<憑依>家庭教師・染谷③~オワリ~(完)

染谷の意のままになってしまった寧音。

あくまでもそれは自分の意思だと思いながら
寧音は、道を踏み外していくー

そして、染谷の身にも、危機が…?

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寧音は、学校に登校していたー

スカート丈は短くなり、
化粧が濃くなりー
三つ編みだった黒髪は、
派手な茶髪の髪に変わっていたー

周囲も、寧音の異変に驚いている。

「寧音…?最近どうしたの?」
友達の一人が聞く。

すると、寧音は笑いながら答えた。

「好きな人が出来たの!」

とー。

友達は、困ったような表情を浮かべる。

「ね、、寧音さ、、
 その好きな人って悪い人だったりしないよね?」

友達が言うと、
寧音が途端に不愉快そうな表情を浮かべる。

「--あ、、、え、、、えっと…」

寧音に、睨みつけられている友達は
言葉に詰まってしまう。

寧音は、こんな目で人を見るような子では
なかったはずだ。

「--ね、、寧音!どうしちゃったの!?」
友達は思わず叫んだ。

寧音は鬱陶しそうに
「どうもしてないけど?」とそっけなく言う。

しかし、友達は食い下がった。

「彼氏が出来てから、
 寧音、おかしいよ?
 どうしちゃったの!?
 悪い彼氏さんなんじゃないの?」

パチン!

寧音が、友達をビンタしたー。

教室が静まり返るー

「--わたしの大切な人を
 悪く言うやつは、絶対に許さないー」

寧音の口調にも、
表情にも怒りがにじみ出ているー。

「---あ、もしかして、
 わたしに嫉妬してるの?」

寧音は意地悪な笑みを浮かべて言う

「可愛くて、きれいなわたしに
 嫉妬してるんでしょ?

 そうよね~?
 わたし、すっごいかわいいもん!」

寧音は自分の唇を指で
なぞりながら笑う。

「--な、何を言ってるの…!?」
友達は唖然とする。

寧音は”豹変”したー。
一体、どうしてしまったと言うのかー。

♪~

寧音のスマホが鳴る。

「--あ~♡ もしもし~!」
寧音が途端に甘い声で電話に出る。

「--え?今、学校だけど~?
 え、、うん、うん、わかった!」

そう言うと、
寧音は嬉しそうに電話を終えた。

「彼氏からラブホに呼ばれちゃった~♡」
寧音は嬉しそうに飛び跳ねる。

「は…?」
友達は、もはやわけが分からない、という様子で
唖然とする。

「--学校なんて、どうでもいいし!」
そう言うと寧音は、授業が始まる前だと言うのに
そのまま染谷の待つラブホに向かおうとした。

「-ちょっと!寧音!」
廊下に飛び出した寧音を呼び止める友人。

「自分が何をしてるか、分かってるの!?」
必死に呼び止めようとするー。

この子にとって、寧音は親友ー

その寧音の様子がおかしいー
どうにかしなくてはならないー

けれどー

「---・・・・・」
寧音は、一瞬、ぼ~っとした雰囲気で
宙を見つめる。

”なにをしている…?”

”わたしは…”

寧音は、染谷本体に憑依されて
乗っ取られているわけではないー

あくまでも、染谷の魂の一部に
憑依されて、思考を変えられているだけー。

そのためー
今も、寧音自身が考え、
自分の意思で行動している

”わたしはーー…”

将来の夢やー
今までの自分のことを思い浮かべて
一瞬動揺する寧音ー。

しかしー

”すきすきすきすきすきすきすき”
”そめやせんせぇ…”

すぐに、染谷への思いで
頭が塗りつぶされる。

「---ふふふふ…
 わたしは、、先生のものぉ~♡」

そう言うと、
寧音はそのまま学校から立ち去ってしまった。

「--せんせい?」
寧音の友達は、その言葉に
首をかしげた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--染谷先生~♡!」

ホテルにやってきた寧音は
嬉しそうに染谷に飛びついた。

染谷も寧音を抱きしめる。

「--そうだ、寧音ちゃん…
 いや、寧音」

染谷は微笑む。

「今日は、これを着てみてよ」

イヤらしい雰囲気の
バニーガール衣装を取り出す染谷。

もはや、寧音は恥ずかしいとも思っていなかったー。
すぐに頷くと、躊躇なく染谷の目の前で服を
脱ぎだす寧音ー

「ふふ…きれいだよ、寧音」

染谷の言葉に
寧音は、ゾクゾクしながら
バニーガールの衣装に着替えたー

「くくく…いいねぇ」
染谷が笑う。

寧音は嬉しそうに笑みを浮かべたー

「よし。
 じゃあ、色々とエッチなポーズを
 してもらおうか」

染谷がスマホのカメラを向けながら
寧音に言う。

寧音は躊躇なく
染谷が喜びそうな
ポーズを次々としていく。

「--ははははは!いいぞぉ!」
染谷が嬉しそうに笑うー

寧音も、満面の笑みを浮かべているー

「--(くくく…これは高く売れるぞ)」
染谷は内心で、そう笑った。

「さ…寧音、その格好のまま
 俺を気持ちよくしてもらおうか」

染谷が言うと、
寧音は嬉しそうにうなずく。

「--はぁぁぁ♡~せんせい~!」

染谷に近づく寧音。

「--それと、二人でいるときは
 先生じゃなくて、ご主人様だ。
 いいね?寧音。
 いいや…俺のしもべ」

そう言うと、寧音は
「はい、ごしゅじんさま!」と嬉しそうに叫んだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それからもー
寧音は毎日のように染谷との
時間を楽しんだー

学校の成績は下落ー
それどころか単位すら怪しくなってきた
高校は留年になるかもしれないー

困惑する両親ー
家庭仲も最悪になったー

バイトも辞めー
貯金はほぼ使い果たしー

それでも、染谷に尽くす日々ー。

やがてー
染谷とのデート代が
無くなるー。

寧音は、染谷と会う時は、
全額、自分が負担していたのだったー

今日は、染谷の自宅にやってきていたー。
次の”デート”の話題になったときに、
寧音が申し訳なさそうに
顔を赤らめながら呟いた。

「--ごしゅじんさまぁ…
 あの…」

チャイナドレス姿の寧音が言う。

染谷は、寧音の太ももを触りながら「ん?」と呟く。

「--お金が…もう、、なくって…」

染谷が、バイトを辞めるように指示をしたー
染谷がご奉仕するように指示をした。

お金が無くなるのは当然だった。

しかしー
染谷は深いため息をついた。

「--じゃあ、君はもう、いらないな」
染谷が突然、愛想を尽かしたかのように言う。

染谷はー
自分の魂の一部を憑依させて、
ゆっくりとその子を染め上げてー
自分の忠実な駒になったところで、
毎日のように遊ぶ日々を始めるー

そしてー
その子のお金が無くなった時ー
染谷は、その子を”捨てる”

「---ごみは、いらない」
染谷はチャイナドレス姿の寧音を
ごみのように蹴り飛ばすと
立ち上がった。

「---もう、ごみとは会わない。じゃあな」
染谷が鬼のような言葉を
吐き捨てると、
寧音は「ご、、ごしゅじんさま!」と叫んだ。

「---黙れ。
 お前に呼ばれる筋合いはない」

染谷はそれだけ言うと
部屋から立ち去ろうとする。

しかし、
寧音はなおも食い下がったー

「--お、、お願い、、わたしを、、捨てないで…!」
寧音は泣きながら叫ぶ。

今の寧音には、もう染谷先生しか
残されていない。
その染谷先生に捨てられてしまったら、寧音は…

「--消えろ、ごみ」
染谷は、残酷な一言を言い放った。

泣きじゃくる寧音。

もう、寧音など必要ない。
また、新しい女を見つけるー

それだけのことだー。

「---うぁぁあああぁぁ…」

寧音は狂ったように
頭をかきむしりながら
その場にうずくまっている。

染谷の魂の一部を
憑依させて、散々、染谷に対する愛を
刻み付けてきたー
今の寧音にはもう何も残っていない。

「--楽にしてやるよ」

染谷は自分の右手を光らせる。
自分の魂の一部を、
他人に憑依させる力ー

これでー
寧音から染谷の記憶を奪い取りー
最後にー”もう、どうもでいい”と
刻み付けるー

前に捨てた女と同じように
夜の街で自暴自棄な
人生でも送るだろうー

「---ククク
 寧音ちゃん、最後の授業だ」

染谷が口元を歪めた。

まじめな少女を
魂の憑依で、自分色に染め上げて
その子のお金が無くなるまで遊びつくしー
用が無くなったら捨てるー

「子供と、同じじゃないかー」
染谷は笑う。

そうー、
同じだ。

おもちゃを欲しいとねだりー
手に入れたおもちゃを大喜びで楽しみー
飽きてきたおもちゃはー
どうだ?

まるで、ごみのように、
その存在を忘れ去るー

こどもは、残酷だー。

自分は、何も変わっていないー

欲しいものを手に入れー
たのしみー

そして、捨てるー

「君の身体は、エッチだったよ」
染谷が笑いながら寧音の方を見たー

「----!!」
染谷が表情を歪める。

「---が…あぁっ!?」

信じられないことが起きたー

寧音がーーー
キッチンにあった包丁を手に染谷に
突進したのだったー

「わたしを…捨てないで下さい…
 ごしゅじんさま…ごしゅじんさまぁ…!」

寧音が狂ったように
笑いながら、染谷に刺した包丁を
さらに深く押し込んでいく。

「うぁ…あああああああ…」
染谷はあまりの痛みにその場に倒れ込む。

「--だいすき…だいすき…だいすき…!」
寧音が泣きながら大笑いしている―

染谷のことが好きすぎてー
その染谷にごみと言われたことで
狂ってしまったー

「あ…あぁぁあ…」
染谷は慌てて右手から
自分の魂の一部を寧音に憑依させて
自分を忘れさせようとするー

しかしー

「---ぐえええええええ!」

間に合わないー

魂を憑依させて
染めるまでには、
時間をかけて呟かないといけないー

1秒、2秒では
寧音の思考を変えられないー

”染谷はどうでもいい”

”染谷はどうでm

「ぐふっぅ!」

寧音に再び刺される染谷。

身体から赤い液体を拭きだしながら
染谷は転がりまわる。

イケメンだった顔立ちが
醜悪に歪んでいる。

「うぇぇぇ…え…」

染谷はさらに自分の魂の一部を寧音に放ったー

だが、
もう、間に合わないー

「せんせぇい…!ごしゅじんさまっぁぁぁ」
寧音は笑いながら、染谷にトドメを刺したー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

とあるマンションに警察が駆けつけた。

男女のもつれから
事件が起きたのだと言う―。

「---酷い有様だー」

家庭教師・染谷が
救急車に運ばれていくー

だがー
誰の目から見ても、
染谷はもう死んでいるー

そしてー

「ふふふふふふふふふ…」

染谷の部屋には、
少し前まで普通の女子高生だった少女・寧音が
返り血を浴びた状態で笑っていたー

深紅のチャイナドレス姿の寧音は、
その綺麗な肌まで、深紅に染めていた。

「---現行犯で逮捕する」

警察が、寧音に手錠をかける。

連行されていく寧音ー

寧音は微笑むー

”この女はまだ高校生だー
 そのうち、警察からは出れるはずだー
 くくくくく”

寧音は口元を歪めたー

”まさかー…
 この女になれてしまうとはな…
 計画外だが
 これは、これで、楽しそうだ”

死ぬ間際に、
寧音に、魂の一部を憑依させていた染谷は、
自分が死んだ直後、
寧音の身体を乗っ取ることができてしまったー

「--これからは、俺が寧音だーくくく」

捨てようとしていた女ー

まさか、そのものになってしまうとはー

だがー

「---今日から、わたしが寧音よ…うふ♡」

連行されながら、
寧音は小さな声でそう囁いたー

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

家庭教師モノのお話でした~!
第3話には家庭教師要素は
何もありませんでしたケド…笑

お読み下さりありがとうございました!!

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憑依<家庭教師・染谷>

コメント

  1. より:

    SECRET: 1
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    ありゃりゃ自業自得ですな
    結果的に寧音のカラダを乗っ取れた?ようなので良かったのか

    そして遂に最新コメ欄も無名さんに染められてしまった。こちらの方が恐ろしいヒイイイイイイイ

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    コメントありがとうございます~☆
    今後は家庭教師は廃業ですネ~笑

    コメント欄…
    鍵コメントを下さる皆様も多いので、
    全部「無名」に染まっちゃいました~笑