出会いからー
アドバイスー
ゴールインまでー
凄腕の結婚コンサルタントが居た。
しかし、彼の正体はー。
-------------------------—-
とある新婚の夫婦が
ハワイ旅行へと旅立ったー。
しかしー
その最中…。
若くて、笑顔の可愛らしい妻が
豹変した。
「うひゃひゃひゃひゃひゃひゃゃ~!!!」
ハワイの街中で突然
服を破り捨てて奇声をあげる妻。
「--お、、おい!!何をしてるんだ!」
夫は慌てて叫ぶ。
しかし、妻は、生まれたままの姿で
奇妙なダンスを踊りまくると、
そのまま、車の走る方向へと向かって行き、
万歳しながらー
車に轢かれてーー
「うわああああああああああ!」
夫が悲痛な叫びをあげたがー
もう、その叫びは、妻には届かなかったー
・・・・・・・・・・・・・・・
とある事務所ー
昼寝をしていた男が目を覚ます。
結婚コンサルタントの
真神 仁(まがみ じん)。
彼は、笑みを浮かべたー
「希望から絶望に突き落とされる瞬間ー
人はもっとも美しいカオを見せてくれるー」
彼は、昼寝をしていたのではないー
彼は、ハワイで新婚旅行中の夫婦の妻に
憑依して、その人生を壊してー
こうして、戻ってきたのだー
・・・・・・・・・・・・・・・・
結婚相談所に登録した30代後半男性・介司(かいじ)の
相談に、真神は乗っていた。
「なるほど。20代前半で、可愛くて、
趣味も合う女性との出会いを求めている…と」
真神はそう言いながら、介司の方を見た。
100キロぐらいあるんじゃないかという巨体、
趣味はフィギュア収集、
髭は剃られておらず、鼻毛も出ているー。
年収は、80万円で、親からの仕送りで暮らす。
真神は心の中で失笑した。
(自分の立場が分かっているのか?)と。
こんな30代後半男が、
20代前半の美人で、趣味も合う女性を
希望しているなんてー
と。
まず、その前にやることがあるんじゃないか?と
真神は思ったが、
紳士的な笑みを浮かべて、真神は呟いた。
「分かりました。
必ず希望に合う相手を見つけましょう」
真神の言葉に、
介司は嬉しそうに「ありがとな!」と真神の肩を
ポンポン叩きながら呟いた。
「----」
真神は愛想笑いを浮かべながら
”こいつは口のきき方も知らないのか?”と思いながら
心の中でほくそ笑んだ。
”希望から絶望への転落。
実に楽しみだー”
と。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
真神は、近くに住む
一人暮らしの20代前半女性を
ピックアップしていたー。
結婚相談所に登録していようが、
していまいが、彼にとっては関係ない。
彼には、強引にマッチングさせる力があるからだー。
ニヤ…
真神は、ターゲットを見つけた。
近所に住む一人暮らしの女子大生・彩華。
「---この子に、決まりだー」
とてもかわいらしい眼鏡っ子。
この、彩華なら、あの男も気に入るだろうー。
・・・・・・・・・・・・・・
夜ー
「---はぁ~疲れた~!」
自宅に帰宅する彩華。
落ち着いた雰囲気の可愛らしい服装ー
清楚な雰囲気の可愛らしい顔―。
控えめな性格の彩華は、
友達の数はそれほど多くなかったが
心優しい彼氏にも
恵まれてー
幸せな日々を送っていた。
♪~~~
呼び出しのベルが鳴る。
「お届け物で~す!」
その言葉に、彩華は
”ネットで頼んでおいたぬいぐるみかな?”と
思いながら「は~い!」と返事をしたー
しかしー
玄関を開けた先で待っていたのはー
結婚コンサルタント・真神だった。
「---お邪魔します」
「!?」
真神はそう呟くと、
彩華にキスをしたー
彩華が驚いた表情を浮かべながら、
煙のようになった真神を吸いこんでいくー
「あ…ああ…あっ?」
ビクンビクンと震える彩華。
すぐに彩華はニヤァ…と笑みを浮かべた。
「申し遅れました 私、結婚コンサルタントの
真神 仁と申します」
乗っ取った彩華の身体に自己紹介をさせると、
彩華はすぐに、真神が持ってきていたケースから
30代後半の独資男、介司の写真を取りだした。
「あぁ…好き…」
介司の写真を見つめながら
憑依された彩華は、顔を赤らめてそう呟き始めた。
「好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き
好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き
好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き
好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き」
物凄い早口で呪文のように唱える彩華ー。
人間に憑依したとき、
思考は、その身体で行うー
故にー
憑依している間に、強く念じたり、思考することで
そのことを脳に刻み付けることができるのだ。
「---好き好き好き…ふぅぅぅぅ」
そこまで言い終えると、彩華は、介司の写真を
大切にしまい、
それから、介司の趣味への理解を刷り込み、
さらに、スマホを見つめて呟く。
「なんだ、彼氏がいるのか」
面倒臭そうに呟くと、
彩華は髪の毛を掻き毟りながら
再び早口で呟き始めた。
「嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い
嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い
嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い」
スマホの彼氏の写真を見ながらそう呟く彩華。
「---さて…」
そう呟くと、彩華はぐへっ!?と変な声を
上げて、白目を剥いて倒れたー
少しして、彩華は目を覚ますー。
「あ…」
彩華は、真神の方を見つめた。
「--来週の土曜日、
介司さんと、お会いしてくれますか?」
真神がにやりと笑みを浮かべながら
その写真を見せると、
彩華は嬉しそうに「はい!」と叫んだー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
土曜日ー
「--おはようございます」
紳士的な笑みを浮かべる真神。
介司は、「あぁ、おはよう」と
何故かフレンドリーな言葉遣いで
真神に対して挨拶した。
「---お相手の、彩華との
初デートですね。」
真神がそう言うと、
介司は叫んだ
「ふふふぉぉぉ~!
こんなカワイイ子が、僕に会ってくれるなんて!
ぐふふふふふふ!
これで僕も童貞卒業だぁぁぁ~ぐっひひひひ~!」
介司が街中でそう叫ぶ。
”お前、最低だな”
真神は内心でそう思いながらも、
愛想笑いを浮かべた。
「では、初デートの成功、お祈りしています」
真神が頭を下げると、
「うん。」
と介司は返事をした。
”何がうんだ、「はい」だろ?”と
介司の言葉遣いに不満を感じながらも、
真神は静かに微笑んだ。
介司は、嬉しそうに、
駅で待っている彩華の方に向かって行く。
彩華は顔を赤らめながら嬉しそうに微笑んだ。
その様子を見ながら真神は笑う。
「私が憑依で、彼女の思考を変えておいたー。
介司…
君は、夢のように順調にゴールインできるさ…
くくくくく」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それから1か月近くが経過した。
二人はあっという間に接近し、
両家への挨拶も済ませたー。
彩華の両親は、介司を見て反対したが
彩華が、両親と絶縁する勢いで怒りだし、
強引に介司との結婚を認めさせたー
「---♡~」
自宅で、介司の写真を見て
ひとり興奮している彩華。
「---ふふふふふ…介司さぁ~ん♡」
写真にキスをする彩華。
彩華の脳は、介司が好きの気持ちで
埋め尽くされているー
二人の結婚は、目前に迫っていたー。
どうして、自分はこんなに
介司さんのことが好きになったのだろう…?
そう思いながらも好き好きの気持ちが
それを上書きしていく。
介司の写真に狂ったように
キスをしまくる彩華。
彩華は、介司のことで頭がいっぱいになっていたー
介司のことを考えるだけで
興奮して、濡れてしまうー。
・・・・・・・・・・・・・・・・
「---うへへへ…ありがとう」
介司が笑いながら言う。
「--どういたしまして」
昼下がりー
おしゃれなカフェで
真神は介司と会っていた。
紳士的な風貌の真神と、
汗だくのポロシャツ姿の介司。
介司は
「まさかあんな可愛い女とラブラブに
なれるなんて思わなかったよ
おまけに僕のこと、養ってくれるんだってぇ~|!
うへへへへへへへへ~!」
気持ち悪い笑い声を上げる介司。
そんな介司を見ながら
真神は笑みを浮かべた。
「そもそも仕上げです」
真神は、笑いながら彩華に対して
プロポーズをするように、介司へと告げた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日の夜ー
介司は、真神の言うとおりにプロポーズを
実践したー。
呼び出された彩華は、
不思議そうな顔で介司の方を見る。
介司は、美少女キャラがプリントされた
Tシャツ姿で叫んだ。
「僕と結婚してくれ…!」と。
「--僕が、彩華ちゃんの全てを
包み込んであげるから…!」
とー。
憑依されて変えられてしまう前の
彩華なら気持ち悪いと感じたかもしれない。
しかしー
今の彩華はー
顔を真っ赤にして、
涙をボロボロこぼしながら
嬉しそうに微笑んだ
「うんーーー嬉しい…」
彩華はそのまま介司に
抱き着いて、嬉しそうに身を委ねたー
元・彼氏とは別れー
介司のことしか見ない彩華は、
友達をも失っていたー
けれど、
今の彩華にはそれが幸せだったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
彩華側の親族が難色を示したため
結婚式は簡素に行われた。
挙式を終えた2人ー
その日の夜ー
介司は、彩華の家にやってきた。
介司は親の仕送り暮らしだし、
彩華はまだ女子大生でそれほどお金もない。
そのため、新居ではなく
彩華の家で暮らすことになったのだった。
アニメグッズを背負う介司を
躊躇なく受け入れる彩華。
「---僕のグッズ置き場が欲しいな」
その言葉に、彩華は、自分の趣味の小物を
ためらうことなく捨てると、
介司の好きなようにさせてあげた。
介司のことが何よりも好きに
なってしまっている彩華は、
介司のためなら何でもした。
「ゴクリー」
介司は唾を飲み込む。
自分はずっと二次元専門だと思っていた。
だが、目の前にこんなに可愛らしい女子大生がいるー。
しかも、その子は、今や妻だー。
ミニスカート姿の彩華の生足を見つめながら、
アソコを巨大化させていく介司。
「うふふ…かわいい・・・!」
彩華はそんな介司を見て、可愛いと思った。
”結婚するまでエッチはしない”
真神は、そう彩華に刻み込んでおいた。
そしてー
結婚した今日…
「--ねぇ…エッチなこと…する?」
彩華が甘い声で言う。
「--ふほっ!」
介司は変な声をあげた
「うへへへ・・・ つ、、ついに僕も
童貞を捨てる時が来た…!
うひひひひひ!
やろう!!僕と溶け合って
混ざっちゃおう!ぐひひひひ~!」
介司は生まれてから
最高潮の興奮を味わいながら
両手で万歳した。
♪~~
インターホンが鳴る。
「ちっ!
なんだよ!」
今すぐにでもエッチしようと思っていた介司が
不満の言葉を口にする
「---は~い!」
彩華が玄関の方に向かうー
ガチャー
扉を開けると、そこには、結婚コンサルタントの真神の姿があった。
「ご結婚おめでとうございます。
そしてー」
真神は笑みを浮かべると、彩華にキスをした。
「ひぅっ!?」
彩華の身体の中に吸い込まれていく真神。
彩華はすぐに不気味な笑みを浮かべた。
「くくく…この瞬間こそが、私の楽しみー」
彩華はそう呟くと、
家の中へと戻って行く。
「--くふふ…誰だったんだぁ~?彩華~」
すっかり童貞卒業するつもりになっている介司が笑う。
「---ふふふふ…マジきもい」
彩華はそう呟いた。
「---あ?」
介司が首をかしげる。
「--わたしとエッチしようなんて、マジでキモいんだけど~?」
今まで従順だった彩華が豹変したー。
介司は驚いて目を見開く。
「な、な、、な、、ぼ、僕はお前の夫だぞ!
今更何を…!」
介司は顔を真っ赤にしながら叫ぶ。
「--ふふふ…
そんなにわたしの身体が欲しいの??」
彩華は挑発的な笑みを浮かべながら言う。
「--まずさ、自分のこと、顧みた方が
いいんじゃないの?」
彩華は腕を組みながら、
介司の持ってきたグッズを蹴り飛ばして笑う。
「な、、何をするんだ!!
やめろ!」
さっきまでニヤニヤ笑みを浮かべていた介司が
顔を真っ赤にして、絶望の表情を浮かべている。
「--く…くくくくくく」
彩華が表情を歪めるー
可愛らしい表情が悪魔のような表情に変わっている。
「くくくくくくくくくくく~~~!!!
それだよ!それ!
希望から絶望に突き落とされる瞬間ー
人はもっとも美しいカオを見せてくれるー」
彩華の言葉に、
介司は叫ぶ
「ぼ、、僕を騙してたのか!」
介司の言葉に
彩華は耳に指を突っ込みながら笑った。
「---んふふふふふふ~
わたしは悪女ですぅ~!
な~んちゃって!
きゃはははははははっ!」
笑う彩華ー。
絶望する介司ー。
介司は叫ぶ。
「ど、童貞卒業させてくれぇ~!」
すっかりエッチをするつもりだった介司は
彩華に襲い掛かった。
だがー
彩華に憑依している真神は、
格闘技を習得していた。
彩華の身体で鮮やかな技を
繰り出すと、介司はあっという間に
倒されてしまった。
「--うふふふふふふふ!
新婚生活初日で破綻~!
どう?今の気持ちは?」
彩華の言葉に、
介司は泣きながら
顔を真っ赤にして叫ぶ
「ど、、どうして…!彩華!
彩華ぁ!!!」
希望に満ちていた介司の表情が
一転して絶望の表情になるー
「--うふふふふ…
そうだよ…それだよ…!
くくくく…最高の表情だ…!
あははははははははははっ!」
両手を広げながら彩華は
大声で笑った。
「--さぁ~て」
彩華は乱暴に服を身だし、
髪の毛をグシャグシャに掻き毟ると
笑みを浮かべた。
「---女って、
こんなこともできるんだよ?うふふ」
彩華は玄関の方に走っていき、叫ぶー。
「きゃあああああああああ!」
とー。
唖然とする介司。
ほどなくして、
介司に無理やり襲われたとして、
近所の人や警察官が駆けつけたー
介司はーー
希望から絶望のどん底へと
突き落とされたのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ふ~~~~!」
彩華は嬉しそうに夜の街を
歩いていた。
あの男の絶望する表情も最高だった。
特に理由はないー
結婚コンサルタントとして結婚まで導き、
そのあとに、希望から絶望へと突き落とすー
そんなことをして、真神にメリットはあるのか?と
言われれば、あまり、ない。
では、なぜそんなことをするのか。
それは、ただ単に
”おもしろいから”
これだけだったー
「--さて…」
「--私は何も考えない
私は全てを忘れる…
私は何も思わない…」
彩華がニヤニヤしながら
呟き始める。
真神は”遊び終わったら”
いつも、利用した女の身体は
ちゃんと解放するー。
使い終わったモノは、
綺麗にして返却する。
それが、彼の流儀。
「--じゃあな」
彩華はニヤっと笑みを浮かべて
そのまま倒れるー
「うあ…」
しばらくして彩華は目を覚ました
自分が誰なのかー
自分が何でここに居るのかー
何も分からないー
「あは…あははは…
あははははは…!」
涎をたらしながら
赤ん坊のように
周囲を見て笑う彩華。
通行人が不思議そうな表情で彩華を見る。
「あははは…ばぶばぶ~!」
彩華は、嬉しそうに
手を叩きながら
無邪気にはしゃぐのだったー
「--ご結婚おめでとうございます」
真神は、少し遠くから、
変わり果てて、赤ん坊のように何も分からなくなった彩華の姿を見ながら
少しだけ微笑んで、その場から立ち去ったー
次の遊び相手を探すためにー。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
人をなんとも思わない人が
憑依を手に入れてしまうと
大変なことになりそうですネ…!
お読み下さりありがとうございました!
コメント