<憑依>ば・な・な③~BANANA~(完)

次々とバナナに憑依されていく女性たちー

バナナが最後に行きつく先はー

バナナの正体とは…?

-------------------------—-

生徒指導室に連れてこられた綾菜は、
バナナの着ぐるみ姿のまま微笑んでいた。

「--どういうつもりなの?」
こんな格好で学校に来るなんて…、と
28歳の女性教師・由美は呆れ果てていた。

美人、と称するにふさわしい彼女は
自他共に厳しい性格だった。

「どういうつもりって?
 わたしはバナナ女だも~ん!」

綾菜がきゃははははは!と笑いだす。

いつも真面目な綾菜とは思えない行為だ。

「--ば…バナナ女って…」

由美は、唖然とする。

「あ~そうだ!せんせ~!
 バナナの美味しい食べ方って知ってる~?」

バナナの着ぐるみを脱ぎだす綾菜。

そして、制服を引き千切るようにして
脱ぐ綾菜を見て、先生は「何してるの!」と叫んだ。

綾菜は手にしていたバナナを持って
それを躊躇なくアソコにいれはじめたー

「んふぅぅ♡
 下のお口で、敬意を持って食べなくちゃ~♡
 あっ♡ あっ♡」

綾菜がだらしのない格好で、
甘い声を出し始める。

イヤらしい音が生徒指導室に響き渡る。

「---あ…」
由美は、先生としてどう声をかけていいか分からず困惑した。

綾菜は身体中にバナナの模様や
バナナへの愛をマジックで刻み込んでいた。

「--うふふふふ♡
 せんせいもぉ、バナナ、食べましょ?」

ニヤニヤしながら言う綾菜。

「---な、、、何を言ってるの!」
由美は叫ぶ。

綾菜は突然真顔になって
「お前もバナナ女になるんだよ!」と叫ぶと、
口から黒いバナナを吐きだしたー

綾菜は満面の笑みを浮かべながら、
昔のことを思いだすー

・・・・・・・・・・・

人間とは勝手なモノだー

収穫されて、青果売り場で売られていた自分はー
長い間、売れることなく、
そのままだんだんと黒くなっていったー。

「--あ~あ、売れ残りか。
 まったく。しょうもねぇなぁ」

スーパーの店長らしき男が笑う。

店長は、店の売上が思わしくなかったのか、
イライラしていて、
黒くなりかけたバナナを床に叩きつけた。

「お前みたいな売れ残りが、
 俺の脚を引っ張るんだよ!」

そう叫ぶ店長ー
床に落ちるバナナ

「店長~!」
他の店員に呼ばれた店長は、
そのバナナのことを忘れて、呼ばれた方向に向かって行ったー

いつしかー
そのバナナは陳列棚の下に入り込んでしまってー
誰にも気づかれないまま、
長い時間が過ぎたー

バナナが真っ黒になったある日ー

女性アルバイトが、たまたまバナナを見つけた。

「あれ…?」

真っ黒になっていたバナナは
人間への激しい憎悪から、突然変異したー

霊体のような状態になりー
その女性に憑依したーーー

消えたくないー
という思い、

自分たちがバカにされたという憎悪ー

それらが、バナナに憑依能力と意思を授けたー

「---んあっ!?」
憑依された女性アルバイトは、
静かに立ち上がった

「これが、、人間の…からだ…」
そのまま、その女性が、バナナを大量に持って
バイトを放棄して、外に出たー

その日、バナナは知ってしまった。
人間の女性の快感をー

以降、バナナは、数々の女性の身体を渡り歩いてきたー

・・・・・・・・・・・

「うふふふ~バナナ先生で~す!」

過去のことを思いだし終えるころには、
綾菜から、先生の由美に、
黒いバナナは移動していた。

「--うっ…」

綾菜が目を覚ます。

破れた制服を身に着けて、
全身にバナナペイントが施された自分の身体を見て
綾菜は悲鳴をあげた。

「ばな~な!」
目の前にいる由美はそう叫んだ。

「--ひっ…!?」
綾菜は恐怖して、
乱れた服装のまま
生徒指導室から飛び出した。

「んふふふふっ…
 ばな~~な!」

由美は嬉しそうにそう叫ぶと、
そのまま学校から立ち去って行ったー。

数日後ー

由美は、1児の母でもある由美は
豹変していたー

髪を黄色に染め、
バナナのピアスをし、
バナナ柄のスカートをはき、
家中にバナナを買い込んでいた。

「---お、、おい!由美!」
夫が叫ぶ。

「--うふふ~♡
 わたし、バナナ女になるの~!」
腰を振りながら
嬉しそうにバナナを咥えたり出したりしている。

「---が、学校から電話が来てるぞ!」
夫が叫ぶ。

先生としての職務を放棄した由美は、
家でバナナ三昧の生活を送っていた。

「うるさいなぁ」
由美がバナナをしゃぶるようにして食べると
バナナジュースを飲みながら
あるものを叩きつけた。

”離婚届”

「---なっ!」
夫が唖然とする。

「---奈奈(なな)は、まだ4歳だぞ!
 それに俺が何をしたってんだ!」

夫は娘の名前を引き合いに出して
激怒し、そして、悲しんだ。

それでも、由美は笑っていた。

バナナの皮をむきながら、
嬉しそうに踊っている。

「--き、急にどうしちゃったんだ!由美!」
夫の悲痛な叫びー

しかし、その叫びでさえも、今の由美に
届くことはない。

「どうしちゃったって?
 他に好きな人が出来たの」

由美が甘い声を出しながら笑う。

「--な、なんだって…
 お前、浮気してるのか!?」

夫は、信じていた由美が豹変し、
さらには奇行を繰り返すことに
困惑していたー。

「まぁね♪」
笑う由美。

「わたしはバナナに心を奪われたんですもの!
 うふふふふふ♡」

由美がスカートの中にバナナをいれるー

「--ママ~?」
騒ぎを聞きつけた娘の奈奈が
やってくる。

「--奈奈!今は来ちゃダメだ!」
夫は叫んだ。

しかしー

「あ~~~!かわいい~!」
由美はバナナを投げて
奈奈の方に近づいた。

「---お前も、バナナ女になるんだよ!
 くくく」

由美がそう言うと、
白目を剥いて、由美の口から、黒いバナナが
飛び出した…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

あれから、数か月が経過したー

黒いバナナは、
今日も、どこかでバナナ女として
バナナを堪能しているー

バナナを愛でることー
バナナの良さを広めることー
そして、人間の身体で自分自身が快感を味わうことー

黒いバナナの目的は、それだった。

「みんな~!おはばななだよ~!」

可愛らしいアイドルの
静華(しずか)が、ファンたちに挨拶している。

バナナ柄の可愛らしいスカートと
バナナのイヤリング、
そして、バナナのアクセサリーを身に着けている彼女。

彼女は今、バナナアイドルとして人気の少女だー。

2か月前まではー
彼女は、普通のアイドルだった。

とあるアイドルグループに所属しており、
そこそこ人気のあった彼女ー

しかし、彼女は豹変したー

2か月ぐらい前から、突然
バナナアイドルを名乗り始めて、
グループと芸能事務所から脱退。

今では、誰よりもバナナを愛する女として
こうして活動しているー

あまりにも異様なバナナ愛が話題となり、
今、ブームを起こしているのが、彼女だった。

仕事を終えて、帰宅する静華。

「--ふ~~!ばな~~な!」
大声で叫ぶと、
バナナだらけの自宅で、静華は
満面の笑みを浮かべたー

アイドルとはいいものだ。
この女のおかげで、
バナナが飛ぶように売れている。
空前のバナナブーム。

「わたしは、バナナのしもべ…ふふふ」

静華は、黒いバナナに憑依されていた。

嬉しそうにバナナを咥えると、
いつものように、イヤらしい音を立てながら
静華はバナナを舐めはじめた。

「はぁぁぁ…ばなな…ばなな…
 だいすき…ばなな♡」

静華はバナナを一人舐めながら
嬉しそうに笑う。

興奮した静華はそのまま股を広げて
バナナを舌と下で堪能し始めた。

「んんんんんっ♡ ばなな♡ ばななぁああああん♡」

静華はこのうえない喜びを
全身で表現しながら笑うー

「だいすきですぅ♡ ばなな…♡ あぁぁ♡」
虚ろな目でバナナへの愛を呟き続ける静華。

今の彼女は、完全にバナナの虜になっていたー

ある日ー。

ファンとの交流をしている最中に、
静華は見覚えのある人間を見つけた。

「頑張ってくださいね」
女子大生の彩恵ー。
数か月前に、憑依した
アパート暮らしの女子大生。

あの時、散々怖がっていたのに、
今ではバナナアイドルのファンなのだと言う。

「---クスッ」
静華は笑った。

「---え?」
彩恵が不思議そうな顔で静華を見る。

「--ひさしぶりぃ~」
静華はそう言って笑みを浮かべると、
口から黒いバナナを吐きだしたー

「---ひっ!?」
彩恵は数か月前のことを思いだす。

アパートの隣人・舞子の様子がおかしくなり、
自分の部屋にやってきた舞子に、襲われてー
黒いバナナにー

気付いたら、公園のトイレで気絶しててー
彼氏とは絶縁状態になっててーー
大学ではーー

「いやあああああ!」
彩恵は悲鳴をあげた。

周囲のファンたちが驚くー

そして、
周囲のファンが異変に気付いたときには、
もう、バナナアイドルの静華は倒れていたー

急にアイドルが倒れたことで、騒然とするその場から、
彩恵は颯爽と立ち去った。

「ふふふ~
 わたし、またバナナ女になっちゃいま~す!」

彩恵はスキップしながら、
その場から立ち去ったー

黒いバナナは
これからも人々に、憑依を続けるー。

覚えてしまった女の快楽を味わうためにー
バナナ好きを増やすためにー
そして、バナナを愛でるためにー

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

バナナをテーマにした憑依小説でした!

皆様は、バナナ、お好きですか~?笑

お読みくださりありがとうございました!!

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憑依<ば・な・な>

コメント

  1. 匿名 より:

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    公衆電話に似た、かなりカオスな内容で面白かったです。
    彩恵は2回も取り憑かれて実に不運ですね。

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > 公衆電話に似た、かなりカオスな内容で面白かったです。
    > 彩恵は2回も取り憑かれて実に不運ですね。

    ありがとうございます~!
    2回も憑依されて好き勝手されたら
    立ち直れないかも…ですネ!