<憑依>わたしとあたし①~愛~

ある大学生カップルはとても仲良しだったー。

しかし、デートの最中、彼女が事故に遭ってしまう…。

彼女は思うー
”死にたくない”と。

そんな彼女の思いが奇跡を起こし、近くにいたギャルに憑依するー。
その身体を自分に出来るだけ近づけて再び、大好きな彼氏と接近する彼女。

けれど…?

※リクエスト作品デス!

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「---今日も楽しかったね」

彼氏に向かって、
御崎 真彩(みさき まや)が呟くー。

「あぁ…また来ような」

雪が降る中、
イルミネーションを見終えた2人は、
その余韻に浸りながら、
帰路についていた。

彼氏の後藤 康史(ごとう やすし)が
真彩の方を見て優しく微笑む。

大学生カップルの
康史と真彩はとても仲良しー。

清楚な雰囲気を持つ
心優しい彼女の真彩は、
これ以上ない幸せを感じていたー

しかしー
その幸せは突然壊されるー

デートのおわり。
康史は真彩の方を見て、
真彩の肩を掴んだ。

向き合う2人ー

優しく降りしきる雪の中ー

二人は、
キスをしようとしたー

しかしー

「---!!!」

真彩が目を見開くー

康史の背後から
信じられないものがこちらに迫っていたー

”車”

ここは、車道では無いー

広々とした歩道だー。

何らかの理由で歩道に乗り上げてきた車が、
康史の背後から、こちらに迫っていた。

「--危ない!」
真彩は叫んだ。

車が2人に衝突するまで、
ほんの数秒ー

真彩はとっさに、康史を突き飛ばした。

「--!?真彩!?」

康史を突き飛ばした真彩はー
康史の無事を確認することもできないままー
暴走車に突き飛ばされてー

そのまま、身体ごと吹き飛ばされたー

「---あ…」

真彩自身も、一瞬のことで
何が起きたか分からなかったー

「---…あ…」

真彩は自分の身体に力が入らないことに気付くー
”車にはねられたー”

真彩は、すぐにそう思った。

そしてー
最初に心配したのは、
彼氏の康史のことだったー

康史は無事なの?

真彩は必死に周囲を見渡すー

身体が熱いー
何だか湿ったものがー…

それが自分の血だと気付くこともできずに、
真彩は必死に周囲を見渡したー

そしてー

「---ま、、真彩…!」
少し遠くで、唖然としていた彼氏の康史が
こちらに駆け寄ってきた。

「よかった…」
真彩は苦しみながら笑みを浮かべるー

康史は無事だー。

「---…いやだ…」
康史の無事を確認した途端、
恐怖心が湧きあがってきた。

”死にたくない”

真彩はそう思った。

周囲には、わずかながら
人だかりが出来ているー

「いやだ…康史と…もっと一緒に…」

真彩はそう呟きながら
康史の方に手を伸ばすー

しかしー
真彩の身体は、真彩の思いに応えることができなかったー

真彩は力尽き、
康史が駆け寄ったころには、もう、こと切れていたー

・・・・

・・・・・

・・・・・・

死ぬって…どんな気持ちなんだろうー

真彩は、そんな風に思ったー

「---…」

真彩が目を開く。

死んだら、無だと思っていたー

けれどー
違ったみたいー。

真彩は少しだけ微笑むー。

そこにはー
今、自分と康史がいた場所ー

その光景が広がっていた。

「真彩!真彩!おい!真彩!」
彼氏の康史が、倒れている真彩に
必死に呼びかけている。

「---」
真彩は、茫然とする。

倒れている自分の身体ー
想像以上にボロボロだー。

そしてー
そのすぐそばで泣きじゃくる康史ー。

「---康史…」
真彩は、悲しい気持ちになった。

倒れている自分と、
康史を見つめているということはー

自分は幽霊になった、ということだろう。

そういう漫画とかを見たことがあったけれど、
まさか本当に死んだら幽霊になるなんて…

真彩は迷わず倒れている自分と
康史の方に近寄った。

「--康史!」

真彩は叫んだー

変な声―。
自分から出た声は、自分のものではなかった。
これも、死んだからだろうかー。

すると、康史が泣きながら振り返った。

「は…早く…早く!救急車を!」
康史が叫ぶ。

「えっ…!?」
真彩は思わず驚いてしまうー

「---は、、早く!」
康史が今一度叫ぶ。

「え、、、あ、、、うん」
真彩が、違和感を感じながら
”あれ?わたし、鞄持ってる?”と思いつつ
とりあえずスマホを取り出す。

派手にデコレーションされたスマホー
それを掴む自分の手。

爪は長くのび、
派手なネイルー

「---!?」
真彩は思わず、
近くの建物の窓ガラスを見つめるー

そこにはー
超がつくほど短いミニスカート姿で、
濃い化粧にピアス、金髪姿の
ギャルの姿があったー

「---!?!?」
真彩は驚くー

自分は幽霊になったんじゃなかったの?

とー。

これはー?
誰…?

とー。

「---え…や、、康史!
 わ、、わたし…!わたし、真彩…!」

真彩は混乱しながら咄嗟に叫んだ。

「---は?な、、何を言ってるんだ?」
見ず知らずのギャルにそう言われた康史は混乱する。

「--と、とにかく救急車を!」
康史が叫ぶ。

「--ち、違う!わ、、わたしが真彩なの!」
真彩も混乱してそう叫んだ。

「--ふ、、ふざけてる場合じゃないんだ!
 命がかかってるんだ!」
康史はそう言うと、
近くにいた別の人に救急車をお願いして、
ボロボロになった真彩に必死に呼びかけを
続けるのだったー

真彩は、
真彩の身体は助からなかった。
ほぼ、即死ー

「----…」

だがー
真彩は、ここにいる。

「---どういうこと…?」

真彩は、自分の家ー
いや、”この身体”の家に居たー。

真彩はどうやら、”他人の身体”に
憑依してしまったようだった。

”姉川 真希”(あねかわ まき)
身分証明書を確認して
”この身体”の名前は分かったー

おそらくー
自分が轢かれたあの場に居合わせた
通行人のひとりだと思うー

けれど、
どうして自分が、この、真希という子に
なってしまったのか、それが分からなかった。

”死にたくない”と
強く願ったからだろうかー。

「はぁ…」
真希になった真彩は思うー。

真希は同じ大学生。
名前も”まや”と”まき”で一文字違いー

けれど
自分とは、大違い。

ギャルと称するにふさわしい
容姿だったー。

「---はぁ…どうすればいいの」
真希は頭を抱える。

”自分が真彩だ”
なんて言っても、康史は信じてくれないだろうー。

現に、あの時、信じてくれなかったー
こんなギャル女にそう言われても
信じられないのは無理もないー

かと言って、
この身体を真希に返す方法も分からないー

それにー
消えたくないー

「----……」

真希になった真彩は
目から涙をこぼしたー。

ここにいるのに、
気付いてもらえないー

「---…康史ー」

康史との思い出が目に浮かんでは消えて行くー。

けれどー
真彩は前向きな女子大生だったー。

また、やり直せるー。
また、振り向かせてみせるー。

真希という子の身体を奪ったみたいで、
とても申し訳ない気持ちになりながらも
真彩は決意する。

真希という子に身体を返す方法も分からないー

だったらー
泣いていても仕方がないー

もう一度ー
もう一度、康史とー。

真希になった真彩は、
そう決意すると、もう泣かなかったー

「---にしても、、
 超ギャルって感じね…」

真希は自分の姿を鏡で見ながら
そう呟いたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

偶然ー。

真希は、真彩と同じ大学の女子大生だったー。

在籍人数が多く、
年齢もひとつ真希の方が下だったから
接点も何もなく、
康史とも面識はなかったー

けれどー

「-----……」

真希になった真彩は
ギャルメイクをやめて、
元の自分に近い、落ち着いた清楚な雰囲気を
取り戻そうとしていたー

真希の友人たちは
「真希、どうしちゃったの~?」と真希のことを
からかっていたが、
時間をかけて、真希は、清楚な自分を取り戻したー

メイクを控えめにしー
髪を黒髪にしー
服装も落ち着いたものにしてー
ピアスも外してー
爪もちゃんと切りー

真希になった真彩は、
真希の身体を自分自身にできる限り近づけようとしていたー

そして、1か月が経ったー

「-----」
大学の敷地内で
悲しそうな顔で
お茶を飲んでいる康史の姿が目に入る。

「---…」
真希になった真彩は、
そんな康史に声をかけた。

「---あ、、あの…」
真希は、康史より1学年下だ。

康史とも恐らく面識はないだろう。

また、1からやり直し。

「---ん?」
康史が、真希の方を見る。

「---あ、え、、えっと…」

真希になった真彩は考えるー。
”わたしが真彩”と言おうとも一瞬思った。

けど、反対の立場だったらー?
もし、康史が死んで、他の男子の身体で
”俺は康史だ”なんて言われたらー?

恐らく、信じることができないー

今、ここで”わたしが真彩”と言ってもー
康史は信じてくれない気がするー。
過去の思い出を話したとしても、
単なるストーカーとして扱われる可能性もある。

真彩は決意するー。
自分が真彩だとは言わずに、
康史から気付いてもらえるまで頑張る、とー。

「---な、、なんだか、暗い表情をされていたので」
真希として、真彩は康史と会話するー

超がつくほどのギャルだった真希は
真彩に憑依されてから、まるで別人のように変貌したー

どんどん、真希の身体が真彩そのものに
なりつつある、そんな感じだー

もう、誰がどう見てもギャルではないー
清楚な女子大生だー。

「ーー…俺さ」
康史は悲しそうに遠くを見つめる。

「---彼女がいたんだ。」
康史の声は震えていたー。

とても、悲しそうな声ー。

真彩が死んでから、既に1か月ー。
真希に憑依している真彩は、
1か月が経過しても、
こんな風に想ってくれていることを
嬉しく思うと同時に、
申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

自分の死が康史を1か月も苦しめ続けている。

「---御崎さん…って知ってる?」
康史が言う。

「---え、、、あ、、え、、えっと…」
真希の姿で戸惑う真彩。
”知ってる”と言うべきか”知らない”と言うべきか。

そんな反応を見て、
康史は笑った。

「---はは、そんな慌てなくてもいいさ」
康史はそう言うと
お茶を一口飲んで、呟いた。

「--俺を守って、死んだんだ…。
 目の前で、俺をかばって…

 俺は、何も出来なかったー。」

康史は、ボロボロになって、
冷たくなっていく真彩の姿を思い出し、
こらえきれなくなって涙をこぼしてしまう

「俺は…あいつに…何も…」

「---…康史」
真希として振る舞わなきゃいけないのに、
真希は、そう呟いてしまう。

康史を思わず抱きしめたくなってしまうー

けれどー
見ず知らずの女子にそんなことされたら、
康史は引くー。

康史のことは、誰よりもよく知っているー

「---そうなんですね…」
真希は悲しそうにそう呟いた。

「---……」
康史は、ごめんごめんと言いながら涙をぬぐい、
真希の方を見た。

「---なんだか、君、真彩にちょっと似てるなぁ…」
康史が、話題を変えようとして笑う。

「---そ、そうですか?」
真希になった真彩は笑うー

”だって、わたしが真彩だもん”と
言いたくなるのを我慢するー

これがー
”2度目の出会い”

それからもー
真希は、康史となんとか接点を作りつづけた。

自分自身を、どんどん真彩であった自分に
近づけていくー

真希を真彩に変えていくー

「---…こうした方が、、わたしっぽいかも」

ギャルだった真希は、
真彩になっていくー。

真彩に憑依されるまで
”きゃはははは”なんて笑っていた真希はー
今ではすっかり清楚でおしとやかな子に変貌していたー

真希の身体を乗っ取っただけではなく、
真希の身も心も、真彩色に染め上げたー

そんな感じだったー

そしてー

さらに1か月が経過しーー

真希は、康史と付き合うことになったー

「-----…
 真彩のことは、忘れられないけど…
 それで、良ければ…」

真希から告白したー。
康史の返事は、OKだったー。

前の彼女の死から2か月ー。
康史を知り尽くした真彩だからこそー
告白してOKまでたどり着いたのだった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

自宅ー

「あぁ~よかった…」
真希は微笑む。

また、康史と付き合うことができたー。
笑みが止まらないー

真希という子の身体に憑依できてしまったのは
奇跡ー。

この子には、申し訳ない気持ちでいっぱいだけど
だからと言って、この身体から抜ける方法も
分からないし、何より、消えたくないー

自分勝手な考えだけれど、
真彩は、”真希に憑依できたチャンス”を
最大限生かしたい。

そう思っていたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ある日ー。

用事がある康史は大学に残るというので、
真希は、一人で先に大学を後にした。

「♪~」

しあわせ。
真希になった真彩は、
他人の身体で、その幸せを謳歌していたー

しかしー

それは、壊れるー

「よぉ…」
真希の前から、金髪の男が現れる。

「最近、どうしたよ?
 そんな真面目くさって?」

「--え」

ーー誰?

真彩はそう思った。

「---ははん。
 これからは真面目に行きますってか?

 つまんねぇ女になったもんだな」

金髪男は不気味に微笑んだー。

「--!」
金髪男が真希の腕をつかむ。

そしてー
真希は、男に無理やり、近くの裏路地に
連れ込まれてしまうー。

男は、真希に乱暴したー

男は、真希に乱暴しながら、
色々と語っていたー

名前は金崎 金吾(かなざき きんご)-
この身体の、真希の男友達で、
真彩が真希に憑依するまでは、
よく遊んでいたのだと言う。
金吾の発言から、身体の関係もあったようだー。

「んあぁぁ♡」

真希は、金吾に触られながらー

興奮してしまった。

真彩は、逃げたいと思っていたー
しかし、何故だか、男に滅茶苦茶にされたいとも思っていたー

「あは……ははははは…
 あぁぁ、、、きもちいい♡」

真希は嬉しそうに喘ぎだす。

「ククク…やっぱりお前はそういう女だぜ!」
金吾は笑ったー

快感ー
気持ちイイー

真彩の中に変な感情が走るー

やがてー
金吾は、満足したのか、真希から離れた。

「くくく…また俺と色々遊ぼうぜ」
金吾が邪悪な笑みを浮かべる。

「----……」
放心状態の真希ー。

金吾は、そんな真希を見て笑うと、
そのまま立ち去って行った。

「---はぁ…はぁ…」

真希はようやく我を取り戻すー
あまりの気持ちよさに、自我が
はじけ飛びそうだったー

「--……はぁ…」
真希の身体がドキドキしているー

何故だろうー
康史といるときよりー
金吾に乱暴されている時間の方が
ドキドキしたー

「わ…わたし…」

真希は立ち上がる。

「---あたし…どうしちゃったの…?」

真希に憑依している真彩は、知らないー

乗っ取ったつもりの真希の身体にー
自分の意識が、少しずつ浸食されつつあることにー

真彩の意識が、逆に、”真希”に染まりつつあることにー

②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

リクエストによる作品デス!
今回は導入部分ですね!

リクエスト作品は最終回に頂いたリクエストの原文を
載せていますが
今回は、あえて第1話終了時点で、皆様にお披露目しますー!

原文は

”> 憑依系のものでリクエストさせてください。
脳を書き換えるのではなく脳が魂を書き換えようとするバージョンです。
>
> ある仲のいいカップルがいました。しかし彼女の方が不慮の事故で死んでしまいます。
しかし、死にたくないと強く思った彼女の思いの力で近くにいたギャルに憑依します。
> 『彼女』は再び彼との交際をするべく、
ギャルを元の自分のように清楚女性に変身させていき、彼となんとか交際する事に成功します。  
…が、疎遠にしていた『ギャル』の男友達(『ギャル』の彼でもいいかも?)
に襲われたことをきっかけにそれまで彼を振り向かせるために
必死で気づかなかった『ギャル』の体本来の欲望が現れ、
徐々に『彼女』を蝕んでいく。欲望に勝ち彼と結ばれるか?堕ちてしまうか
>
> という話です。清楚からギャルはよくみますがその逆はどうと思いました。
書き換えるを気に入って下さったらよろしくお願いします。”

というものデス!

結果は私に託されているみたいなので、
あと2話でどのように書いていくか、
たのしみにしていてくださいネ~!

ではまた明日デスー!

憑依<わたしとあたし>
憑依空間NEO

コメント

  1. 匿名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    リクエスト採用いただきありがとうございます。とてもうれしいです。結末期待しています!!

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > リクエスト採用いただきありがとうございます。とてもうれしいです。結末期待しています!!

    ありがとうございます!

    結末…!
    楽しみにしていてください~!

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