いじめグループの女子は残りふたり。
怨霊と化した桃子は、
残りの2人への復讐を進めて行くー。
その先に待つ結末は…?
--------------------—
「だいじょうぶ…?」
桃子がまだ生きている頃ー。
桃子には支えになってくれる存在が居た。
クラスメイトたちはー
亜希奈たちにいじめの標的にされないように、
桃子がいじめられ始めてから、桃子を
避けるようになった。
けれどー
彼女は違った。
白石 穂乃花ー。
優しく、可愛らしい女子生徒。
彼女だけは、桃子のことを気にかけてくれた。
「うん。ありがとうー」
昼休みに、
中庭の木の下のベンチで
一人、落ち込んでいた桃子のことを
心配して、穂乃花はやってきたー。
「--何か、困ったことがあったら、何でも相談してね?」
穂乃花が優しく微笑む。
「うん…本当に、ありがとう」
桃子は、心から穂乃花に感謝したー。
穂乃花を巻き込むわけにはいかないー。
だから、桃子は、”助けて”とは言わなかった。
けれどー
”困ったことがあったら何でも相談して”と
そう、声をかけてくれるだけでも
嬉しかったし、十分、心の支えになったー
それからもー
穂乃花は桃子のことを気にかけてくれていたー
亜希奈、芙美、奈々枝の3人から
いじめを受けてもー。
しかし、
ある日ー
「--あはははははは!そんなこと言ってたの!?」
奈々枝が笑う。
「ふふふ…”わたし、何も悪い事してないのに”って
涙流してたよ」
聞き覚えのある声が聞こえるー
廊下の影から桃子は
その会話を覗くー。
そこには、穂乃花の姿があった。
「そういえばさ、なんであんたは
桃子の相談に乗ってあげてるの?」
奈々枝が言うと、
穂乃花は笑った
「だって…面白いんだもん!
困っている人に手を差し伸べるごっこ!」
穂乃花はクスクスと笑うー
桃子に見せたことのない、悪い顔ー
「---!!」
桃子は、唯一の心の支えを失ったー
そのあとに知ったことだったがー
穂乃花は八方美人タイプの女子だったー。
亜希奈たちとも仲が良くー
彼氏も次から次へと取り換えているという噂もあった。
「---穂乃花ちゃん」
ある日ー
桃子はいつものように相談に乗ってくれている穂乃花に
聞いてしまった。
「---わたしのこと…遊んでるの?」
とー。
穂乃花はその言葉を聞くと、にこりと笑って微笑んだ。
「---ふふふ
桃子ちゃんも亜希奈ちゃんたちも、
他のみんなも、み~んな、わたしのおもちゃなんだよ」
と…。
穂乃花は、その時その時、近くにいる人間と
”仲良し”のフリをして、
他人の不幸を喜ぶ、邪悪な少女だったー
返事を返せない桃子に向かって
穂乃花は微笑む。
「何かあったら、相談してね♪」
この期に及んでまだ、
穂乃花は”桃子に手を差し伸べるクラスメイト”を
演じていたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「--あれ?奈々枝ちゃん、今日はもう帰るの?」
放課後ー
穂乃花が、奈々枝に声をかける。
「う…うん…」
奈々枝はいつも美術部の副部長として
美術室に放課後は行く。
しかし、
今日はまっすぐ帰ろうとしていた。
「---ふ~ん、また明日ね~!」
穂乃花が微笑む。
生前の桃子に向けていた笑顔と、
同じ笑顔。
「--(助けて!)」
奈々枝は叫ぼうとした。
奈々枝はー
桃子の怨霊に憑依されているー
”今日の放課後、車に轢かれて自殺しようか”
桃子に、そう告げられている。
奈々枝は、恐怖していたー
間もなく自分はー
亜希奈や芙美と同じようにー
”そんなに助けを求めたいならー
チャンスをあげる”
桃子は、微笑んだー
「--助けて!」
奈々枝の口が自由を取り戻す。
その言葉を聞いた穂乃花が立ち止まる。
「え?」
穂乃花は薄ら笑いを浮かべたまま、
奈々枝の方を見た。
「--!?」
奈々枝は、自分で驚くー
さっきまで、
周囲に助けを求めようとすると、
憑依している桃子に身体の自由を奪われて
助けを求めることができなかった。
なのに、なぜー?
「--助けて…って?」
穂乃花が奈々枝の方を見て不思議そうな顔をする。
「--わ、、わたし…桃子に憑依されてるの!
このままじゃ、わたし、、自殺させられちゃう!」
奈々枝は叫んだ。
穂乃花が信じてくれるかは分からない。
けれどー。
亜希奈と芙美が立て続けに自殺している状況なら、
穂乃花は助けてくれるー
そう思った。
「--クス」
穂乃花が笑う。
「--ほ、穂乃花…」
奈々枝は、穂乃花の笑みに、嫌な予感を覚える。
「---いじめていた奈々枝ちゃんが
悪いんでしょ?」
とー。
「--ちょ、、ほ、穂乃花…!?」
奈々枝はすがるような声で穂乃花に
助けを求める。
「ーーーふふふ、また明日ね」
穂乃花は笑うと、
そのまま立ち去ってしまったー
”桃子に憑依されている”という言葉を
信じてくれなかったのか―
それとも
”分かった上で、見捨てられたのか”
奈々枝は、絶望の表情を浮かべた。
”ほら、穂乃花ちゃんってそういう子だもん”
桃子が、絶望する奈々枝に告げた。
そしてー
”さ、自殺しに行きましょ”
桃子が冷たい声で告げる。
「---あ…」
奈々枝は無表情になって、
学校から外に出たー
”以前、桃子を突き飛ばそうとした交差点”の方に
向かっていく奈々枝。
奈々枝は目から涙をこぼすー
もう、自殺を避けることはできないー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「----…」
学校に残っていた穂乃花は微笑む。
「---」
亜希奈、芙美が立て続けに自殺した。
そしてー
さっきの奈々枝の言葉ー
「--う~ん、呪いかな」
穂乃花は少しだけ微笑む。
いじめをする方が悪いー。
自分は、桃子に救いの手を差し伸べたー
亜希奈と芙美と奈々枝は、そうではなかったー
だから、呪われるのよー
穂乃花はそう思いながら、笑っていた。
「クラスメイトが次々と自殺とか…
なんだか、エキサイティング」
穂乃花はこの状況を楽しんでいたー
そしてー
”自分は桃子に手を差し伸べていたから
桃子に恨まれていないー”
と、本気でそう思っていたー
穂乃花は、自分の都合の良いように
何でも解釈する少女だったー
「♪~」
ご機嫌そうに廊下を歩く穂乃花。
「あ~、そうだ!
そろそろ今の彼氏と別れよっと!飽きたし!」
穂乃花はそう言って、スマホを取りだすと
”今の彼氏”に別れを告げるのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「いや…だ…」
奈々枝が目から涙をこぼすー
前に桃子を突き飛ばそうとした交差点に奈々枝は居る。
”--ふふふ…あんた、自分が可愛いと思ってるのよね?”
桃子が言う。
返事をしない奈々枝。
桃子はさらに続けた
”みんなに見てほしいのよね?
だったら最後に、大注目、集めさせてあげる”
桃子はそう言うと、
奈々枝の身体を完全に乗っ取って叫んだ。
「-みんな、可愛いわたしを見て~!!」
とー。
大通りで服を脱ぎ捨てる奈々枝。
”やめて…やめて!”
心の中で泣き叫ぶ奈々枝の声を聞いて
桃子は微笑んだ。
「わたしが何度何度何度、”やめて”って
言っても、あんたたちはやめてくれなかった」
低く、冷たい声。
”ひっ…”
奈々枝は自分の死が回避
できないことを悟り、悲鳴をあげた。
そしてー
奈々枝は、モデル歩きをしながら
交差点に入っていきー
そのままーー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜ー
「---…ただいま~」
穂乃花が帰宅する。
穂乃花の元に友達からのLINEが入る。
”ねぇねぇ、奈々枝が交通事故で死んだって聞いた?”
”なんか、自分から車に突っ込んで…”
「---」
穂乃花はそれを見ながら微笑んだ。
「あ~あ…
いじめばかりしてるからよ」
とー。
穂乃花は亜希奈・芙美・奈々枝の3人とも
親しかった。
だがー
それはあくまでも表面上だけ。
いじめられていた桃子ともそう。
表面上だけ。
穂乃花は、表面上だけ繕うことで生きている。
それはー
”バカ野郎!”
自宅の1階から、”義理の父”の怒声が聞こえる。
母は、本当の父と離婚して
再婚したー。
再婚した男は、暴力夫だった。
穂乃花も、小さい頃は、よく暴力を振るわれた。
そんな父から身を守るため、
穂乃花は自然と”表面上親しくする”
術を身に着けたのだったー
今では、穂乃花が義理の父から
殴られることはない。
何故ならー
穂乃花は”気に入られている”からだー。
「ふふふ…」
穂乃花は微笑む。
桃子ちゃんの呪いで
あの3人は死んだー。
自分のように、桃子ちゃんとも仲良く
しておかないからそうなるのだとー。
「--!?」
ふと、穂乃花が振り返ると、
そこには”赤い目”が浮かび上がっていた。
「---あれ?」
穂乃花は笑う。
「もしかして、桃子ちゃん?」
ーーと。
桃子は、穂乃花の反応が
あっさりしていることに少し驚きながらも呟いた。
”そう、桃子よー”
とー。
これで復讐は終わり。
いじめ女子は4人ー
穂乃花が最後のひとり。
「---別れの挨拶?」
穂乃花が呟く。
「--ごめんね。助けてあげられなくて。」
穂乃花は悲しそうに呟く。
その様子が、桃子をさらに苛立たせた―
穂乃花はー
”微塵も自分が悪いと思っていない”
だからこそ、
今、この状況にもまったく怯えが無い。
亜希奈たちへの復讐を終えた
桃子が、”生前、手を差し伸べていた”
穂乃花に、別れの言葉とお礼を告げに来た、と
そう解釈しているのだ。
”違うー”
桃子が呟いた。
「え?」
穂乃花が微笑む。
”あんたで最後のひとりよ”
「--ー!?」
穂乃花が信じられないという表情を浮かべる。
「な、、…わ、、わたしは、桃子ちゃんを
助けようとしたよね?
わたしは…!?」
とたんに動揺する穂乃花。
”ゆるさない ゆるさない ゆるさない”
桃子の憎悪が爆発した。
目が真っ赤に光る。
そのまま、桃子は、穂乃花の方に近づきー
そしてー
「きゃああああああっ!?」
穂乃花が悲鳴を上げる。
”あんたの身体、貰うわ”
桃子が呟いた。
「ひっ…!?や、やめて…?」
穂乃花が必死に助けを求める。
”自分も自殺させられてしまう?”
穂乃花の脳裏にそんな恐怖がよぎった。
しかし…
”--何か、困ったことがあったら、何でも相談してね?
って…言ってくれたよね?”
桃子が呟く。
「---ひっ!?!?
う、、うん、い、、言ったよ!」
穂乃花が笑いながら慌てて言う。
”じゃあさ…
わたし、身体無くなっちゃって
困ってるんだ~…”
桃子が恨み募る声で呟く。
「---!!」
穂乃花は恐怖を浮かべて、
返事することもできない
”あんたの身体、貰うね”
桃花がクスクスと笑いながら呟いた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
復讐はおわったー
いじめ女子たちの全てを奪ってやったー
亜希奈もー
芙美もー
奈々枝もー
もういない。
そして、穂乃花は…
翌日ー
「おはよ~」
学校の教室ではいつも通りの
光景が広がっている。
亜希奈ー
芙美ー
奈々枝の3人が自殺した。
学校は対応に追われている。
けれども、授業はいつも通り。
「--おはよう」
穂乃花が教室に入ってくる。
何人かのクラスメイトと会話を交わして
穂乃花は自分の座席へと着席した。
「ふふふ…」
穂乃花は小さく微笑む。
「今日からわたしは、穂乃花…」
穂乃花は、そう呟くと
目を赤く光らせるのだった…。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
ダークなお話でした~
最初に内容を考えたときは、
夏なのでホラー!と思っていたのですが、
最終的には、ホラー要素はあまりなくなりました!笑
お読み下さりありがとうございました!!
コメント
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いつも見てます!
以前の家族シャッフルの中にあった、男の子に女性が憑依するまたは、男の子になった女性視点の物語をリクエストしたいです!
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男の子になった女性じゃなくて、男の子と入れ替わった女性視点の物語でした!誤字すみません!
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> いつも見てます!
> 以前の家族シャッフルの中にあった、男の子に女性が憑依するまたは、男の子になった女性視点の物語をリクエストしたいです!
ありがとうございます~☆!
リクエスト受け取りしました~!
家族シャッフルの番外編で書くか
別のお話でそういうお話を書くか、
どっちにするか、まだ考え中ですが、
楽しみに待っててくださいネー!
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> 男の子になった女性じゃなくて、男の子と入れ替わった女性視点の物語でした!誤字すみません!
報告ありがとうございます~☆!
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リクエストにお答えいただき光栄です!よろしくお願いしますm(_ _)m
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> リクエストにお答えいただき光栄です!よろしくお願いしますm(_ _)m
こちらこそありがとうございます~!
書くまでに時間がこともあるので
気長にお待ちくださいネ~☆!