次々と起きる異変ー。
順調な人生を送っていた祐司は、
次第に追い詰められていくー
娘が、憑依されているとも知らずにー
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「聡美!!」
祐司が慌てて指定された廃工場に踏み込むー
すると、そこには、乱れた格好で
椅子に縛られている聡美の姿があった。
「…た、、助けて…」
聡美は涙を流しながら、
父に助けを求める。
「--い、、今助けるからな!」
祐司はそう叫びながら、聡美を縛り付けている
縄をほどくと、聡美に「怪我はないか?」と尋ねる。
「お父様…」
聡美は涙をこぼしながら頷いた。
”--娘を助けたければ、
1000万を指定のコインロッカーに入れろ…
確認次第、娘の居場所を連絡する”
電話で、謎の機械音声にそう指示された
祐司は、指示通りにし、娘の居場所を
教えてもらい、こうして娘を助けに来たのだったー。
「---すまない…俺のせいでこんな目に…」
「ううん…いいの」
聡美は、乱れた制服を整えながら微笑む。
「--ひとまず帰ろう。
あとのことは俺に任せておけ」
祐司は、犯人捜しはあとにし、
娘の聡美を安全な場所に
送ろうと、乗ってきた車に聡美を
乗せて、家へと向かい始めた。
祐司は気づいていないー
娘の聡美が、数か月前に横領した末に自殺した茶谷に
乗っ取られていることにー
そして、誘拐の電話をかけてきたのは憑依された
聡美自身であることにー
「----」
聡美は後部座席から父の背中を睨みながら
興奮していたー
「(お父様が大好きなこの娘に、
こうして復讐をさせているー
ゾクゾクしちゃう…ククク)」
聡美は、アソコが濡れてきていることを
感じながら、不気味な笑みを浮かべたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日、聡美から、
”わたしを誘拐したのは、赤い帽子をかぶった髭のおじさんだった”と
聞かされた祐司は、
怒りの形相で、企業仲間の眞理夫の元に乗り込んでいたー
企業したころからの付き合いで、
眞理夫は、配管工の会社を経営しているー。
先日、不倫を求めてきた秘書の優子を紹介したのもこの眞理夫だ。
最近の一連の事態は全て、
この眞理夫が、裏で糸をひいているとみて間違いない。
そう思った祐司は、
眞理夫の元に乗り込んだのだ。
オーバーオール姿の眞理夫が出てくる。
「--お前…!」
祐司は怒りの形相で、眞理夫の胸倉をつかんだ。
「な、、なんのことだ!?」
眞理夫は必死に弁明するー。
確かに、秘書の優子を紹介したのは自分だと。
だが、祐司の娘の聡美に手出しなんかしていないしー、
優子が週刊誌と組んでいたなんて話も知らないー。
しかしー
頭に血が上っている祐司は、眞理夫も言葉を信じずに
怒りの叫び声をあげたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「---ご苦労様」
祐司の娘・聡美が、
胸元を強調した網タイツ姿で微笑む。
「---こ、、これで…聡美ちゃんを解放してくれるんですか…?」
祐司の秘書の優子は、
脅されていたー
祐司の娘・聡美が憑依されて乗っ取られていることを
告げられたうえでー
聡美を助けてほしければ協力しろ、と。
「---ふふふふ…俺さぁ、この身体気に入ったんだよなぁ」
自分の網タイツを触る聡美。
「--そ、、そんな」
優子は絶望の表情を浮かべるー
優子は、本当に祐司のことは好きだった。
だがー聡明な優子は、そんな感情は表に出さず、
祐司が妻子持ちであることも理解し、
日々秘書として、彼を支えていたー
しかしー
ある日、聡美に呼び出されて、
自分は茶谷であることを告げられてー
復讐への加担を強要されたー
先日、祐司に迫ったのも、
その情報を週刊誌記者に流したのも、
全て、憑依された聡美の指示ー。
「--まだ協力してもらおっかな~!」
聡美が笑う。
「--そ、、そんな…!聡美ちゃんを何だと思ってるの!!」
優子が叫ぶ。
しかし、聡美は自分の胸を
触りながら笑う。
「お・も・ち・ゃ♡」
とー。
「--わたしに協力できないなら~」
聡美はナイフを手に、
それを舐めながら笑った
「自分の身体、めっちゃくちゃに刺しちゃおうかな~!」
聡美が自分の手をつつきながら笑う。
「や…やめて!」
優子は悲鳴をあげた。
”誰かに言ったらこの身体を滅茶苦茶に壊す”
そう脅されている優子に、なすすべはなかったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「--なんだって…?」
翌日、祐司は唖然とするー。
「---もう…どうすればいいの」
妻の好恵が頭を抱えていた。
好恵のフラワーショップが放火されー
全てが、炎に消えてしまったのだと言うー。
「---と、、とにかく、犯人をー」
祐司は、好恵にそう告げるー
しかしー
ほどなくして逮捕されたのはー
秘書の優子だった。
優子は何かに脅されてるかのように、
固く口を閉ざし、何の供述もしなかった。
そしてー
「----!!!!」
その数日後ー
妻の好恵は、首を吊って
命を絶ったー
その様子はー
横領で自殺した茶谷と、全く同じような光景だったー
「くそっ…」
祐司は奈落の底に突き落とされていたー
どうして、こうも立て続けにー。
先日の、秘書の優子との不倫疑惑が
週刊誌でついに報じられたー。
辞めていく執事ー。
使用人も居なくなった。
「--お父様…」
娘の聡美が心配そうに父の方を見る。
「--だいじょうぶだ…」
祐司は娘を心配させまいと、
気丈に振る舞うー
だが、その顔は疲れ果てていたー
立ち去って行く父を見ながら、聡美は微笑んだ。
「あぁぁぁ…いい顔…
ゾクゾクする…」
聡美が、茶谷に憑依されていることに
父はまだ気づくことができていなかったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・・」
会社で、祐司はひとり、頭を抱えていた。
こんな、悪い事が続くことなんてあるのだろうかー。
そう思いながらー
「--社長…」
馬原部長が、気まずそうな表情をして入ってくる。
「---キノコ産業の眞理夫社長が、
わが社を告訴すると…」
馬原部長の言葉に、祐司は耳を塞いだ。
「--聞きたくない!聞きたくない!」
子供のように騒ぐ祐司。
もう、何も聞きたくないー。
「--お前も、辞めたければ辞めてもいいんだぞ?
この前、ストライキしたということは
俺に不満があるのだろう?」
「---・・・社長」
馬原部長が言う。
「-----」
祐司は頭を抱えながら話を聞く。
「---我々がストライキをしたのは
社長の娘さん…聡美お嬢様から
”そうすればお父様は必ず給料を上げる”って
勧められたからでして…」
馬原部長の言葉に、
祐司は顔を上げる
「なんだと…!?」
祐司は、そのまま馬原部長の方を見つめる。
「--すまんが、ちょっと付き合ってくれ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
祐司は帰宅した。
馬原部長を引き連れてー。
父である祐司の会社の社員に
ストライキを勧めるなんて
どういうつもりなのか。
娘の聡美に、どういうつもりか
聞かなくてはならないー
聡美の部屋の前に辿り着いたところで、
祐司は立ち止まった。
「くはははははっ…!
祐司のやつ、娘が俺に憑依されてるなんて
知りもしないだろうな…!」
聡美の可愛らしい声が部屋から響き渡る。
独り言だろうかー。
「ーー社長?」
馬原部長が不思議そうに首をかしげる。
祐司は「静かに」と小声で呟いた。
「--くくくく…お父様~!なんて言ってたわたしが
お父様の人生壊しちゃうなんて…
いいえ、壊させられちゃうなんて…
あぁ…興奮する…うふふふふ、うふふふふふふ!
わたしはお父様を地獄に送ります
な~んちゃって!きゃはははははは!」
部屋の中から聞こえる聡美の声ー
父である祐司は愕然としていた。
聡美は、何を言っているのかー
「まだまだ、も~っと、追いつめなくちゃ…ね!
さ・と・みちゃん!くく」
聡美が自分のことを他人のように言う。
そしてー
衝撃の言葉を口にしたー
「娘が自殺した俺ー
茶谷に憑依されてるなんて思わないだろうなぁ
祐司のやつ」
「--!?」
部屋の外から会話を聞いていた祐司は
開いた口が塞がらない…という状態に
陥っていた。
ガチャー
聡美が部屋から出てくる。
聡美は一瞬ドキッとした表情を浮かべた。
「聡美ー」
祐司は、それを口にするのがやっとだった。
「あら?お父様。今日は早いのね」
聡美が微笑む。
祐司は、思わず、今の言葉を聞かなかったことにして
そのまま微笑み返しそうになった。
だがー
「----お前、茶谷なのか?」
祐司が言う。
企業時からの戦友とも言える存在で、
業務上横領により、決別ー
その後に自宅で首を吊った茶谷ー
「----」
聡美はイライラした様子で綺麗な髪を
掻き毟ると微笑んだ。
「あぁ、そうさ!俺は茶谷だよ!」
可愛い声で、聡美はそう叫んだー
「--自殺した俺はなぁ、
お前への恨みで成仏できなかったんだ」
聡美が歩きながら言う。
祐司と馬原部長は唖然としながら
聡美の様子を見つめているー
「で…お前を滅茶苦茶にしてやろうと思って
お前の可愛い可愛い娘に憑依したんだよ!
今じゃ、俺が聡美ちゃんだ!
いいや、わたしが聡美よ!」
笑いながら叫ぶ聡美。
「ふ…ふざけるな!お前が会社のお金を横領して
勝手に自殺したんじゃないか!
逆恨みもいいとこだ!
娘を返せ!」
祐司が叫ぶ。
聡美は笑うー
「秘書の優子を利用して、お前を苦しめたのも
従業員のストライキも、
企業仲間のひげのおっさんも、
週刊誌も、優子にお前の妻のフラワーショップを放火させたのも
ぜ~んぶわたしよ!ふふふふ
どう?娘が悪い子になっちゃった感想は~?」
聡美が挑発的に告げるー
「--く…」
祐司は拳を握りしめた。
「おっと~!態度に注意しなよ!
わたしを怒らせると、わたし、首を吊っちゃうよ?うふふふ」
聡美の言葉に、祐司は
拳を開いた。
「くそっ…ちゃ、、茶谷…
わかった」
祐司は降参の態度を示す。
「娘だけは、返してくれ…
俺はどうなっても、構わない。
俺を殺したってイイ。
だが、娘だけはー」
祐司がそこまで言うと、
聡美は自分の部屋の方に戻りー
ナイフを取り出した。
「--!?」
祐司は目を見開くー
そしてー
聡美は、祐司の横にいた
馬原部長に突進したー
ナイフを、持ったままー
「が…!」
驚きの表情を浮かべる馬原部長。
「---あはははははははは!」
笑う聡美ー
馬原部長は、そのまま倒れてしまうー
そしてー
聡美は血のついたナイフをペロリと舐めると祐司の方を見た。
「わたし、殺人犯になっちゃった~?
どうする、お・と・う・さ・ま♡」
無邪気に微笑む聡美ー
祐司は、唖然としてその場に立ち尽くすことしか
できなかったー
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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憑依された娘を取り戻せるのでしょうか~?
続きは明日デス!
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