壮絶なイジメを受けて、
彼女は、自ら命を絶ったー。
怨念と化した彼女は、
いじめっ子たちへの復讐を開始するー
------------------------------
いつからだったかは分からないー
きっかけも分からないー
けれどー
彼女は、いじめられた。
同級生4人から、壮絶ないじめを受けたー
その末に、彼女はー
”自ら命を絶つ”選択をしたー。
中学時代までは、幸せだったー
友達も多く、むしろクラスでは、
友達も多いほうだったと思うー
けれどー
人間、何が起こるか、分からない。
ほんの些細なことがきっかけで、
いじめのターゲットとなり、
苦しい日々を過ごすことになりー
そしてー
壊されるー。
何か、”少しでも”違っていたならばー
まったく違う人生を送っていたかもしれないー
けれどー
彼女は、いじめを受けて、
自殺してしまったー
それが、現実だー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あははははは!桃子(ももこ)
自殺しちゃったんだって~!」
4人組の女子のうちの一人が笑う。
「ねぇ…それってヤバくない?」
お嬢様育ちの女子・奈々枝(ななえ)が言う。
「---大丈夫っしょ!問題ないない~!」
最初に笑ってたショートカットの女子生徒・芙美(ふみ)が
ゲラゲラと笑う。
「--ねぇ、本当に大丈夫なの?」
お嬢様育ちの奈々枝が言うと、
4人のリーダー格の女子生徒が答えた。
「ふふ…大丈夫よ」
生徒会副会長の亜希奈(あきな)は微笑む。
あの子が自殺したー?
そんなこと、関係ない。
あの子が勝手に命を絶っただけー。
わたしたちが、責められるいわれはない。
亜希奈の言葉に、
他に3人の女子は安堵の表情を浮かべるー。
そうー
問題になるはずがないー。
桃子の自殺は、わたしたちには
”関係ない”のだからー。
北道 亜希奈 (きたみち あきな)
生徒会副会長ー。真面目で頼りがいのある性格ー
と、表向きでは思われているものの、とても陰険な女子生徒
松尾 奈々枝(まつお ななえ)
お嬢様育ちの女子生徒。とてもワガママ
川田 芙美(かわた ふみ)
スポーツ万能の女子生徒。いい加減でがさつ。
白石 穂乃花(しらいし ほのか)
八方美人な女子生徒。いじめを受けていた桃子のことも
”心配する”素振りを見せていたー
桃子はー
4人の女子生徒からいじめを受けて自害したー
この4人を、許すことはできないー
そんな思いを抱きながらー
そしてー
「------ゆる…さない…」
死んだはずの桃子が意識を取り戻したー
いやー
桃子は、死んでいるー
葬儀の会場ー
桃子は、棺の中で目を覚ました。
「-------」
一度死んだ桃子は、強い恨みを抱いていたー
亜希奈、奈々枝、芙美、穂乃花ー
絶対に許さないー
と。
桃子の強い怨念が、
桃子を怨霊として生まれ変わらせたー
身体は死んでいるー
だがー。
桃子の遺体の左目だけが開き、
真っ赤に染まった左目が、
桃子の身体から離れてー
宙に浮かび上がって行くー
「きゃあああああああああああ!?」
葬儀会場に悲鳴が響き渡る。
空中に”赤い目”が浮かび上がってきたからだー
悲鳴に包まれる葬儀会場。
そんなことを気にもせずに
”桃子の左目”は、赤い輝きを放ったまま、
どこかへと飛び去って行くー
「許さない…」
強い憎しみを抱いたまま、
怨霊と化した桃子は、
左目だけの姿になって、
”復讐”のために動き始めたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
桃子の自殺は、
ただの自殺として片づけられた。
「--だから、心配する必要ないって言ったでしょ?」
リーダー格の亜希奈が微笑む。
「さっすが、副会長!」
ショートへアーの芙美が笑う。
「--でもまさか、自殺なんかするなんて
ほんっと迷惑よね」
お嬢様育ちの奈々枝が言うと、
「まったくね…」と亜希奈が微笑んだ。
「---ま、もう目障りなアイツは
消えたんだし、どうだっていいじゃない」
亜希奈の言葉に、他の3人は頷いた。
「---それにしても、あんたも悪い女よね~」
奈々枝がからかうようにして言う。
いじめっ子4人組の一人・穂乃花は、
いじめられている桃子を慰めるような
行動もとっていた。
穂乃花は八方美人な性格で、
誰にでも、都合の良いことを言うタイプだー。
桃子を慰めるようなことを言いながら
桃子のことを、亜希奈たちに伝えていた。
「え~?なんのこと~?」
穂乃花がにこにこしながら言うと、
亜希奈は
「あんたが一番、性格悪いかもね」と笑うのだったー
・・・・・・・・・・・・・・・・
放課後ー
「ありがとうございました」
亜希奈が職員室から外に出る。
先生にとあることを褒められたのだった。
とても可愛らしく、真面目な容姿の亜希奈は、
先生からの信頼も高い。
表向きは、とても”真面目”な生徒だからだー。
「---ただいま~」
亜希奈が家に帰る。
「あ、お姉ちゃん!お帰りなさい!」
妹が出迎える。
妹を見て、亜希奈は優しい笑みを浮かべると、
妹と雑談して、自分の部屋へと向かった。
亜希奈には、妹が一人いる。
学校では陰険な亜希奈も、妹のことは心から
大事にしていて、とても仲が良い。
「---!?」
自分の部屋についた亜希奈は、
思わず手を止めた。
「---え…?」
亜希奈が目を疑う。
自分の部屋中に”赤い文字”が
刻まれていたのだ。
「---な、なにこれ!?」
亜希奈は思わず叫ぶ。
亜希奈の部屋に刻まれていた文字は
”怨”-。
「--え…え…?」
亜希奈は、一瞬妹のイタズラかと思ったが
そんなことするはずがないとすぐに考え直す。
その時だったー
亜希奈の背後から、赤い光が放たれる。
「-!?」
亜希奈が振り返ると、
そこには不気味な”赤い目”が宙を浮遊していた。
「ひっ!?」
亜希奈は思わず驚いてしまうー
”ゆるさない…”
口も、顔もない、その目から、
声が聞こえたー
「---な、、何なの!?」
亜希奈が叫ぶと、
赤い目がさらに輝きを増した。
”許さない…復讐してやる…”
その声に聞き覚えがあった。
その声の主はー
自殺した桃子ー。
「--ひっ…ま、、まさか、桃子!?」
亜希奈は思わず尻もちをついてしまう。
怯えた表情の亜希奈が、
桃子の目を見るー
”許さない
許さない
許さない”
呪文のようにその言葉を呟く桃子。
「ーーーま、、ま、、待って!」
亜希奈は目に涙を浮かべたー
いじめを始めた理由は何だったかー。
それは、亜希奈自身もよく覚えていない。
何気ない理由だったかもしれない。
いじめ始めてからは、桃子のやることなすことが
全て、憎たらしく見えた。
やがて、意味もなくいじめることが快感になってしまっていた。
そしてー
赤く光る目となった桃子が
亜希奈の方に近づいてきたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ーーーー
「うっ…」
亜希奈は目を覚ます。
「---はっ!?」
亜希奈は周囲を見渡した。
自分の部屋ー。
怯えた様子で周囲を見る。
しかしー
「---よ、、よかった」
亜希奈はほっと胸をなでおろす。
どうやら、学校から帰ってきて、
疲れてそのまま寝てしまい、
夢を見ていたのかもしれない。
5時ー
晩御飯までまだ少し時間がある。
「---やな夢見ちゃった…」
亜希奈は呟く。
桃子が自殺したことなんて、どうでもいいし、
どうにでもなる。
父は教育委員会関係者だ。
もしも問題になりそうになっても、
父が守ってくれるー
けどー
無意識のうちに桃子が自殺したことを
どこかで気にしてしまっていたのかもしれないー。
「----ふぅ」
ようやく落ち着いてきた亜希奈は、
ふと、鏡の方を見た。
「---!?!?」
亜希奈は目を見開くー
左目がー
赤く光っているー
「--えっ!?」
亜希奈はビクッとする。
そしてー
”ふふふふ…許さない”
桃子の声が頭に響き渡る。
「---も、、桃子!?
ど、どこにいるの!?」
亜希奈は必死に叫んだ。
その言葉に返事をするかのように
亜希奈の左目がさらに赤く光るー
「---!」
亜希奈は気づく。
目だけだから分かりにくいがー
よく見ると、左目が自分の目ではなくなっている。
「--くふふふふふ」
亜希奈の口が勝手に動く。
ー!
「この身体は、わたしのもの…
許さない…許さない…」
亜希奈の口から、呪いの言葉が発される。
「や…やめて…!やめて…!」
亜希奈は必死に叫んだ。
亜希奈は、家族に助けを求めようとして、
自分の部屋から飛び出して1階に駆け下りる。
”今日が、あなたの最後の一日ー”
脳に声が響き渡るー
”わたし、、あんたらのせいで、自殺しちゃったの”
桃子の言葉ー
亜希奈は必死に家族の元に向かう
”あんたら4人にも、自殺してもらうわー。
わたしと同じ苦しみ、味あわせてあげるー”
怨霊となった桃子が今、考えていることは、
”復讐”のみー。
亜希奈たち4人への、復讐ー。
「---たすけて!」
亜希奈は母と妹がいるリビングに辿り着くと叫んだ。
「--」
しかし、母も妹も反応しない。
「--!?」
亜希奈は困惑する。
「---ねぇねぇ、お母さん!今日の晩御飯はなぁに?」
亜希奈の口から勝手に言葉が出る。
ーーー!?
”この身体はわたしのものよ”
「--!!」
亜希奈は恐怖したー
怨霊の目となり、亜希奈に憑依した桃子は、
いつでも亜希奈の身体を自由に操れる。
”たすけて”と叫んだつもりだったが、
叫べていなかったのだー
亜希奈はニコニコしながら
母と妹と食事を済ませる。
妹と何気ない会話をする。
「お姉ちゃん!来週の映画、楽しみだね!」
無邪気に笑う妹。
「うん!」
亜希奈も勝手にそう答えた。
”や、、やめてよ…!”
亜希奈は心の中で泣き叫ぶ。
しかしー
”--ふふふ、あんたに来週はない”
桃子が冷たい声で言い放つ。
そしてー
亜希奈に身体の自由が戻ってきた。
”このあと、部屋で自殺するわ”
脳の中の桃子が言う。
”最後の家族とのひと時、楽しむのね?”
桃子の冷たい声―
亜希奈は助けを求めようとするー
しかしー
”普通の行動以外のことをしようとしたら
わたしがあんたの身体をすぐに乗っ取る。
余計なことをしようとしたら、今すぐここで
自殺してもいいのよ?”
脅迫する口調の桃子。
亜希奈は震えながら、いつも通り過ごす。
「--お姉ちゃん~!来月の誕生日、何が欲しい?」
妹が無邪気に笑う。
「ら…来月…え…え~っと」
亜希奈は冷や汗をかきながら答えた。
「え…えっと…」
目から涙をがこぼれる。
”自分に来月は訪れないー”
恐らく、自分はこのあと、桃子に殺されるー
亜希奈は目からぽたぽたと涙をこぼし続けるー
自分が死んだら、妹はどう思うだろうかー
母や、父はー
「--お姉ちゃん?どうして泣いてるの?」
妹が首をかしげる。
「------」
”助けて”と言おうとしたが、桃子に操られて
”大事なこと”は言えないー
亜希奈は、そのことを悟ると、
妹を抱きしめた。
「--いつまでも、大好きだよ」
泣きながら妹を抱きしめる亜希奈。
そしてー
”時間よー”
冷たい声が響き渡る。
身体の自由が奪われる。
「---…じゃ、わたし、部屋で勉強するから」
亜希奈は急に無表情になると、
そう呟いて、自分の部屋へと向かう。
ゆっくり、ゆっくりとー。
部屋に辿り着いた亜希奈は、
部屋の中を乱暴に荒らすと、
首を吊る準備を整える。
その表情は、不気味に微笑んでいた。
”お願い!助けて!!やめて!!!”
亜希奈が叫ぶ。
身体は完全に乗っ取られている。
”---今更、都合の良いこと
言わないでくれる?”
桃子は冷たい声で言い放った。
”いじめで、わたしを自殺に追い込んだんだからー
自分も自殺に追い込まれる覚悟はあるのよね?”
桃子の言葉に
亜希奈は泣き叫ぶ。
しかしー
無駄だった。
亜希奈は満面の笑みでー
首を吊りー
そしてー
”自殺”したー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
悲惨な状況で倒れている亜希奈ー
まもなく家族に発見されるだろうー
赤く光る目はー
そんな亜希奈の様子を見つめて
満足すると、
”次”へと向かうー
「--わたしをいじめていたのは、あと3人ー」
怨霊の目となった桃子は、
残りの3人への復讐を果たすため、
亜希奈の家を後にしたー
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
自殺に追い込まれた少女の復讐のお話デス…!
ダークなので、好き嫌いが分かれそうですネ…!
嫌いじゃない方は、明日以降もお楽しみに~!
コメント