2年前ー
大の仲良しだった幼馴染と離れ離れになった。
幼馴染・優樹菜(ゆきな)の家庭の事情だー。
しかし、大学入学の時に、
偶然、彼女と再会を果たす
が、彼女はまるで別人のように変わり果てていたー
--------------------—
大学の中を歩いていた
磯谷 正樹(いそがい まさき)は、
大学内を歩きながら
高校時代のことを思いだしていたー
小さい頃からずっと仲良しだった
幼馴染の彼女ー
槌本 優樹菜(つちもと ゆきな)-。
2年前ー
家庭の事情で優樹菜は遠くに引っ越すことになり、
離れ離れになってしまったのだった。
優樹菜はとても優しい子だった。
小学時代は、いじめに悩まされていた正樹を
いじめっ子たちから守ってくれたー
ちょっと優柔不断で頼りない正樹にとっては
本当に姉のような存在であり、親友でありー
そして、彼女でもあったー。
高校時代に、正樹が告白して
優樹菜はそれを笑顔で受け入れてくれたのだった。
しかしー
そんな優樹菜は家庭の事情で引っ越すことになり、
離れ離れになってしまった。
”私がこっちに帰ってきたら
また一緒に遊ぼうね”
”あぁ…もちろんだよ”
優樹菜の旅立ちの前日ー
最後の遊園地デートで、
そう、約束したー
あれから2年ー
最初のころはLINEでやりとりをしていたのだが
忙しくなってしまったのか、
最近は全く反応もないし、メッセージも送られてこない。
「今、どうしてるかな…」
大学生活を始めて1か月ー
今頃、優樹菜もどこかで、
大学生生活を始めているのかー
それとも、就職したのかー
「お、なにたそがれてるんだよ」
背後から、友人の隆盛(たかもり)の声がした。
「おぅ、西郷」
正樹が振り返る。
「俺は西郷じゃねー!」
友人といつものやり取りをしながら笑う正樹。
大学に入って最初に仲良くなったのが
この隆盛。
苗字は西郷じゃないのだが、
歴史上の人物と名前が同じだったことで、
友人たちから、西郷隆盛と呼ばれてしまっているー
「---で、なに黄昏ていたんだよ?」
隆盛が笑いながら言う。
「いや、、ちょっと昔のことを思いだしててさ」
正樹が言うと、
隆盛は「女か?」とニヤニヤしながら呟いた。
ずっと一緒だった優樹菜ー
2年経った今でも、忘れられないー
”お父さんの仕事の都合で
九州に行かないと行けなくなったの”
最初に聞いたときの衝撃を、忘れられないー
”わたし、大学生になったら一人暮らしを始めるの!
また、こっちに戻って来るから!”
優樹菜はそうも言っていたー
優樹菜はこっちに戻ってきているのだろうかー
「---おいおい、図星かよ」
優樹菜のことを考えていると、
目の前にいる隆盛が苦笑いした
「え・・あ?い、いや…」
正樹が誤魔化そうとして、
ふと視線を逸らしたその時だったー
「ねぇ!今夜エッチしよ~?」
金髪の男にそう甘い声で囁きながら
腕にしがみつく女の姿が目に入ったー
「--ははは、今夜もお楽しみだぜ」
金髪男は、茶髪の女にそう言うと、
2人そろってにこにこしているー
「--イチャイチャしやがって」
隆盛が、笑いながら言うー
「----ん」
正樹は、そのチャラいカップルを見て、
何か引っかかったー
そしてー
気付いたー
「-----優樹菜…?」
正樹の視線の先にいる
チャラいカップルの女を見て、
正樹はそう呟いた
「なんだ…知り合いか?」
隆盛が苦笑いしながら言うー
茶髪で、
派手な格好の女ー
優樹菜とは似ても似つかないがーー
確かに、優樹菜だったー
「---!!」
優樹菜は、もうこっちに帰って来ていたのだろうかー?
しかも、気づかなかったが、同じ大学に
偶然、入学したー
と、いうことだろうかー?
それにしても…それなら連絡ぐらい…
正樹がそう思っていると、
「--じゃあね、ばいば~い!」
優樹菜が可愛らしく手を振りながら、
金髪男と別れる。
今にも見えてしまいそうな短いミニスカートを穿いている優樹菜。
優樹菜は恥ずかしがり屋な一面が
あったが、この2年で変わったのだろうかー。
その優樹菜が正樹と隆盛のいる方向に向かって歩いてきた。
「---あ、、、ゆ、、優樹菜…?」
優樹菜と目が合うー。
正樹は何て言っていいか分からず、そう言ったー
優樹菜の耳にはピアスが光っていたー。
「----」
優樹菜は何の反応も示さず、そのまま正樹と隆盛のいる場所を
過ぎ去り、大学内へと入って行った。
「---え」
正樹は、優樹菜が無反応だったことに驚く。
「--なんだよ。人違いじゃねぇの?」
隣にいる隆盛が言う
「そ…そうかもな」
正樹は自分に言い聞かせるように
そう答えた。
あれが優樹菜であるはずがないー
他人の空似だろうー。
優樹菜なら、連絡をくれるだろうしー、
あんな格好をするような子じゃなかったー
それにーーー
「ねぇ!今夜エッチしよ~?」
あんな甘い声で男を誘うような子じゃないし、
そもそも、遠距離になったとはいえ、
優樹菜と自分は、別れてはいないー
「---…そうだな。人違いだな」
正樹は、少しさびしそうにそう呟いた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
正樹は、その日の夕方ー
今年、入学した人間の中に、優樹菜がいないかどうかを
調べていたー
他人の空似かもしれないー
けれどー
どうしても気になった。
この大学は入学者が多いー
同じ学部だったり、接点が無ければ
気付かないのも無理はないー
「---!!」
入学者の名簿を見ていた正樹は、
目を見開いたー
そこにはー
”槌本 優樹菜”-
幼馴染であり、彼女でもあるー
大切な人の名前が載っていたのだー
「やっぱり、あれは…優樹菜!?」
正樹は、優樹菜が戻ってきたことに
喜びを感じながらも、
昼間の優樹菜の姿に、不安を感じていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日。
正樹は、優樹菜のことを探していた。
そして、食堂で、例の金髪男と一緒に
げらげらと笑っている優樹菜を
見つけたのだった。
「---…優樹菜」
正樹は、意を決して
優樹菜に声をかける。
胸を強調した色っぽい服装の優樹菜を見て
正樹は戸惑いを隠せないー
高校時代はこんな子ではなかったはずだー。
小さい頃からずっと一緒だったから
正樹にはそれがよく分かっている
「---…なに?」
愛想のない態度で、優樹菜が返事をする。
「--なんだおまえ?」
金髪の男も、正樹の方を見る。
「---ゆ、、優樹菜だよな?
ほ、、ほら、俺だよ…正樹。
磯谷 正樹だよ…
小さい頃からずっと」
そこまで言うと、
優樹菜が笑みを浮かべて
少しの間、視線を別の方向へ向けた。
心ここに非ずー
のような感じだー
そしてー
「あぁ~正樹!
ひっさしぶり~!
うふふ
元気だった~?」
優樹菜がふざけた調子でそう言う。
正樹は、
やっぱり優樹菜だったのか、と内心で
思いながら続けた。
「--こ、こっちに帰ってきてたなんて
しらなかったよ」
正樹が言うと、
優樹菜は鼻でそれを笑う。
「ねぇねぇ正樹…
わたし、可愛くなったでしょ?」
茶色の髪を触りながら笑う優樹菜。
「--あ、、、え、、あぁ…
な、なんだか別人みたいで
同じ大学にいるのに気付かなかったよ」
正樹が言うと、
優樹菜は微笑んだ。
「---わたしと、寝たい?」
甘い声で言う優樹菜
「え…なっ…」
正樹は驚いて言葉を失ってしまう。
優樹菜は、そんなことを言うような子ではないのだ。
「---え…そ、、そんなこと…」
正樹が戸惑っていると
優樹菜は溜息をついた。
「--つまんねぇ男…」
舌打ちすると、優樹菜は金髪男に向かって
甘えた声で言う
「ねぇ…恭太(きょうた)…
こいつ、つまんない」
正樹の方を指さしながら優樹菜は言うー
「---ゆ、、優樹菜…!
ど、、どうしたんだよ…?」
正樹は思わずそう呟いたー。
これじゃ、本当に別人みたいだー。
「--どうって?
ふふふ…わたしは生まれ変わったの…
せっかく女に生まれたんだから
気持ちいい事いっぱいしなくちゃ、損じゃない?」
イヤらしく舌で唇を舐めると、
優樹菜の隣にいた金髪男・恭太が言う。
「--おい!誰だかしらねーけどよ…
俺の彼女に馴れ馴れしくするんじゃねーよ!」
---!!
正樹は唖然とするー
確かに、最近、音信不通だったとは言え、
まだ、優樹菜と別れてはいないし、
当然、付き合っているものだと思っていた。
「---ゆ、、優樹菜…?」
困惑した様子の正樹を見て、
優樹菜は笑った。
「あ~!そういえばアンタとわたし、
付き合ってたもんね。
でもさ、あんたみたいな男に用はないから。
もう近寄らないでくれる?」
優樹菜の言葉に
正樹は心をえぐられたような思いがして、
絶望の表情を浮かべたー
食堂の賑やかな音すら、耳に入らないぐらいにー
正樹は絶望していたー。
「---はは!ザンネンだったなぁ~!
元彼さんよぉ!」
金髪男の恭太が笑う。
優樹菜と恭太は立ち上がると、
お互い見つめ合いながら、微笑んだー
恭太が立ち去って行くー
優樹菜もそれに続くー
「---この身体はエッチでいい身体だよ…ふふふ」
ーーー!?
優樹菜は正樹にそう耳打ちすると、笑いながら
立ち去ってしまった。
「---ゆ、優樹菜…」
正樹は、唖然としてその場に立ち尽くしたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2年前ー
遊園地で最後にデートしたときのことを
正樹は思い出していたー。
「---行きたくないなぁ…」
優樹菜が呟く。
落ち着いた雰囲気の服装をした優樹菜が
正樹の方を見る。
「でも、お父さんの仕事の都合なんだろ?」
正樹が言うと、優樹菜は「うん…」と悲しそうに言った。
「そっか…」
正樹はどんな言葉をかけて良いのか分からず、
観覧車の方をぼーっと見つめた。
「…わたし、大学生になったら一人暮らしを始めるの!
また、こっちに戻って来るから!」
そんな雰囲気を察したのか、
優樹菜は明るく振る舞ったー。
「ひとりでまたこっちに戻って来るってことか?」
正樹が言うと、
優樹菜は笑いながら言う
「-ほら、正樹、わたしがいないと頼りないから
わたしが守ってあげなくちゃ」
「--って、そんな理由かよ!」
そんなことを言いながらー
優樹菜はふと寂しそうな表情を浮かべて呟いたー
「私がこっちに帰ってきたら
また一緒に遊ぼうね」
とても、寂しそうな表情ー
正樹は
「あぁ…もちろんだよ」
と、心の底からそう呟いたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・」
正樹は、昔のことを思いだしながら
一人、部屋のベットであおむけになっていたー。
「---何があったんだよ…」
正樹は呟くー
再会した優樹菜はまるで別人のようだー
落ち着いた雰囲気はなくなり、
色っぽさを振りまくような雰囲気になってしまっているー
それにー
あんなことを言う子でもなかったー
九州に行っていた2年間で、
何かあったのか…?
そういえばー
1年ぐらい前からぱったりとLINEの連絡も
来なくなっていたー
”最近さ…
ちょっと困ったことがあって…”
正樹は、1年前、
最後の方にやりとりした言葉を思い出すー。
”困ったこと?”
”男子に告白されて、
断ったらなんだか付き纏われてるの”
優樹菜が、九州の高校で、男子から
告白されたという話ー。
だがー
1週間ぐらいしたときに
正樹がそのことを聞くと、
”うん!もう解決したよ!ありがと~!”
と返事が来て、
それから程なくして、LINEの返事が
来なくなったのだった。
「-----」
正樹は、考えても考えても
優樹菜が変わってしまった理由が
思い当たらず、困惑するのだったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「はぁ~♡」
一人暮らしの部屋で、
優樹菜がタイツに包まれた自分の足を
ベタベタと触って微笑んでいるー
顔を赤らめながら
タイツを撫でまわす優樹菜。
「はぁぁぁぁ…♡
きれい…♡
わたし…綺麗…」
優樹菜は鏡を見ながらうっとりとした笑みを浮かべるー
「---あぁぁぁ…
優樹菜ちゃん…
きみはずっと、僕のものだー」
優樹菜はタイツを触った手を
ペロリと舐めると、不気味な笑みを浮かべたー
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
離れ離れになっている間に
変わってしまった子…!
実は…!
明日以降もお楽しみに~☆
コメント
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こんな展開好きです。
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> こんな展開好きです。
ありがとうございます~!
続きも頑張ります~!!