憑依能力を持ち、
やりたい放題の少女…!
彼女の人生の行方は…?
※リクエスト作品デス!
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「あははははははははは~!」
どこからか用意したのか、
特撮に登場しそうな悪の女幹部のような
妖艶な格好した女性が、
学校内を歩いていた。
鞭を振るい、怯える児童を
容赦なく叩いていくー
「--あたしは悪党よ~!」
そう叫ぶ女性はーーー
昨日、沙菜を呼び出し、
沙菜を叱ろうとした担任教師・涼子先生だった。
妖艶な格好で、鞭を振るう涼子先生ー
涼子先生は、沙菜を叱ろうとしたため
沙菜に”わるもの”だと決めつけられた挙句、
沙菜に憑依されて、昨日の放課後に
悪の女幹部衣装を買いに行き、
そして今日、その格好で学校にやってきたのだった。
「--涼子先生は、わるいひとだもん!」
涼子先生に憑依している沙菜は笑う。
沙菜がたまに見る特撮モノでは
こういう悪い女の人がいる。
涼子先生はわるものだから、
こさせるのが正しいと沙菜は思った。
「おほほほほほほほほ!」
涼子先生の身体で、高らかに笑って見せる。
「--涼子先生!何をしているのですか!」
「おい!止めろ!」
他の先生たちが近づいてくる。
「--あたしに跪きなさい!」
涼子先生が鞭を振るう。
「あっはははははは!あ~はははははは!」
学校中で暴れまわる涼子先生。
憑依している沙菜は、
涼子先生に”わたしはわるもの”と
刻み付けて行くー
「んへっ…」
時々白目になりながら、涎を垂らしている
涼子先生ー
やがてー
涼子先生から光の玉が飛び出し、
沙菜が姿を現した。
憑依から解放された涼子先生ー
しかしー
変らず、笑いながら
鞭を振るい続けているー
やがてー
駆けつけた警察に、涼子先生は
妖艶な格好をしたまま連行された。
「--わるいやつをやっつけた!いぇ~い!」
沙菜は、連行されていく涼子先生を
見ながらそう呟いた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「な…なぁ…どうしちゃったんだよ」
婚約していたのにー。
そう思いながら、
面会にやってきた涼子先生の彼氏ー。
涼子先生は、不貞腐れた態度で
腕を組みながら彼氏の方を見つめる。
「--急に学校で暴れたりしてー…
どうしたんだよ?」
彼氏は戸惑っている。
しかしー
そんな彼氏を前にしても
涼子先生は、もう元の先生には戻れなかったー
「--あたしは悪党よ!
おほほほほほほ!
あははははははははは!」
狂ったように笑いだす涼子先生。
「涼子…」
彼氏は唖然とすることしかできなかったー
ほどなくして、
彼氏は涼子との関係を解消し、
涼子の前に姿を現さなくなったー…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それからもー
沙菜のやりたい放題は続いたー
「--わたし、いらな~い!」
屋上から飛び降りる児童ー。
前日に沙菜と喧嘩した児童だー。
沙菜に憑依されて、
”処分”されたー
沙菜のやりたい放題は続くー。
沙菜は、そのまま成長したー。
大切なことを、何も学べないままー
生まれつき、憑依能力を持っていた沙菜はー
反省することもー
遠慮することもー
周囲と協力することもー
思いやることもー
学べなかった。
全て、自分の思い通りにできるー
そんな環境で育った沙菜は、
人間として大切な事を、何ひとつ学ぶことはできなかった。
気に入らなければ、捨てるー。
自分に反対するものは、”わるもの”
そんな考えのまま、沙菜は中学生になった。
中学に入学しても同じー。
沙菜はやりたい放題だった。
どんどん可愛くなっていく沙菜ー。
やがて、沙菜は、性的なものに目覚める年齢になると、
男子たちを自分のしもべにして、
毎日のように学校でエッチをしまくった。
「んふふふ~♡」
誰も沙菜には口出しができないー
沙菜は周囲を自分の都合のいいように染め上げて、
邪魔なやつは、”わるもの”として処分したー
そんなやりたい放題の人生を送りながら
沙菜は高校生にまでなった。
可愛らしく、大人しい雰囲気の美少女…
という感じの風貌だがー、
その中身は”子供のまま”
なんでもやりたい放題の超・わがまま少女だった。
高校でも、男子を従えて、
時には、他の女子の身体に憑依して
エッチをしまくった。
沙菜はエッチの魅力に溺れていたー
だがー
ある日ー
”それ”は始まったー
「--今日もエッチしよ~♡」
沙菜が、お気に入りの男子に抱き着く。
しかしー
”信じられない言葉”が返ってきた。
「う~ん…
今日は…いいかな」
「--!?」
沙菜は表情を歪める。
今までー
自分が誘えば喜んで男子たちは
乗ってきたはずだー。
男子全員に一度は憑依して、
沙菜にメロメロになるように
書き換えてある。
それなのにー
「ど…どうして?
わ、、わたし、今日ヤリたいの!」
沙菜が叫ぶ。
しかし、
その男子は、ぼーっとした感じで、
沙菜の言葉を拒否するのだったー
「----わるもの」
沙菜は、不貞腐れた様子で頬を膨らませたー。
高校生になっても
何も、変わっていないー
その放課後ー
その男子生徒は、屋上から飛び降りたー。
幸いー、一命は取り留めたものの、
意識不明の状態だったー
翌日ー
沙菜は男子とエッチがしたくてうずうずしていたー。
別の男子を誘う―
しかしー
その男子の反応も薄いー
「--はぁ?」
男子から否定されて、沙菜は思わず声をあげた。
「わたしとのエッチを拒否するなんて
あり得ないんだけど!?」
イライラした様子で自分の髪を掻き毟る沙菜。
そして、沙菜は叫んだ。
”あんたは、ポチよ!”
とー。
沙菜が光の玉になり、
その男子に憑依しようとするー
しかしー
「---!?!?!?!」
沙菜はー
光の玉になることができなかったー
”ど、どうして!?”
表情を歪める沙菜ー。
憑依能力が、、、使えない…?
「---わたし、何で沙菜と仲良くしてるんだろう?」
クラスの女子の一人がふいにそう呟いた
「確かに…というか、ウザくない?」
他の女子生徒も呟く。
「--!?!?!?」
沙菜は表情を歪める。
「ど、どういうこと!?」
クラスの女子は、全員絶対服従にしてあるはずー
なのにー?
沙菜は怒りの形相で
不満を漏らした2人の女子生徒を睨むー。
そして今度は、憑依能力をしっかり発動すると、
その二人の女子に憑依して、
二人の服を引き千切り、
そのまま校舎内を走らせてやったー。
二人は、即日退学になった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「…・…」
夜ー
沙菜は自分の手を見つめる。
沙菜は、”ある仮説”に
辿り着いていたー
それはー
”自分の憑依能力が失われつつある”
という仮説。
「--嘘よ!」
沙菜は、怒りの形相で立ち上がった。
そんなこと、あるはずがないー
自分は選ばれた人間なのだとー。
・・・・・・・・・・・・・・・
しかしー
沙菜の憑依能力はどんどん弱まっていた。
「---ねぇ!わたしとエッチしようよ!」
沙菜が不満そうな表情で叫ぶ。
いつも、誘えば必ずエッチに
応じてくれていた男子たちが
呆れ顔で言う。
「沙菜ちゃん、性格悪いからな~!」
「だよな!わがままだし!」
男子たちは、沙菜の憑依による影響から
抜け出しつつあった。
「---わるもの…」
沙菜が呟く。
「あんたたち、みんなわるものよ!
やっつけてやるから!」
大声で叫ぶ沙菜。
沙菜は光の玉になって、
そのうちの男子一人に憑依しようとしたー。
しかしー
男子の身体にぶつかった途端は、
沙菜ははじかれるようにして
吹き飛ばされてしまった。
「---ど、、どうして!」
沙菜は泣きそうになりながら
男子の方を見る。
「くそっ!くそっ!くそっ!」
沙菜は怒りの形相で
教室の床を叩き始めた。
生まれてからずっと
わがままを通してきた沙菜に
今の状況が耐えられるはずがなかったー。
そしてー
わがままを通してきた彼女はー
まるで、何も成長していなかった
「--あああああああああ!」
沙菜は怒り狂った形相で男子に襲い掛かる。
しかし、男子は呆れた表情で
それを軽く受け流すと、
教室から失笑が漏れだした。
「どうして…」
沙菜は次第に孤立していくー。
他の女子たちも、沙菜による憑依の影響から
抜け出し始めていたー
次第に沙菜はいじめの対象になりー
無視されるようになった。
「---どうして…」
沙菜は自宅でも学校でも、
不満を口にせずにはいられなかった。
自信に満ち溢れていた表情は
すっかり失われて、
髪もボサボサになり、
自暴自棄になっていたー
沙菜はーーー
成長と共に、憑依能力を失いつつあった。
人間、小さい頃に何か病気をしたり、
何か異常があっても、
成長するにつれて、それが治ることがあるー。
沙菜の”憑依能力”もそれだったー。
沙菜にとってはこの上ない最高の能力。
だがー、人間にとっては”異常”な能力。
体が、沙菜の意図しないところで、少しずつ
”異常”を取り払いながら成長した結果ー
憑依能力は弱まり、そして、完全に消えようとしていたー。
人間の身体の自己修復能力的なものが、
沙菜の”異常”な部分を勝手に治そうとしていたー
それゆえにー
憑依能力は消えつつあった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「---………わたし…」
刑務所で問題行動を起こし続けていた
沙菜の小学生時代の担任・涼子先生は
正気を取り戻していたー
学校で鞭を振るって暴れ―
婚約者にも呆れられー
あれから、もう何年も経った。
「わたし…どうしてあんなことしちゃったの…」
涼子先生は、すっかりおとなしくなり、
刑務所で、失意の日々を送るのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーー」
”ポチ”として、
脳を書き換えられてしまっていた
小学生時代のクラスメイト・丸江は、
正気を取り戻し、
沙菜に記憶を書き換えられていた
丸江の両親も、沙菜の力が
弱まったことで正気を取り戻した。
「–丸江」
「お母さん…!」
小学生時代から、”ポチ”にされていた丸江は、
ようやく解放されたのだった
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そしてー
学校で完全に孤立した沙菜は
変わり果てた姿で、教室の隅っこにいた。
学校の支配者としてわがままし放題だった沙菜。
しかしー
今は、もう、沙菜の言うことを聞く人間はいない。
沙菜は、髪をぐしゃぐしゃになるまで
掻き毟る。
「許せない…
許せない…
許せない…!」
唇から血が出るまで
唇をかみしめる沙菜。
絶対に許せないー。
どうして周囲は自分の思い通りに動かないのか。
みんなみんな”わるもの”ばっかりだ、と。
「----絶対に、許さない…」
自分の思い通りにならないー。
そんな気持ちを生まれてはじめて味わった沙菜には
今の状況は、到底耐えられるものではない。
沙菜は、教室の机を蹴り飛ばすと、
狂ったように笑いながら、
授業中の教室から飛び出してしまった。
唖然とする先生やクラスメイトたちー。
その日から沙菜は高校に来なくなった。
そしてー、家にも帰らなくなった。
消息を絶つ直前、
沙菜は、家族を含む、自分のLINEから
送信できる相手全員にこう送っていた。
”わるものは、正義のヒーローが
みんなやっつけるもん”
とー。
消息を絶った沙菜が、
今、どこにいるのかは、
沙菜にしか、わからないー。
おわり
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コメント
リクエストを題材とした作品でした~!
(原文は昨日のあとがきに~)
小さい頃からずっと憑依してやりたい放題だと、
急にそれがなくなったら、きっと皆様も…
お読み下さりありがとうございました!
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