僕は、最近なんだか変だ。
真理子先生のことを見ていると
ドキドキが止まらない。
僕は一体、どうしてしまったのかな…。
※リクエスト作品デス。
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僕は田井 五郎(たい ごろう)。
ごく普通の6年生だ。
来年からは中学に入学する。
僕はー
今日も、じ~っと見つめている。
なにをって?
僕の担任の先生、
真理子(まりこ)先生を見ているんだ。
真理子先生は5年生のときからの
担任の先生で、
僕のお母さんよりも年下の先生だ。
結構若くてー
そしてーーー
「きれい…」
僕は思わず口に出してしまった。
「--え?」
隣に居たクラスメイトの澄ちゃんが
僕の方を見る。
「あ、、な、なんでもないよ」
僕はそう答えたー
僕は、最近、病気かもしれない、と
そう思いはじめていたー
何故なら、先生を見ていると
とってもドキドキするー
先生のおっぱいのあたりを見ていると
僕は、、もう…
「--五郎くん…
この問題、分かるかしら?」
「--はひっ!?」
まったく話を聞いていなかったー。
「え、、えと、、」
僕は、当然、先生からの質問に
答えることはできなかった。
・・・・・・・・・・・・・・・・
僕はどうしたんだろうー。
今までそんなことはなかったのにー。
僕は…。
「--お父さん」
夜ー
僕は家でお父さんに聞いてみた。
「僕、最近、真理子先生を見ていると
なんだか変なんだ」
とー。
お父さんは変な笑いを浮かべながら
こう答えた。
「それは、お前が大人の階段を
登り始めた証だ。
病気なんかじゃない」
病気じゃない?
じゃあこのドキドキはなに?とお父さんに
聞いてみたけれど、
お父さんは答えてはくれなかった…。
僕はー
変だー。
なんだか、ドキドキが毎日、止まらない。
このドキドキが何なのか、僕には
分からなかったー
そして、僕は、
いつしか真理子先生になりたいと思いはじめていた。
どうしてだろう。
僕は、僕であることに満足できなくなって、
真理子先生になって、
よくわかんないけれど、
いろいろなことをしてみたい…
そう思ってしまった。
真理子先生になって、イタズラをしたり、
真理子先生の声でいろいろ喋って見たり。
そんなことを想像していると、
ドキドキが止まらなくてー
たまらなかったー。
そんなある日ー。
僕は、とんでもないものを見つけてしまった。
”入れ替わり薬”
そう書かれた瓶が、
下校中の通学路に落ちていたー。
だれが落としたんだろうー?
そう思いながら僕はその”入れ替わり薬”を拾う。
”これを飲んだ二人の身体が入れ替わっちゃう”
容器には、
その一言だけが書かれていた。
「入れ替わっちゃう…?
そんなこと、あるもんか…」
僕は、そう呟いたー。
僕はまだ子供だけど、
こんなことあり得ない、ということぐらいわかる。
サンタクロースがいないことを
知っているのと同じだ。
人と人の身体が入れ替わるなんて、ありえないー。
けれどー
そうは分かっていても
”入れ替わり”という文字に僕は
ドキドキしてしまう。
もしも、
もしもこれがホンモノならばー
僕は真理子先生になることができるー
明日、ちょっとだけ試してみよう。
そんなことを思いながら、僕は帰宅した。
明日、
もしかしたら僕が真理子先生になれるかもしれないー
そう思ったら、
僕は、ドキドキが止まらなくなってー
夜は一睡もできなかった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌朝―
僕はいつもより少し早めに登校した。
誰も来ていない時間帯に、だ。
ちょっと眠いけど、こればっかりは仕方がない。
「--あのぉ…」
僕は、職員室にいる先生に声をかけた。
先生を職員室の外に呼び出す。
入れ替わり薬は、飲んだ二人の身体が
入れ替わる、と書かれていたー。
だからー
昨日、密かに僕は、
家にあったペットボトル2本に、
その入れ替わり薬を半分ずつ入れて
用意しておいた。
僕と、真理子先生が飲んでー
二人が、入れ替わるためにー。
「---ぼ、、僕のおじいちゃんが農家を
やってるんですけど…
おじいちゃんが作った特製の野菜ジュース…
ちょっとだけ…飲んでもらえませんか?」
僕はそう言った。
嘘ばっかり。
おじいちゃんは農家なんかじゃない。
それに、これは野菜ジュースではなくー
入れ替わり薬だ。
道端に落ちていた液体を飲ませるなんて
僕はなんてやばいやつなんだ。
お母さんが昔言ってた。
落ちている食べ物は何が入っているか
分からないから絶対に食べちゃダメだって。
もしかしたら、この入れ替わり薬にも、毒が
入っているかもしれないしー
飲んだ瞬間、先生が倒れてー
「--あら、そうなの?じゃあ…いただこうかな!」
真理子先生は微笑みながら、
僕の手からペットボトルを受け取った。
真理子先生は、入れ替わり薬とも知らずに
野菜ジュースだと思って、それを飲む。
真理子先生がそれを飲んだのを確認して、
僕ももう1本のペットボトルを持ち出し、
入れ替わり薬を飲みほした。
まっず!!!
僕はそう思った。
野菜ジュース、なんて説明してしまったけれど、
こんな味、どう考えても
野菜ジュースじゃないー
嘘がバレバレだ
「あ、、、せ、、せんせ…」
僕は、慌てて何か言い訳をしようとした。
けれどー
身体が思うように動かない。
「あ…」
ぼ、、僕、どうなってしまうんだろうー
やっぱり、入れ替わり薬なんて
存在しなかったー
僕は薄れていく意識の中で
真理子先生の方を見つめると、
真理子先生は既に倒れていたー
「--あ…」
やっぱ飲まなきゃ良かった。
サンタクロースがいないのと同じー
入れ替わり薬なんて、この世には、
なかったんだー。
ごめんね…先生…
死ぬー
僕は、そう思った。
・・・・。
・・・・。
・・・・。
「---!?」
僕は起き上がった。
い、、、生きてる…!?
「--大丈夫ですか…?」
!?!?!?
僕は混乱するー
クラスメイトの美代子(みよこ)ちゃんー
まじめでおだやかな
眼鏡をかけた子が、僕に
声をかけていた。
「え…あ、うん…だいじょうぶ」
僕は、そこまで言うと、慌てて口を塞いだ。
どうして口を塞いだかって?
当たり前じゃないかー。
僕の口から出たのは、
僕の声じゃなくてーー
真理子先生の声だったーーー
「---ぼ、、ぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ、
ぼくがぁぁぁ、、
ま、、真理子しぇんしぇいにぃ~~!?」
僕は思わず叫んだ。
真理子先生の声でー。
「---えっ!?」
美代子ちゃんが驚いた表情で
僕の方を見る。
当たり前だー。
僕は今、僕じゃなくて
美代子先生なのだからー
「あ…コホン…
え、、えっと…僕は大丈夫よ」
僕はそう言った。
言ってから気付いた。
”僕”じゃなくて”わたし”だー。
と。
でも、美代子ちゃんは首をかしげながらも
「だ、、だったら良かったです」と言って
その場から立ち去ったー
「ふぁぁぁぁ…」
僕は思わず声を漏らしたー
すごい。
本当に僕が、真理子先生になっている。
「やった!僕が真理子先生だ!
やったぁぁ~!」
僕は我を忘れて
真理子先生の身体のまま
嬉しそうにスキップしながら
廊下を走っていた。
だって、こんなに嬉しいことがあるか?
僕があの、真理子先生になれたんだ
「おほほほほほほほ!
わたしは先生よ~~」
大はしゃぎの僕ー。
口から出る声は真理子先生の
落ち着いた優しい声ー
身体の感覚もまるで違うー
あぁ…最高だ~!
「---先生」
ギクゥゥゥゥゥゥ!?!?!?
背後から声をかけられた僕は
心臓が止まりそうになりながら
振り返った。
今、僕が真理子先生の身体ではしゃいでいたの、
もしかしたら見られたかも…?
「---あ、、、な、、なにかな」
ってーー
僕の目線の先にいたのはー
僕だった!
「---五郎くん…?だよね」
目の前の僕が言う。
「--え…
な、、な、、何を言ってるのかな…いや、かしら…?
わ、、わたしは先生よ!
おほほほほほほ」
僕は誤魔化した。
いや、先生はこんな話し方じゃない。
「---ご・ろ・う・く・ん???」
目の前の僕が怒っている。
そ、そうだ、入れ替わり薬ってことは、
当然先生は僕の身体のほうに…!
ど、どうしよう…
え、、、え~~と
「ご…ごめんなさい~~~!」
僕は、観念したー。
もう、誤魔化せない…
咄嗟に謝った僕を見て、
僕の姿をした真理子先生は微笑んだ。
「--何が起こってるかよくわからないから…
先生に説明してくれるかしら?」
僕の姿をした真理子先生が言う。
笑ってるけどー
笑ってないー
怒ってる!!
そう感じた僕は
「は、、はいです…」と言って、
先生を見るとドキドキしちゃうようになったこと、
入れ替わり薬を偶然手に入れたこと、
先生になってみたかったことを
素直に打ち明けた…。
「-----…」
僕の姿をした先生が
呆れた表情で僕の方を見ている。
僕は、どうなるんだろう…
お父さんとお母さんに
言いつけられて、
お仕置きされるのだろうか。
それとも…
「---面白いわね」
僕の姿をした真理子先生が言った。
「---こんな風に入れ替われるなんて
面白いじゃない…
五郎くん、せっかくだし…少しの間だけ、
このままでもいいわよ」
真理子先生が、僕にそう言い放った。
「え…」
まったく予想外の返事に僕は唖然とするしかなかった。
”これでいい…?”
「--元に戻る方法は、ちゃんとあるのよね?」
僕の身体が、女の人の口調で
喋っているのを見るのは
何だか気持ち悪い…
などと思いながら、僕は頷いた。
入れ替わり薬はちゃんと2回分の
分量が用意されていた。
あと1回分を使って、元に戻れ、
ということだろう。
「--じゃ、今日の放課後まで、
わたしは五郎くんとして。
五郎くんはわたしとして。
頑張りましょ?」
え?え?え?
いいの…?
ほんとに?
僕はてっきり怒られると思っていたので
あまりにも予想外のその返事に
あっけにとられた。
「--先生~?どうしたの?」
目の前にいる僕が、
先生の姿をした僕を”先生”と呼ぶ。
「え…え…ほ、本当に、、、僕が、、
真理子先生に?」
僕は先生の声でそう言うと、
目の前にいる僕…
中身は真理子先生の僕が言った。
「も~!五郎くんは
今、わたしなんだから、
ちゃんとしなさい!
ほら!先生!しゃきっと!」
僕にそう言われて
しゃきっとする僕。
なんだかとても不思議な光景に見える。
「--え、、あ、、は、、はい…
じゃなくて、、え、、えっと、、
そ、、そうね…うふふふ」
チャイムが鳴るー。
朝の始業を知らせるチャイム。
「先生!ほら!早く教室に行こう!」
すっかり”田井 五郎”になりきった先生が
僕の身体で教室のほうに走っていく。
「--あ、、わわ…!はい!じゃない、、え、、と…
そ、、そうね!」
僕は、女の人の言葉を使うことに
なんだかドキドキしながら、そのまま歩き出した。
真理子先生の身体になった僕ー。
僕は、真理子先生として、
教室の扉を開ける。
「みんな、おはよ~!」
いつも真理子先生が言っている台詞を僕は言い放ち、
そのままみんなの前に立つ。
やったー
僕が、真理子先生ー。
お楽しみはーー
ここからだ…!
②へ続く
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コメント
リクエストを元にした作品デス…!
火曜日だけ書く時間がないので、いつも
予め書いた作品を予約投稿していて、
続きものにならないようにしているのですが、
今回は続き物になっちゃいました(笑)
続きは明日書きますネ~☆
お楽しみに~!
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