<憑依>初めての一人暮らし③~異変~(完)

事故物件に住み始めた真由美ー。

その変貌ぶりは、周囲でも噂になり始める。

そしてー…?

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「---♪~」
大学内を上機嫌で歩く真由美。

元々おしゃれではあったものの、
最近は、足を見せつけるかのような
大胆なミニスカートやショートパンツ姿など、
色気を曝け出すようになっていた。

そして、最近では男と夜遊びもしているのだと
噂になっているー。

真由美が変わりだしたのは、
ちょうど、今から1か月前のことー。

真由美が事故物件に
引っ越し始めたころからだ。

大学内では
”憑りつかれたんじゃないの?”などという噂が
冗談のように広がっていた。

そして、真由美の周辺では
おかしな事件が起き始めていた。
急に消息不明になったり、
そういう人たちが増えたのだー

真由美は、今日も食堂で、大盛りのカレーライスを
美味しそうに食べている。
毎日のように暴食を繰り返し、
真由美は少し太り始めていた。

「---くくく」
真由美は、あれからも怨霊に憑依され続けているー

怨霊は、
この世の全てが憎いと思っている。

だがー。
真由美に憑依して、1か月を過ごし
少し考えも変わっていた。

最初は、この世の全てに復讐しようとしていたがー
今は、女子大生ライフを楽しみながら、
囁かな復讐をする方向に考えが変わっていた。

「---ふ~~~!」
カレーを平らげると、
5キロほど増えた身体を動かしながら
食堂を後にする真由美。

「--真由美~!最近、よく食べるようになったよね~!」
友人の一人が真由美に声をかける

「ふふふ。健康だってどうでもいいじゃない」
真由美はにっこりとほほ笑む。

「そんなこと言って~!
 真由美はまだまだこれからでしょ~?
 まだ私たち、大学生なんだから!」

友達の言葉に、
真由美は意味深な笑みを浮かべる

「そうね…でも、この女がどうなろうと
 知ったことないから」

ぼそっと呟く真由美

「え?」
友達が首をかしげる。

「ううん、なんでもない」
真由美は微笑みながら
立ち去って行った。

真由美の一番の親友だった奈津の姿は、今はもう、
大学にはないー

何故ならー

ガチャー

真由美が事故物件の中ー
自分の家の中に入る。

部屋の中は、おしゃれな女子大生の部屋では
既に無くなっていたー。

不気味なグッズが並びー
壁には「この世が憎い」と刻まれているー

「--ーーーあ…ああぁぁあ…」
部屋の中にはー
親友の奈津がいたー

奈津はメイド服を着せられて
真由美にご奉仕させられていた。

「---…おら!」
真由美が奈津を蹴り飛ばす。

「あぁぁぁ、じゃなくて、ご主人様を出迎えなさいよ」
真由美が言うと、
奈津は「お、、、おかえりなさいませ…」と
涙を流しながら呟く。

「--逃げたきゃ逃げてもいいのよ」
真由美は笑いながら言う。

「--でも、、その時は、この女の身体も
 壊しちゃうケドね…ふふふ」

真由美は、真由美自身を人質に
奈津を脅迫して、自分の思い通りに
させていた。

なんとか真由美を助けたい奈津は、
この部屋で、真由美に従うふりを
していたものの、連日の恐怖と乱暴からー
次第に精神は壊れ始めていた。

「--ま、、ゆ、、みを返して…」
奈津が虚ろな目で呟く。

その言葉を聞いた真由美は
奈津の胸倉をつかんで微笑む。

「--返さない…
 この身体はもう、俺のものだ…くくく…
 壊れるまで使い倒してやる!」

真由美はそう言うと、
奈津をグーで殴りつける。

真由美が煙草に火をつけて、
エッチな格好で煙草を吸いはじめるー

部屋には大量の吸い殻ー。

怨霊の好きに酷使された
真由美の身体は壊れ始めていたー

だがー
怨霊にとってそんなことは関係ない。
真由美自身も、幸せに生きていた女子大生ー
つまり、怨霊にとっては憎むべき存在ー。

その真由美がこうして、
自分の意思とは関係なく、
自分を壊すことをさせられているー
いや、自分がさせている。

怨霊はそのことに興奮していた。

「--は~」
煙草を吸い終えると、
今度は奈津に買わせていたビールを
飲み始める。

ビールを飲む手が震えているー

毎日アルコールを過剰摂取させられている真由美の身体は
中毒症状を起こし始めていたー

「--まゆみ…」
奈津はうつろな目で真由美を見る。

このままじゃ、自分も、真由美も完全に
壊れてしまうー

どうにかしないとー

奈津はそう思った。

警察に通報しても、
事故物件に引っ越した友人が、怨霊に憑依されましたー
なんて信じてくれないだろうー

仮に信じてくれたとしても、
その時は、真由美の身体が壊されてしまうかもしれないー

けど、
このまま放っておいてもー

奈津は、真由美のお世話をしながら
何か、何か方法はないかと、頭の中で必死に
この状況を打開する方法を考えていたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それからさらに半月が経過した。

真由美の体重はさらに増えて
憑依される前より、10キロも増えていたー

「---は?」
真由美が怒りの声を上げる。

1か月前から、身体の関係を持っている
男子大学生が、
突然別れたいといってきたのだ。

「--は?ふざけないで。
 わたしにお金を毎週くれる約束でしょ?」

金づるを失いそうになった真由美は
怒りの形相で言う。

怒りの形相で迫られた男は
少し考えたあとに言った。

「--じ、、実はさ…
 最近、噂になってるだろ…?

 真由美ちゃん…
 事故物件に引っ越してから
 変わったって…」

男は気まずそうに言う。

1か月前ー
真面目だった真由美に突然誘われて
ホテルに連れ込まれて身体の関係を持ってしまった男ー

最初は喜んだ。
憧れの真由美と出来るなんてー。

けどー
だんだん怖くなってきたー

時々、真由美は、自分を他人のように言うー

特にエッチをしている最中や
し終わったあとー
”この女の身体は最高だ”
のような発言をすることがあり、
男はだんだん怖くなってきていたー

”真由美は本当に、事故物件の悪霊に憑りつかれているのではないか”

とー。

「どうしてわたしが変わったか知りたい?」
真由美が微笑む。

少し体重が増えたとは言え、元々細見だった真由美は
今でもまだ、整っているー

「---え…」
男が不安そうに真由美を見る。

「---この女、俺が乗っ取ってやったからだよぉ!
 ぐへへへへへへ!」

真由美が目を赤く輝かせながら
そう叫んだ。

「ひっ…!うわああああああ!」
男が逃げ出そうとする。

そんな男は真由美は
乱暴につかみ、ホテルの部屋の端っこまで投げ飛ばした。

「---真由美は、1か月半前…
 俺のいる部屋に引っ越してきてから
 俺のものだ…くふふ」

自分の胸を触りながら笑う真由美。

男は、悲鳴をあげる。

まさか、本当に事故物件で憑依されていたなんてー

「---うふふふ…」
真由美は、不気味な笑みを浮かべながら、男にキスをしたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

真由美が部屋へと帰ってくる。

部屋に戻ると、
奈津の姿がなかった。

「---奈津?どこにいるの?」
真由美が不機嫌そうな表情で叫ぶ。

「奈津?どこ?奈津!」
だんだんとその声が大きくなる。

「--あいつ…逃げたのか…?」
真由美は激しい形相でそう呟いた。

その時だったー

何人かの足音が聞こえる。

「--警察だ!手を上げろ!」

狭いアパートの部屋に4人の警察官が駆け込んでくる

「…!!」
真由美はとっさに両手をあげた。

部屋の中の「この世が憎い」という文字を
見渡す警察官。

部屋中に血のような赤い文字で
”この世が憎い”と刻まれている
異様な光景を見て、警察官はゴクリと唾を飲みこんだ。

ミニスカート姿の真由美が、
か弱い雰囲気を装って呟く

「な…なんですか…いきなり…?」

普通の女子大生を演じながら
隙をついて4人の警察官を
消し去るー

真由美は内心、笑みを浮かべていたー

しかしー

「真由美…
 ごめん…もう、、こうするしか、、なかったの…」

友人の奈津が姿を現した。

事故物件の悪霊に真由美が
憑依されたなんて、警察に信じてもらえるはずがないー

だがー
奈津には、もうこれしかできなかった

真由美のしもべとして一緒に暮らし始めていた奈津は
いざというときのために、密かに真由美が
人を殺したり、消したりしている証拠を集めていた。

そしてー
奈津はそれを警察に持ち込んだ。

真由美を救うには、これしかないー

真由美は犯罪者として逮捕されてしまうけれどもー
自由を奪われたら、悪霊も真由美から
出ていく可能性は高いし、
このまま野放しにしておくよりはマシだー

奈津は、そう考えた。

「---貴様ぁああああああ!」
真由美が豹変して、目を赤く光らせた。

「やめて!ねぇ!もうやめてよ!」
奈津が叫ぶ。

しかし、その言葉は真由美には届かない
真由美は完全に悪霊に支配されてしまっている。

「これは、この世への復讐だ!
 邪魔をするな!
 この女の身体が壊れるまで、、
 うひひひひ、うひひひひひひひひ!」

真由美が狂ったように笑いはじめる

唖然とする警察官たちー。

「真由美は、、、この部屋で前に自殺した人に
 身体を乗っ取られてるんです!」

奈津は、ダメもとで叫んだ

警察官たちは、やはり信じてくれていない様子だ。

「--動くな」
銃を構える警察官。

真由美は不気味な笑みを浮かべた。

「---ふふふふふふふふふ」

真由美の口から紫色の霧が吐き出される。

そしてー
警察官の一人の首を絞めはじめた。

「--ぐへへへへへ…
 きひひひひひひひひ!」

人間とは思えない、邪悪な笑みを浮かべる真由美。

「やめて!!ねぇやめて!!」
奈津が大声で叫ぶ。

それでも真由美は止まらないー

謎の霧に首を絞められている警察官ー

残り3人が「やめろ!」と叫ぶ。

首を絞められた警察官から、
生気が消えていく。

「--やめろーーーーー!!!!」
警察官の一人が、、
咄嗟に銃を発砲した。

パァン!と音が響き渡るー

「----ーあ…!」
真由美の胸に銃弾が着弾した。

真由美は瞳を震わせる。

「やめてーーーー!」
奈津は叫んだ。

しかしー
真由美は目を真っ赤に光らせて、
髪の毛を逆立たせて、
何かをしようとし始める。

「貴様らぁぁぁぁ!全部全部壊してやる!」
真由美の可愛い声が、
怒り狂った言葉を発するー

パァン!パァン!パァン!

警察官の一人が
パニックを起こして
さらに発砲するー

真由美の身体から
血が流れるー

「あ…」
真由美は膝をついた。

そしてー

「た…すけ…て」
真由美の目の赤い光が消えて、
涙がこぼれ落ちるー

けれどー
真由美の身体は、そのまま崩れ落ちるようにして倒れたー

「真由美!!!」
奈津が泣きながら真由美に駆け寄るー

真由美は、もう死んでいたー

「そんな…そんな…!」
泣きじゃくる奈津。

警察官が救急車を手配する。

首を絞められていた警察官も、
間に合わなかったのか、倒れたまま動かないー

ほどなくして
救急車が到着したがー

真由美も、警察官の一人も、
助からなかったー

・・・・・・・・・・・・・・・

”あの部屋”は封鎖された。
2人分の事故物件ー。

もう、買い手もいないだろうしー
アパートの他の住人も、気味悪がって逃げ出すように
引っ越したー

・・・・・

1週間後ー

大学に復帰した、真由美の親友・奈津は、
食堂でコーラを片手に、大盛りのカレーライスを食べながら微笑んでいたー

「--ーーーふふふ」

奈津は怪しく微笑むと、
目を赤く、光らせたー

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

事故物件を題材にした憑依モノでした!
実際は、(たぶん)安全なので、安心して下さいネ…!

お読み下さりありがとうございました~!

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