<憑依>孤独な夜②~復讐~(完)

暴走族少女・愛衣に憑依された
茉莉は、身体を乗っ取られたまま、
暴走族のリーダー・アキラに復讐をしようとする。

しかし…?

-------------------------

茉莉は、自分の家に帰宅していたー。

アキラへの復讐のチャンスは明日。
今日の夜は、時間を潰さないといけない。
毎週日曜日の夜、アキラは、必ず一人で行動する。
何をしているのかは、分からないー
けれど、そのタイミングこそ、復讐のチャンス。

チャンスの時間まで、
どうしようかと思っていたところ、
無意識のうちに茉莉の家に帰宅してしまったのだ。

茉莉の身体が、そうさせたのかもしれない。

今夜は適当にこの家で過ごして、
明日、アキラを

この手でーーー
”殺す”

母と父ー
そして弟と食卓を囲む。

茉莉は、不機嫌そうに出された食事を食べていたー。

「ーーー何かあったの?」
母親が心配そうに尋ねる。

茉莉は「別に」と不機嫌そうに答えた。

どうして家に帰って来てしまったのだろうと、
茉莉に憑依している愛衣は思いながらも、
とりあえず、疑われると面倒くさい、と
ボロを出さないように気を付けていた。

「ーーーーー」
イライラした様子で晩御飯を口に運ぶ茉莉。

「--彼氏と喧嘩でもしたのか~?」
弟らしき人物が口を開いた。

「ち、違うわよ」
茉莉が普段どんな話し方をしているのか分からない。
なるべくボロを出さないように、茉莉は
短い言葉で答えた。

「--嘘だぁ~
 いつもデートの後はにっこにこなのに
 今日はなんだかふくれっ面しちゃって~!」

姉をからかうのが好きな弟が茉莉が
暴走族の少女に憑依されているなどと
夢にも思わずからかう。

「ーーうっさいわね!」
茉莉は思わず大声で弟を怒鳴りつけた。

弟は一瞬ビクッとしたようだったが
すぐに、
「あ~~!図星だ!
 姉さん、彼氏と喧嘩~!」と笑う。

「ち、違うって言ってるだろ!」
茉莉はそう叫びながら
自分が赤面していることに気付いた。

「あ~~赤くなってる~!」
笑う弟。

それにつられて母親と父親も笑う。

「---な、、なんなんだよ!もう!」
茉莉は顔を真っ赤にしてうつむいた。

「--大丈夫?」
母親が優しく声をかけた。

「え?」
茉莉は、”何が?”という表情で母の方を見た。

母の表情はー
茉莉に憑依している愛衣が、今まで向けられたことのないような
表情をしていた。

「---彼氏…
 誠吾くん、だったっけ?
 何かあったなら、いつでも相談に乗るからね…

 ほら、私だって、一応、昔は高校生だったんだから」

母が笑う

「そうだな。俺に相談してくれてもいいんだぞ」
父も笑う。

「--そ、、相談…って」
茉莉は唖然としたー

茉莉に憑依している愛衣は、
家族の抜く持ちを知らなかった。
小さい頃から、暴力と裏切りばかり。
こんな風に優しくされたこともないー。

「---あ、、ありがとう」
茉莉は顔を赤らめてうつむいた。

気が付くと、茉莉は目から涙をこぼしていた。

「--あ、、あれ…あたし、、なんで…?」
茉莉に憑依している愛衣は、自分でも
理由が分からないまま、目から溢れる
涙を抑えられずにいた。

「--ちょ、姉さん!何泣いてるんだよ~!」
弟が笑う。

「---な、、泣いてなんかない!」
茉莉は叫ぶ。

しかし、弟は「泣いてるじゃん!」と突っ込みを入れると
笑いながら呟いた。

「ーー姉さんの彼氏が、姉さんに何か悪い事してるなら
 俺がやっつけてやるから」

弟が姉を心配して言う。

「--何があったのか分からないけど、
 私たちに話せることがあったら、何でも言ってね」

母も、父も、優しく茉莉の方を見つめた。

「そ、、そんなんじゃないから」
茉莉はそれだけ言うと、
急いでご飯を食べ終えて、
そのまま自分の部屋へと駆け込んだ。

「---な、、なんなんだよ」
茉莉は部屋で呟く。

誰にも優しくされたことのない愛衣は、
困惑していたー
もちろん、家族の優しさは、自分に向けられたものでは
ないことは分かっている。

それでも、それでも愛衣は、
家族のぬくもりを感じて、
涙を流してしまったー。

「---こんなに暖かい夜も、あるんだな…」

愛衣にとって、夜は孤独なものー。
母は遊びに行ってしまうばかりー
父は酔いつぶれていて、
いつも孤独だった。

アキラたちとつるむようになってからも、
やはり、どこか満たされなかった。

「----?」

スマホにLINEが届いているのに気付いた茉莉は
イライラした様子でスマホを手に取る。

”明日、話できるかな?”

彼氏の誠吾だった。

茉莉は、舌打ちをしつつも、
”わかった”とだけ返事をして、
そのままベットに飛び込んだ。

自分にとって
暴走族のリーダーであるアキラだけが心のあり処だった。
そのアキラに裏切られたー
しかも、姉のように慕っていたカオリにも裏切られたー

絶対に許せないー。

「あたしは絶対許さないから」
茉莉はそう呟くと、そのまま眠りについた。

・・・・・・・・・・・・・・

翌朝ー

茉莉は髪を束ねると、
動きやすいショートパンツ姿で
大胆に足を露出したまま、
外に飛び出した。

愛衣は、ショートへアーで、
いつも動きやすい格好をしていたから
この方が動きやすいのだ。

茉莉は、昨夜、彼氏の誠吾に言われた場所へと
やってきたー。

「--!!」
誠吾は、茉莉のいつもと違う雰囲気に
少しドキっとしてしまう。

茉莉が生足を見せつけるような格好を
することはないー。
誠吾は、目のやり場に困りながら、茉莉に話しかけた。

「あ…あの…茉莉、、じゃなくて、愛衣さん?」
誠吾が言うと、
茉莉は腕を組みながら「何よ」と答えた。

「---」
誠吾は昨日と同じように
弱弱しい態度だったが、
意を決したように、茉莉の方を見た。

「君に、復讐はさせない」

「--はぁ?」
茉莉は不機嫌そうに、誠吾の方を見た。

「---君には、絶対に復讐させない」

その言葉に、
茉莉は叫んだ

「---はぁ?今、この身体はあたしの身体よ!
 あたしがどうしようが勝手だろ?
 あんたは引っ込んでなさいよ!」

茉莉の言葉に、
誠吾は叫び返した。

「その身体は愛衣さんのものじゃない!
 茉莉のものだ!」

茉莉は、うるさい!と叫び返す。

しかしー
誠吾は退かなかった。

「--茉莉の身体をちゃんと返してほしいし、
 それに、俺は愛衣さんにもそんなことして欲しくない!」

誠吾の言葉に、
茉莉は誠吾を睨みながらも、言葉を止めて
誠吾の話を聞く姿勢を見せた。

誠吾は、茉莉の太ももをチラチラ見ながら
続けるー。

「俺は、愛衣さんに復讐なんてこと、して欲しくないんだ」
誠吾が呟く。

「--彼女を助けたいから、
 そうやって、綺麗な言葉並べてるんでしょ?
 あたしは騙されねぇから!」

茉莉が吐き捨てるようにして言う。

「--違う!
 もちろん、茉莉を助けたいのが一番だけど、
 愛衣さんにもそんなことして欲しくないんだ

 昨日、俺に話をしてくれただろ?
 それを聞いて、俺、思ったんだ。
 愛衣さんは本当は優しい人なんだろうなって」

誠吾は、昨夜、愛衣が過去を語ってくれた際に、
愛衣の悲惨な境遇に同情しながらも、同時に、
言葉の節々に、愛衣の優しさを感じ取っていた。

「はぁ?あたしは優しくなんか…」
茉莉が反論する。

しかし、誠吾は無視して続けた。

「俺、愛衣さんのこと、昨日の夜、
 ずっと考えたんだ!
 でも、復讐なんてやっぱり間違ってる!
 
 何で?って聞かれると
 俺、バカだから困っちゃうけど、
 でも、復讐なんて…」

誠吾はそこまで言うと、
茉莉の方を見たー

「---・・・・・」
茉莉は、誠吾の方を見ながら思うー

何だか、感情的で
馬鹿そうなやつだけど、
もしかしたらこの誠吾とかいう彼氏は、
本当に、あたしのことを真剣に
考えてくれているのかもしれない。

そう、感じた。

「-ーーもしも俺が愛衣さんだったら、って
 考えたら、本当に辛いと思うし、
 俺は家族とも仲が良いし、
 暴走族の世界なんて分からないし、
 でも、なんていうかな…」

感情任せに愛衣の説得を続ける
誠吾は、自分でも何を言っているか
分からなくなってきて、言葉を止めた。

「とにかく、復讐なんてダメだ! 
 裏切られたり、傷つけられたりする
 痛みを知っている愛衣さんが、復讐なんてしたらダメだ!」

「----あんたバカ?」
茉莉が鼻で笑った。

「自分の彼女の身体を他人であるあたしに
 奪われて、しかもその身体であたしはアキラを…」

茉莉の言葉に、誠吾は「え…あ、ま、、まぁ…俺はバカかもしれないけど」と
苦笑いした。

「------はぁ」
茉莉は溜息を深くつくと、
呟いた

「いいわ…この身体は返してやるよ」
茉莉の言葉に
誠吾は嬉しそうに叫ぶ

「え…ほ、本当に?」

その言葉に、茉莉は少しだけ微笑んだ。

「あんたみたいにうるさいやつがいると
 鬱陶しいし…

 それに…そんなにあたしのこと
 考えてくれた人は、初めてだから…
 気が変わった」

茉莉は、髪を邪魔そうにしながら
そう呟くと、誠吾の方を見た。

誠吾は、どうしても茉莉の太ももが
気になってしまい、チラチラ見ていると、
茉莉がにやりと笑った

「ところで、あんたさー」
茉莉が近づいてきて、
誠吾の足を軽く蹴った。

「え?」
戸惑う誠吾

「さっきからエロい目で
 あたしのことチラチラ見てるよね?」

気付かれていないと思っていた誠吾は
顔を真っ赤にして、「い…いや…」と叫ぶ。

「--隠しても無駄よ」
茉莉がため息をつくと、
そうだ!と呟いて
誠吾の方を見た

「---この身体を返す前に、
 せっかくだから触らせてやるよ」
茉莉は笑いながら言った。

「ほら?あたしの太もも、触りたいだろ?」
茉莉は恥ずかしがり屋でそういうことは
絶対にしないタイプだったが、
茉莉の中にいる愛衣は、
アキラとしょっちゅうヤッていたから、
完全に慣れ切っていた。

「え…え…え…い、、いやそれは…
 し、しかも、その太ももは愛衣さんのじゃないし!」
誠吾は困惑しながらも、
太ももの方に視線が釘付けになっていた。

「この身体を貸してくれたお礼よ。
 さ、触るの?触らないの?
 なんなら、あんたのソレ、気持ちよくしてあげようか?」
茉莉が笑いながら
大きくなった誠吾のソレを指さす。

「--ちょ、、ちょ、、
 し、しかも、お礼する相手間違えてないか!?」
誠吾はツッコミを入れるのが
やっとだった。

茉莉の身体に憑依したのだから
茉莉にお礼するべきではないか、と。

「---ほら」
茉莉が手を掴んで、自分の太ももに
手を触れさせた

「~~~~~~~~!!」
誠吾は顔を真っ赤にして
心臓が飛び出しそうな気持ちになっていた

「--あんた、かわいいじゃん」
茉莉が笑う。

男と遊びまくる母ー
暴走族の仲間ー

誠吾のような、こんな男は
愛衣にとっては新鮮だった。

「い、、いや…だって…俺は…」
誠吾が顔を真っ赤にしながら呟くと、
茉莉はイヤらしい笑みを浮かべた

「--あたしの胸も、触る?」
誘惑する茉莉。

普段の茉莉とは真逆の言動に
誠吾の理性がはじけ飛びそうになっていた。

「---あ、、、あ…あああああ」
誠吾は胸に手を振れようとしたー

しかしー

パチン!

そんな誠吾の手を、茉莉が振り払った。

「--冗談よ」

茉莉はそう言うと、笑いながら
誠吾から離れた。

「あ…あ」
誠吾はまだ顔を真っ赤にしたまま
大きくなったアソコを隠そうとせずに
立ち尽くしているー

「---この子の胸を触りたかったら
 自分で頑張ることね」

それだけ言うと、
誠吾に背を向ける茉莉。

「め…愛衣さんはこれからどうするの…?」
誠吾が言うと、茉莉は振り返った。

「--あたしは、復讐はやめない」

茉莉は寂しそうな笑みを浮かべていたー。

そして、誠吾の方を見て微笑む。

「けどー、
 あんたみたいなやつに出会えてよかったー

 それに、この女の家族ーー
 なんだか、暖かかった」

茉莉が悲しそうな表情を浮かべると、
「じゃあな」と呟くー

戸惑いっ放しの誠吾を見て、
茉莉の中にいる愛衣はいじわるな気持ちに
なって呟いた。

「--またいつか会いに来るよ。
 その時は、パイズリでもフェラでも
 なんでもしてやるから。
 楽しみにしてな」

茉莉がふふふ、と微笑む。

「え、ぱぱぱぱぱぱぱ、ぱいず…
 ふ、、ふぇら…??
 え、、、ええええ」

そんなこと経験したことのない誠吾は
顔を真っ赤にして呟いた。

「--あんた可愛いわね ふふ」

それだけ言うと、
茉莉はふっと気を失って倒れたー

倒れた茉莉に駆け寄る誠吾。

「--愛衣さんーー」
もう、近くにいるかも分からない愛衣のことを
想いながら誠吾は、そう呟いた。

彼女はー
ずっと孤独だったのだろうー。

彼女は、
アキラとかいう男に、復讐するのだろうかー。

けれど、誠吾には
もうどうすることもできなかったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夜ー。

アキラが一人で行動する時間ー

いつも、アキラは
日曜日の夜に仲間たちと別れてひとりで行動するー

アキラは鼻歌を歌いながら
とある家に足を運ぶ。

そこにはー
美人の人妻がいたー。

「---恵美…」
アキラがにやりと笑みを浮かべる。

色っぽい下着姿の恵美は、
ベットに横たわり、アキラを待っていたー

「ーーーふふ」

この恵美は、
アキラの”本命”女ー

「俺が愛してるのは、お前だけだ」
笑うアキラ

しかしー

ガチャ

背後から物音がして
アキラは振り返るー

そこにはー
暴走族仲間のカオリ―

そしてー
さらにアキラが仲間たちや、
目の前にいる人妻にも内緒にしている
別の女性が、3人ほど立っていた。

「アキラ…!わたしだけを愛してるって言ったよね!」
暴走族仲間のカオリが避けぶ

「--!?」
アキラは咄嗟に人妻から離れる

カオリと、他の3人の女を見つめるアキラ

「ま、、待て…誤解だ!
 カオリ、それと、、え~っと、名前が思い出せない…
 え~っと…」

8股をかけていたアキラは、
修羅場を味わうことになったーーー

「---ざまあみろ」
上空にいた愛衣はいたずらっぽく舌を出して
そう吐き捨てた。

アキラの行動を監視して
多数の女がいることを確信した愛衣は、
カオリや、他の女に憑依して
そのことを伝えたー。

そしてー
修羅場を作り出したー

「ーーー殺すのは、やめたよ」

愛衣は静かに呟く

「とにかく、復讐なんてダメだ! 
 裏切られたり、傷つけられたりする
 痛みを知っている愛衣さんが、復讐なんてしたらダメだ!」

誠吾の言葉を思い出しながら
愛衣は、修羅場で悲鳴をあげているアキラを
見つめると、少しだけ笑みを浮かべて、
その場から姿を消したー

彼女が、その後、どこに行ったのかは誰も知らないー
成仏したのかー
今もどこかで、霊としてさまよっているのかー。

それは、誰にも分からないー。

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

とある人とお話している時に
浮かんだネタを小説にしたのが
この孤独な夜、でした!

お読み下さりありがとうございました~!

憑依<孤独な夜>
憑依空間NEO

コメント

  1. 飛龍 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    茉莉の家族や誠吾の真っすぐな心に打たれて愛衣の心も救われたようで良かったです~
    アキラも自業自得な結末になりましたし、すごく読後感の良いお話でした
    七葉さんとのお話というのは、この前言ってた光属性な憑依物って話かな…?

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > 茉莉の家族や誠吾の真っすぐな心に打たれて愛衣の心も救われたようで良かったです~
    > アキラも自業自得な結末になりましたし、すごく読後感の良いお話でした
    > 七葉さんとのお話というのは、この前言ってた光属性な憑依物って話かな…?

    コメントありがとうございます~

    いえ、七葉様との深夜のDMで
    生まれたのが愛衣ちゃんなのデス~☆ふふふ

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