<憑依>お父様への復讐③~復讐の果て~(完)

娘の聡美は、憑依されていたー

父の祐司は、なんとか聡美を取り戻そうとするー。

その果てに待つものはー?

-------------------------—-

血に染まった手を見せつけながら聡美は笑う。

「わたし、人殺しちゃった!えへへ…!
 さぁ、どうする?お父様!」

聡美が血のついた手をペロペロ舐めながら笑う。

「---お、、お前…何て事を!」

聡美の肩を掴みながら祐司は叫んだ。

「俺の娘になんてことさせるんだ!」
祐司が大声で怒鳴る。

しかし、聡美は笑いながら言った。

「--救急車呼ぶ?それとも警察?
 うふふふふふふ…

 悪い子になった娘を殴っちゃう?

 ねぇ、どうするの?くくく…」

祐司はすんでのところで
聡美を殴りそうになった。

だがー
目の前にいる聡美は、聡美であって聡美ではない、

聡美は、何も悪くない。

茶谷に憑依されて、
全部”やらされている”だけなのだー。

「---……」
祐司は黙って聡美から離れる。

そしてー

屋敷にあった大きな袋を見つけてくると、
祐司はその中に馬原部長の遺体を隠した。

この屋敷は広大な敷地がある。
隠すことぐらいは、できる。

「--馬原…すまない」
祐司は涙を流しながらそう呟くと、
その日の夜、敷地内に馬原部長を埋めたのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・

その日からー、地獄の日々が始まった。

「--貴様!」
会社に行っていた祐司は、帰宅後、怒りの声をあげた。

バニーガールの格好をさせられた聡美が、
煙草を吸いながら、ワインを片手に
妖艶な格好で座っていた。

「あら…おかえり お父様…♡」
甘い声で微笑む聡美。

「貴様ぁ…!娘は未成年だぞ!
 なんてことをしてるんだ!」

煙草を取り上げると、
聡美は笑う。

「でもさ…身体は正直だよね?お父様…?」

聡美が指を指す。

そこには、膨らんだ祐司のズボンー。

祐司は、不覚にも、
娘である聡美の妖艶な姿を見て
興奮してしまっていた。

「お父様ってば変態~」

ワイングラスを乱暴に壁に投げつけると、
聡美が立ち上がる。

「バニーガール姿の娘見て、
 興奮しちゃってるんだ?」

顔を近づけて挑発的に微笑む聡美。

「貴様ぁ…!」

聡美を睨み返す祐司。

聡美から憑依している茶谷を引っ張り出して
八つ裂きにしてやりたいー。
祐司はそう思ったー

しかしー
そんなことはできない。

「次はわたしのどんな格好が見たい?
 チャイナドレス?メイド?ナース?レオタード?
 なんでも見せてあげる…

 くくく…変体おとうさま?」

聡美は祐司のそれをズボンの上から触ると
クスクスと笑いだす。

パチンー!

鈍い音が響き渡るー

祐司が、聡美の頬をビンタしたのだったー。

「---な…」
聡美の表情が歪む。

祐司は怒り狂った表情で聡美の胸倉をつかんで、
壁に叩きつけた。

そして、壁ドンの状態で、聡美を睨む。

「--お前の好きにはさせないぞ」
祐司の怒りの声。

聡美はそれでも笑っていた。

怒りに震える父。
バニーガール姿で笑う娘。

異様な光景だったー。

「---ふふ、お父様にわたしを
 止められるかしら」

挑発的に聡美が言うと、
そのまま高笑いして、部屋の外へと出て行ってしまったー。

「--聡美を元に戻す方法…
 何かないのか…」

祐司はそう呟くー。

どうにかー
どうにか、娘を助け出さなくてはー

焦りばかりが、募っていたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日

自宅に突然、企業仲間であった眞理夫が
駆け込んできた。

「--ま、眞理夫?」

祐司が驚くと、
眞理夫は叫んだ。

「---どういうつもりだ!?」

とー。

意味が分からない。
祐司はそう思った。

眞理夫の会社から祐司は訴えられているが、
どういうつもりだ? とは、何かー

「おい…どういうことだ?」

「とぼけるのか?」

話がかみ合わない。

すると、眞理夫が叫んだ。

「--わたしの弟、累次(るいじ)を誘拐なんて」
眞理夫は荒々しい息を吐きながら、
手紙を開いた。

そこにはー
祐司とよく似た筆跡で、書かれた脅迫分が刻まれていた。

「なんだこれは…」

唖然とする祐司。
眞理夫の弟の累次なんて知らないし、
誘拐もしていない。

ドサ…

背後から不気味な音がして振り返る。

するとそこにはー
露出度の高い悪の女幹部のような格好をした
娘の聡美とーーー

変わり果てた累次の姿があった。

「--な!」
祐司は口を思わず開いた。

「--わたしが、累次さんを呼んで、
 殺したの…うふふふ♡」

ナイフを舐めながら笑う聡美

「--…る、、累次…くそっ!」
眞理夫がスマホで警察に電話をしようとする。

聡美は微笑んだ。

ナイフを床に投げて
父である祐司を見る。

「ねぇ、お父様?
 このまま眞理夫さんが警察に通報したら
 わたし、殺人犯になっちゃうよ?

 どうするぅ~?
 うふふふふふふ」

聡美は、自分の太ももを触りながら
挑発的に笑って見せる。

聡美が言いたいことは分かっている。

”娘を守るために、祐司自身の手で眞理夫を殺せ”と
言っているのだー

「くそっ…」

祐司は手を震わせたー

眞理夫は何の関係もないー

なのにー

「ほ~ら!わたし、通報されちゃうよ!」
聡美が叫ぶ。

「--う…うああああああああああああああ!」
祐司はナイフを拾って、狂ったように
眞理夫の方に襲い掛かったー

そしてー
眞理夫は警察に通報する前に動かなくなったー

「さ、埋めなさい」
それだけ言うと、聡美はふふふ、と笑いながら
眞理夫と累次の遺体を残して
立ち去って行く。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

眞理夫と累次の遺体も埋めた。

祐司は、一人、決意するー。
娘を必ず、助け出すー

そのためならー

翌日ー

「聡美!」
祐司は聡美の部屋へと向かう。

そこにはー

ゴスロリファッションの聡美が待ち構えていた。

「あら、お父様」
胸を揉んでいた聡美は、
父が入ってきたのを見て微笑む。

にらみ合う祐司と聡美ー

そしてーー
祐司は土下座した。

「頼む!聡美を解放してくれ!
 この通りだ

 俺は、、俺はどうなっても構わない!」

祐司の悲痛な叫び。
それを見下しながら聡美は笑う

「情けねぇなぁ、
 いつも俺を見下していたお前が
 娘の身体を奪われたとたんそのざまだ」

聡美は凶悪な本性を露わにして笑う。

祐司に唾を吐き捨てて、頭を踏みつけると
聡美は笑った。

「--くくくくく…いい気味だぜ!」
狂ったように笑いだす聡美。

祐司は必死に屈辱に耐えるー

唇から血が出るほどに歯を
喰いしばりながらー。

許せないー

許せないー

そう、思いながらー

それでも、祐司は土下座を続けた。
自分の下らないプライドなんか捨ててでも、
娘の聡美を助け出したかった。

そのためなら、
このぐらいの土下座、なんてことはない。

「あははははははははは!」
勝ち誇った表情で笑う聡美ー

そして、
聡美は不気味な笑みを浮かべた

「わかったよ…
 返してやるよ…」

それだけ呟くと、邪悪な笑みを浮かべていた
聡美がふっと、その場で意識を失った。

「--さ、聡美!」
祐司は気を失った聡美を抱きしめる。

会社も、何もかも失ってしまったー

けれどー
自分には聡美がいるー

失ったものの分まで、
聡美のことを守って行こうー

祐司は、そう思うのだった

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

小鳥のさえずりが聞こえるー

ふと、祐司が目を覚ますと
いつも自分が寝ているベットの上に居た。

「---…?」

祐司は、寝惚けていて、
一瞬、何が起きたのか分からなかった。

茶谷に憑依された聡美が
解放されて、
聡美を抱きしめてー

それからー?

「----聡美は!?」
慌てて起き上がる祐司ー。

部屋は綺麗に整っている。

「---安心して眠ってしまったのか…」

祐司は窓の外を見つめる。

色々なものを失ってしまったー

馬原部長や眞理夫たちを巻き込んでしまったー

これからは、償いもしなくてはならない。

「…さて」
祐司は部屋から外に出る。

聡美はどこにいるのだろうか
この広い屋敷だと見つけにくいし、
もう使用人たちもいない。

「---聡美…?いるか?」
聡美の部屋に向かい、ノックする祐司。

しかしー
そこには
”お父様、わたしは先に朝食をいただきます”と
張り紙がされていた。

「---」
祐司はその字を見ながら
食堂へと向かうー

茶谷は聡美を解放してくれたはずー

なのにー
何故だか、嫌な予感がするー

祐司はいつの間にか早足になっていたー

家族で食事をしていた広い部屋へとたどり着く。

「聡美!」
しかしー
そこに、聡美はいない。

代わりに、美味しそうな肉が食卓に並べられていた。

そしてー
ブルーレイが置かれている。

「--なんだ、これは?」

祐司は、テーブルの脇に設置したブルーレイレコーダーで
それを再生したー

そこにはーー

「!!」

食卓の横のスクリーンに映し出された映像を見て、
祐司は目を見開いた。

「--やめて……やめて…!」
目から涙をこぼす聡美ー

聡美が誰かに襲われている映像ー

そしてー
聡美を襲っていたのはーー

聡美を襲おうとしている人間が、
自分を映しながら笑うー

「---へへへへへ…
 聡美ちゃんは解放してやったけど、
 今度はお前の身体を頂いたぜ…
 祐司?くへへへへへ!」

そう言っているのは
自分自身ー

祐司だったー

「----!!」

祐司は、驚くー

自分は寝ていたのではなくー
聡美が解放された直後から
茶谷に憑依されていたことを知るー

そしてー

「いやあああああああああ!」

「--お前は、お前自身の手で
 大切な娘の命を奪うんだぁ!」

映像の中の祐司がそう叫びながら
娘の聡美をーー
手にかけたー

「---!!!」
祐司は唖然として言葉を発することもできないー

そして、映像の最後に
憑依された自分が言った。

「-今、食卓にあるその肉、
 娘さんの肉だー。

 どうぞ、め・し・あ・が・れ」

映像の中の自分は
そう言うと、大笑いしてー

そのまま映像が途絶えたー

「うっ…うあああああああああああ!」

祐司は食卓の上に乗っている
娘の肉を振り落した。

「そ…そんな、、、そんな…そんな!」

狂ったように走り出す祐司ー

祐司はー
全てを奪われてしまったー

どこに向かえばいいのか分からないー

祐司は、そのまま家を飛び出してー
無我夢中で走り続けたー

そんな様子を見つめながら
通りすがりの女子大生が微笑んだ。

「---じゃあな…祐司」

女子大生は不気味に笑うー

復讐はおわりだー。
これからは、この可愛い女子大生として
生きていくことに決めたー

「--ふふふ…悪いな…」

女子大生は自分の胸を触る。

「誰だか知らないけど、
 この身体…もらうぜ」

そう呟くと、彼女は嬉しそうに
自分の荷物を探り始めるのだったー。

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

昨年頂いたリクエストを題材とした作品でした!

リクエストの原文は

”ある会社の社長があった。
真面目で頑張りやさんで家庭にも会社にも忠実な人だった。
彼には一人娘がいた。心優しく言葉使いの丁寧な古典的なお嬢様のような子だった。
だがいつからかおかしな事が起きはじめた。
会社では職員たちが給料の引き上げを要求しながらストライキをしたり
秘書が求愛してきたり家ではメイドたちが急に辞めたりなど。
さりとはこれは全て娘の仕業だった。
職員たちに自分たちの給料が仕事に比べて酷いレベルだと言って
ストライキを誘導したり元々社長に好感があった秘書を応援したり
(そしてこの不倫を母に知らせる事も)家での
社長直属の執事やメイドたちを金で買収して辞めさせて仕事の邪魔をしたのだ。
そして分かった事は娘はある男に憑依されていたのだった
。昔役員が公金を横領したり賄賂を収受したりしてクビになった。
そのショックで彼は自殺したがこんな事情を知らなかった
その息子は社長に復習しようと娘にひ憑依したのだった。
最初は正体を隠して裏で社長を罠に填めようとしたが
自分の部屋で一人言葉を聞いて真相が分かった。
みたいなネタです。すごく長くなりましたけどもし受け取ってくださったら嬉しいです!”

と、いうものでした!

一部変更点もありますが、
こんな感じで完結を迎えました!

リクエスト下さりありがとうございました&
お読み下さった皆様、ありがとうございました!!

PR
憑依<お父様への復讐>

コメント