彼女の真菜美に憑依している男は思うー。
君は、俺のことを何も知らないー、と。
自分がどれだけ苦労してきたか。
だが、そんなことはどうでもいい。
男は、真菜美の身体で、彼氏の由紀夫を襲う…。
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”君は俺の秘密を知らない”
そう、思いながら笑みを浮かべたー。
真菜美が鞭で由紀夫を叩きながら笑みを浮かべる。
まだ、真菜美という子が憑依されていることを
この由紀夫という男は信じていないようだ。
真菜美の中に居る男は、由紀夫をあざ笑うー。
興奮した様子で、由紀夫を鞭で叩く。
「あっ…あぁあああ!」
由紀夫の情けない悲鳴が
部屋の中に響き渡っている。
「あらあらぁ~?」
真菜美が、学校では絶対に見せない
狂った表情で笑う。
「--彼女に叩かれて、
そんな情けない声を出しちゃうのね~?
うふふふふふふ!」
真菜美は発情しきった表情で笑う。
由紀夫は、真菜美に鞭で叩かれて
情けない泣き声をあげていた
由紀夫は思うー
こんな…
こんな…
「こ、、これが…
これが真菜美の性癖か…!」
由紀夫は苦しみながら叫んだ。
真菜美は
「ふふふ!わたし…っていうか俺のな!」
真菜美は嬉しそうに笑いながら
さらに鞭を振るった。
「--どう?これから俺のしもべになるなら
毎日好き放題させてやるぜ
この身体、可愛いだろ?
俺もさ、毎日一人でエッチするのはつまらないから
お前にいっしょに楽しむ権利をあげるわ」
男と女が入り乱れた口調で真菜美が言う。
腰に手を当てて
見下すような視線で立つ真菜美は、
まるで女王様のようだった。
「へ…へへへ… 」
由紀夫はまだニヤニヤ笑っている。
「--…」
真菜美は由紀夫を見ながら思う。
これまでにも”わたしは憑依されている”と
カミングアウトしたことは何回かあった。
一人目は幼馴染の男子。
そのことを伝えると、彼は目を泳がせて、
目の前でエッチなことをしてみせたら
彼はその後、真菜美から距離を取るようになり、
疎遠になった。
2人目は、親戚の男の子。
憑依されていることを伝えて、誘惑してやったら
嬉しそうにとびかかってきた。
男なんてチョロい、と真菜美はその時思った。
3人目は、高校1年の時の親友。
彼女は、泣いて「真菜美を返して」と叫んだ。
予想以上に反応が五月蠅かったために
”お前に憑依するぞ”と脅して黙らせた。
そしてー
真菜美は楽しんでいた。
”憑依された女子高生M”のアカウントで
ちやほやされることも楽しいし、
こうして、憑依されていることにうすうす気づいた人間に
真実を告げて、その反応を見ることもー
可愛い少女に憑依して、
男の人生は変わった。
毎日が楽しいー
今では、”普通の女子高生”を演じながら
楽しい女子高生ライフを送り、
裏ではちやほやされて楽しんでいる。
そしてー
時々、由紀夫のような獲物を見つけては
こうして楽しんでいる。
「どうする~?私の奴隷になれば
毎日楽しませてあげるわよ~」
真菜美が笑いながら煙草の火を
消して、由紀夫の方を見る。
「---あぁぁ…」
由紀夫はゾクゾクしていた。
真菜美が憑依されていたなんてー!
最初はおふざけかと思っていたが
どうやら、本当に真菜美は憑依されているっぽい。
憑依された演技ー
本当に憑依されている行動ー
由紀夫には、それを見抜く力があった。
「--わたしに忠誠を誓いなさい」
真菜美が足を差し出した。
「--ほら、俺の脚の裏、いいえ、私の脚をお舐め!」
真菜美は叫んだ。
真菜美に憑依した男は、既に3年間、真菜美として
暮らしているから、
自然と女としての仕草や言葉が出るようになっている。
しかしー
興奮すると、昔の血が騒ぐのか
男と女が入り乱れたような口調になってしまう。
「--」
由紀夫は無言で膝をついた。
「あははは!
俺はさぁ!みじめなサラリーマンだったんだ!
3年前まではね!
でもね!
今は違う!
俺は真菜美になったの!
ふふふ!
最高の人生よ!
これからも女という立場を利用して
たっぷり遊びつくしてやる!
さぁどうするの由紀夫くん?
わたしに忠誠を誓って
一緒に甘い蜜を吸うか!?」
真菜美には自信があった。
由紀夫は自分に惚れている。
”可愛い彼女”を演じてやっていたのだ。
当然の結果だ。
裏垢の存在に気付かれてしまっても、
こうして、誘惑してしもべにするかー
もしくは”憑依能力”で脅せば良いー。
だからー
真菜美は”憑依された女子高生M”の
アカウントに鍵をかけていないし、
ばれたらばれたでどうだっていい。
もしも由紀夫が
”真菜美が憑依されている”と
周囲に叫んだって、
自分が否定をすれば、誰も信じやしない。
この”遊び”は
真菜美に絶対有利なのだ。
「--わたしは女王様よ~!
ほら、わたしに忠誠を誓え!」
真菜美が差し出した足をー
由紀夫は、舐めなかった。
「ーーー何よ」
真菜美は、由紀夫のイマイチ釈然としない態度に
不満を感じる。
由紀夫はエロい。
だが、なぜ、誘惑してもとびかかって来ないのか。
しかも、あまり困惑している様子もない。
「----」
由紀夫がスマホの画面を真菜美に見せた。
「---!?」
真菜美が驚いて目を見開くと同時に、
由紀夫は力強く真菜美をベットに押し倒した。
「---ひぇっ!?」
真菜美は思わず声を上げる。
由紀夫が覆いかぶさるようにして、
ニヤニヤと真菜美を見つめている。
「ど…どういうこと…?」
真菜美は唖然として呟く。
そんな真菜美に大して、
由紀夫は言った。
「君はまだ、俺の秘密を知らないー」
由紀夫が見せたスマホの画面には、
ツイッターの画面が映し出されていたー
そこにはー
”憑依されている男子高校生Y”と
表示されていたー
「---!?!?!?」
男の魅力にあふれる写真が
ツイートされているそのツイッターアカウントを見て
真菜美は目が点になった。
「---こ、、これは!?」
真菜美が驚いて言うー。
由紀夫がいつも見せないような
表情で真菜美を見つめていた。
「ふふふ~!
わたしを興奮させちゃダメじゃない~!」
由紀夫が女のような口調で言う。
「ど…どういう」
真菜美がそこまで言うと、
真菜美の顔の横に、由紀夫は手を叩きつけた。
「ひぇっ!?」
さっきまで女王様気取りだった
真菜美がとたんに弱弱しい悲鳴をあげる
「--真菜美~!
きみが本当に憑依されているのかは
知らないケド、もしもそうなら、
俺は君と同じだ。
3年前ー
雨の日に、わたしはこの男の子に憑依したの」
由紀夫が笑うー
3年前ー
あの日は、大雨が降っていたー
あの日ー
男と不倫して遊んでいるのがばれ、離婚された30代後半のとある女性が
裏サイトで憑依薬と呼ばれる薬を手に入れて、
偶然、道端を歩いていた中学に通う男子生徒を見かけて
その子に、憑依したー
その、憑依された男子が、由紀夫ー
由紀夫も、真菜美と同じように中学時代からずっと、憑依されていたー
真菜美に男が憑依しているように、
由紀夫には女が憑依しているー
「ふ~~!男の子の身体…興奮しちゃう~」
憑依された由紀夫は嬉しそうに、脚をじたばたさせた。
そしてー
「あ~、ちょっと余っちゃったよ、これ」
憑依薬の入った容器を見つめて笑う由紀夫ー
彼は、それを道端に捨てたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
話を聞いて、真菜美は目を震わせる。
「(俺が、あの時拾った憑依薬は、こいつが捨てたモノ…!)」
真菜美の中にいる男はそう思いながら、
由紀夫の方を見た。
「ずっと普通の男子高校生を演じていたのに
真菜美ったらわたしを興奮させるんだからぁ~」
由紀夫が破裂しそうなほどに大きくなったアレを
見せつけながら笑う。
「あぁぁ~もう、わたし、いや、俺!興奮が止まらねぇ!
真菜美ぃ~!
中身なんて関係ない!
めっちゃくちゃになろうぜ!」
本性を現した由紀夫が真菜美の方を
獣のような目つきで見る。
由紀夫の中に憑依している女は、男好きで
溢れ出る性欲を抑えきれずにいたー。
男になった今ー
”どっちでもイケる”ほどにー
「---あ、、、いや…」
真菜美が焦った様子で立ち上がる。
真菜美の中に憑依している男は、
困惑した。
こんなはずじゃなかった、と。
真菜美は、男を手玉にとって
”自分が上に立っている状態”が好きなのだ。
由紀夫の本性を知った今、
もう、由紀夫に用はない。
ドン!
「---!?」
部屋から出ようとした真菜美を
背後にいる由紀夫が壁ドンして威嚇した。
「--誘ったのは、真菜美だよな?」
野獣のような目つきで真菜美を見つめる由紀夫。
「--ひぇっ!?あ、、あの…」
主導権は、完全に逆転した。
今、この空間の主導権を握っているのは、
由紀夫に憑依している女だ。
「--憑依している人間同士、
仲良くしようぜ?な?」
「は、、はひっ…!?」
こんなはずじゃなかったー
そう思いながら
”彼氏の裏垢”を知ってしまった真菜美の、
苦難の日々が、この日、始まったのだったー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
真菜美だけじゃなくて、
由紀夫も憑依されていた~
というお話でした…!
今日のお話の最初の一文は、
真菜美の心の中ではなく、
由紀夫の心の中だったりします~笑
お読み下さりありがとうございました~!
コメント
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憑依されてるのは彼氏もだった――!?
憑依薬が飲みかけなのは伏線だったのですね…w
自分が絶対上位だと思っているキャラが逆転されてうろたえるのは面白みがありますね!今回も面白かったです!
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> 憑依されてるのは彼氏もだった――!?
> 憑依薬が飲みかけなのは伏線だったのですね…w
> 自分が絶対上位だと思っているキャラが逆転されてうろたえるのは面白みがありますね!今回も面白かったです!
ありがとうございます~!
2人とも…なんてきっと誰も想像しなかったかな~なんて笑
飲みかけは伏線だったのデス~笑
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あれ?今日は更新されないのでしょうか?
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> あれ?今日は更新されないのでしょうか?
ありがとうございます!
毎週火曜日は書く時間がないので、予約投稿してあります!
時間は15:00にセットしてあるので、
いつもより投稿時間が少し遅くなっています汗