4人のOLは
”表向き”仲良しだったー。
しかし、憑依薬によって、ギリギリで保たれていた
均衡(バランス)は崩れ去るー。
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社内が騒然としたー。
愛那が”わたしを抱いて”と突然叫んだのだ。
「--うふふふふ♡
わたし~性欲を抑えられないんですぅ~!」
愛那が、イケメン社員・浩二の元へと迫って行く。
その表情は、飢えた雌のように、
歪んでいたー
愛那に憑依した松子は、
愛那に恥をかかせてやろうと思って
浩二に迫るー
はずだったが、イケメンの浩二に迫るー
そのことに、自分自身も興奮してしまっていた。
「--ふ、藤崎さん?」
突然豹変した愛那を前に驚く浩二。
「--うふふふ~!わたしが欲しい?」
愛那がニヤニヤしながら言う。
既に35の松子は、
浩二には、相手にされないだろう。
だが、まだ若い愛那なら。
「--ま、待て!落ち着くんだ!」
浩二が叫ぶ。
そんな浩二の叫び声を無視して、
愛那は浩二に抱き着いた。
周囲の社員が声をあげる。
勤務時間中に、突然愛那が浩二に抱き着いた。
驚くのも、しかたがない。
騒然とした様子の職場ー
三澤部長がたまらず立ち上がる。
「そこ!仕事中にそういうのは困るよ!」
がー、
ざわざわしていた室内ー
周囲のざわついた声に三澤部長の声は
かき消されてしまった。
「----あらら」
優季がその様子を見ながら呟く。
「あのババア…愛那ちゃんに憑依したのね」
優季は、”自業自得ね”と愛那のことをあざ笑う。
愛那は、誰にでも媚を売る性格で、
それが鼻につくところもあった。
優季も、残った憑依薬で愛那にも恥を
かかせてやろうと思ったぐらいだ。
「----…」
眼鏡の位置を直すと、智里が
憑依されている愛那の方を見る。
「--ちょっと、面白そうかも」
智里が不気味に微笑んだー。
「--せんぱい!先輩!わたしと、わたしとキスをしてぇ!」
愛那が叫ぶ。
はぁ♡ はぁ♡ はぁ♡と甘い声を出しながら
浩二を押し倒した愛那は、
浩二にキスをしようとする。
浩二はもがいていたー。
愛那は確かに可愛いー
だが、正直、媚を売るような性格の子を
好きになることはできない
「は…離せ!」
浩二が叫ぶ。
「--なんでよ~!いいじゃない~!
わたし、我慢できな~~い!」
愛那が服を脱ぎ始める。
「ほら!抱いて!抱いて!抱いて!!抱いて!
わたし、欲求不満なの~!」
愛那が普段出さないようなエッチな声で
叫ぶと、浩二は愛那を無理やり押し飛ばした。
「きゃっ!?」
思わず声をあげる愛那。
「---この、変態女!」
浩二はそれだけ叫ぶと、
足早に休憩室の方に走り去ってしまった。
”変態女”
そう言われた愛那はー
いやーー、
”愛那の中にいる松子”はー
激しい怒りを感じた。
唖然とする周囲を無視して
愛那は叫んだ
「わたしをバカにして!!!」
そして、愛那はそのままその場に倒れるのだったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「---え…」
愛那が目を覚ました時には、
周囲はざわついていた。
「---わ、、わたし…」
脱ぎかけた服を見て、愛那は戸惑う。
「---藤崎さん」
三澤部長が近づいてきて呟く。
その目には”失望”の色が浮かび上がっている。
「--え、、わ、、わたし?」
愛那は、何が起きたのか分からず、
周囲を見渡す。
「---」
優季や智里、松子と目が合う。
「---ま、、まさか…」
愛那は、”自分が憑依されたのではないか”という
最悪のシナリオを頭に浮かべた。
「---え、、ちょ…あ、、あの、わたしは…」
「--今日は、もう帰りなさい」
三澤部長のその一言と、
周囲の冷ややかな視線。
愛那は泣きそうになりながら
職場から立ち去ったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜ー
眼鏡をかけたOLが、
仕事を終えて、お手洗いに入る。
「---憑依薬」
智里は、それを握りしめて笑みを浮かべた。
最初は、使うつもlりはなかった。
けれどー。
憑依された松子や、愛那を見ていたら
気が変わったー。
自分は他の3人とは違う。
優秀で、美人で、何でもできる。
智里は、
3人の醜い争いを見ることで
優越感に浸るのが何よりも大好きだったー。
「--ちょっと、イタズラしちゃおうかな」
智里が憑依薬を見つめながら微笑むー。
憑依するなら、
松子か、優季か、それとも愛那かー。
ガチャ
「--!」
トイレの扉が開いたのに気付いた智里は、
慌てて憑依薬の入った容器を
ポケットにしまい、
洗面台で手を洗いはじめたー
”明日、誰に憑依しようかなー”と
考えながらー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌朝。
愛那は周囲から冷たい目で見られて
落ち込んでいたー
三澤部長に謝ろうー
そう思ったものの、
三澤部長は今日から出張で不在だし、
謝る相手もいない。
「--だいじょうぶ?愛那ちゃん」
松子が愛奈に声をかける。
「あ…先輩…!はい、、なんとか」
愛那は落ち込んだ様子で答えた。
いつもの媚を売るような雰囲気は
そこにはない。
松子は、そんな愛那を見つめながら、
静かに微笑む。
「---まぁ、誰にでも、
そういうことはあるから、ね?」
松子の言葉に、愛那は元気なく「はい…」と答えて、
落ち込んだ様子で仕事をし始めた。
松子は笑うー
愛那をこらしめてやったー。
次はーーー
涼しい顔で、仕事をしている優季の後姿を見つめる。
「あんたの番よー」
優季の方を見て、松子は笑った。
最年長の松子ー。
自分より年下の優季が表彰されるなんて許せない。
それに、この前は、優季に憑依されて恥をかいたー。
「徹底的に、やってやるわよ」
松子が呟く。
そういえばー、と
ふと松子は思う。
”憑依したまま自殺したらどうなるのか”
松子は、さらに”越えてはならない一線”を超えようとしていたー。
お手洗いに入る松子。
憑依している間、身体は抜け殻になってしまうから
隠さなくてはいけない。
そういった意味では、お手洗いの個室は最適だった。
恐らく、優季も、この個室を使っていたに違いない。
ガチャ
「---!?」
優季に憑依しようとして、憑依薬を飲み干そうとした
松子の後に、誰かがお手洗いに入ってきた。
松子はドキッとする。
このまま個室に入るべきか。
いや、万が一、疑われたら…。
松子は振り返って、
いつも通りの笑みを浮かべたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
昼休み。
「--今日は2人だけですね」
最年少の愛那が言う。
今日の愛那は大人しい。
昨日、松子に憑依されて、
イケメン男子社員の浩二に迫ってしまったから
形見が狭いのだろう。
「--そうね」
優季が微笑む。
優季も、愛那の媚を売るような態度を
面白くは思っていない。
だから、昨日のことは
とても、愉快な光景ではあった。
しかしー
とは言え、優季は社会人だ。
表向きは、これまでも、これからも
愛那と仲良くしていくつもりだった。
「--あ、、、あの…昨日のことは」
愛那が顔を赤くして言う。
「---わかってるわ。憑依されてたんでしょ?」
優季が、サラダを食べながら言うと、
愛那は、食べていたカレーライスの手を止めて
目に涙を浮かべる。
身体をがくがくと震わせている。
「-わたし…憑依なんて、、端道先輩の
冗談だと思ってたんです…
でも…でも…」
愛那は、自分が憑依されて、
”憑依されること”に対して恐怖を抱いてしまっていた。
この上ない、恐怖を。
「--わ、、、わたし…」
愛那は、その場で泣きじゃくってしまう。
優季は思うー
確かにこのままではエスカレートしかねない。
他の3人のことは気に入らない。
けれどー
このままエスカレートすれば、
4人揃って共倒れすることになってしまうかもしれない。
人の身体を奪うー、ということは
人間を無責任にしかねない。
”どうせ自分の身体じゃないから”とー。
優季だって、そうだった。
最年長の松子の身体を奪った際に、
”どうにでもなってしまえ”と思った。
このままでは、
越えてはならない一線を越えてしまう。
「---愛那ちゃん」
優季が泣いている愛那の肩を掴んだ。
「--端道さんに、わたしから話してみる。
智里ちゃんにも。
憑依薬…みんなで捨てよう」
優季はそう言って微笑んだ。
心からの言葉ー
憑依薬を4人揃って廃棄すればー
また、元通りの関係に戻れるー
表向きは仲良しな4人組にー。
手早く食事を終えると、
優季は愛那を残して、
部屋へと戻る。
まだ昼休みの時間はある。
松子は、ワガママな性格だが、
なんとか説得して、憑依薬を処分させよう。
松子が自分の所属する部署の部屋に
戻ると、人だかりが出来ていた。
「んあぁっ♡ あぁっ♡」
甘い声が奥から聞こえる。
「あぁ♡ あっ♡ あっ♡ んぁっ♡」
ーー!?
優季が、同僚たちの人だかりを突破すると、
その先にはー
部屋の隅に全裸で座り込み、
ペンをアソコに突っ込んで、液体を垂れ流した
松子の姿があった。
35歳ながら
その身体は美しかった
「は、、端道さん?」
優季が唖然としながら叫ぶ。
お腹の部分に汚い字で
”わたしはへんたいで~す☆”と
ペンで書かれていた。
肩や胸にもいろいろな落書きがされている。
♡
参上!
変態戦車!
いっぱい喘いじゃいま~す!
おかしな言葉がたくさん刻まれている。
胸には♡マークが大量に刻まれていた。
「んぁぁ♡あ」
何度もイッたのか、松子の周りは
汚れきっていた。
それでも松子は身体をビクンビクンしながら、
あひぃ!と声をあげて、
完全にイッている表情で、気持ちよさそうな声をあげた
「こ…これ…は」
優季が唖然としていると、
松子は「う…」と言って、
だらしない姿のまま、その場で気を失った。
「----お、、、おい!」
他の社員たちが言う。
あまりの出来事に唖然とする社員たち。
松子に服を被せて、
松子が気絶したため、救急車を呼ぶ社員たちー。
あまりの出来事に、優季は言葉を失った。
「どうしたんです?」
休憩で外に出ていた智里が戻ってくる。
眼鏡をかけ直しながら
のんきに戻ってきた智里は、
驚きの表情を浮かべたー。
「-ーー先輩?」
カレーライスを食べていた愛那も戻ってきたー
そこにはー
乱れきった松子が、ピクピクしながら倒れているー
智里も愛那も唖然とするー
優季は2人を見つめる。
松子が持ち込んだ憑依薬は”わたしたち4人”しか
知らないはずー
優季はそう思いながら愛那と智里を見つめる。
”どっちかが、やったってこと?”
優季は、ついに不安が現実となってしまったことを
後悔しながら、救急隊員に運ばれていく松子を
見つめることしかできなかったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
さらに衝撃が走った。
「--おい!」
他の男性社員が叫ぶ。
「出張中だった、三澤部長が変死体になって
発見されたらしいぞ!」
男性社員の言葉に、優季は恐怖した。
三澤部長は、時に厳しい人間であったことから、
部下の一部からは嫌われていた。
愛那か智里が三澤部長に憑依して、
自殺させた可能性ー。
優季は、すぐにその可能性に辿り着く。
「--ちょっとちょっと…」
優季は思わずつぶやく。
憑依なら、誰にもばれずに
松子や三澤部長のように、人生を破壊できるー
「ーーーやりすぎよ」
優季は呟く。
確かに、彼女たちは裏で陰険な争いを繰り広げてきた。
けれどー
ここまでするなんてー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
お手洗いー。
愛那が落ち込んだ様子で鏡を見つめていた。
自分が憑依された時のことー
昨日の松子の暴走ー
それが、トラウマになっていた。
「---うぅ…」
愛那がため息をついて、お手洗いから
出ようとすると、そこに眼鏡をかけた智里が入ってきた。
「あ、先輩…」
仲良し4人組の中では2番目に年下の智里。
智里はいつものように優しく微笑みー
そしてーーー
「---!?」
智里がいきなり抱き着いて、キスをしてきた。
「え…あっ?」
愛那が驚く。
「--やっぱ、若いっていいわよね」
智里がニヤニヤしながら言う。
「--愛那ちゃんの味、味わいたいなぁ」
智里が笑う。
「---え…や、、やめ…」
クチュクチュとお手洗いに音が響き渡る。
「--んふぅ~…ほら、口を開きなさいよ」
智里がイライラした様子で言う。
「---や、、やだ…やめて!
先輩も、、ひょ、、憑依されてるんですか!」
愛那が叫ぶー
智里はこんなことをする女性ではないー
陰険なことをしているのは知っているが、
智里は、表向き、こんなおかしなことを
する女性ではないー。
「(優季先輩?それとも松子先輩??)」
愛那は必死に頭の中で色々な可能性を考えた。
「--ふふふ~!愛那ちゃんのおっぱい~!」
智里が涎を垂らしながら、愛那の胸を揉み始める。
「んぁぁぁ♡ やめ、、やめてくだはいぃぃx~♡」
声にならない声を出す愛那。
智里は狂った目つきで、愛那に激しいキスを
お見舞いして、「んっん~♡」と声をあげた。
「-----」
智里が笑みを浮かべながら、愛那に何か耳打ちをしたー
「---ひっ!?」
愛那は、衝撃の言葉に、恐怖したーー
しかし、もう、
既に、手遅れだったー
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
女性同士の陰険な争いはよくあること…
なのですが、憑依薬が加わって
エスカレートしてしまったようデス…!
結末は明日のお楽しみです~!
コメント
SECRET: 0
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よくあることなんですか!? こわい……
とうとう死人まで出てとんでもないことになってますね
智里に憑依してるのは他の2人のどちらかなのか、それとも……
結末が気になります!
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
> よくあることなんですか!? こわい……
> とうとう死人まで出てとんでもないことになってますね
> 智里に憑依してるのは他の2人のどちらかなのか、それとも……
> 結末が気になります!
ありがとうございます~!
本人の前ではにこにこしているけれど、
本人が立ち去った直後に「うざ~い!」みたいなことは
よくあります(笑