<憑依>女沼~OLの嫉妬~①”陰険”

とある会社ー。

仲良し4人組のOLたちがいたー。

しかし…
彼女たちは裏で熾烈な争いを繰り広げていたー。

そんな中、そのうちの一人が、憑依薬を手に入れて…?

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とある会社のとある部署ー
今日も慌ただしく商品企画が行われたり、
営業が行われたりー
社員たちが、部屋を駆け巡っているー

「--ありがとうございます」

そんな中、三澤部長に呼び出されていた、
32歳の美人OL・北峰 優季(きたみね ゆき)は
嬉しそうに返事をしていた。

優季の提案したとある企画が
上層部に認められたのだった。

「わぁ!先輩!おめでとうございます!」
可愛らしいルックスで人気の若手OL・藤崎 愛那(ふじさき あいな)が
微笑む。
男に媚を売るようなところもあるが、明るく元気で、
先輩受けも悪くはなかった。

「--さすがですネ~!」
28歳のOL・神原 智里(かんばら ちさと)が拍手をする。
彼女も成績優秀の女子社員だ。
眼鏡をかけた知的な容姿通りの人間で、頭が非常に良い。

「---おめでとう!優季ちゃん」
優季の先輩で、35歳のOL・端道 松子(はたみち まつこ)が言う。
最近、化粧が濃くなっているものの、
スタイルが非常に良く、密かにファンも多いー。

優季は、3人の祝福を受けながら
「ありがとう」と嬉しそうに微笑んだ。

優季・松子・智里・愛那は年齢こそ違うものの、
同じ職場で働くうちに意気投合して
今では大の仲良しだった。

”あんたたちとは、違うのよ”
優季は心の中でそうほくそ笑んだ。

嬉しそうに笑いながら、
心の中では、3人のことを見下し、あざ笑っていたー

優季が立ち去る。

嬉しそうに優季を祝福していた、
4人組の中では最年長の松子が呟く。

「ウザい子…」

それを聞いた残りの2人がすかさずフォローをする

「いえいえ、端道先輩の方が何倍も素敵ですよ!」
智里が笑いながら言うと、

「はい~!先輩大好きです~!」
と、最年少の愛那も笑みを浮かべながら言った。

「--そう?ありがと!」
2人の言葉に、
松子はご機嫌になって、
仕事に戻るのだったー。

”ちょろいおばさん…”

最年少の愛那は、心中で松子を見下しながら、
仕事に戻るのだったー。

そう、4人が”仲良し”なのは、
”表向き”のことー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「---ついに!」

夜ー。

4人組の中で最年長のOL・松子は
ネットで注文したとあるものが
届いたのを見て、微笑んでいたー

”憑依薬”

人に憑依して好き勝手することのできる薬だー。

「---やった!
 これであの生意気な小娘を蹴落とせるー」

35歳の松子は、
自分よりも成績優秀の優季に嫉妬していた。

32…
自分より年下の分際で偉そうにー。

昼間のことを思い出す。

”あの勝ち誇った顔”

「--この憑依薬で、泥まみれにしてやるわ」

松子は、一人暮らしの独身。
結婚しようとも考えていたが、
今では、仕事が恋人状態になっているー。

「--覚悟なさい…
 ふふふふ…あはははははは!」

松子は、明日のことを考えながら
一人、部屋の中で笑いつづけたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日。

優季が出勤すると、
最年少の愛那が「せんぱ~い!」と甘い声を出しながら
優季に近づく。

優季は、ポニーテールがよく似合う
何でもできそうなお姉さんタイプのOLだ

「--昨日、部長から褒められた時に、
 端道さんが、先輩の悪口言ってましたよ」
優季が告げ口する。

「--そう。まぁ、端道さんもいろいろあるのよ」
優季は、そう言いながら、愛那の頭を撫でる。

「-教えてくれてありがとう」

とー。

「--先輩のこと、わたし、大好きですから!」
愛那が嬉しそうに言うー。

「--ふふ、ありがと!」
優季はそう言うと、仕事の用件を済まそうと、
自分の席から立ち上がった。

立ち上がった優季の表情から
笑みが消えていた。

”あの嫉妬ババア…
 優秀なわたしが部長から褒められるのは当然じゃない。
 悔しかったらお前もちゃんとやれっつーの!”

優季は内心でそう思いながら
怒りをたぎらせていたー。

そんな優季の背中を見ながら、
愛那は笑う。

「---ふふふ…先輩たちの争う姿って
 楽しい~!」

愛那は、3人の先輩に色々告げ口しては、
3人が裏で険悪になっているのを楽しんでいた。

3人は、仲良く見えるのものの、
”表向き”だけのことー
愛那が、全員に告げ口してることは
誰にも伝わらなかった。

昼休みー

最年長の松子が、
愛那と智里を呼び出した。

「どうかしたんですか?」
眼鏡をかけた智里が言うと、
松子が微笑んだ。

「ねぇ、面白いもの手に入れたのよ」
松子がそう言いながら、とあるものを見せびらかす。

それは、昨日手に入れた”憑依薬”

「--なんですかそれ~?」
愛那が甘えた声で尋ねると、
松子は笑いながら答える。

「憑依薬って薬よ。
 ネットで手に入れたの」

松子の言葉に他の2人は、
不思議そうな表情で、松子の方を見た。

「--人の身体を支配できる薬。
 これで、ちょっと遊んでみようかな~ってね」

松子が言うと、
愛那と智里は、「なるほど~!」と微笑む。

松子の言いたいことは2人にも分かった。
優季を滅茶苦茶にしてやろうと言うことだろう。

今までも4人は、
影で熾烈な争いを繰り広げてきた。

だが、それは表向きではなく、裏向きの争い。
だから、4人は表面上はいつも仲良しだった。

その、ギリギリのバランスが今、崩れ去ろうとしていたー。

「---真面目な優季ちゃんが、急に、部長の前で
 服を脱いで、迫ったらどうなっちゃうのかしら?
 ふふふふふふ」

松子はそう呟くと、
憑依薬を、ロッカーの中に入れて、
そのまま立ち去って行った。

松子は”勘違い”していたー。
それは、愛那と智里が、自分のことをしたっているという
”勘違い”だー。

その勘違いが、誤算を生んだー

愛那と智里が顔を見合わせる。

そしてー

ロッカーを無理やり開けて、
その憑依薬を奪って、半分ずつ持ち去ったのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

15:00-

「え?」
休憩所で飲み物を飲んでいた優季のところには
愛那が訪れていた。

「---憑依薬…?」
優季が不思議そうに聞き返す。

「はい!端道さんが先輩を滅茶苦茶にしてやろうって
 そう言ってましたよ!
 でもわたし、先輩が大好きなので、
 滅茶苦茶にされるところなんて見たくなくて…」

愛那が嘘泣きしながらそう呟いて、
優季に、松子のロッカーから奪った憑依薬を
手渡した。

「--教えてくれて、ありがとう」
優季はにやりと笑みを浮かべた。

”やられる前に、やってやる”

優季はそう思いながら、
手にした憑依薬を一気に飲み干した。

・・・・・・・・・・・・・・・

「---ない!」
松子が叫ぶ。

ちょうど、自分の仕事がひと段落した段階で、
優季に憑依してやろうと思い、
ロッカーに戻った松子は一人、叫んでいた。

ロッカーに入れておいたはずの憑依薬が、
そこに、無くなっていた。

「--ま、まさか」
松子は叫ぶ。

憑依薬を持ってきたことは
愛那と智里にしか言っていない

「どっちかが、盗んだってこ…うひぃ!?」

突然、松子の身体に衝撃が走るー

「---あ…あ…あ…!」
身体をビクンビクンとさせながら
松子が、涎を垂らす。

白目をむいて、ピクピクとその場で
震え続ける松子は、
やがて笑い出した。

「くふっ…っふふ、ふふふふふふ~!」
松子が嬉しそうに飛び跳ねる。

「はははは~!憑依される前に憑依してやったわ!」
松子はそう叫ぶと、
そのまま嬉しそうにロッカールームを後にした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーそうなんですか~?」
最年少の愛那が、他の男性社員と話している。

社内でも1、2を争うイケメンの
木江 浩二(きのえ こうじ)ー。

愛那は、そんな浩二に積極的に
アプローチを仕掛けていた。

「--藤崎さんは本当に可愛いなぁ~」
愛那にアプローチをかけられて、
浩二もまんざらではなかった。

「--あ、そうだ、来週なんですけど~」
愛那がそう言いかけた時だった。

ガチャ!

部屋に、松子が戻ってきた。

「---」
智里が、眼鏡をいじりながら、
その様子を黙って見つめる。

「うっふ~~ん♡」
松子はわざとらしい声をあげながら、
腰をくねくねさせながら歩き、
自分の座席へとついた。

三澤部長が唖然としてその様子を見ている。

「あっは~ん♡」
自分の机に座った松子は、
奇妙な声を出しながら、突然、指を鼻に突っ込んだ。

”恥をかかせてやるわ お・ば・さ・ん!”

松子に憑依した優季は、
松子に徹底的に恥をかかせようとしていた。

鼻を汚らしくほじりつづける松子。

周囲は、35歳OLの突然のおかしな行動に
唖然としている。

「--あ~あ」
愛那は小さな声で呟いた。

優季先輩が憑依している、
そのことはすぐに分かった。
愛那が、憑依薬を手渡したのだからー。

「--んんん~!
 大きいのが、とれたぁ~うふふふふ」
松子は嬉しそうにそう叫ぶと、
手についた何かを、そのまま口に放り込んだ。

”汚い!”

周囲にいた社員は、誰もがそう思った。

松子は「んへぇ~」と奇妙な声を出しながら
咳をげほげきほとし、そのまま立ち上がった。

「部長~!」
部長の方に歩いていく松子。

さっきと同じように、大げさな歩き方をして、
部長の方に向かう。

「な…なんだ?」
三澤部長が唖然としながら言うと、
松子は突然、その場でくしゃみをした。

口を手でふさぐこともせず、
三澤部長に、くしゃみが直撃するー

「----な、、、」
三澤部長は、驚いて松子の方を見る。

松子は、髪をぼさぼさに掻き毟りながら、
持っていたコーラのペットボトルを飲み干すと、
大きなげっぷをした。

周囲はもはや、唖然として、言葉を失っている。

2回、3回と汚らしいげっぷをする松子。

そして松子は、「あ~あ、口に髪の毛が入っちゃった~」と
呟きながら、指を口に突っ込んで、グチュグチュと
音をたて始めたー

そのままスキップしてロッカールームに戻って行く松子。

「--うっふっふ~!じゃあね!お・ば・さ・ん

 …ひぁ…」

突然、うめき声をあげると、松子はその場に
白目を剥いて倒れた-。

「ふふふ」
お手洗いに籠っていた優季が笑う。

「思い知ったかしらー?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「う…」

松子は目を覚ました。

「はっ…わたしは…?」
松子は、乱れた制服を見つめながら、
意識が飛んだことを自覚するー

そして、すぐに気づいた。

「まさか、わたしが逆に優季に憑依された!?」

松子が怒りの形相で立ち上がる。

静寂に包まれているロッカールームで
松子は怒りのあまり壁を拳で叩いた。

「---ふ、、ふざけんじゃないわよ…!」

怒りの形相のまま、ロッカールームから出る松子。

他の社員がいる部屋に戻ると、
社員たちは冷たい視線を松子に浴びせた。

(くそっ…わたし、何されたの?)

不安に思いながら、
松子は、愛那と智里を呼び出した。

「--どうしたんですか?」
眼鏡をかけ直しながら智里が言う。

呼び出された愛那と智里には分かっていた。
何故、自分たちが呼び出されたのか。

”憑依薬”の件だろう。

だが、愛那も智里も、”どう言い訳するか”
既に考えていたー

「ーー先輩に、話を立ち聞きされていて…」
愛那が目から嘘泣きの涙をこぼしながら言う

「--」
智里は、愛那に言い訳を任せているのか
何も言わなかった。

「---優季が?」
松子の言葉に、愛那は頷いた。

「--端道先輩に憑依したのは、
 北峰さんだと思います」

松子は、憎き優季の姿を思い浮かべて
怒りの形相を浮かべたー

愛那と智里の二人を解放すると、
松子は呟いた。

「---あんたたち、裏切ったのね」

とー

憑依しようと思っていた自分が、
逆に憑依されてしまった怒りー。

松子は激しい憎悪を募らせていた…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日のお昼ー

松子・優季・智里・愛奈は
4人で仲良くランチを食べていた。

「--木江くんとは仲良くやってるの?」
優季が言うと、
最年少の愛那は嬉しそうに微笑んだ

「はい!木江さんとはもっともっと仲良くなりたいなぁ~って」

普通のお話を続ける4人。

4人は”表向き”
仲良しだった。

「そういえば…昨日はどうかしたんですか?」
優季がわざとらしく言う。

「---え?」
最年長の松子が優季の方を見る。

「ほら…なんか、その、げっぷとか…
 急に、いつもしないようなことしてたじゃないですか」
優季の言葉に、松子は
ピクピクと震えながら笑顔で答えた。

「あ、、あぁ~、ちょっと、疲れてて…ね」

松子は”お前が憑依したんだろ!クソ女!”と
叫びたくなるのを我慢した。

「あぁ~!疲れちゃうことってありますよね!
 わかります~!」

優季がわざとらしく言うと、
松子も「わかって貰えて嬉しいわ~」と答えた。

そんな様子を見ながら、
美味しそうにランチを食べる智里。

”だんだん面倒なことになってきたー”

そう思いながら智里は、黙々とランチを
食べ続けたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

松子は、お手洗いに入って、不気味に微笑んだ。

”わたしが注文した憑依薬が1本だと思うなよ”

松子はそう思いながら、
憑依薬を飲み干すー。

”仕返しは、ちゃんとしなくちゃね”

そう呟きながら、松子は気を失った…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--木江さん、ありがとうございます~!」
最年少の愛那が、イケメン社員の浩二と話している。

浩二は、
「藤崎さんのためなら、お安い御用だよ」と
甘い笑みを浮かべながら、
机にあった書類を手渡した。

「うっ…」
書類を手渡そうとした愛那が低いうめき声をあげた。

”わたしをー
 わたしを裏切った罰よー”

愛那は、松子に憑依されてしまったー。

松子に憑依された愛那は、大声で叫んだ。

「木江さん!わたしを抱いて!!!
 もうわたし、我慢できない!!!!」

とー。

唖然とする職場ー

女たちの争いは、引き返せない段階に
突入しようとしていたー

②へ続く

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陰口を叩いたり、陥れたり…

こわ~い世界なのデス!

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憑依<女沼>

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