ネットで知り合った女性2人が、
今度の休日に合う約束をしていたー。
しかしー
”彼”は嘘をついていたー
彼は、ネカマだったのだ…!
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”ねぇねぇ、来週の土曜日、会ってみない?”
ツイッターで仲良くなった女子大生の
”真里菜”から、そうDMが送られてきたのは、昨日のことだった。
真里菜ー。
大学生になって親元を離れて
孤独だったときに、出会った大切な友達。
”優子”にとって、大切な友達ー。
共通の趣味の話題で盛り上がってー
意気投合しー
真里菜と優子は大の仲良しになった。
今では毎日のように話をする間柄で、
大の親友だー
毎日女子トークをしたり、他愛のない話をしたりして
盛り上がっているー
しかし、真里菜とは
まだ”一度も会ったこと”がないー
いや、真里菜の顔も知らないー
相手も、自分(優子)の顔を知らない-。
何故なら、
真里菜との出会いはツイッター上での
出会いだったからだー。
そんな真里菜と、いつものように
ツイッターで話をしていると、
互いに住んでいる地域が近い事を知った真里菜が言ったのだった。
”ねぇねぇ、来週の土曜日、会ってみない?”
とー。
そして、咄嗟に優子は
”え、ほんとに~!楽しみ~”と返事をしてしまったー
ネットを通じて知り合った
女子大生2人が意気投合してリアルでも会う―。
がーーー
”彼”は頭を抱えていた。
「うおおおおおおおおおおお!」
汚らしい部屋の中で、彼は叫ぶー
”優子”はー
男だったー。
そう、ネット上で女性を演じる、
”ネカマ”だったのだー
「--あぁああああああ”あ”あ””!」
奇声をあげる彼は叫んだ。
スマホの画面には、
真里菜とのDMが映し出されているー
”ねぇねぇ、来週の土曜日、会ってみない?”
”来週の土曜日”は
明日に迫っていたー
「くっそぉおおおお!
どうすんだよ俺!」
彼は叫んだ。
「俺は優子じゃねぇ!優介だよ!!」
彼ー
ネットでは優子と名乗っている彼の
本当の名前は、優介。
大学に入って何となく寂しいと感じたときに、
興味本位でネカマのアカウントを作ったのだったー
最初はただ単に、
”自分が女”だとアピールしていた方が
反応が多い気がして、
ネカマをやっていたー
しかし、
真里菜と出会ってからは違ったー
真里菜と話しているのが本当に楽しかったし、
自分は優子として、本当に真里菜のことを
友達だと思っていたー
まるで、自分が本当に優子であるかのような錯覚。
ネカマを続けているうちに、彼はそんな風に
錯覚してしまっていた。
だからこそ、真里菜から誘われた際に、
咄嗟に会うことを約束してしまったのだ。
そしてー
真里菜のことが友達として大好きだった優介は、
断るに断りきれず、そのままずるずると話が
進んでしまい、
今に、至るー
「やべぇよ…」
優介は呟く。
ネットで会う約束をして、
現れたのが男だったらー?
真里菜はどう思うのだろうか?
と、いうかこれ、なんかの詐欺になるんじゃね?
優介は、そんな悪い考えばかりが
浮かんできて頭を抱えた。
女の子が来ると思ってたら男が来たらー
真里菜、びっくりするだろうなぁ~…
優介は、ベットに寝転びながら
絶望の表情を浮かべる。
真里菜から嫌われて
楽しかったこの半年間も終わりを迎えるー
「--くっそぉ!
会う約束なんかしなきゃ良かった!」
優介は頭をかきむしりながら叫ぶ。
一瞬、体調を崩した、とでも理由をつけて
会うのを止めようかとも思ったー
けれどー
優介は変なところに生真面目だった。
「あぁ~!会うしかねぇ!」
優介は叫ぶ。
真里菜と会ったら
スライディングして土下座だ!
もしかしたら分かってくれるかもしれないし、
もしかしたらそこから始まる恋だってあるかもしれない
優介はそんな風に思いながら
やけくそになって、布団を被るのだったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
スマホのアラーム音がなる。
セットしておいた目覚ましだー。
朝日が眩しいー
ついに、この日が来てしまった。
魔の土曜日だー
ネカマとしての人生は終わるー
優子ではなく優介であることを
真里菜に知られてしまうー
だが、
いつかはそうなる運命だったのかもしれないー
こうなってしまったら、大人しくそれを受け入れるしか、ないー
ふらふらと洗面台に歩いていき、
顔を洗う。
ネカマとしての人生は、終わりだー
顔を洗い終えて
鏡を見ると、
そこには、目の大きい美人の姿があったー
「--あ、もしかして真里菜さんですか…?」
寝惚けていた優介は、
鏡に映ったのが真里菜だと思い、
挨拶したー
「---お、思ってたよりずっと綺麗ですね…
え、、えっと、、その」
ふと、目覚めてきた優介は思うー
ん?
これ、鏡じゃね?
とー。
自分の顔を触る優介。
鏡に映っている美人も自分の顔を触る。
「-----!?!?!?」
「ええええええええええええええ~~~!?」
優介は大声で叫んだ―
「--ど、どういうことだ!?」
口から可愛い声が出る。
「お、、俺の息子がいない!」
優介は、男としてんぼ大事なモノが
股間にないことを確認する
「む、、息子はどこに…?
しっ、失踪届出さなきゃ」
わけの分からないことを呟きながら
優介はランニングシャツの胸のあたりが
膨らんでいることに気付く。
「---こ、、これは…」
優介は、自分の身体の胸を触る。
軟らかい感触が手に伝わってくる
「むああああああああ~~!
お、おれにおっぱいがああああああ~?」
大声で叫ぶ優介。
その声は可愛らしい。
どうやら、優介は女になってしまったようだー。
女体化ー
原因は分からない。
しかも、
優介が寝たままの格好で女体化していたので、
ランニングシャツにトランクスという姿だった。
「ぐぶぉぉ!?ノーブラぁぁ~」
優介は勝手に鼻血を噴きだして
その場にノックアウトされると
鼻にティッシュを詰めて、ベットの上に
あぐらをかいて座った。
「--お、、俺が女の子になってるー」
大学にいる間に鼻毛が出ていないか確認するために買った
100円の手鏡で自分の顔を見つめながら優介は困惑する
とても可愛い女性ー
それが、自分だなんて。
容姿的には女子大生だろうかー。
自分が大学生だったのだから、当たり前かー。
などと思いながら優介は考え込む。
そしてー
”やっほ~!優子ちゃん!
約束通り、今日のお昼ね!”
DMで、真里菜からメッセージが送られてきた。
「ん…?待てよ」
女体化した優介ははっとするー
「こ、、これなら…俺、、
優介じゃなくて優子として、
真里菜さんと会えるじゃないか!」
優介はガッツポーズをすると、
鏡を見つめて微笑んだ。
「--わぁぁぁぁ~可愛い~!」
自分で自分を抱きしめてベットに寝転ぶと、
真里菜からのDMに返事をして、
少し冷静になった。
女になったのはいいー。
だが、どういう仕組みで、
元に戻れるのかどうかも分からない。
優介は少し不安になる。
「いや…まぁ…」
綺麗な黒髪を掻き毟りながら言うと、
優介は微笑んだ
「戻れなくても別にいっか~!」
胸を揉みながら
ニヤニヤしている優介。
優介は少しして、時計を見つめると
ようやく我に返り、
出かける準備を始める。
「--って、俺、女物の洋服なんて持ってねーぞ!」
優介は可愛い声で叫ぶ。
女性用の洋服なんて持っていない
「あぁ、くそっ!」
優介は、自分の手持ちの洋服を
見渡して、ジーパンと、適当なシャツを身に着けた。
「---う~ん」
鏡を見つめる優介。
サイズもちょっと違うし、
何だか変な感じだ。
「--ま、まぁ、ボーイッシュってことで
なんとかなるよな」
そう呟きながら優介はジーパンの方に目をやる
「な、なんか身体のラインがエロいな…
むひひ」
身体をベタベタと触りだす優介。
が、真里菜からツイッターのDMで連絡が来たために、
再び我に返ると
「そろそろ行かないとな!」と呟いて
家を飛び出した。
「あらぁ?」
家を飛び出すと、近所のおばさんと鉢合わせした。
「こんにちは~!」
いつも通り挨拶をする優介。
自分の口から出た声を聞いてはっとしたが
もう手遅れだった。
「--あらら…優介くんの彼女さん?」
おばさんがニヤニヤしながらこちらを見ている。
まずい、このおばさんは大の噂好きだ。
おばさんに聞かれた話は2時間後には
近隣住民すべてに広がっている、とまで
言われているこのおばさん…。
この人に女体化を見られてしまったのは、まずい。
「え…あ、、、あ、、た、、ただの友達です!」
優介はそう叫んで、慌ててそのまま
走り去って行った。
「くそ~~~!」
優介は街中で叫ぶ。
まぁ、あのおばさんの対処は後で考えればいい。
それよりも、まずは真里菜だ。
ようやく約束の場所についた優介は、
サイズの合わない服や、慣れない体でソワソワ
しながら真里菜の到着を待った。
「---優子…ちゃん?」
背後から声がした。
優介が振り返ると、
そこには、スタイルの良い美人女性がいた。
想像以上に可愛い容姿だった。
「はじめまして、真里菜です」
天使のような微笑み
「ま、、ま、、ま、、まりなしゃん!」
優介は思わず変な声を出してしまう
「わぁぁ…優子ちゃん、
想ってたよりずっと可愛い!」
真里菜が嬉しそうに微笑む。
「--え、、え、、え、あ、、ありがとうございます~」
優介は、
照れながらも
心のどこかでほっとしていたー
もしも、
もしも自分が女体化していなかったら、
真里菜はどう反応していただろうかー
こんなに美人で、可愛らしい格好の
真里菜が、同じ女性だと思って話していた自分を
男だと知ったら…
スライディング土下座をしたら
そのまま頭を踏みつけられていたかもしれない
「あぁ、、、女になれてよかった」
優介は感動の涙を流しそうに
なりながらそれをぐっとこらえた。
「あ…!」
真里菜が微笑む
「お昼の時間…!
優子ちゃん、まずその辺の喫茶店にでも入って
ゆっくりお話ししない?」
真里菜の提案に、
朝、女体化して何も食べていなかった優介は
「いいですね!」と答えた。
微笑む真里菜。
真里菜と優介は、
2人の女子大生として、一緒に並んで歩き始めた。
しかしー
「と…その前に…」
真里菜が小さな声で呟いた。
「----!?」
真里菜が目の前で突然土下座した。
「実はわたし、男なの!」
土下座したまま叫ぶ真里菜。
「-----!?」
「----ずっとずっと優子ちゃんを騙してたー!」
真里菜が申し訳なさそうに言う。
「-見た目じゃ分からないかもだけど、
わたし、ここにちゃんと、ついてるの!」
真里菜の言葉に
優子は叫んだ。
「えっ…えええええええええええ~~~?」
真里菜はー
男の娘だったー。
②へ続く
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コメント
ネットで知り合った
2人のネカマー(?)
一人は女体化した男子大学生
もう一人は男の娘(?)大学生ー
次回もお楽しみに~!
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