その仮面は、破壊と欲望の集合体だったー。
乗っ取られた柚香は、
仮面の衝動に支配されて、
破壊を繰り返していくー
--------------------------
「---柚香がいなくなったらしいよ?」
「--え?ホントにこわ~い!」
教室中がざわめいている。
昨日の夜からー
クラスメイトの柚香が行方不明になっているためだ。
「--…」
柚香の友人・美砂は窓の外を見つめる。
昨日の夜ー
物置が荒らされていて、
例の気味の悪い仮面がなくなっていたー。
柚香の家族も、必死に柚香を
探していた
しかし、柚香は見つからず、
ついに、朝を迎えてしまったのだった。
「お姉ちゃん、昨日から変だったもん…
どうしちゃったんだろう」
妹が心配そうに呟く。
「---…何かあったのかしら」
母も心配そうだ。
こうなってしまったら、もう警察に届け出るしかない。
みんな、そう思いはじめていたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「---くく…破壊だ…」
人の気配のない場所でー
柚香は、露出度が高く、禍々しい
悪の女性幹部風な衣装を身に着けていたー
「---破壊だ…破壊だ…!」
柚香が呟くー
その顔には、不気味な仮面ー
紫色の光が、柚香の身体から
発されるー
「--ぁぁぁああ…」
柚香は、これから始まる”破壊”を
想像して、興奮していたー
仮面の意思に憑依された柚香の身体は
今までに感じたことのない興奮を感じー
身体を濡らしていたー
「んふぅ…♡」
エッチな衣装の上から胸を触ると
柚香は、立ち上がった。
「---誰にも、我はーいいえ、、
わたしは止められない…
うふふふふふふ」
柚香が身に着けている仮面はー
”魔の仮面”-。
人間の歴史の中で
幾度も繰り返された争い。
人々の怨念や血ー
負の感情が、この仮面を生み出したー
人々の怨念と欲望の集合体ー
それが、具現化して生まれたのが、
この、仮面だー
”怨念”は破壊を求めー
”欲望”は本能のままに女体と快楽を求めたー
「破壊だ…」
柚香はそう叫ぶと、
仮面を身に着けたまま、
不気味な倉庫から外に出たー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
昼ー。
警察にも連絡した柚香の家族は
必死に柚香を探していた。
父も会社を早退し、娘の行方を捜している。
「--何かわかったら、すぐに連絡してくれ!」
父が叫ぶ。
母と、柚香の妹も頷き、
柚香の行方を探す。
「---お姉ちゃん…どこに行っちゃったの?」
妹は、近くの商店街に足を運ぶ。
いつも優しく元気だった姉の柚香…
いったい、何があったのだろうー。
「---きゃああああああああああ」
「うわああああああああああ!」
「たすけて!」
商店街の奥のほうから悲鳴が聞こえてくる。
「--!?」
柚香の妹は、不思議そうな表情を浮かべて、
そちらの方に目をやるー
するとー
そこにはー
地獄のような光景が広がっていた。
不気味な紫色の光を発しながら
禍々しい鞭のようなものを振るい―
人々を”破壊”しているー
謎の女性の姿があった。
仮面を身に着け―
妖艶な姿をしているその女はー
まさに”魔女”と評するにふさわしかった。
「ひっ!?」
柚香の妹は驚く。
仮面の女が振るう鞭に触れた人間は、
一瞬にして、”腐った”。
まるで、ゾンビのように腐敗して、
その場に崩れ落ちる。
「たすけて…!たすけて…!」
逃げ遅れた小さな子が、
悲鳴を上げている。
「--んふふふふふふ…心地よい…悲鳴…!
お姉さん、興奮しちゃう…!」
仮面をつけた女が
興奮しきった口調で言う。
「---破壊だ!」
仮面の女が鞭を振るう。
「---だめ!」
正義感の強い柚香の妹は、
その小さな子をかばったー
そしてー
「きゃあああああ!」
仮面の女が振るった鞭が、
柚香の妹に当たるー。
「あ…あ…」
妹は、苦しみの中、
自分が守った小さな子が逃げていくのを確認して
少しだけ微笑んだ。
「よかった…」
と。
だがー
自分の身体がみるみるうちに
腐って行くー
”あの鞭はなに?”
妹はそう思った。
ちょっとかすっただけで、こんな…
「---おや…?」
仮面の女が苦しむ柚香の妹を見て微笑む。
「---…あ…あんた…なんなの…?」
柚香の妹は、腐りゆくからだを必死に
動かして、仮面の女を見た。
仮面の女が、自分の姉であることに
妹は気付いていないー
確かに、同じ声なのだがー
いつもと違う口調で話していて
雰囲気がまるで違うために
気付いてなかったのだ。
「-----ふふふ…わたしよ…」
仮面をつけたまま、仮面の女が言う。
「---え…」
妹は、ようやく気付いた。
この、邪悪な仮面の女が、姉であると。
「え…お、、おねえちゃん…」
身体の大部分を腐らせながら、
苦しみの声をあげる。
「--くくくくくく…破壊だ!」
柚香は叫んだ。
「---ど、、、どうしちゃったの…
おねえちゃん…」
妹は、涙をこぼしながら
やっとの思いでそう言葉を口にした。
「---この女は…」
柚香はそこまで言うと、
自分の仮面を指さした。
「われのものだ…!」
そして、
実の妹に向かって
躊躇なく、鞭を振るったー
商店街は地獄絵図と化したー
腐敗した遺体がそこら中に転がっている。
魔力の宿る鞭の餌食になった人々ー。
「はぁぁぁぁぁぁ…
この女の身体も興奮しているぞ…!」
太ももにイヤらしい液体を浸らせながら
柚香は笑う。
仮面の意識に憑依された柚香は、
完全に仮面の意のままに
操られていた。
「---止まりなさい!」
通報を受けた警察官たちが駆けつける。
「--ふふふふふ…」
柚香はそれを見て笑うー。
「---破壊だ!」
大声で叫ぶと、
警察官たちの静止を振り切って
柚香は鞭を振るい始めたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
仮面をつけた女のニュースは
すぐに全国に広がるー
既に、犠牲者は100を超えているー
史上最悪の凶悪犯罪としてー
緊急報道が行われている
犯人は、仮面をつけた女、としか
報道されていないー
まるで、特撮モノに出てくるかのような
悪の女幹部のようないでたちの謎の女ー
しかも、鞭で攻撃された人間は
まるで”腐る”ようにして死んでしまうー
人々は、恐怖におびえていたー
「----」
スマホでその映像を見ながら、
柚香の親友である美砂は、
呟いた。
「柚香…」
と。
”仮面の女”が身に着けている仮面は
あの仮面だー
そしてー
あの仮面を身に着けているのは
柚香に違いないー
美砂は、そう確信したー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あはははははははは!あははははははは!」
柚香は体中をゾクゾクを感じながら
鞭を振るいつづけていた。
警察官たちが、ようやく発砲を始める。
許可が下りたのだろうかー
「---ぐふっ…!」
柚香の身体から、血が流れるー
「--ふふふふふふ…あははははははは!」
撃たれた柚香はさらに楽しそうに笑いだすと、
目を紫色に輝かせて、
口から紫色の何かを吐き出し、
周囲を攻撃し始めた。
「ば…化け物…!」
警察官たちが恐怖に襲われる。
「~~~あぁ~興奮する~♡
破壊、破壊、破壊ぁ~♡」
柚香は自分を抱きしめながら
興奮しきった声で叫んでいる。
次々と倒されていく警察官。
警察官たちは
もはや仮面の女=柚香を
化け物として認識するしかなかった。
「--う、、撃て!」
発砲する警官たち。
「うふふふふ…」
柚香は、防ぎ切ることのできない
銃弾に貫かれて次第に弱って行く。
「---あぁぁ~人間の身体って脆いなぁ~♡」
傷ついていく自分の身体を見ながらも
狂ったような笑みを浮かべている柚香。
自分の身体が傷つこうと、
今の柚香に関係なかった。
この身体は、どうせ、仮面にとっておもちゃのような
ものなのだからー。
警官たちの数がどんどん減っていくー。
しかしー
パァン
銃弾で、柚香のつけていた仮面が
拭き飛んだー
「あ…」
目を光らせていた柚香が
唖然とした表情を浮かべる。
鞭を落とす柚香。
悪の女幹部のような格好で
血を流しながらふらふらしている。
「---わ、、わたし…?」
さっきまで邪悪な笑みを浮かべていた
柚香の表情には困惑が広がっている。
”楽しかったぞ”
仮面の声が頭の中に響く
「あ…ご、、ごしゅじんさまぁ…♡」
柚香がふらふらしながら
嬉しそうにそう呟く。
警官たちは、様子のおかしい柚子を見ながら
困惑している。
”もう、お前に、、用はない”
仮面の声ー。
「あ……」
柚香はふらふらしながら歩いていたが
やがて、その場に倒れてしまう。
「あ…あはは…あははは…
はかい…はかい…」
うわごとのように呟く柚香。
もう、立ち上がる力も残されていない。
こんな状況なのに、
柚香は幸せでいっぱいだった。
ゾクゾクでいっぱいだったー
何故かは自分でも分からないけれどー
今までにないぐらい興奮していて
ゾクゾクが止められなかった。
「う…うふふふふふふふ…
ひひひひひひひひひひ♡」
アソコがぐっしょり濡れているの分かる
「きもちいい…♡」
柚香は苦しみながらも、嬉しそうに
そう呟いた。
仮面の魔力に冒されてー
憑依から解放されても、
柚香の思考は、もう、ねじ曲がってしまっていたー
「あぁぁ…」
身体から力が抜けていく。
柚香は笑いながら目から涙をこぼして
最後の力を振り絞った。
「きもち…いい……たすけ…て」
そう呟いたのを最後に、
柚香は動かなくなったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
真面目な女子高生が豹変し、
凶悪事件を引き起こしたー
そんな、ショッキングが報道が
連日ニュースをにぎわせているー。
どうせ、誰にも真相は分かりはしないー
ニュースでは
ドヤ顔で専門家が、柚香の犯行動機を
分析しているもののー
全て、的外れー。
誰も、魔の仮面が原因で
あるなんて、分かっちゃいないー。
「---…」
一人の女子高生が、商店街の物陰に隠れるようにして
落ちていた仮面を拾うー。
例の仮面だー。
”ご苦労だったな。我がしもべよ”
仮面が呟く。
「はい…ごしゅじんさま…」
虚ろな目をした、
柚香の親友ー、美砂がそう呟く。
柚香を物置に案内して、
仮面を見せたのは偶然ではなかったー
柚香の身体を、仮面に捧げるためにー
仮面を見せたのだったー
美砂は、普段、無自覚だが、
仮面によって、操られているー。
祖父は、この仮面が何だか知っていて
物置の奥深くに封印していたー。
過去に処分しようとした先祖が、惨殺されており、
処分することができないこともしっていたからだー。
だが、祖父は誰にもその秘密を言わないまま
死んでしまったー
祖父の死後、美砂が物置を興味本位で
眺めているときに、この仮面を見つけてしまいー
それ以降は、仮面に忠実なしもべにされてしまっている…。
仮面を拾った美砂は
うつろな目でそれを持って歩きはじめた。
”お前は、永遠に我がしもべだ”
「はい…ごしゅじんさま…」
美砂は自分の家の物置に
その仮面を置く。
「-----」
仮面を大切に置いた美砂は、
物置から外に出て
日常へと戻って行くー
普段は、操られていることを自覚していない。
仮面は、そんな美砂の姿を見ながら
呟いた。
”次は、どんな身体をつれてきてもらうか…?”
とー。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
恐怖の仮面のお話でした…!
身に着けた仮面に乗っ取られてしまう…
ゾクゾクしますネ…!
お読み下さりありがとうございました~!
コメント
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てっきり破壊衝動が大きすぎて暴走して仮面自身も破壊しちゃうかと思ったが流石にそこまで愚かで無かったようだククク
( ^ω^)・・・案外憑依と言う力に魅入られてる自分も似たような感じかもしれない、と思いました。
でも私の場合は自分ガその力ヲ(手に入れ)支配シタイ、って感じデスガふっふっふ
あ後、お久し振りです(今更
SECRET: 0
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無様>
仮面少女への感想ありがとうございます~☆
仮面自身の破壊エンドも考えていたのですが
やめました~!笑
あ、お久しぶりデス~(