憑依空間がいよいよ200万アクセスを達成しました!
本当にありがとうございます!
ここまでやって来れたのは、皆様のおかげデス!
ひとりひとり、全ての皆様に感謝の気持ちでいっぱいです!
ありがとうございます☆!
今回は200万アクセス記念ということで
長編小説「憑依の怪物」を用意しました!
”憑依能力を持って生まれた男”の
人生を描く作品デスー。
※今日の小説「わたしはお前のお姉ちゃん」は
午前中に投稿済みです☆
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「--はぁ…♡ はぁ…♡」
ーー美人。
そう評するにふさわしい女子大生が、
淫らな格好をして、
顔を真っ赤に赤らめていたー
年頃の女性らしい可愛らしい部屋で、
自分の身体を、自分の綺麗な指で
興奮させている女子大生ー
「--あぁぁぁ…♡ たまんねぇぜ…♡」
彼女はそう呟いた。
「--思ったよりいい身体してんな…へへへ」
彼女はー
憑依されていたー
ある男にー
そうー、
彼は、生まれた時から
不思議な力を持っていた。
それはー
念じることでその人間に憑依することが出来るー
というもの。
小学3年生のときー
彼は、クラスのいじめっ子にいじめられていたー
公園に呼び出されて、殴る・蹴るの暴力を
振るわれていた彼はー
”こんなやつー”と
強い憎しみを抱いたー
そして、気づいたときには、
自分が、そのいじめっ子になっていたー
それがー
彼にとって”はじめての憑依”
彼は生まれつき、その力を持っていたのだった。
「こんなやつ…!」
いじめっ子に憑依した彼は、
そのままその身体で交差点まで走っていきー
”いじめっ子”を懲らしめたー
懲らしめるだけのつもりだったのだがー
その子は、死んでしまった。
その時、
彼は思った。
この力は、絶対に悪用してはならないー
と…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
しかし、
”封印”していたはずのその力を
彼は高校時代に解き放ってしまうー
「おはよ~!」
可愛らしい少女が、
窓の外を見つめている男子生徒に声をかける。
「--なんだ、明梨(あかり)か…」
男子生徒は退屈そうに言う。
「ちょっと~!何よ、そのがっかりみたいな言い方~!」
不貞腐れた様子で言い返す明梨。
「--いやぁ~
今日はほら、2月14日だからさ」
男子生徒・中川 誠也(なかがわ せいや)が
笑いながら言う。
彼は、内心、2月14日の
バレンタインチョコを期待していたのだったー。
けれどー
話しかけてきたのは幼馴染の明梨。
明梨なら、良くて義理チョコだ。
そう思って誠也はがっかりしてしまったのだったー
「---下心丸出しだとモテないよ~?」
笑う明梨。
「はい、これ」
と、袋に包まれたチョコを誠也に手渡す明梨。
その袋を確認すると誠也は
「はいはい、ありがと~」と
その義理チョコを受け取ったのだった。
明梨は微笑みながら
自分の座席へと向かって行く。
幼馴染の明梨は、高校生になってから
とてもかわいらしくなった。
今までは単なる幼馴染としてしか
見ていなかったがー、
だんだん”幼馴染”ではなく”異性”として
明梨のことを意識することが
多くなってきたー
誠也は、”告白、しようかな”と
真剣に考え始めたのだったー。
「---今日の放課後、ちょっと話せるか?」
昼休みー
A組の不良生徒・金田(きんた)が、
明梨に高圧的な口調でそう話しかけていたー
「明梨…?」
誠也は、不思議そうにその光景を見つめながらも、
金田と関わりたくない、という思いが強く、
そのまま、関わらないようにして目を逸らした。
放課後ー。
嵐だ。
雷が鳴っているー。
「----…濡れるのメンドくせぇ…」
誠也はそう呟きながら、
ふと、昼休みの光景が気になった。
「そういや…明梨、大丈夫かな…?」
とー。
不安になった誠也は、
明梨が呼び出された
空き教室を覗きに行くのだったー
雷の音が轟くー
近くに落ちたのかもしれないー
そんな風に思いながら、誠也は
空き教室へとたどり着いた。
「---やめて!」
空き教室の中から明梨の声が
聞えてくるー。
「--!?」
誠也は、咄嗟に身を隠すようにして
空き教室の中を見つめた。
中には、
明梨と、A組の不良生徒・金田がいるようだ。
金田は、炭酸飲料のペットボトルを
一気に飲み干すと、
げっぷをして、明梨の方を見つめた。
「--俺と、付き合えよ」
明梨の腕をつかむ金田。
「俺よぉ、お前のこと、前から
気になっててよぉ。
俺様と付き合えよ…な?」
金田はそう言うと、
明梨の髪を掴む。
「---俺が、お前のこと
気持ちよくしてやるからよ?」
胸に手を触れようとする金田。
「やめて!」
明梨が叫んだ。
それでも金田は無理やり明梨の胸を触る。
そんな金田を明梨はとっさにビンタした。
「テメェ…」
ニヤニヤしていた金田の顔から
笑みが消えて、金田は激しい形相で
明梨の方を睨みつけた。
「---ちょっと痛い目を見ないと、
分からないみてぇだなぁ!」
金田が今にも明梨に
暴力をふるいそうな状態になる。
空き教室の外で様子を見ていた誠也は
たまらず空き教室の中へと飛び込む。
「---やめろ!」
誠也が金田を睨みつける。
「誠也!」
明梨が必死に叫ぶ。
「--なんだぁ?邪魔するんじゃねぇよ!」
不機嫌そうに叫ぶ金田。
「--嫌がってるだろ!やめろ!」
誠也は叫ぶ。
それは、純粋な正義感ー
そして、明梨を守りたいという気持ち。
「--ごちゃごちゃうるせぇな…」
金田はうんざりとした様子で
そう呟くと、誠也を睨みつけた。
明梨に手出しできないように
金田の前に立ちはだかる誠也。
「--怪我をする前に、消えた方がいいぜ?」
脅すような口調で言う金田。
だがー
誠也はなおも引き下がらなかった。
「--お前みたいなやつと、明梨が付き合うわけねぇだろ!
消えるのはお前だ!」
勇気を振り絞ってそう叫ぶ誠也。
しかしー
直後、激高した金田の激しい殴る・蹴るの暴力が始まった。
「いやあああああ!」
悲鳴をあげる明梨。
誠也はごく普通の高校生だ。
喧嘩に生きてきたような男に、
勝てるはずもないー。
金田にボコボコにされた誠也。
鞄の中から明梨にもらった
バレンタインチョコが転がり落ちる。
「ケッ」
金田は勝ち誇った表情で
それを踏み潰すー。
「---誠也…!誠也!!!」
明梨は泣き叫ぶ。
誠也もその声にこたえようとするがー
答えることができない。
金田の笑い声が響くー。
「--くくく、無様だなぁ」
それだけ言うと、金田は
明梨を無理やり自分の方に引き寄せて、
倒れている誠也に唾を吐きかけた。
「負け犬が…
テメェのようなやつに
お似合いの姿だぜ…
ぐへへへへへ!」
金田は愉快そうに笑いながら
「誠也!誠也!」と悲鳴をあげる
明梨を無理やり引っ張るようにして
教室から出て行ってしまった。
ひとり残された誠也ー
「くそっ…くそっ!」
ずきずきと痛む身体を引きずりながら
悔しさを露わにするー。
「----…!!」
誠也は、ふと、踏みつぶされた
バレンタインチョコを見つめるー
そこにはー
明梨からのメッセージが刻まれていたー。
このチョコはー
義理チョコなどではなくー
本命のー
「くっそおおおおおおおおお!」
誠也は床を叩いた。
金田のやつに捕まったら
明梨が何をされるか分からない。
けれどー
あいつには、喧嘩で勝つことはできないー
先生に言おうにも、
先生たちもびびってしまうほどのワルー。
それが金田だ。
もう、どうすることもできない。
いやーー
あるーー。
アイツから、明梨を取り戻す方法がー。
そうだー
ある。
もうー
この力は絶対に使わないー
誠也はそう誓っていたー。
でもー
そうしなくちゃ明梨はーーー
誠也は大切な人を守りたい、
その一心でーー
”憑依能力”を使ったー。
小3のころ、いじめっ子の命を奪ったあの力ー
あれ以降、封印してきた、あの憑依の力ー
「---金田ぁああああああああ!」
誠也はそう叫ぶと、目を赤く光らせたー
憑依能力ー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「くへへへへ…
お前には、たっぷり遊んでもらうぜ!」
学校から出た金田は、
明梨を脅して、
自分と、地元のワルが潜伏しているたまり場に
向かおうとしていた。
そこで、明梨の身体をしゃぶりつくしてやるー
しかしー。
「---うっ…」
金田が低いうめき声をあげる。
「---!?」
泣きじゃくりながら明梨が金田の方を見る。
金田の表情から笑みが消えー
金田は口を開いた。
「---こんな奴…生きてる価値もねぇ」
金田はそう呟くとー
明梨をおいて、突然どこかへと走り出した。
「え…!?」
驚く明梨ー。
金田は、そのままどこかへと走り去りー
翌日、マンションから飛び降りて変わり果てた金田の
姿が発見されたのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「--……」
翌日ー
誠也は、暗い表情をしていたー
憑依の力を使ってしまった。
明梨を守るためとはいえ、
使ってしまった。
金田の身体を乗っ取り、
そのまま金田を自殺させたー。
誰もー
自分が憑依しているなんて思わないだろうー。
この力を使えばー
誰だって、想いのままにできてしまうし、
要らない人間を排除することができる…
「---…俺は…何者なんだろうな…」
誠也は、窓の外を見ながら呟いた。
「---え?」
幼馴染の明梨が、ちょうど近くで
その呟きを聞いていた。
「--あ?明梨、、急に後ろにいるなんて、
びっくりするなぁ」
誠也が言うと、
明梨は暗い表情で少しだけ微笑んだ
「昨日は…ありがとう…」
とー。
「--あ、、いや…け、結局
俺は何もできなかったし…」
まさか”自分が憑依して金田を始末した”とは言えない。
誠也は適当に誤魔化して、そう答えた。
「--金田くん…
どうしちゃったんだろうね…?
急にどこかに走り去っていっちゃって…」
明梨が言う。
嫌な奴だったとは言え、
同級生が死ぬ、というのは
心地よいものではないー
明梨は、朝から、なんだか落ち着かない気分だった。
「---そうだな…どうしちゃったんだろうな…」
誠也は、明梨と目を合わせずに
窓の外を見つめながらそう呟いたー。
「----…誠也…」
明梨は、そんな誠也の方を見つめながら
心配そうにそう呟いたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その日からー
誠也の”心”で何かが壊れたー
小さい頃は、まだ純粋だったからだろうかー。
今回、2度目の憑依で、
再び人を殺したことで、
誠也の頭の中に、ある考えがよぎってしまったー。
”憑依能力を使えばーー
なんだって、できるー”
とー。
誠也はふと思う。
今まで、2回とも、
憑依した人間をそのまま殺しているー
では…
生かしたまま憑依から抜け出すとどうなるのだろう…?
と。
それを、試すことにしたー。
「---」
誠也の視線の先には、幼馴染の明梨ー。
明梨は、金田の死の一件から、
クラスの別の男子生徒とよく話すようになった。
誠也のことを避けている感じがするー。
「---」
”もし、憑依の力で、明梨に憑依したらー?”
誠也は、そんなことを考え始めてしまっていた。
前はー
小学時代だったー。
その時はまだ、異性への興味だとか
そんなものはなかったから、
誰かの身体を奪いたいなどとは思わなかった。
しかしー
先日、金田に憑依して、金田をあっけなく
始末できたことで、誠也の心は揺らいだ。
高校生にもなった誠也には
性欲もあったし、計算できる頭もあった。
「--明梨…」
明梨の身体を乗っ取って遊びたい…
誠也はそう思った。
その試験を行おうー。
放課後ー
誠也は、クラスメイトの一人・美咲(みさき)を
実験台に使うことにした。
勝気なお嬢様ー。
もし憑依されてる間の記憶があるのであれば
すぐに騒ぎ出すだろうー。
憑依されている間の記憶が残るのか
確認するためにはちょうど、いい。
そしてーーー
裏で大人しい女子生徒をいじめている美咲は、
”万が一の場合、処分する”のにも適している
女子生徒だったー
「-----!」
誠也は目を赤く光らせて念じてー
そのまま身体ごと煙になり…
美咲に憑依した。
「んふふふふふ…♡ んへへへへへ♡」
空き教室ー
普段、お高く振る舞っている美咲が、
身体の全てを曝け出している。
「んふふふ~!
あたしの全部を見せちゃう~!」
服を全て脱ぎ捨てた美咲は、
嬉しそうに叫ぶ。
「ーーくくく…
女の子に憑依するのははじめてだけど、
すっげえなぁ…」
思わず、美咲としてこのまま
エッチなことをしてしまおうと思ったが、
今はそんなことするために憑依したのではない。
憑依から抜け出したあと、
美咲に、憑依されている間の記憶が
残るのかどうか…
それを確かめたかった。
「ふふふふ…」
美咲は笑いながら近くにあった
油性マジックを手にする。
そして、自分のお腹や胸のまわりに
滅茶苦茶な文様を書き刻んだ。
「ーーー記憶が残ってるなら…
すぐにこいつは叫ぶだろうし…。」
あえて異常な状態にしておくことで、
憑依されている間の記憶を確認するー。
「じゃ…反応、見せてもらうよ…うふっ」
わざとらしく笑うと、美咲は
空き教室で全裸のまま、倒れた。
身体にはマジックで書いた変な文様が
刻まれている。
「----…」
人間の身体に戻った誠也は
少し離れたところからその空き教室を伺っていた。
憑依から抜け出したあと、
人間の姿に戻る際には、
少し離れた場所で、人目につかないように
しなくてはならない。
急に人間が煙のようになったり
急に消えたりすれば、周囲は驚くだろう。
「----きゃあああああああああああっ!」
空き教室から悲鳴が聞こえる。
いつも気の強いお嬢様・美咲の声だ。
「な、、なにこれ…!?え…ええええ…
なに…???」
完全に困惑している美咲。
「---さて…」
誠也は空き教室の方に向かって走って行く。
「--どうした!?」
自分が憑依して滅茶苦茶にしたのに
白々しく言う誠也。
たまたま通りがかったと言えば、
誰も怪しまないだろう。
「きゃああああ!?」
美咲は、脱ぎ捨てた制服を抱えて
身体を隠しながら泣き叫ぶ。
「な…、ひ、、一人で何やってるんだ!?」
誠也はわざとらしく叫んだ。
「わ…わからない…気付いたら…
あたし、、急に…」
涙を流し始める美咲。
「---わ、、わかった…先生を呼んでくる」
そう言って、
空き教室から走り去りながら
誠也は笑った。
「----やった」
美咲のあの反応から、
美咲には”憑依されていた間の記憶がない”
と、いうことは、
誠也が明梨に憑依して
やりたい放題してもー
明梨はそのことを自覚できないー
「---憑依…最高じゃないか!」
誠也はそう叫んだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
「--ちょっと、いいかしら」
昼休みー
昨日、憑依したお嬢様の友人である
女子生徒・地子(ちこ)から呼び出された
誠也は「ん?なになに?」と
不思議そうな顔をしながら校舎裏へと向かう。
「----」
地子は溜息をついた。
「ーーー美咲に、何をしたの?」
その言葉に、誠也は凍りついた。
”な、、なんだと…?”
地子の言葉の意味を
必死になって考える誠也。
”美咲に何をしたの?”とは
どういうことだ?
昨日、確かに美咲に記憶が残っていないことは確認しはずだ。
自分が突然裸になっているような状態で
演技できるほど美咲は起用ではないはず。
昨日のあの反応は、美咲に記憶が
残っていないことを示していたー。
では…どうして…?
「---あんたが…
煙になって…
その直後、美咲がピクッと震えて
様子がおかしくなったのを
見ちゃったの…」
地子が言う。
地子は、勝気なショートへアーの少女。
正義感が、無駄に強い。
「--…」
誠也は、どう反応するかどうか、悩んだ。
対応を間違えれば、
大変なことになるかもしれない。
「--あんた…
美咲に何をしたの?」
地子が問い詰めるようにして言う。
美咲の背後を歩いていた誠也が、
突然霧のように姿を消し、
その直後、美咲は空き教室に
歩いていき、おかしな行為に出たー。
地子は、それを見ていた。
「---え、、いや、、俺は何も」
誠也は必死に誤魔化そうとする。
「--とぼけないで!」
地子が叫ぶ。
「--美咲があんなことするわけないじゃない!
一体、美咲に何をしたのよ!?
美咲、記憶もないみたいだし、
すっごく落ち込んでるよ」
地子が言う。
”あんな女のこと知るか”
と誠也は思うと同時に、
”記憶がない”ということを
明確に知ることがbできて、
笑みを浮かべたー
「そうかそうか…
記憶はないのか」
誠也はそう呟いた。
「---やっぱりあんた…
何か知ってるのよね…?
美咲とも相談して、
あんたのこと、先生に相談
することにしたから…!」
地子の言葉に、
誠也は表情を変えるー。
「----それで?」
誠也は鋭い目つきで地子を見る。
”まずいー”
内心で誠也は焦っていた。
もう、美咲のやつは先生に相談しに行ったのか?
「---あんたと話していても無駄みたいね。
わたしたち、これから生活指導部に行って
先生に相談する!」
地子はそう叫んだ。
「----」
誠也は立ち尽くすー
そうだー
この力があればー
俺はなんだって出来る…
地子が立ち去って行くのを見て、
誠也は笑みを浮かべた。
さっそく、自分の力を使うー
そしてーーー
美咲に憑依したー
「…くくくくく…
しょうがない”処分”するか」
笑みを浮かべる美咲ー
こうなってしまっては
仕方がないー
”処分”
だー。
「---美咲!」
地子が駆け寄ってくる。
「--やっぱ、あいつだよ!
中川のやつが、美咲に何かしたんだよ!
先生に相談しよう!」
地子の言葉に、美咲は笑った。
「うん…
その前に…」
「--!?」
地子は驚いて目を見開く。
「---うふふふふふ!
わたしたち、知っちゃいけないことを
知ったから、死んじゃいましょ?」
美咲が嬉しそうに言う。
地子は叫ぶ
「--ま、、まさか…あんた…!
美咲にまた憑依して…」
じたばたもがく地子。
しかしー
正気を失った美咲は
狂った表情で、
地子の首を絞め続けた。
叫んでいた地子は、やがて
言葉を発することが出来なくなる。
真っ青になりながら
地子は「みさき…」と苦しそうに
呟きながら、そのまま動かなくなった。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
美咲は荒い息をしながら
動かなくなった地子を見つめるー。
こんなに簡単にー
こんなに簡単にー
邪魔者を消せるなんてー
何もかも、思い通りにできるなんてー
通りがかりの生徒が、
倒れている地子を見て悲鳴をあげる。
美咲は「えへへ!わたしがやりました~♡」と
叫ぶと、そのまま学校の外に向かって走り出した。
”なんでもできる”
憑依能力があれば、何でも。
こんなに簡単に、人の人生を支配できるー
「はははははははは…」
美咲は笑いながら、両手を鳥のように
パタパタさせながら、
そのまま交差点へと走った。
「---みんなみんな、俺の思い通りだ!」
歪んでしまった誠也は、
美咲にそう叫ばしたー
美咲は、大笑いしたまま車に跳ね飛ばされたー
美咲から抜け出した誠也は、
自分の身体に戻り、笑みを浮かべたー
「みんな、俺の思い通りだー」
と。
誠也がー
”憑依”という力に溺れたのはー
この時からだったのかもしれない…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あっ♡ あぁ♡ あぁぁぁぁ♡」
数日後ー
幼馴染の明梨に憑依して
誠也は好き放題していた。
「---わたし…誠也のこと…ずっとずっと
好きだったの…」
自分が、明梨に言わせているー
そう思ったら、
明梨の身体がゾクゾクしてきた。
「--あぁぁぁあ…♡」
今まで感じたことのないようなゾクゾク。
明梨は、自分の身体を嬉しそうに抱きしめた。
「ああぁぁ…いま、明梨は、完全に俺のものなんだ…
ふふふふふ…あははははは♡」
鏡に映る自分に向かって猛烈なキスをする明梨。
唾液が、鏡を伝って、下にボタボタと
零れ落ちる。
「明梨…あかりぃ…♡
あは、、あははははははっ♡」
その日からー
誠也は毎晩のように
明梨に憑依を続けたー
日に日に、やることが過激になっていく。
「んあぁあああああああああっ♡」
机のカドに身体を押し付けながら
大声で叫ぶ明梨。
「あぁ…明梨はおれのものだぁ♡
あぁぁ、、、わたしは、、明梨だぁぁぁ♡」
あまりの気持ちよさに
狂ってしまいそうになりながら、
明梨は微笑んだー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それからー
時は流れてー
高校を卒業したー
明梨とは、金田の一件から
距離が離れたままだったー
けれどー
誠也は、明梨の身体を遊びつくした
最後の方は飽きてしまったけれど―
明梨のことが好きである気持ちには
変わりなかった。
大学生になってからも、
誠也は欲望に満ちた日々を送っていた。
毎日、毎日、女子大生に憑依する日々ー
気に入らないやつは、憑依して始末して、
思い通りにならないときは、
憑依して思い通りにするー
いつしかー
”ゴースト”という都市伝説まで
出来てしまったー
”急に豹変して、自ら命を絶つ人たちー”
”記憶にない夜ー”
誠也の周辺で、
様々な憶測が飛び交うー
だがー
憑依なんて力、他の誰も信じないだろうし、
想像することもないだろうー
騒がれても関係ないー
誠也は、そう思いながら
欲望に満ちた日々を送っていた
「-----くくくく…」
指で自分のタイツをなぞる女子大生ー
彼女に憑依したのは、3回目だー。
彼女のタイツを身に着けた足は
本当に美しいー
それがー
「俺のものだ…」
ねっとりとした声でつぶやきながら
タイツを指でイヤらしくなぞる。
憑依されている女子大生の身体が
誠也の意識に反応して、
激しく興奮しているー
「ふふふふ…身体も喜んでるー」
ふと、鏡を見つめて、
誠也は思うー
今までに、数えきれないほどの人間に
憑依して、身体を貪りつくしてきたー
今、鏡に映っている
この子もそうだー
「あぁぁぁ…♡」
ねっとりとした表情を浮かべて
自分の身体を抱きしめる女子大生ー
けれどー
「・・・・・・・・」
最近、少しだけ思うー
もしもー
この力を持って生まれることがなければ、
自分は、もう少し、
普通の人間らしい生活が出来たのではないかとー
高校時代、好きだった
幼馴染・明梨とも、普通に
彼氏・彼女の関係になれたのではないかとー。
「---……くそっ!」
女子大生の身体のまま、いら立ちを露わにする誠也。
”こんな力、持って生まれなければ良かった”
誠也は、そう思った。
力があればー
人はそれに溺れてしまうー。
目の前に、楽な道があればー
目の前に、大きな力があればー
目の前に、大金が転がっていればー
人は、飛びつくー
「こんな力なければ良かったのに!」
女子大生の身体のまま
怒り狂う誠也。
拳が血まみれになるまで、
彼女は壁を殴りつけた。
「は~…は~…
そうだ…俺は悪くない…
力が悪いんだ…!」
この頃からー
誠也はさらに暴走したー。
大学卒業後、誠也は、とある商社に就職した。
ありとあらゆる人間に憑依し、
自分の思い通りに会社を動かすー
女たちを貪りつくし、
見ず知らずの女子高生に憑依して
エッチ三昧をしたこともあったー
”力があるのが悪いんだ”
誠也はそう自分に言い聞かせながら
憑依を繰り返したー
時には、憑依された人間の命を奪うこともあったー
人生を滅茶苦茶にしたこともあったー。
それでも、
誠也は止まらなかった。
”ゴースト”の噂はさらに広まる。
世間は、憑依されて豹変する人々は
”何者かの仕業である”と
考え始めていた。
当たり前のことだー
これだけ、誠也の身の回りで豹変する
人間が増えればー
そしてー
”その日”はやってきたー。
「----」
夜道ー
誠也は、何者かに尾行されているのに気付いたー
「・・・・・・・」
薄暗い夜道。
誠也は、一人、歩き続けるー。
そしてー
誠也は、務めている会社のビルに入った。
「-----」
誠也はチラリと尾行してくる人間を確認したー
”女の刑事だ”
誠也は、その女を”始末”するためー
ビルの屋上へと向かった。
お昼には休憩中の社員が多く利用しているが、
夜は、ほとんど誰も来ないー。
会社の建物に入っても
尾行を続けているということは
会社にも話が通っているのかもしれないー
当たり前だ。
社会人になってからはずっと、
自分の身の周りの人間ばかりに憑依してきたー。
怪しまれないように、
無関係の人間に憑依したり、
カモフラージュすることはできた。
しかしー
「どうしてだろうな…」
屋上にやってきた誠也は呟いた。
「--自分でも、誰かに気付いてほしかったのかもしれない」
誠也は、尾行してきているであろう女性刑事に向かって言った。
誠也はビルの屋上から見える
色とりどりの光を見つめるー
「俺の力…
平和に暮らしている人の人生を一瞬にして奪いー
貪りー…
その気になれば、壊すこともできる」
誠也は、振り向くー。
そこにはー
女性刑事の姿があった。
「---お前を殺すのだって、簡単なんだよ」
誠也はスーツ姿のまま笑った。
「---……誠也」
女性刑事が呟く。
「---変わっちゃったね…」
顔を上げた女性刑事ー
その刑事はーー
高校時代までずっと一緒だった幼馴染ー
そして、誠也が好きだった幼馴染の
明梨だった
「あ、、、あか…り?!」
冷徹な表情は崩れ、動揺が浮かび上がる。
「---誠也…久しぶりね」
明梨は銃を構えながら言う。
大人になったがー
やはりまだ、その可愛さは健在だった。
「---」
誠也は両手を上げる。
「--明梨……」
明梨は誠也の方を見ながら
悲しそうな表情を浮かべる。
「誠也が…最近騒がれている”ゴースト”現象の
犯人…なんでしょ?」
その言葉に、誠也は答えない。
「覚えてる?高校生のとき…。
わたしを無理やり連れ去ろうとした
金田くんが、死んだこと」
明梨がそう呟く。
元々吹いていた風が一層強くなるー。
忘れるはずもないー
あの時、明梨を助けるために
金田に憑依して
金田を殺したのだー
そして、そのことが引き金となって
誠也は憑依の虜になった。
「---わたし…分かってたの」
明梨が、銃を剥きながら言う。
「--分かってた?」
誠也は、聞き返すようにして言った。
「次の日に
誠也と話をしたときに、わかったのー。
金田くんに、誠也が何かしたんだなって」
明梨の言葉に、
誠也は驚く。
憑依して金田を始末したとき、
バレるようなことをした覚えはないー
「--あの時、死んだ金田くんの話を
してる間、誠也はずっとわたしから
目を逸らしてた」
明梨は悲しそうに言う。
「誠也ってさ、
わたしに嘘をつくときー
わたしの目を見ないよね?」
「--そ、そんなこと…」
誠也は、
ハッとするー
今もー
今もそうしているー
自分では気付いていなかったが、
無意識のうちにー
明梨から目を逸らしている。
「わたし、小学校のときから
誠也といっしょだったんだから…
そのぐらい分かるよ」
明梨はそこまで言うと
ため息をついたー
「だからー
わたしは誠也と距離を置いたのー。
そして、気づいた…
わたしの部屋が急に荒らされていたりー
夜、寝ているはずなのに
疲れていたりー。
不思議に思ってわたしは、当時、
バイトで貯めた少ないお金を使って
自分の部屋にカメラを設置したのー」
明梨はそのまま続けるー
「そしたら…寝てるはずのわたしが
起き上がって、その、、エッチなことを…」
明梨は顔を赤らめたー。
「-----…!」
誠也は、唖然とした。
明梨には、気づかれていたのかー
とー。
明梨の身体で
エッチをする際に
何度も何度も「誠也大好き~」と
叫ばせていたー
「---…誠也…
わたしはね…
誠也を止める為に
警察官になったの」
明梨が言うー
今や、都市伝説にもなりつつある
”ゴースト”の存在ー
突然豹変する人々は偶然ではない。
誰かが、何かをしているに違いないー
警察内部でもそういう話が
出回っていたー
ただー
”憑依”などということを
人々は認めることはできないー
あまりにも、非現実的すぎるからだー
だから、誠也が捕まることはなかったし、
これからも…
「--誠也…もう、やめて」
明梨がまっすぐと誠也の方を見て
銃を構えた。
「--おいおい、明梨!
俺を撃てるのか!?」
誠也が笑いながら言う。
「ずっとずっと仲良しだったじゃないか!
それにさ、俺は、明梨のことが好きだったんだよ…
だから…」
「黙ってー」
明梨は誠也を睨むようにして言う。
その表情には悲しい感情、悔しい感情ー
色々なものが入り乱れていたー。
「---誠也…
あなたがしてきたことは犯罪よー
金田くんを殺して…
他にも何人も殺してきたでしょ?
それにー
殺さなくても、
人生を滅茶苦茶にされた人も大勢いる」
明梨は悲しそうに呟いた。
誠也に、そんなことして欲しくなったー
誠也が、そんなことできる人間だとは思わなかった。
「誠也ーー」
目から涙をこぼす明梨。
「わたしも、誠也のこと、好きだったんだよー」
ビルの屋上から見えるネオンの輝きが増すー
ーービルから見える街並みは、
いつもと何も変わらず、只、光輝いているー。
「---俺もだよ…」
誠也は悲しそうに呟いた。
こんな力、無ければー
自分は、明梨と一緒にー
幸せな家庭を作って行くことがー
できたのかもしれない。
でもー
力があるとー
人間は、力があると、
それを使わずには居られないー
「---」
誠也は、思うー
”どうせ生まれ持った力ー
まだまだこれで、楽しみたい”
とー
”どうやって、この状況を
切り抜けるー…?”
誠也は笑うー
そうだー
今までと何も変わらない。
邪魔するやつは、消す。
「--明梨」
誠也は、明梨の銃と、自分たちが今いる屋上から
見える光を見つめるー
「---」
「---綺麗だよな」
誠也は微笑んだ。
「--こういう、夜の光…っていうの?
なんか、明梨と一緒に観に行った
夜景を思い出すよー」
誠也がなつかしみながら呟く。
すると、明梨はーーー
少しだけ微笑んだー
「---!」
その瞬間、誠也の身体がガスのようになり、
一斉に明梨の方に向かい始めたー
「--!!」
明梨は慌てて銃を発砲したー
しかしー
ガスのようになった誠也に対しては発砲など、
意味のないことだった。
「あ…あ…!」
明梨の身体に入り込んでいく誠也。
「---ふふふふふふふふ…」
絶望の表情が、
狂気的な笑みに変わって行く。
誠也は、あえて明梨の意識を
残した状態で、明梨を支配した。
「色々な女に憑依してきたけどさ…
やっぱ明梨が一番だぜ?」
明梨は笑いながら銃を屋上の端っこに放り投げる。
”や…やめて…”
明梨の声が響き渡る。
「くくく…
どうしようかなぁ~?
明梨…?
聞こえてるだろ?
今、お前の身体は俺のものだ。
どうすることだって、できるんだぜ?」
明梨の声で、
明梨の心に語りかける誠也
”お願い…
もうやめてよ…!誠也…!
わたしは、優しい誠也が好きだったのに…
今の誠也は
まるで…悪魔よ…!”
明梨の心が叫ぶー
「--悪魔…ね」
明梨は悲しそうな目で
屋上から見える夜の光景を見つめたー
自分だって、好きで憑依の力を
手に入れたわけじゃない。
偶然、この力を持って生まれてしまったー。
それだけのことだー
「--…俺だって…
こんなことしたくなかったよ…」
明梨の身体を支配したまま
誠也は言うー
「でもさ…こういう力を持ってるとさ…
使いたくなっちゃうんだよ…!
俺は、、俺は弱い人間だから…!」
明梨の声で叫んで、
その場に蹲る誠也ー。
「---明梨!お前だってそうだ!
もし明梨が、この力を手に入れていたら
俺と同じことをしていた!
俺と同じように、人に憑依して、
きっと、誰かを不幸にしていた!」
明梨の目から涙がこぼれるー
その涙はー
明梨に憑依している誠也のものだったのかー
それとも、誠也の言葉を聞いた明梨のものだったのかー
”誠也…”
「--俺は、、、
人生楽しいよー
女の身体を弄ぶことだってできるし
気に入らないやつは消すことだってできるー
最高だよー」
明梨は立ち上がって
笑うー
誠也は、ビルの屋上から、
楽しそうに歩く家族連れを見つめるー
「----でも…」
明梨は歯を食いしばった。
「-----でも…
”ふつうの幸せ”は、
永遠に手に入らないー」
”誠也…”
憑依されたままの明梨は、
誠也の思いを黙って聞いていたー
「---
俺は、、、ふつうにはなれないー」
この力がある限りー
こういう力があればー
どうしても使ってしまうからー
目の前に、お宝があればー
人は飛びつくー
自分に力があれば、
人はそれを使うー
「----…さて…
どうしてやろうか。」
明梨はにやりと笑みを浮かべた。
「--ここから飛び降りて自殺してもいいし
このまま下に降りて
男を誘ってエッチ三昧してもいい。
それともー俺が、明梨としてこのまま
生きてしまうのもいいかも…な
くくく…」
明梨の胸を触りながらクスクスと笑うー
「--はははははははははははは!」
”やめて!!!!誠也”やめてよ”
支配されている明梨が必死に叫ぶ。
「----ふっ」
明梨は鼻で笑った。
「--冗談だよ」
そう言うと、明梨の身体の自由が戻るー。
「---えっ…!?」
誠也が明梨の身体から抜け出したのだったー。
誠也は、屋上の端っこ…
明梨に憑依する直前にいた場所で実体化したー。
「-----綺麗だよな」
屋上から見える街並みを見て言う誠也。
明梨は、誠也の方を見るー
スーツ姿の誠也はー
高校時代の誠也よりも
ずっとたくましくなっていてー
そして、どこか、悲しげだったー
「---俺は…ダメだなぁ…」
誠也は呟いた。l
「---なんでも、力のせいにして、
自分を正当化してきた。
憑依の力があるのがいけないんだって、
自分を正当化し続けてきた。
けどー。
ヒトの人生を壊したり
命を奪ったりしたのはー
その力を使った俺自身だもんな」
誠也はそう言うと、
明梨の方を振り返る。
「--誠也…
罪を償って…」
明梨が手錠を取り出す。
しかしー
誠也はにやりと笑って指を振った。
「--捕まえても無駄だよ
さっき見ただろ?
煙のようになって、人に憑依できる。
警察に捕まったら
イヤになって、また誰かに憑依して
好き放題するぜ?」
誠也が悪い笑みを浮かべる。
「---そ、そんな…」
明梨は、”誠也をどうすればいいのか”と
困惑する。
「--俺は、そういう人間だからー…」
誠也は空を見上げた。
そしてー
「明梨…
俺さ、、ずっと、明梨のこと、大好きだったよ」
空を見上げながら誠也は呟く。
さっきも告げたことを、誠也は改めて口にした。
「え…」
明梨はドキッとしてしまう。
「----本当は…ふつうに生きて、
ふつうに死にたかった」
誠也はそこまで言うと、
明梨の方を見て微笑んだ。
「---明梨…
次に…
次に、俺が生まれる時は
”そっち”にいられるかな?」
悲しげな表情ー
明梨は、誠也が何を聞いているか
分からず困惑するー
「--ーーー
なんて、
明梨に聞いても、分からない…か」
誠也は、屋上の端っこに背を向けて、
両手を広げた。
ニヤッと笑う誠也。
「--え…ちょっと!誠也!」
明梨が叫ぶ。
「---じゃあな」
誠也は、そのまま、後ろに倒れるようにしてーーー
屋上から、姿を消したー
落下しながら誠也は思うー
”来世で、、いっしょになれたらいいな…明梨…”
誠也は、そう思った直後、
ふと、憑依能力を使えば助かることに気付く。
空中でも、ガスのような状態に変形することができるー
そうすれば、明梨から
逃げることもできるしー
またやりたい放題ー
しかしー
誠也は歯を食いしばった。
「--これは、、俺の中に潜む悪魔との戦いなんだ…!」
散々、力に溺れてきた誠也はー
最後の最期で、自分の欲望を抑え込んだー
そしてー
光輝く夜の街並みを見つめながら、
誠也は最後に呟いたー
「ごめんーーー」
今まで巻き込んだ、全ての人に対する”ごめん”-
誠也はー
憑依能力を発動することなくー
そのまま地面に激突しーーー
この世を去ったー
憑依能力を持って生まれた男はー
その力に飲まれ、
大勢の人間を傷つけー
けれども
最後に、自分自身の欲望に打ち勝ちー
自分自身で、悪魔となった自分に
ケジメをつけたのだったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
半月後―
明梨は誠也の墓を訪れていたー
誠也が命を落としてからー
人々の急な豹変はなくなったー
やはり、誠也の仕業だったのだろうー
「あなたのしたことは、絶対に許せないこと」
明梨が言う。
多くの人が犠牲になり、人生を奪われたー
「けどー…
わたしも、もし誠也と同じ力を持ってたら
同じようなことを、、してたかもしれないー」
明梨は思うー
どんなに綺麗事を言っていても、
誠也と同じ力を手に入れれば
人は狂うんじゃなだろうかー。
自分の正義を歪んだカタチで実現させたりー
誠也のように好き放題やったりー
このぐらいなら大丈夫だろう、と力を使ったりー
正直ー
明梨にも自信はない。
もしも、自分が誠也と同じ力を使えていたらー
「---誠也」
誠也の墓に向かって明梨は言う。
明梨は、誠也を止める為に警察官になったー。
そしてー。
「--誠也が人を不幸にした分だけ…
わたしが、人を幸せにしてみせるー」
これからもー
明梨は、警察官としてー
人々の幸せを守って行く。
そう、決意する。
「-----じゃ」
墓の前から立ち去る明梨。
最後に、明梨は振り返って微笑んだ。
「次、生まれるときは”こっち”に来てねー」
優しく微笑みー
明梨は、墓地から立ち去ったー
「さようならー誠也ー…」
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
憑依空間200万アクセスありがとうございました~!
こんなにアクセスしていただけるなんて
サイトを始めた当時は
まったく予想もしていませんでした!
最初は1日「2」とか「3」とか
(このアクセスも私が見たからカウントされただけかも笑)でしたが
今では2000だとか3000にまで膨らんでいます
本当に、一人ひとりの皆様に感謝デス!
これからも、私に出来る範囲で
頑張って行こうと思います。
プロを目指したりはしていないので
アマチュア全開の作品しか作れませんが
少しでも皆様に楽しんで頂けるだけで
私は嬉しいです。
ありがとうございました!
これからもよろしくお願いします!
コメント
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ふと読み返してみたら怖い感じもあってドキドキしながら読みましたが素晴らしい作品でした。
色々思う所もありましたが、改めて憑依について考えさせられました。
個人的には、明梨と言う名前も良いと思いましたね。
SECRET: 0
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> ふと読み返してみたら怖い感じもあってドキドキしながら読みましたが素晴らしい作品でした。
> 色々思う所もありましたが、改めて憑依について考えさせられました。
> 個人的には、明梨と言う名前も良いと思いましたね。
ありがとうございます~☆!
印象に残る作品になれてうれしいデス!