彼女には、秘密があったー。
それはーー
彼女は、数年前に、男に憑依されているという秘密だー。
しかし、あることをきっかけに…
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高校2年生の
月川 真菜美(つきかわ まなみ)は、微笑みながら
煙草を口に加えていたー。
見えてしまいそうなほど短いミニスカート姿で
絶対領域を輝かせながら
彼女は妖艶に脚を組んだー。
「~~~ふふ」
煙草の煙を噴かせながら、
彼女はツイッターの画面を開きながら呟く。
”憑依された女子高生M”
そういう名前のアカウントだ。
プロフィール文には
”男に憑依されちゃいました~笑笑”と
書かれていて、
唇の写真をアイコンにしているー
彼女は、自撮した太ももの写真を
ツイッターにUPして微笑んだ。
フォロワー達が反応する。
「ふふふふ」
真菜美は笑いながら立ち上がった。
フォロワーたちは、
”本当に彼女が憑依されている”
なんて、夢にも思っていないだろう。
女子高生の、裏垢ー
もしかしたらおばさんかもしれないけれどー…
そんな風にしか、思っていないだろう。
しかしー
彼女は、本当に憑依されているー
3年前ー
まだ、彼女が中学に通っていたころー
彼女は、憑依されたー
真菜美は、不気味に微笑むー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
雨の日―
「---俺の人生…おわった」
男は、リストラされて、
何もかも失った。
会社の上司から、
「君には自主退職してもらうよ。いや、しろ。
これはパワハラじゃないよ
リスハラだ。へへへ」と言われて無理やり
退職させられた。
妻には、
「えぇぇ?リストラ?最悪!子供はどうするの?
あぁ、もういい、離婚しましょ!
養育費はたんまり貰うわよ!」
と言われて離婚された。
親友からは
「お前災難じゃ~ん!厄年ってやつ?えへへ~」と
笑われて、何故かそのあと、絶縁されたー
雨の中、男は路上に手をついた。
俺は、負け犬だー
そう思ったー
けれどー
その時、男は見つけてしまった。
道端に、怪しい液体の入った容器が
落ちているのをー。
それがー”憑依薬”だった。
誰が捨てたのかー
それは、分からない。
飲みかけに見えたー。
もしかしたら、誰かがこれを使って
残った分を捨てたのかもしれないー。
容器に、
<効能>他人の肉体を支配
<用法>適量をお飲みください
と書かれているのを見て、男は笑った。
「---明らかに、怪しい薬だな」
と。
けれどー
どうせ、自分は死んでいるようなものだ。
もし、他人の身体に憑依できるのならー
それにー
もしも毒物でも、もう、自分はこの世に未練は、ないー
男は、憑依薬を飲み干したー
たちまち、激しいめまいに襲われるー
男は思った。
”あぁ、やはり、毒か”
と。
遠のいていく意識ー
しかしー
男は死ななかった。
気付いたら、男は幽体離脱していたー
「--ほ、、本当に憑依できるのか?」
男は、戸惑いながらも呟く。
そこにー
歩いてきたのが、
月川 真菜美だったー
可愛らしい少女ー
男は、そのまま真菜美に憑依したー
真菜美の身体に入り込んだ男。
少女は、傘を落として苦しみ出す。
「あ…あぁあ…」
胸のあたりを押さえて苦しむ少女。
”俺はーー
俺はーーー
もうこんな人生から、おさらばしたい!”
男は叫んだ。
「あ、、、、な、、、なに…?」
真菜美が雨に濡れながら苦しそうに呟く。
頭の中に、謎の声が直接響いている
”こんな人生…もう…うんざりだ!”
男の言葉が響く。
「こ、、、こんな人生…う、、、う、、、うんざり…だ!」
男の言葉をそのまま口にする真菜美。
次第に真菜美の意識がおぼろげになっていく。
”その身体、俺によこせぇ”
男は無我夢中で叫んだ。
この子の、身体が欲しい。
「い…いや…わ、、、わたしは…わた…
か、、、か、、からだを…わたしに…よせ…せ」
雨でずぶ濡れになった真菜美は
苦しそうに身体をプルプルと震わせたー
そしてー
「あ…あ…お、、、俺…」
真菜美がずぶ濡れになったスカートを見つめながら呟く
「--あ、、、や…やった…」
濡れながら真菜美は笑みを浮かべた。
「やった~~~~~~~~~~~~!」
真菜美は大雨の中、大声で叫んで
嬉しそうに万歳したーー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それからは、真菜美として、生きてきた。
最初は、真菜美の記憶を読み取れず困惑したが
今は昔のことも少し思いだせるー
憑依して真菜美になった男は
女を堪能したー
表では”普通の少女”として過ごしながら
裏では”エッチな女”として過ごしているー
「--真菜美~!ごはんよ~!」
下から母の声が聞こえる。
「は~~~い!」
真菜美は大きな声で返事をすると、
”憑依された女子高生M”のアカウントから
ログアウトして、煙草を隠し、そのまま下へと向かった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「真菜美~!おはよう!」
真菜美の背後から声をかけたのは
真菜美の彼氏で
クラスメイトの寺崎 由紀夫(てらさき ゆきお)だった。
「--あ、由紀夫くん!おはよ~!」
真菜美は笑顔で由紀夫に挨拶を返す。
真菜美は学校では明るく、成績も良い優等生として
通っている。
真菜美に憑依した男は、
まさに”女子高生ライフ”を満喫していたのだった。
「--由紀夫くん、口元に米粒ついてる」
「えぇ!?」
由紀夫が驚いて声をあげる。
由紀夫はイケメンなのだが
かなりドジな性格だ。
告白された真菜美はどうしようか
考えたが”高校生カップル”というものも
経験してみたいと考えて
由紀夫の告白を受け入れた。
要らなくなったら適当に理由をつけて振ればいい。
「---あ、、ありがと」
米粒を真菜美がとってあげると、
由紀夫は顔を真っ赤にして、お礼を口にした。
幸せな日々ー
由紀夫にとっては最高の日々だった。
半年前、
由紀夫は、真菜美のことが好きで好きで
たまらなくなって”告白”した。
友人たちには”真菜美ちゃんは無理だろ~”
だとか”高望みしすぎ~”だとか笑われたが
由紀夫は、告白した。
結果ー
OKを貰えたのだった。
「--こんなに可愛い子と付き合えるなんて」
由紀夫は当時、そう思った。
けれどー
彼は、知らない。
月川真菜美は、
月川真菜美であって月川真菜美ではない。
中身はー40代のおっさんなのだからー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
帰宅した由紀夫は、
ニヤニヤしながら、スマホをいじっていた。
由紀夫は、年頃の男子だ。
つまり、エロいのだ。
エッチなサイトを見てニヤニヤする由紀夫。
そして、自分のツイッターアカウントを開く。
”ゆっきー”
という名前のアカウント。
真菜美の表垢である”まなみ@スイーツ大好き”を
見つめながらニヤニヤする由紀夫。
”ゆっきー”と
”まなみ@スイーツ大好き”は、相互フォローだ。
しかし、由紀夫は知らない
彼女の裏垢ー
”憑依された女子高生M”をー。
由紀夫は、なんとなく
ツイッターでエッチな写真を眺めていた。
「--しかし…自分のエッチな写真を
ツイッターに載せるってすごいよな~」
由紀夫はそう呟きながら、
裏垢を持つ女子たちのツイートを眺めている。
胸をイヤらしく見せつけていたり、
太ももを見せつけていたり
タイツに包まれた脚をツイートしていたり、
世の中には色々な人がいる
「ンんほほほっ!」
由紀夫はニヤニヤしながら
興奮していた。
彼女がこんなことしてたら絶対止めるけどな~!
などと思いながら、
自分には関係のない”赤の他人”のエッチな写真を見ながら
由紀夫は興奮していた。
自分に関係のない人が、どうなろうと関係ないからこそ、
由紀夫は興奮できたのだった。
「うはぁ~!すっげぇ~!」
網タイツ姿の美脚の写真を自撮りしている
ツイートを見て、由紀夫は興奮して
足をじたばたさせた。
由紀夫が見ている網タイツ姿の写真を
ツイートしたアカウントの名前は
”憑依された女子高生M”-
”憑依されたわたしはこんなエッチな格好もしちゃいます~”と
ツイートされていたー。
由紀夫は、知らないー。
憑依された女子高生Mが、
彼女の真菜美であることをー。
しかも、その真菜美は、
本当に憑依されていることをー
由紀夫は、知らない。
彼女の裏垢をー
そしてー
本当の真菜美をー。
・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日。
「ーーねぇねぇ、土曜日だけど、
待ち合わせはどこにする?」
真菜美が嬉しそうに言う。
「--あ、え、、う~ん、
真菜美の好きでいいよ」
由紀夫が言うと、
真菜美は「じゃあ~」と言いながら
土曜日のデートの待ち合わせ場所を指定する
「--分かった!土曜日が楽しみだぜ~!」
由紀夫はそう言いながら嬉しそうに走り去っていく。
「---ふふ」
そんな由紀夫の後姿を見ながら、真菜美は微笑んだ。
「--高校生の”恋愛ごっこ”楽しい~」
真菜美はにやりと笑みを浮かべた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
その日の夜ー
由紀夫は、いつものように
ツイッターを眺めていた。
”まなみ@スイーツ大好き”のアカウントの
ツイートがタイムラインに表示される。
彼女の真菜美も、よくツイッターをやっているから
真菜美のツイートが流れることは珍しくない。
しかしー
「---!?」
由紀夫は目を疑った。
まなみ@スイーツ大好きのアカウントが
”この身体、気持ちイイ…”という呟きと共に、
黒タイツに包まれた太ももを撫でまわす10秒の
動画がアップされていたー。
はぁ♡ はぁ♡という声も入っている。
「--ま、真菜美?」
由紀夫は驚いて、
タイムラインから
まなみ@スイーツ大好きのアカウントに移動するー
しかしー
もう、そのツイートは無くなっていた。
「---ん…?今のは?」
由紀夫は”見間違いか?”と首をかしげる。
タイムラインに表示されていたツイートは
ツイ消しされたのか、もう見ることができない。
だが、今、確かに真菜美のアカウントが、
太ももを撫でまわす動画をアップしていた気がするー
「--…ま、、真菜美…」
由紀夫はーー
興奮していたーーー。
彼女の真菜美にそんな一面が?
と考えると、ゾクゾクせずにはいられなかった。
由紀夫は、すぐに検索をかけた。
”この身体、気持ちイイ”
とー
すると、30秒前にツイートされた
ツイートが引っかかった。
”憑依された女子高生M”というアカウントが、
さっきと同じ動画をアップしていたのだ。
「えむ…M…?
まなみ…?」
由紀夫は、そう呟いて、
”これって、もしかして真菜美の裏垢?”と
考えて、興奮するのだったー
・・・・・・・・・・・・・・・・
「いっけねぇ~!」
黒タイツを指でなぞりながら真菜美は呟いた。
ツイートするアカウントをうっかり
間違えてしまったのだ。
今まで、そんなことはなかったが、
慣れたことでもうっかりしてしまうのが人間だ。
真菜美は、太もものあたりを指でいやらしく
触りながら微笑む。
「ま、いっか♡」
とー。
彼女は、まだ知らないー
由紀夫に、自分の裏垢の存在を悟られたことをー。
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
ツイートするアカウントを間違えちゃう…!
皆様も気を付けましょうネ!笑
コメント
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
彼氏に裏垢を知られちゃった……といっても、
中の人は別に別れても困らないだろうし、次回はどう展開してくるやら?
気になりますねぇ~
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
> 彼氏に裏垢を知られちゃった……といっても、
> 中の人は別に別れても困らないだろうし、次回はどう展開してくるやら?
> 気になりますねぇ~
ありがとうございます~!
次回は…お楽しみデス~笑