<憑依>怨念の目②~怨霊~

いじめで追いつめられて命を絶った少女ー。

復讐のため、怨霊としてよみがえった彼女は、
いじめっ子女子たちに憑依していき…・?

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「きゃははははははは!」

屋上に少女の声が響き渡るー
スポーツ万能の女子生徒・川田 芙美。
ショートへアーの男勝りな生徒で、
桃子のことをよくいじめていた。

屋上に呼び出された桃子は、
芙美から、暴行を受けていた。

そして、芙美は笑う。

「あんた、そこから飛んでみれば~?」

とー。

屋上のフェンスのない部分を指さして、
芙美は笑う。

「あんたなら鳥さんみたく空飛べるかもよ~?」

鳥の真似をしながら
大笑いする芙美。

「--い…いや…」
桃子は怯えた表情で言う。

「きゃははは!
 大丈夫だよ~!
 もし飛べずにそのまま落っこちて死んでも
 みんな自殺だと思うし、
 あたしもみんなも困らないからさ!」

芙美はゲラゲラと笑う。

桃子は芙美を睨みつけるー。

スポーツ万能な芙美と仮に喧嘩をしても勝てないー

他の3人と1対1なら勝てるかもしれないー
けれど、芙美は、無理だ。

「おらぁ~!」
体育の授業ー

スポーツ万能な芙美が、
サッカーの授業中に
”わざと”桃子の方にボールを蹴る。

桃子にボールが当たる。

「ごめ~ん!」
芙美は笑うー

体育の授業は”公然の暴力が出来るー”
”事故”を装えば、先生に怒られることもないー

芙美は笑うー。
「きゃはははははは」

とー。

生きている間は、何もできなかったー
でも、今は違うー

復讐してやるー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「きゃああああああああっ!」

自宅で、学校に行く準備をしていた芙美は、
悲鳴を上げた。

目の前にー
”赤く光る目”が
浮かんでいたからだー

「な…な…な、、なんなの…!?」
怯える芙美の目の前に浮かぶ赤い目はさらに
目を赤く光らせると、
芙美に語りかけた。

”桃子よ”

とー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

学校では、騒ぎが起きていたー

「ねぇ、聞いた?」
お嬢様育ちの奈々枝が言う。

「え?」
八方美人の穂乃花が首をかしげる。

「昨日、、亜希奈が自殺したんだって」
登校してきた穂乃花に奈々枝が言うと、
穂乃花は、笑った。

「へ~そうなんだ」
亜希奈と仲良しの奈々枝は、
亜希奈の自殺に少なからず動揺していた。

しかしー
八方美人の穂乃花は違った。

いじめを受けていた桃子に味方のように
接していた彼女はー
桃子のことなど、何とも思っていなかったー

そしてー
いじめグループとして、仲良くしていた
亜希奈のこともー。

穂乃花は、他人に上手く取り入りながら
生きているー
本心では、誰とも仲良くしているつもりはないー
他人は、全て、自分を引き立てるための、駒ー

「--ず、随分あっさりね」
奈々枝が言うと、穂乃花はにっこり微笑んだ。

「死んじゃったんじゃ、どうこう言っても、仕方ないでしょ?」

とー。

ガラー。

教室にスポーツ万能の芙美が入ってくる。

「あ、芙美!おはよう」
奈々枝が言う。

”助けて!”
芙美はそう叫ぼうとしたー

昨夜の亜希奈と同じように
芙美は桃子に憑依されていたー

「---おっはよ~!」
芙美は元気よく挨拶する。

桃子に憑依されてー
都合の悪いことは言わせないように
されているー

「---ねぇねぇ、聞いた?」
奈々枝が困惑した表情で呟いた。

「---亜希奈、自殺したんだってー」

その言葉に、芙美は、悪寒が走るほどの
恐怖を感じたー

”亜希奈が自殺したー?”

芙美は思うー
自分は今、桃子の亡霊に憑依されているー
何のためにー?
そう疑問に思っていたー

しかしー
これで、はっきりしたー。

桃子は、あたしを殺しにきたのだとー。

”ど、、どういうことよ!?”
芙美は、心の中で、桃子に語りかけた。

桃子は冷たい声で呟いた。

”あんたは、今日の昼休み、自殺するのー”

と。

「--!?」
芙美はこの上ない恐怖を感じたー。

”屋上からー
 飛ばせてあげるー
 
 芙美なら、鳥さんみたいに
 空飛べるかもね?”

「----!!」
芙美は、自分が以前、桃子に言った言葉を
思い出す。

桃子に、屋上から飛び降りるように
言ったことがあるー

「ちょ…じょ、冗談、、やめてくれる?」
芙美が言う。

しかしー
”冗談じゃない。本気よ。
 最後の学校生活ー楽しむことね”

桃子は冷たくそう言い放った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

1時間目ー国語
2時間目ー数学

どんどん、昼休みが近づいてくる。

「--ねぇ、今日も、顔色悪いけど、大丈夫?」
いじめグループの一人、穂乃花が心配して、
芙美に声をかけた。

「え…あ、、うん」
”助けて”と叫ぼうとする芙美の言葉は
かき消されて、桃子が勝手に返事をする。

「---亜希奈の自殺で動揺してるの?
 だいじょうぶだいじょうぶ
 心配いらないよ」

穂乃花が笑う。

「--亜希奈も、心が弱かったんだよ!
 だから、ほら、芙美も落ち込んじゃダメだよ!」
穂乃花がファイト!と言いながら
可愛らしいポーズをとると、
隣のクラスの彼氏に呼ばれて立ち去って行った。

”---わたしの味方のふりをしてー”
芙美に憑依している桃子が呟いたー

許せないー
滅茶苦茶にしてやるー

桃子はそう思った。

けど、まずはー
芙美への復讐が先だー

3時間目ー社会ー

4時間目ー体育。

体操服に着替えた芙美は
震えていた。

”ほら、どうしたの?最期の体育、楽しみなさい”
桃子が言う。

「ね、、ねぇ…お願い…
 あ、、あたし、、何でもするから!
 あたしの身体、少しの間なら貸してもイイから!」

芙美が叫ぶ。

しかしー
”あんたの身体なんていらないー。”

桃子の言葉は冷たかった。

”いじめっ子の薄汚い身体なんて、いらないー”

桃子の冷たい言葉ー

それは、芙美が
”昼休みに自殺”する運命を
避けることはできないー

と、いうことを示唆していたー。

そしてー
昼休みが訪れる。

「ねぇ、一緒にお昼食べよ?」
お嬢様育ちの奈々枝が芙美をお昼に誘う。

しかしー

「いい…」
芙美は、愛想なくそう答えると、
呟いた。

「あたし、自殺するから」

とー

「--!?」
奈々枝は驚いて、芙美の方を見る。

がー
既に乗っ取られている芙美は、
そのまま虚ろな目で屋上に向かった。

「---!!」
奈々枝は、”聞き間違え…よね?”と
思いながら昼食を食べ始めるのだったー

屋上に辿り着いた芙美は笑う。

「きゃははははははは~!
 わたしは鳥さん~!」

とー。

目からは涙がこぼれている。

”くふふ…私を自殺に追い込んだんだからー
 その覚悟はできてるのよね?”

桃子が笑う。

”いや…やめて…やめろ!”
芙美が叫ぶー

けれどー

「大空をとびま~す!」

そう叫ぶと、芙美は屋上からジャンプして、
鳥のように手をパタパタさせたー

当然、飛べるはずもなくー
芙美はそのまま落下してー
即死した―

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

学校中が騒ぎになる。

「嘘…」
お嬢様育ちの奈々枝は、怯えていたー

いじめていた桃子が死んだー。
桃子いじめの主犯である亜希奈が自宅で自殺したー

そしてー

騒ぎになっている現場に立ち尽くす奈々枝。

さっきまで普通に話していたはずのー
芙美がー飛び降りて自殺した。

「--う、、、嘘…」

奈々枝は放心状態だった。

明らかに、おかしいー。

「あ~…」
八方美人の穂乃花がにこにこしている。

全然悲しそうにしている様子もない。
全然怯えている様子もないー。

「--ほ、穂乃花!あ、あんた何とも思わないの?」

その言葉に、穂乃花は笑う。

「死んじゃった人のこと考えても、仕方ないし…」

とー。

「---…ちょ、ちょっと!」
奈々枝は、あまりにも冷たい穂乃花の態度に
腹を立てたー

「---はぁ…」
奈々枝はイライラしたまま、
お手洗いへと入るー。

「---…何が、起きてるの…?」
奈々枝は困り果てた様子で鏡を見つめるー

!!

奈々枝は表情を歪めた。

背後に、赤く光る何かがー

「--きゃあああああああ!?」
奈々枝の背後に、
赤く光る目が浮かんでいた。

”ーー許さない…”

赤く光る目が呟いた。

その子はー
自分たちがいじめていた桃子の声だった。

「も…桃子なの…?」
奈々枝が怯えた様子で言う。

赤く光る目は、
返事をする変わりに、
目をさらに赤く輝かせたー

・・・・・・・・・・・・・・・

「--ど~ん!」

奈々枝が、横断歩道で信号待ちしていた桃子を
後ろから押した。

桃子は思わず車道に飛び出しそうになってしまう。

「ちょっと~やめなよ~!」
芙美が笑う。

数週間前の出来事ー。

「---な、、何…?」
桃子は振り返って怯えた様子で言う。

「--別に~?」
奈々枝は笑う。

「--あ、、危ないからやめてよ!」
桃子が反論するー。

奈々枝は、そんな桃子を見て笑いながら呟いた。

「あんた、見ててウザいのよね~
 車に惹かれて死んじゃえばいいのに~!」

奈々枝の言葉に、一緒に歩いていた
芙美と亜希奈が笑う。

「---ほら、ど~せブスなんだし、
 車に轢かれてぐっしゃぐしゃになったって
 対して変わらないでしょ?」

奈々枝が自分の髪をいじりながら笑う。

「---」
桃子は悔しそうに奈々枝の方を睨む。

「何よその目?」
奈々枝が桃子を睨み返す。

「あんたみたいなブス、
 かわいいわたしには、一生勝てないんだから…あはははは」

奈々枝はことあるごとに桃子をブスとからかったー。
陰険ないじめを繰り返したー

許すことはできないー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「---あ…ア…」
赤い目となった桃子に憑依された奈々枝。

”あんたの身体は、わたしのものよ”
桃子が呟いた。

「ひっ…?」
奈々枝は怯えた表情で鏡を見る。

自分の背後に、桃子の顔が浮かび上がる。

桃子は、邪悪な笑みを浮かべていたー

”車に轢かれてぐっしゃぐしゃに
 なっちゃおっか”

桃子が、笑いながら呟いた。

「---ひっ…!?や、、やめて…?」
奈々枝は自分の身体の自由が効かないことに気付き、
怯えた表情で呟く。

”どうせ、あんたみたいなブス、
 ぐっしゃぐしゃになったって対して変わらないし”

桃子はかつて自分が言われた言葉を
口にした。

「---わ、、わたしは、ブスじゃない!
 わたしは可愛いもん!」

奈々枝は叫んだ。

しかしー
直後、奈々枝の手が勝手に動き、
自分の顔面を思いきり殴りつけた。

「ひっ…?」
奈々枝が涙目になるー。

お嬢様育ちのプライドの高い
奈々枝が、恐怖で表情を歪めた。

”--でも、性格ブスでしょ?”

桃子はクスクスと笑った。

そしてー

”今日の放課後ー
 横断歩道で飛び出して自殺しよっか。
 あんたの大好きなパパとママにも
 迷惑かかっちゃうけど、
 仕方ないよね?ふふふ”

桃子の言葉に、奈々枝は凍りつく。

「や…やめ…て…」

奈々枝はやっとの思いで呟いた。

奈々枝は、お金持ちのお嬢様だ。
いつも”パパとママがなんとかしてくれる”が
口癖だったー

そのことを皮肉った桃子の言葉に
奈々枝はさらに恐怖する。

「ま、、まさか…亜希奈と芙美もあんたが…?」
奈々枝が言うと、

「そうよ…」
と奈々枝の口から言葉が漏れた。

そしてー
奈々枝は笑みを浮かべる。

「--わたし…
 今日の放課後、車に轢かれて死んじゃいま~す!うふ…♡」
嬉しそうに微笑むと、
奈々枝はトイレから外に出て、
教室の方へと向かったー

③へ続く

・・・・・・・・・・・・

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怨霊と化した桃子ちゃんの復讐…。
残りの2人は、どうなってしまうのでしょうか…!

最終回は明日デス~

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憑依<怨念の目>

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