<入れ替わり>ウェディングチェンジ③~決意~(完)

入れ替わった状態で、
美華の人生を奪うことに決めた夢子。

なんとかして元に戻りたい美華。

二人に生じた亀裂ー
そして、最後に2人が選ぶ道は…?

------------------------------—

「---ねぇ…わたしのこと…好き?」

夜ー
美華(夢子)と辰則は
抱き合いながら、互いを見つめ合っていた。

「--あぁ、大好きだよ」
辰則が言う。

美華(夢子)はドキドキを隠せなかった。
こうして、憧れだった辰則と抱き合っている。

しかもー
今、自分は妻なんだ。

「---はぁ…♡ ありがとう…
 うふふふふふ♡」

美華(夢子)は心底嬉しそうに笑う。

「--わたしのこと、
 ずっとずっとず~っと大事にしてね」

もう話さないー

この幸せをー

窓の外に街の光が輝いているー
自分の人生もまた、輝いているー

「--今夜も、溶け合いましょ…?ふふふ」
美華(夢子)はそう言うと、
辰則の唇に熱いキスをして、
夜の時間を楽しみ始めるのだった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

美華(夢子)としての
仕事にもすぐに慣れた。

もちろん、未経験の仕事で
最初は戸惑ったが
元々、夢子は、容姿はともかく
中身は非常に優秀だった。
気配りもできて、物覚えもいい。

周囲の人間関係をあっという間に把握し
美華として、職場に違和感なく
溶け込んで見せた。

「---むふふふ♡」
美華(夢子)は嬉しそうにモデル歩きをするー

誰も見ていない場所では、
自分の美貌を存分に楽しんだ。

足を曝け出すようなタイトスカート姿が
とてもよく似合う。

自分の太い足とは違うー

細くて、綺麗な足ー。

「---あぁぁぁ…さいこう…♡」
自分の足をうっとりとした表情で撫でまわすと、
美華(夢子)は嬉しそうに歩き続けたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

土曜日―

買い物に出かけていた
辰則と美華(夢子)が帰宅すると、
そこにはー
夢子(美華)の姿があった。

美華(夢子)は
ミニスカート姿で、大胆に生足を
曝け出している。
自分の美貌を、美華になった夢子は堪能していた。

美華(夢子)が表情を歪める。

「あら…夢子?どうしたの?」

”邪魔しないで”
そういう意味を込めて
そう言い放った。

”あんたは夢子よ”

美華(夢子)はそう思いながら
夢子(美華)のほうを見つめた。

「---ね、、ねぇ…辰則…」
夢子(美華)は泣きながら言う。

「--ど、、どうしたんだ?」
辰則も驚いている。

妻の親友が、泣きながら玄関の前に立っているー
ふつうではない

「--ねぇ、辰則!
 わ、、わたしが美華なの!」

夢子(美華)は叫んだ。

「へ?」
辰則は唖然とする。

「お願い!信じて!
 結婚式の日に階段から
 転がり落ちて、わたしたち、
 入れ替わっちゃったの!」

夢子(美華)が叫ぶ。

夢子が元に戻るつもりがないのなら
もう、辰則に頼るしかないー

美華は、そう思っていた。

「--は、、ははは…
 夢子ちゃんも面白いこと言うなぁ…
 入れ替わり…?」

辰則は冗談だと思って笑っている。

「--信じて!ねぇ!!
 夢子もなんか言ってよ!」

夢子(美華)は叫ぶー

”このままでいいはずがない”

自分のためではなく、夢子のためにもー

「---はぁ?夢子~?
 変なこと言わないでよ」

美華(夢子)が勝ち誇った表情で笑う。

「--そ、そうだよ。
 美華も困ってるし…
 と、とりあえず家に上がってくか?」

辰則が言う。

しかしー
夢子(美華)は負けじと叫んだ。

「--ねぇ!辰則!
 結婚式の日から、わたしに何か  
 違和感感じたりしてるでしょ!?」

夢子(美華)の言葉に
辰則は表情を歪めるー。

辰則とはずっといっしょにいたのだ。

外見は美華でも、
中身が夢子になった以上、
絶対になにかひとつやふたつ、
違和感は感じてくれているはず。

「それは…」
辰則は思うー

たしかに美華は
エッチなことに積極的になったし、
毎日、いつも以上にご機嫌だー。
そしてー
束縛が少し強くなった気がするー

辰則は、
それは、”結婚式を終えて正式に入籍したことによる変化”
だと思っている。

しかしー

しかし、もしもー

もしも2人が入れ替わっているのなら…?

「--馬鹿なこと言わないで!」
美華(夢子)が夢子(美華)にビンタを喰らわせた。

「お・・ おい!美華!」
辰則が慌てて美華を止めようとする。

「--あんた、わたしが辰則と結婚したこと、
 嫉妬してるんでしょ?
 せっかくの幸せを壊さないでくれる?
 このブタ野郎!」

美華(夢子)は激しい形相で叫んだ。

「---じ、、自分の身体のこと、、
 そんな言い方しちゃだめだよ…」

夢子(美華)は泣きだしてしまう。

「--夢子ちゃんだって…
 いいところ、、いっぱい、あるじゃん…
 それなのに…なんで…」

夢子(美華)が涙をボタボタ流す。

「--う…うっさい…! いこっ、辰則!」

美華(夢子)は辰則の腕を乱暴につかみ
家の中に入ろうとする

「で、、でも…」
辰則も戸惑っている。

「いいから!」
美華(夢子)は大声で叫ぶと、
辰則もしぶしぶ家の中へと入って行った。

「---夢子…」
夢子(美華)は悲しそうな表情で、そう呟いた…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夢子(美華)は絶望の表情で
夜の街を歩いていたー

夢子は、変わってしまったー

入れ替わりー。
どうして、こんなことになってしまったのだろうー

こうなったら、力づくでも階段から転落するしかー

そんな考えが頭をよぎる。

とりあえずー
自分の両親に相談してみようー

たぶん、信じてもらえないけれどもー
できることは、何でもやってみなくちゃ…。

夢子(美華)はそう思いながら
自分の家に向かったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--ったく!なんなのよ!」
美華(夢子)は部屋で怒りの形相を浮かべていたー。

自分が美華になった。

美華が夢子になった。

それでいいじゃない。

夢子はそんな風に思った。

鏡を見つめて自分の顔を撫でまわす。
「渡さないーーこの身体は誰にも…
 渡さないーーー
 わたしは、美華よ…」

美華(夢子)ブツブツと呟いた。

「--ちょっといいか」
辰則が部屋の外からノックをしてきた。

「あ、、、辰則… さっきはごめんね」
美華(夢子)が言うと、
辰則は「いいさ」と呟く。

辰則が一冊のノートを手にしている。

「--それは?」
美華(夢子)が聞くと、
辰則は微笑んだ。

「--なにって?
 美華が大学時代からたま~に書いてる日記だよ」

辰則がそれを美華(夢子)に手渡す。

美華はー
小さい頃から、思い出に残ることがあると
それをノートに書いておく癖があった。

普段はツイッターだとか、そういうものに
呟いたりしているだけだけれども、
どうしても残しておきたい思い出は
ノートに書き込んで、忘れないようにしているー

「---」
美華(夢子)は不思議そうな表情でそれを受け取った。

「---久しぶりに、読んでごらん」
辰則は優しく微笑んで、
部屋の外へと出ていくー

「・・・・・」
美華(夢子)は、
自分の机に座り、
そのノートを読み始めた。

ノートの中にはー
大学時代の思い出が刻まれていたー

”夢子ちゃん 大切なわたしの親友♡”

”夢子ちゃんといっしょにお昼~”

いろいろなことが書かれている。

スマホで撮影した写真をわざわざプリントして
ノートに貼りつけてあったー

嬉しそうに夢子や、他の友達、当時は彼氏だった辰則との
思い出を刻んでいる美華。

”夢子、だ~いすき!”

と、一緒に仲良く写る写真の横にそう書かれていた。

”一生の親友”

ともー。

「-----美華…」
ふいに、美華(夢子)の目から涙がこぼれたー

そうー
美華とは、親友ー。
夢子も、美華のことは大切に思っていたー

ノートのページをめくるたびに、
涙があふれて止まらないー

自分は、
こんな大切な親友を、裏切り、
奪い取ろうとしたー

「--ごめん…」

笑顔の美華と夢子の写真の上に、
涙がこぼれ落ちるー

「ごめんね…」

その溢れる涙が、止まることはなかったー

・・・

部屋の外で様子を伺っていた辰則は、
振り絞るようにして、呟いた。

「二人とも…何が起きてるのか分からないけど…
 無事に戻って来てくれ…」

祈るようにして、そう呟く。

違和感は感じていたー

そしてー
さっきの夢子(美華)の言葉で、
確信した。

ふたりは入れ替わっている、とー。

だがー
自分にはもう、どうすることもできないー

あとは、二人に任せるしかないー

辰則は、そう感じて、
二人が元に戻れるように、強く祈るだった…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

やっぱりダメだったー。
自分の両親に必死に説明したけれども、
身体が入れ替わっている、などという話を
信じてもらえるはずがなかったー。

途方に暮れている夢子(美華)に
突然、美華(夢子)から連絡が入るー

美華(夢子)の口から洩れたのは、
謝罪の言葉ー

そしてー、
元に戻るためにー
会おう、という言葉だったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

人気のない神社で再会したふたり。

「----夢子…?」
夢子(美華)は不思議そうに尋ねる。

数日前ー
身体は返さないと宣言されたばかりなのにー。

美華(夢子)は落ち着いた服装をしているー

そしてー
気まずそうな表情で、口を開いたー。

「---…ごめんね…」

とー。

「--どうしてもわたし…
 美華として生きることが楽しくなっちゃって…

 美華のこと、何にも考えずに、身体を
 奪うことを考えちゃった…
 
 でもね…
 美華の…美華の部屋にあった
 これを見て…」

美華(夢子)が、美華が思い出を記していた
ノートを手にする。

「--こんな大事な親友を裏切ろうとしていたなんて…って
 後悔して…ごめんね」

美華(夢子)がその場に泣き崩れる。
そんな美華(夢子)を見て、夢子(美華)は
優しく彼女に寄り添った。

「--いいよ…
 こうやって、戻って来てくれたんだし…
 だいじょうぶだよ…」

夢子(美華)の言葉に、美華(夢子)は
「やっぱり美華は優しいね…」と
少しだけ微笑んだー

そしてー
美華(夢子)が落ち着くのを待って、
二人は神社の階段の上に立った。

「もう、これしかないと思って…」
美華(夢子)が言う。

人の気配のない神社に呼び出したのは
”階段から転げ落ちるため”

結婚式会場の階段で転がり落ちたのが
全ての始まりだった。

だったらー
やっぱりー。
また階段で転がり落ちるしかー

「--うん」
夢子(美華)は不安そうに階段の下を見つめる。

転がり落ちてもー
元に戻れなかったらー

そしたら、もう元に戻る方法は、ないかもしれないー

大怪我をするかもしれないー
最悪の場合、、、

でもーー

「やるしかないよね」
夢子(美華)が意を決して言うと、
美華(夢子)も頷いた。

階段から転がり落ちて元に戻れるー

そんな馬鹿なこと、
あるとは思えないー

けれどー
”そんな馬鹿なこと”は
もう起きているー。

だったらー
もう一度ー

「ねぇ、夢子…」
夢子(美華)が、手を繋ぎながら言う。

「ん…?」
美華(夢子)が、緊張した様子で言う。

「元に戻れたらさ…
 いっしょに美味しいもの食べにいこ?」

「---ふふ、、賛成!」

二人とも少しだけ笑うと、
意を決して深呼吸しー

1・2・3の合図でー
階段から転がり落ちたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1週間後ー

とあるスイーツ店…

そこにはー

美華の姿があった。

「--…」
時計を見る美華。

待ち合わせの相手が
来るのを、心待ちにしていたー

そこにやってきたのはー。

親友の夢子だった。

「お待たせ~」
夢子は、そう言いながら時計を見る。

「--ふふふ、ちょっと遅刻ね」
美華は微笑みながら夢子の方を見たー

二人はーー
階段から転がり落ちて、
無事に元に戻ることができたのだったー

「--それにしても、本当に元に戻れるなんて
 思わなかったなぁ」

夢子が美味しそうにスイーツを食べながら言う。

「わたしも…!
 あんな不思議なことが2回も起こるなんて」

美華が笑いながら言うと、

「3回目もあるかもよ~!」
と夢子は笑いながら美華の方を見た。

「嫌よ~!
 今度は本当に死んじゃうかもしれないし!」
美華が言うと、
夢子も「ふふふ、冗談冗談~」と微笑んだー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

帰宅した美華は、
思い出を刻んでいるノートを
見つめる…。

「--ーー思い出って…言うのかな?」

美華は苦笑いすると、
夢子と入れ替わって過ごした時間を、
そのノートに書き込み始めるのだったー

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

バットエンド…?
と思いきやハッピーエンドになりました~笑

友情も元通りでめでたしめでたし…デス

お読み下さりありがとうございました~!

入れ替わり<ウェディングチェンジ>
憑依空間NEO

コメント

  1. 飛龍 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    前回で友情も壊れたしバッド一直線だな……と思っていたら、まさかのハッピーエンド! 2人も和解できて良かったです~。
    たまにはこういう心温まる話も良い物ですね。

  2. 匿名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    今回も楽しく読ませて頂きました。

    ハッピーエンドも良いですが、このストーリーならバッドエンドも見たかったですw

    入れ替わりの事実が判明した後、夢子(美華)の目の前で美華(夢子)が辰則を誘惑し、入れ替わりの事実を知っていても辰則は美華の身体の虜になってしまう…。
    そんなバッドエンドを妄想してしまいました!

  3. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > 前回で友情も壊れたしバッド一直線だな……と思っていたら、まさかのハッピーエンド! 2人も和解できて良かったです~。
    > たまにはこういう心温まる話も良い物ですね。

    ありがとうございます~!
    第2話終了時点の絶望からの逆転でした☆!

  4. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > 今回も楽しく読ませて頂きました。
    >
    > ハッピーエンドも良いですが、このストーリーならバッドエンドも見たかったですw
    >
    > 入れ替わりの事実が判明した後、夢子(美華)の目の前で美華(夢子)が辰則を誘惑し、入れ替わりの事実を知っていても辰則は美華の身体の虜になってしまう…。
    > そんなバッドエンドを妄想してしまいました!

    ありがとうございます~!

    実はバットエンドも考えていて、

    改心して階段から転落するも、夢子だけ死んでしまい、
    生き残った美華も、元に戻れたわけではなくて
    中身は夢子のまま…というお話も頭の中で考えていました!

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