目の前で変えられていく幼馴染。
思い出は消され―
愛情は消され―。
何もかもが、変えられていく。
———————-
「大輝は…嫌い…!」
「憑依…大好き…」
しばらくすると、真桜が呟きを終えて、
浩太の方を見た。
「終わったか?」
眼鏡をかけた男子生徒・浩太が言うと、
浩太の友人である公之に憑依された真桜は頷いた。
「うん。終わったよ」
とー
「お…終わったって…!?何が!」
真桜の彼氏の大輝は、泣きそうになりながら叫んだ。
「--今に分かる。
さぁ、公之。一度憑依から抜けるんだ!」
そう言うと、真桜がガクッと身体を倒したー
「--ま、、真桜!大丈夫か!真桜!」
駆け寄る大輝。
浩太と、目を覚ました公之は、
ニヤニヤしながらそれを見ている。
「う…」
目を覚ます真桜。
「真桜!真桜!…よかった!」
大輝は、色々と不安を感じながらも、
とりあえず真桜が目を覚ましてくれたことに安堵した。
浩太や公之のことをどうするべきか
考えながら真桜の方を見つめるー
しかしー
「---触らないで!」
真桜は、大輝の手を振り払った。
「ま…真桜…?」
唖然とする大輝。
「--え…どうしてあんたがわたしの家にいるの?
あり得ない…」
真桜が心底気持ち悪い、という様子で言う。
「--ま、、真桜…ど、、どうしちゃったんだよ…?真桜!」
大輝が叫ぶ。
大輝は公之の方を見る。
既に、憑依はされていないはずー。
「---気安くわたしの名前を呼ばないで!
ほんっとうに気持ち悪い!
なんなの?」
真桜は敵意をむき出しにしている。
「--お、、お前ら!真桜に何をした!?」
大輝は振り返って浩太たちの方を見て怒鳴る。
浩太はニヤニヤしながら言った。
「--だから言ったじゃないか。
真桜ちゃんをエディットするって。
真桜ちゃんの中の君への愛情を、憎悪に変えてやったのさ」
浩太の言葉に、大輝は絶望の表情を浮かべる。
「ま…真桜!目を覚ませ!
今日下校するまでのこと、覚えてるだろ?
なぁ、真桜!」
そう言うと、真桜はにっこりと笑った。
「覚えてるよ…
でも、、わたし、どうかしてた。
あんたみたいなキモいのと付き合うとか
本当にあり得ないし…!」
真桜は、心からの嫌悪感を隠そうともせず
言い放った。
「---あっはっはっはっは!
リア充爆発の瞬間だぁ~!」
笑う浩太。
そんな浩太たちの方を見て真桜は言う。
「…二人も、どうしてここにいるの・・・?」
とー。
「--あぁ…そうなるよね」
浩太は失笑しながら呟いた。
”大輝が嫌い”になっただけで
別に真桜のことを洗脳しているわけではない。
真桜がそう思うのは当然だった。
だがー
「真桜ちゃんに、憑依してあげようと思って、
ここに来たんだよ」
浩太が言う。
横にいる公之も笑う。
「え…憑依? わぁぁ♡ うれしい!」
真桜が目を輝かせて言う。
”憑依大好き”
そう刻まれた真桜は、憑依されることに
快感をおぼえるように
なってしまっていた。
「---ま、、真桜!
お前は憑依されて、あいつらに
好き勝手されてるんだ!
頼む!気づいてくれ!」
叫ぶ大輝。
しかし、真桜は大輝の言葉に
耳など傾けなかった。
「--早く憑依されたいなぁ~♡
ねぇねぇ~憑依憑依!」
嬉しそうに言う真桜。
「仕方ないなぁ…
公之!
もう1回真桜ちゃんに憑依してあげて」
浩太が言う。
「--ふ、、ふざけるな!」
大輝が叫ぶ。
そんな大輝を見て浩太は言う。
「--真桜ちゃんが憑依してくれって言ってるんだよ。
頼まれたらやってあげるのが親切心ってもんだろ?」
浩太の言葉に、
「お前たちがそうさせてるだけだろうが!」と叫ぶ大輝。
「---大輝!あんたは口出さないで!」
真桜が怒りの形相で叫ぶ。
「わたしは憑依されたいの!
別にこの二人に無理やりさせられてるわけじゃないし、
人の趣味に口出さないでよ!
そういうところがあんたの最低な所なの!」
真桜が大輝に言い放つー。
「--ま、、真桜…」
直後、真桜の身体がビクンと震える。
真桜は「あぁぁああああ♡」と嬉しそうに身体を
震わせながらー
再び公之に憑依された。
「ふふふふ…憑依完了~!」
笑う真桜。
「---ゆるさねぇ…!」
大輝は拳を握りしめる。
浩太はそんな大輝をニヤニヤしながら
見つめると、「さぁ続きをやろうか」と呟く。
「--わたしは…浩太くんと公之くんが大好きです」
「わたしは浩太君と公之くんの言うことなら何でも聞きます」
「他の男には興味を示しません」
「わたしは浩太くんと公之くんの…」
「--ふざけるなぁ!」
大輝の怒りはついに爆発した。
ニヤニヤしている浩太の顔面を殴りつけて
倒れた浩太に覆いかぶさり、
1発、2発と浩太の顔面を殴りつけた。
「---あ~あ!」
浩太が唇から血を流しながら笑う。
「---これは立派な犯罪だよ?」
浩太が笑みを浮かべながら言う。
「—犯罪って…どの口がそれを!」
大輝が叫ぶ。
しかし、浩太は続けた。
「この部屋には4人ー
僕と公之ー
そして僕たちの忠実なしもべになった真桜ちゃんー
3対1…
どうとでも話を作れるんだよ」
大輝は浩太を睨む。
そうこうしているうちに公之が起き上がり、
再び真桜が目を覚ました。
「--あぁ…浩太♡ 公之♡」
嬉しそうに二人に抱き着く真桜。
「ま、、、真桜…!」
大輝は悪化していく状況に困惑していく。
このままじゃ、本当に真桜が消されてしまうー。
「---真桜ちゃんは、今日から僕たちのしもべだ」
「うん!真桜、しもべになる~!」
嬉しそうに言う真桜。
「–真桜!頼む!やめてくれ!目を覚ましてくれ!
真桜!真桜!」
大輝がどんなに叫んでも、
真桜は、大輝の言葉を聞いてはくれない。
浩太に抱かれて、
顔を赤らめている真桜ー
「--そうそう、大輝くんさぁ、
真桜ちゃんの魅力って何だと思う?」
浩太の言葉に、
大輝は答えずに浩太を睨みつけるー。
「明るくて優しいところ、
常識がちゃんとあって、真面目な所―
清楚な美少女風の外見ー
いろいろあるよな」
浩太の言葉に、真桜は
「もぅ!浩太ったら~!」と顔を真っ赤にして喜んでいる。
「--そんな、真桜ちゃんを真逆の人間に変えてしまう。
どうだい?興奮しないか?」
「---うん!するする~♡」
真桜が浩太の言いなりになっている。
その姿を見るだけで、大輝は怒りが爆発しそうだった。
「テメェ…!何してるか分かってんのか!」
大輝が大声で怒鳴る。
浩太も公之もニヤニヤ笑うだけだ。
「--ねぇ!」
怒る大輝に声をかけたのは真桜だった。
「--さっきから、わたしが操られているみたいな
言い方やめてくれる?ウザいんだけど!」
真桜が敵意をむき出しにして
大輝を睨みつけている。
「ち…違う!真桜!思い出してくれよ!
真桜!」
大輝は必死に叫ぶ。
けれども、その想いは真桜には伝わらない。
「--思い出す?何言ってんの?
ばっかじゃないの!
全部覚えてるわよ!」
真桜はイライラした様子でそう吐き捨てた。
「まぁまぁ真桜。
真桜のこと、もっともっと変えちゃうケド、、
いいかい?」
浩太が笑いながら言うと、
「うん♡」と甘い声を出しながら真桜は
浩太に抱き着いた。
再び公之が倒れて真桜に憑依する。
「--んふぅぅぅ…
真桜ちゃんカスタマイズの時間だ~!」
真桜が涎を垂らしながら笑う。
「くっ…」
大輝は、どうすることもできずに
うろたえていたー
いやー
うろたえている”フリ”をしていたー。
大輝はー
自分のスマホでこっそりこの状況を
撮影していたー。
”憑依”なんて、誰にも信じてもらえるとは思えないー
「--わたしは、エッチな女」
「--わたしは、見られることに興奮するー」
「まじめにやるなんてばかみたいー」
「浩太と公之以外には、心も開かないー」
真桜がアヘアへいいながら
身体を震わせているー
脳に、刻み付けられているー
真桜が、真桜で無くなって行くー
大輝は唇をかみしめながら、
スマホでこっそりその様子を
撮影していたー
真桜が再び倒れたー
「--さぁて…ネオ真桜ちゃんの誕生だ!」
浩太が笑うー。
真桜がゆっくりと目を覚ます。
「---ま、、真桜…」
大輝は、正直怖かった。
真桜がどんどん変わって行く現状がー。
もう、真桜を取り戻せないのではないかとー。
「---ふふふふふふ♡」
起き上がった真桜は、嬉しそうに笑った。
「--わたし、変えられちゃったぁ~♡
うふふふ♡」
自分の太ももを触りながら言う真桜。
「--くくく、真桜。
お前は俺たちに変えられちゃったんだ。
今の気分はどうだい?」
浩太の言葉に、真桜は顔を赤らめた。
「うん!変えられちゃった!
でも、嬉しい…♡」
真桜は浩太に抱き着く。
「--さぁ、これからエッチしようか」
浩太がにっこりとほほ笑む。
「うん!エッチなことだ~いすき!」
真桜は嬉しそうに叫ぶ。
「ま…真桜…」
その言葉に、真桜が反応した。
しかしー
真桜は、もうー
「---ねぇ、あんた いつまでわたしの家に居るの?
出てって!」
真桜が言う
「お、、おい!真桜!本当に目を覚ませってば!」
大輝が涙を流しながら叫ぶ。
だがー
言葉は届かなかった。
「--警察呼ぶわよ!」
真桜が大声で叫ぶ。
「----真桜…」
大輝は浩太たちを睨みつけながら、
部屋から立ち去ろうとする。
警察を呼ばれたらまずいー。
とにかく今は一度…
「---工藤くん…
誰かにこのことを言ったらー
次はー
”君の妹”も同じ目に遭うー」
ーーー!!
大輝は怒りの形相で振り返った。
「テメ…!」
浩太の胸倉をつかむ。
「--離せよ。
君が何もしなきゃ、妹さんには
手を出さないよ」
浩太の言葉に
大輝は拳を震わせたが
それ以上のことはできず、
そのまま部屋から立ち去った。
「--さぁ真桜ちゃん!今日はエッチ三昧だ!」
浩太が叫ぶ。
横にいる公之がニヤニヤしている。
「いぇ~い!えっち三昧~♡」
真桜は嬉しそうにそう叫んだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1週間が経過したー。
あの日からー
真桜は豹変したー。
今まで豹変して退学になった女子2人と同じだー
あの二人も、浩太たちに
変えられてしまったのだろうー
「--きゃはははははははは!」
真桜が、今にも見えそうなぐらい短いスカート姿で
大笑いしているー
化粧は濃くなり、
耳にピアスまでつけ始めて
まるで別人のようだ。
クラスメイトたちはその豹変ぶりに驚いた。
「--ギャップ萌えするなぁ…えへへ」
公之が笑う。
「くく…ネオ真桜ちゃんだ」
浩太も、真桜の姿を見ながら笑う。
「--せんせ~!
授業くっそつまんないんですけどぉ~!」
真桜が授業中に先生に対して
反抗的な態度を取る。
大輝は、そんな真桜の姿を
見ていられずに、
目を逸らしたー
やっぱりー
このままにしておくわけにはいかない。
大輝は意を決した。
放課後ー
「--浩太くんだ~いすき♡」
浩太に抱き着きながら
下校していく真桜。
そんな真桜たちの姿を後ろから見ていた
大輝は、職員室へと向かうー。
浩太と公之は下校した。
今がチャンスだー。
生活指導部の澪先生に、
このことを伝えるー
どうにかして、対策をー。
「---憑依…?」
大輝は、一番憑依のことを信じてくれそうで、
なおかつ、頼りになる先生ー
澪先生に、浩太たちのことを話した。
「--真桜ちゃんの様子、最近おかしいと思ってたわ」
澪先生が、職員室の机から立ち上がって窓の外を見る。
「---先生…お願いします…
真桜を助けてあげて下さい」
大輝は嘆願するように言った。
真桜は、小さい頃からずっと一緒だった幼馴染ー。
あんな真桜の姿、見ていられない。
「--わかったわ。
わたしも、なんとか、手を尽くしてみる」
澪先生は、微笑んだー。
頭を下げて職員室から出る大輝。
自分に、何ができるかは分からないー
けれどー
なんとか、真桜を助けなくてはー
・・・・・・・・・・・・・・・・・
職員室から出た大輝を見つめながら
澪先生は、虚ろな目でスマホを手にした。
「もしもし、、、浩太くん…?
大輝くんが、憑依のこと、言いに来たわ…」
澪先生は、
密告があったことを、浩太に報告したー
この学校の先生は全員ー
一度、浩太たちに憑依されていたー
”憑依のことを言ってきた生徒がいたら浩太に報告する”
そう、全員が刻み込まれているー
澪先生も例外ではないー
澪先生は、大輝が憑依のことを言いつけに来たことを
報告すると、スマホを切った。
”憑依のことは、報告したら忘れる”
そう刻まれていた澪先生は
「あれ…?わたし…?」と呟いて、
自分の机に戻るのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
何も知らない大輝はー
いつものように家に帰宅した。
「---ただいま~!」
大輝が帰宅すると、
可愛らしい妹が玄関までやってきた。
「あ、おかえりお兄ちゃん!」
大輝と仲良しの妹。
大輝の大切な妹ー
その妹が、
にやりと笑った
「---!!」
「--お兄ちゃん、
憑依のこと、他の人にばらしちゃったね?
ふふふふ…
今からわたし、変えられちゃいま~す!えへっ♡」
その言葉にー
大輝は凍りついたー。
憑依された妹を前にー
大輝は絶望することしかできなかった…。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
ありきたり(?)なお話ですが
たまにはこういう作品も!ということで
書いてみました~!
お読み下さりありがとうございました!!
コメント
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
すごく良かったです!
後日談など期待しております!!
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
> すごく良かったです!
> 後日談など期待しております!!
ありがとうございます~!後日談も機会があれば
作ってみますネ!
誤字です。
「--わたし、帰られちゃったぁ~♡
うふふふ♡」
正しくは「変えられちゃった」ですね。
二人で組んで仲良く憑依薬を悪用する話って割と珍しいですね。多くは単独だし、別の話で数人で組んで憑依薬を使う話は仲間内で争ったり、誰かが暴走したりとかしてるので、結構レアな作品な気がします。
それにしても最近は長いこと、この話みたいな思考を染めるタイプの話があんまりない気がしますね。
まあ、正直このタイプの話はあまりに万能で都合が良すぎて、憑依人のやりたい放題な結末になりがちなので(思考染める話で憑依人が負けるような話ってありましたっけ?)、ワンパターンな感じもありますが、たまには染めるタイプの新作の話も見てみたいですね。
コメントありがとうございます~!
染めるタイプの新作…!
確かに最近はあまり書いてないですネ…!
機会があればまた挑戦してみます~!
誤字報告ありがとうございます!今から修正してきます!