平和なごく普通の一家。
そこに、悪意が迫りくるー。
憑依された心優しい母は豹変し、
悪魔になってしまった…!
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寺本家ー。
ごく普通の一家。
心優しい母親の梨香(りか)とー
家族思いの夫・治夫(はるお)-。
そして、10歳の息子・勇樹(ゆうき)と、8歳の娘・千夏(ちなつ)がそれぞれいるー。
母親の梨香は、まだまだ若々しく、
その美貌も健在ー
夫の治夫にとっては、本当に色々な意味で
支えになっている存在でもあった。
「---ねぇねぇ、この前のテストで僕、100点をとったよ~!」
勇樹が言う。
「え~100点?頑張ったね~!」
梨香が笑いながら言う。
いつものような光景ー。
「---もぐもぐもぐもぐ」
食いしん坊の娘・千夏は
無心にご飯を食べ続けているー。
「---そういえば、来週の土曜日だけどさ
遊園地と動物園、どっちに行きたいか決めたか?」
父の治夫が言う。
休みを利用して家族でどこかに遊びに行く予定を立てている。
「遊園地~!」
「動物園~!」
いつものように、息子と娘で意見が分かれている。
「---ははは」
苦笑する治夫。
しかし、この状況は厄介だ。
遊園地を選べば千夏が拗ねて
動物園を選べば勇気が拗ねる。
「ははははははは~!」
誤魔化すようにして笑うと、
治夫は、妻の梨香の方を見て言った。
「梨香はどっちにいきたい?」
治夫の言葉に
梨香は溜息をついた。
「も~う!
そうやって、わたしに責任を押し付けようとしてるでしょ~?」
梨香はそう言いながらも
いつものやり取りを微笑ましく思っていた。
「---お父さんはどこに行きたいの?」
梨香が笑いながら聞く。
「え…お、、俺は?」
治夫は、息子と娘の方を見る。
勇樹は「ゆうえんち!ゆうえんち!」と嬉しそうに言っているし
千夏は「どうぶつえん!どうぶつえん!」と嬉しそうに言っている。
どちらと答えても詰み。
「--は、、はははは…!
よ~し!両方行くか~!」
治夫は
土曜日に遊園地、日曜日に動物園に行くことにして、
なんとかその場を収めたのだったー。
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木曜日ー
「ふぅ~…今日も疲れたなぁ」
治夫が仕事を終えて自宅へと帰宅する。
「---あ、寺本さん。こんばんは」
近所に住む男・音山(おとやま)が頭を下げる。
「あ、音山さん。こんばんは」
治夫が微笑みながら声をかける。
寺本家と音山はそこまで親密では無かったが
こうして挨拶はする間柄だし、
ご近所同士ということで、時々話す機会はあるー。
立ち止まって少し雑談する治夫。
そんな中、音山が口を開いた
「---それにしても、羨ましいですよ。
寺本さんは」
音山が笑う。
治夫が「え?」と言うと、
音山は、寺本家の家の方を見ながら呟いた
「綺麗な奥さんに
可愛い娘さんと息子さん。
…俺も、そんな家庭を持ってみたかったなぁって
時々思うんですよ」
治夫より年上の音山は丁寧な物腰で話す。
「--ははは」
治夫は少し気まずい思いをしながら笑う。
治夫は笑ってごまかす癖があるのだ。
音山が独身であることは知っている。
こういったとき、どう反応すれば良いのか
少し困ってしまう。
「---羨ましいですよ…本当に…」
音山は家を遠い目で見つめながら今一度呟く
「…壊してやりたいぐらいに」
音山が小声でぼそっと呟いたー
「---え?」
治夫は、今の音山の言葉を聞きとることはできなかった。
小声だったことと、
たまたま近くを車が通ったことで、聞き逃したのだ。
「--あ、いえ、呼び止めてすみませんでした」
音山はそう言うと、笑いながら、
治夫にそう告げた
「あぁ、いえいえ、全然大丈夫ですよ。それじゃ、失礼します」
治夫はそう言うと、そのまま家族の待つ家へと戻って行った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
金曜日の朝。
「いってきます~!」
娘の千夏と息子の勇樹が張り合うようにして
家から飛び出す。
学校に行くときに競争しているのだとか
なんとか。
「ははは…気をつけろよ~!」
治夫はそう言うと、
自分も会社に向かう準備を始める。
「お届け物です~!」
朝早くからやってくる宅急便。
治夫の母から、
野菜や果物が届いたのだったー
「ご苦労様です~」
治夫は、それを笑顔で受け取る。
治夫の実家は農家だー。
新鮮なきゅうりや、トマトなどなど
色々な野菜が送られてきていたー。
「わ~!すごい!
お義母さんにまたお礼言わなくちゃ!」
妻の梨香が喜ぶ。
「はは、母さんと父さんの野菜は美味しいからな。」
治夫はそう言うと、あ、会社行かないと!と
呟いて、そのまま家を飛び出したー。
昼ー
「あ、お義母さんですか?
また美味しそうな野菜を頂いちゃって、
本当にいつもありがとうございます~」
スマホで、夫である治夫の母親と
会話している梨香。
その時だった。
ガチャ。
玄関の扉が開いたー。
ちょうど庭の手入れをした直後で、
玄関の鍵は開けたままだった。
「---?」
梨香は一瞬玄関の方を覗いたが
”近くの職場の夫が昼休みに帰ってきたのだろう”と思い、
特に気にしなかった。
時々、昼休みに帰ってくることは
よくあることだったからだー。
しかしー
「----」
治夫の母との電話に夢中になっている梨香の
背後に立っていた男はーー
”夫”ではなかったー
「---!?」
驚いて目を見開く梨香。
その直後、男は梨香にキスをした。
吸い込まれるように、煙のようになって、
梨香の口から中に侵入していく男ー。
「---ひっ!?げほっ…げほっ…!」
苦しそうに咳き込みだす梨香。
悲鳴を上げる間もなかった。
”梨香ちゃん?だいじょうぶ?”
電話相手の治夫の母親が心配そうに梨香を呼ぶ。
梨香は苦しみながら
落したスマホを拾おうとするー
しかしー
その時、気づいたー
自分の身体が思うように動かないことに。
「え・・・・・?」
梨香は混乱する。
何故、あの人が勝手に家に入って来たのかー
そして、いきなりのキスー
キスのあとに、姿を消したあの人ー
さらにー
自分の身体がーーー
”ゆだねろ”
頭の中にそう声が聞こえてきた。
「え…」
梨香はやっとの思いでそう呟いた。
頭が、何も考えられなくなってくる。
どういうことー?
梨香は焦りながらそう呟いたー
がー
それが梨香の最後の思考になった。
”ねぇ、梨香ちゃん!だいじょうぶ?ねぇ!”
治夫の母親が電話口で叫んでいる。
立ち上がった梨香はスマホを拾って囁いた。
「はぁい…♡ だいじょうぶですよぉ~
ふふふ」
とー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
治夫はいつものように、仕事を終えて帰宅した。
今週も1週間が終わった。
明日は遊園地、明後日は動物園。
「休む間もないな」
と治夫は、苦笑いしながら玄関の鍵を開ける。
「ただいま~!」
治夫が言うと、
騒がしい足音が聞こえてきた。
いつものように息子の勇樹と娘の千夏が
お出迎えに走って来ているのだろうー
”おかえりパパ”
”おかえりお父さん”
二人の子供の声が今日も、
いつものようにー
「--パパ!」
娘の千夏が叫んだ。
「---?」
いつもと違う千夏の様子に、治夫は
少し首をかしげた。
「---パパ!ママが!ママが変なの!」
千夏はそう叫んだ
「変?」
治夫はヒヤッとした。
梨香が倒れでもしたのか?
そうだとしたら一大事だ。
「梨香!?大丈夫か?梨香!」
そう叫びながらリビングの方に向かうー
しかしー
そこで見たのは、体調不良で倒れている
梨香などではなかった。
そこにあったのは
裸になって、
机のカドに自分の身体を押し付けながら
「んぁあああっ♡」と甘い声を出している梨香の姿だったー。
「お母さん!!!何してるの!!」
長男の勇樹が泣きじゃくっている。
梨香は息子の言葉を無視して、
大きな喘ぎ声を上げて、
顔を真っ赤にしている。
「---梨香…」
唖然とした表情で、治夫はリビングへと
足を踏み入れた。
イヤらしい液体が、リビングを汚しているのに気付く治夫。
いつもなら、とっくに夕食の時間のはずだがー
何も、用意されている様子はない
「あらぁ…♡ んふふ…おかえりなさぁ~い♡」
生まれたままの姿で笑う梨香。
「お、、おかえりなさい…って、
子供たちの前で何をしてるんだ!」
治夫が焦った様子で言うと、
梨香は微笑んだ。
「決まってるじゃない…性教育よ」
梨香の言葉に、治夫は唖然とする。
「せ、、、性教育って…
2人はまだ10歳と8歳だぞ!」
治夫が叫ぶと、
梨香は微笑む。
「--ママであるわたしが、
性の気持ちよさを教えてあげないでどうするの?んふふ…」
梨香はそう言うと、
泣きじゃくる勇樹の方を見た。
「さぁ、勇樹。ズボンとパンツを脱ぐのよ」
梨香が言う。
「---え…」
勇樹は涙をこぼしながら不思議そうな顔をする。
「-そろそろ、ご飯の時間でしょ?
わたし、勇樹の肉棒が食べたいの…!うふふふふ」
「--おい!何バカなこと言ってるんだ!」
治夫は慌てて勇樹の側から梨香を離す。
「--勇樹、千夏、
ちょっと一旦、部屋に戻ってなさい」
治夫が言う。
勇樹と千夏は不安そうな表情を浮かべながら
子供部屋に戻って行く。
二人が子供部屋に入ったのを確認して、
治夫は、裸の梨香の方を見た。
「--どういう、つもりだ…?」
治夫が言うと、
梨香はにっこりとほほ笑んだ。
「---どうって?
わたしはママである前に女なのよ?」
梨香が甘い声で囁く…。
「--そ、、そんなことは分かってる!
けど、子供たちの前でそんな…!」
治夫が言うと、
梨香はクスクスと笑う。
「--こんなエロい身体持ってるのに
それを楽しまないなんて損じゃない!」
梨香は自分の身体をイヤらしい表情で
抱きしめながら「くふふふふふふ」と笑い声を漏らす。
「---な、、何を言ってるんだ!
とにかく落ち着け!」
治夫はわけも分からずそう叫んだ。
いったいどうした?
子供が生まれてから10年ー。
一度も梨香がこんなことを言いだしたことはなかった。
いったい、何だ?
欲求不満か?
確かに最近は夫婦間のアレも減ってはいるが、
それにしても…
「--梨香!お前は2人のお母さんなんだぞ!
せめて子供たちの前では…」
梨香に向かって治夫がそう言うと、
梨香は治夫を睨みつけた。
「わたしはメスよ!」
とー。
「--お、、おい…梨香…」
困惑する治夫。
「---わ…わ…わかった…わかったよ…
今夜…するから…!
な?最近できなくて悪かったよ」
治夫は慌ててそう呟いた。
夫婦間の夜の営みが減っていることに対する不満。
治夫はそう思った。
その言葉に梨香は「うふふ」と微笑むと、
ようやく近くに脱いであった服を手にして、
それを身に着け始めた。
「--子供たちも不安がってる。
俺も手伝うから、晩御飯の支度をしよう」
そう言うと、治夫は冷蔵庫から
食材を取り出して、率先して
晩御飯の支度を始めるのだったー
その様子を見ながら梨香は微笑む。
「ふふふ…お母さん、今日から悪魔になっちゃう…♡」
憑依された梨香は、
小さな声で、そう呟いたー
②へ続く
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コメント
母親憑依モノは今までに何作品かありますが、
ツイッターのフォロワー様から「見たい!」というお声があったのと、
リクエストで「闇に染まるママ」別ルートの希望も頂いていたのですが、
別ルートリクエストはちょっと難しいかな~…ということで、
今回、新作を作ることにしました~!(闇に染まるママとは無関係の別作品デス)
明日以降もお楽しみに~!
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