自分を馬鹿にしてくる女子大生バイトの秋美への
復讐を果たした武史。
しかし、彼の暴走は止まらなかった…
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「---お疲れ様でした~!」
女子高生バイトの千香恵が、
シフトを終えて、コンビニから立ち去って行く。
眼鏡をかけた優しい雰囲気の彼女は、
女子大生バイトの秋美とは違い、
武史のことをバカにするようなそぶりもなかったー。
本当にいい子だ。
武史はそう思っていた。
「ふぅ~」
男子大学生バイトの健人が、
客のいない店内を見て、ため息をついた。
「ーーーどうした?そんなため息をついて」
武史が尋ねる。
42歳の武史からすれば、
健人は、まだまだ子供のような存在だった。
「--いやぁ、秋美ちゃん、急にバイトを
ばっくれしちゃうなんて びっくりだなぁって」
健人が言う。
秋美はー
あのあと、バイトに来なくなった。
当たり前だ。
秋美の身体は見知らぬ老婆にあげてしまったのだからー
結局、バイト先に何の連絡もなく、辞めてしまったことになっている。
「---そういえばさ」
武史は呟いた。
「---はい?」
健人が不思議そうに返事をする。
健人はいつも、同じシフトに入る時、
こうして、気軽に話せる感じで話しているが
裏では、武史のことをバカにしているー
秋美の身体を奪っている最中にやってきた健人は言っていた。
「--あいつ、ほんと仕事もできねぇし、
使えないよな~!
太ってて邪魔くさいし、
なんかキモいし」
とー。
「---俺のこと、バカにしてるよな?」
低い声で武史が言うと、
健人は目を泳がせた。
「---え…?あ、、、え?」
健人は明らかに動揺している。
「--秋美ちゃんから聞いたんだよ。
俺のこと、キモいって言ってたって」
武史がそう言うと、
健人は「え、、、そ、、それは、秋美ちゃんの嘘っすよ」と
慌てて誤魔化した。
「------ーー」
武史はにこっと笑った。
「なら、いいけどな」
そして、健人の肩に手を置いて
武史は呟いた。
「--あんまり調子に乗るなよ?」
脅すような口調で言うと、
健人は身体を震わせて、
無言でうなずいたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
武史は一つの決意をしていたー。
もう、終わりだ。
この身体に未練はない。
42歳独身。
この先も、人生に大きな転機はないだろう。
このまま少ない収入で一生を終えるぐらいならー
「---俺は…
俺は、千香恵ちゃんになる」
武史は笑みを浮かべたー
可愛い女子高生になって
人生をやり直すー。
「---くくくくく」
相手とキスをするだけで入れ替わることのできる力を
自分は手に入れた。
この力があればー
42歳独身男としての人生は、終わりだー
武史は、不気味な表情を浮かべながら
バイト先のコンビニへと向かうのだったー。
バイト先に到着した武史は、笑みを浮かべる。
「さて…と」
駐車場の物陰で、武史は店長が出てくるのを待った。
店長は、必ず1時間程度に1回、一服しに外に出てくる。
そのタイミングを待っていたのだ。
店長も、武史のことをバカにしている人物の一人ー
きっちりと、復讐しなくては、ならない。
「--ふ~!」
店長がコンビニの裏手の方に回る。
一服だー。
店長の姿を確認した武史は笑みを浮かべた。
そしてー
武史はすべての服を脱ぎ捨てたー
「さらばだ。俺の身体」
そう言うと、武史は、そのまま店長の方に向かう。
「---!?」
一服していた店長が、全裸の武史に気付いて唖然とする
「く、、黒山…!?」
唖然とする店長に向かって武史は笑みを浮かべた。
「---生まれたままの、俺です」
それだけ言うと、武史はすぐに店長にキスをした。
全裸のおっさんと店長のキスー。
男同士の熱いキスはすぐに終わりー
二人は倒れた。
すぐに目覚めた店長(武史)は笑う。
全裸で倒れたままの自分の身体。
「--42年間、ご苦労さん」
自分の身体に労いの言葉をかける店長。
店長(武史)は足早に店の方に戻った。
倒れたままの全裸の自分をそのままにしてー
「---いらっしゃいませ~!」
女子高生バイトの千香恵が元気よく挨拶をする。
すぐに、店に入ってきたのが店長だと気付いて
「あ、店長~」と笑みを浮かべたー。
店長(武史)は笑みを浮かべる。
もうすぐ、この可愛い笑顔が自分のものになるー
「きゃあああああああ!」
コンビニの外から悲鳴が聞こえた。
千香恵は不思議そうに外を見つめる。
店長(武史)には何が起きたのか分かっている。
「---!?」
武史(店長)は目を覚ました。
全裸の身体を見て、武史(店長)は唖然とする。
(ど、どういうことだ…俺が、あのおっさんに!?)
そうこうしているうちに、警察がやってきた。
「---ちょっと、署まで来てもらえるかな?」
呆れた様子で警官は言う。
全裸で外に横たわっていた武史(店長)は
通報されてしまったのだー。
「----」
コンビニ入り口から、
連行されていく武史(店長)の姿を確認した
店長(武史)は笑う。
「じゃあな、店長ー」
小声で呟いた。
そして、最後の仕上げだ。
俺は今日ー
千香恵ちゃんになるー
店長(武史)は
「千香恵ちゃん」と千香恵の名前を呼びながら
千香恵の方に近づきー
千香恵の胸を突然触った。
「---!?きゃっ!?
店長!?」
驚く千香恵。
「いいおっぱいじゃん~!ぐへへへへへ!」
店長(武史)の突然の異常行動に驚く千香恵。
「きゃあああああああ!」
千香恵が叫ぶ。
コンビニに居たお客さんの何人かが振り返る。
そこにはー店長に抱き着かれている千香恵の姿があった。
「あぁぁぁぁぁ~可愛いな千香恵ちゃん~!
エッチしてぇ!千香恵ちゃんのアソコに
俺のフランクフルトを突っ込みてぇ!」
店長(武史)は叫んだ。
そしてー
店内をチラ見するー。
お客さんが警察に通報しているのが見えた。
それを確認し、
店長は目に涙を浮かべている千香恵を
無理やり事務所に引きずり込むと、
「俺、千香恵ちゃんになりま~す!」と叫んで
千香恵にキスをした。
「むぐっ…!?」
千香恵は目に涙を浮かべたまま倒れるー
店長も、続けてその場に倒れるのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
女の泣く声が聞こえるー
千香恵は、そう思いながら目を覚ました。
周囲には警察官。
「え…」
千香恵は、自分の身体の異変に気付くー。
自分はー
店長になってしまっていたー
「え…え?」
戸惑う店長(千香恵)。
そんな店長に、警察は言った。
「---まったく…署まで来てもらおうか」
店長(千香恵)はわけも分からず周囲を見渡す。
そこにはー
泣くフリをしながら笑みを浮かべている
千香恵(武史)の姿ー
「--え、、、わ、、、わたし…
わたしが千香恵です!」
目に涙を浮かべながら店長(千香恵)は叫んだ。
だがー
そんな言葉を信じる者は誰もいなかった。
「こ…・こわい…」
千香恵(武史)は嘘泣きをしていた。
身体を震わせて怖がっているふりをする。
店長の身体になってしまった千香恵は
大声で泣き叫んでいる。
だがー
警察官たちの目には
アルバイトを襲った店長としか映っていない。
店長(千香恵)の言い分はかき消されて
そのまま、無理やり連行されてしまったー。
「-----くふふ…」
千香恵(武史)はにやりと笑みを浮かべるのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「---えへへへへへへ~」
千香恵になった武史は、
自分の部屋に戻ると、
嬉しそうに、アニメキャラのフィギュアにキスをした。
「---んふぅ~♡」
千香恵(武史)は部屋を見回すと、
そのまま自分に必要なものを
袋に詰めはじめた。
もう、この部屋に戻ってくることはない。
自分は、千香恵になったのだからー。
お気に入りのアニメのブルーレイを見ながら
千香恵(武史)は嬉しそうに微笑む。
「---あぁ~~~!みるくちゃんカワイイなぁ~うへへ」
おじさんのような笑みを浮かべながら
アニメを見つめる千香恵(武史)
ようやく満足すると、
千香恵(武史)はその部屋から外に出た。
「今日からわたしは千香恵です☆
うふっ♡」
可愛らしく微笑むと、千香恵(武史)は
自分の家へと向かうのだったー
千香恵の家にー。
・・・・・・・・・・・・・・・・
それから、武史は千香恵として
人生を送った。
42歳独身男の自分は、もういない。
千香恵の身体を奪ってから数年
女子大生としての生活を送る武史に、
数年前までキモがられているおっさんの面影は
もうなかった。
「は~~~!」
家に帰ってきた千香恵(武史)
大胆に生足を露出したミニスカート姿。
「---んふぅ…きょうも綺麗…♡」
千香恵(武史)はうっとりとした表情で
自分の足を見つめる。
「---はぁぁぁぁぁ~♡」
ペットのポメラニアンも、
千香恵の帰宅を出迎えたー
身体を奪ってから数年ー
既に千香恵(武史)は親元を離れて
一人暮らしをはじめた。
ちょっとさびしい気がしたので、
ポメラニアンと一緒に暮らしているー。
大学ではたくさんの女友達に囲まれて
時々男遊びもして、
充実した日々を送っているー
「---えへへへへへ!」
部屋には美少女のフィギュアがたくさん並んでいる。
美人女子大生になっても、
武史の趣味は変わらなかった。
「あぁ~まいちゃん~!」
アニメキャラのフィギュアに顔をすりすりさせて
喜ぶ千香恵。
「さて…と」
手を洗って、ひと段落すると、
千香恵は録画しておいた
アニメを見ようと、準備を始めるー。
部屋着はーー
エッチなものばかりー。
千香恵は過激なSM系の衣装に着替えると
「んふふふ♡」と微笑みながら
女の子らしい仕草で、アニメを見始めた。
毎日、自宅では
色々な格好をして、自分の身体を楽しんでいる千香恵(武史)。
メイド服、レオタード、チャイナドレス、スクール水着、
セーラー服、ナース服、ゴスロリ、ブルマ…
なんどもある。
「---うへへへへへへ~」
アニメを見ながらイヤらしい笑みを浮かべる千香恵。
最高の人生ー
千香恵は微笑んだ。
ポメラニアンが近くに寄ってくる。
ポメラニアンを抱きかかえる千香恵(武史)。
「んふふふ…かわいい~!」
ポメラニアンにキスをする千香恵(武史)ー。
「--!?」
その瞬間、なんだか急にめまいがしてー
千香恵(武史)はそのまま意識を失ってしまった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あれ…?
武史はそう思いながら目を覚ました。
途中だったアニメは
エンディングテーマが流れている。
「!?」
武史は自分の身体を起こそうとしたー。
だが、なんだかおかしい
「---!!」
目の前に、千香恵がいる。
「--な、、、、なんだ?」
ーーと
言ったつもりだったが、
口からは「ワン!」という声が出た。
千香恵は、四つんばいで不思議そうな顔をしている。
ま…まさか…!
武史は思い出すー
そういえば、ついついあまりの可愛さに
ペットであるポメラニアンにキスしてしまった。
「----!!」
姿見で自分の姿を見るー。
武史はーー
ポメラニアンになってしまっていた。
「--ワン!」
四つんばいの千香恵(ポメラニアン)が吠える。
「--!!」
キスしたことで、
ポメラニアンと千香恵が入れ替わってしまったー
「ーーワン!」
千香恵の身体を手に入れたポメラニアンは、
いつもご主人様が出ていく玄関に四つんばいのまま駆け寄った。
そしてーー
そのまま外に飛び出した。
街の中を疾走する千香恵(ポメラニアン)。
過激なSM衣装の女子大生が四つんばいで
道路を疾走しているー。
「ワァァァアァアン!!」
千香恵(ポメラニアン)は自由を手にして
嬉しそうに、街中で吠えたー
「---あ…ああぁああ…!」
ポメラニアン(武史)は、慌てて玄関に向かったー
が、玄関の扉は閉まってしまっていたー。
ポメラニアンの身体で開けることのできるところがないー
「(く…くそ…!嘘だ…!!!嘘だぁぁぁぁ!)」
武史は絶望したー
このまま誰も来なかったらー
自分は餓死してしまうー
もし、誰かが来てもー
ポメラニアンの身体で誰かにキスをすることが出来るのかー?
武史は絶望した。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ~ん」
言葉に鳴らない犬の鳴き声が、
部屋中に響き渡った…。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
ポメラニアンとして生きていくことになってしまいましたネ…!
うっかりには気を付けましょう~!
お読み下さりありがとうございました!!
コメント
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復讐&新しい人生ゲットでやりたい放題かと思いきや、油断してたら大惨事に……
千香恵ちゃんはひたすら災難でしたね~
因果応報エンドですけど、誰も幸せになってないのがひどいw
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犬が出てきた辺りでオチが読めました。
この話は暴走憑依男に類似した部分が多いですね。
数年経過しても薬の効果が続いてるとは恐ろしい。
作中みたいにいつ何と入れ替わるか、分かったものじゃないですし。
それにしても、千香恵も、秋美も酷いことになりましたね。
特におばあさんになってしまった秋美はもう絶望しかないでしょう。
まあ、二人とも目上に対する敬意が足りなすぎなので、因果応報といえば因果応報ですが。
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> 復讐&新しい人生ゲットでやりたい放題かと思いきや、油断してたら大惨事に……
> 千香恵ちゃんはひたすら災難でしたね~
> 因果応報エンドですけど、誰も幸せになってないのがひどいw
コメントありがとうございます~!
ポメラニアンは幸せになった…かも笑
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> 犬が出てきた辺りでオチが読めました。
> この話は暴走憑依男に類似した部分が多いですね。
> 数年経過しても薬の効果が続いてるとは恐ろしい。
> 作中みたいにいつ何と入れ替わるか、分かったものじゃないですし。
> それにしても、千香恵も、秋美も酷いことになりましたね。
> 特におばあさんになってしまった秋美はもう絶望しかないでしょう。
> まあ、二人とも目上に対する敬意が足りなすぎなので、因果応報といえば因果応報ですが。
コメントありがとうございます~!
犬はバレバレですね汗
タイトルの通り、暴走憑依男を少し意識しました!
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今回も面白かったです!
ふと思ったんですけど、千香恵の身体の武史が男遊びする時にキスは一度もしなかったんでしょうか?(笑)
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> 今回も面白かったです!
> ふと思ったんですけど、千香恵の身体の武史が男遊びする時にキスは一度もしなかったんでしょうか?(笑)
コメントありがとうございます~!
キスはしなかったのでしょうネ~笑