とある場所に魔法少女の見習いがいた。
魔法が使えずに困惑する彼女。
そんな彼女に、魔の手が迫る…
※リクエスト作品デス!
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「えいっ!えいっ!」
悪の組織・デビルマークの引越センターと戦う
魔法少女たちがいた。
”デビルマークの引越センター”。
従業員を酷使するだけではなく、
土地売買のために、邪魔になった住民たちを
強制的に異世界へと引っ越しさせてしまう
悪の組織だ。
警察の取り締まりをももろともせず、
デビルマークの引越センターは、今日も
悪事を働いている。
魔法少女見習いの
レイナは、今日も、魔法の修行を続けていた。
「--えいっ!えいっ!」
しかしー
彼女は、魔法が大の苦手だ。
明るく、元気いっぱいなのは良いのだが、
これでは”デビルマークの引っ越しセンター”と戦うことはできない。
「--レイナは、ぜ~んぜん、魔法が上手にならないねぇ~」
魔法少女の一人・ユキが笑いながら言う。
「まぁまぁ、わたしたちだって、魔法使えるようになるまでには
時間がかかったでしょ?」
魔法少女のリーダー・ララが優しく笑う。
「ま、今のままじゃ足手まといなのは確かだな」
男勝りの魔法少女・サクラが笑う。
「--わ、わたしだってがんばるもん!」
見習い魔女のレイナが悔しそうに叫んだ。
魔法少女ー
魔法を使うことができる少女たちで、
デビルマークの引越センターと戦うことのできる
唯一の希望ー
ララ・ユキ・サクラの3人は、
日夜、悪魔との戦いを続けていたー
そんな3人を目指して
”魔法使いの資質”を見出された見習い魔女の
レイナは日夜修行を続けていた。
しかしー
「はぁ…わたし、だめなのかな~」
レイナは夜の公園で独り、寂しそうに呟いた。
このままじゃ、ララたち3人の役に立つことはできない。
魔法使いとしての資質を見いだされたのに、
自分は思うように成果を上げることができていない。
このままでは、ララたちと一緒に戦うどころか、
ララたちのお荷物になってしまうー
「わたし…どうすればいいの」
「---こんばんは」
!?
背後から、謎の男が姿を現した。
黒スーツの男は、笑みを浮かべて言う。
「おっとっと、深夜に真っ黒な姿…
びっくりしちゃうのも無理はない。
でもな、俺は決して怪しい人間じゃない」
その言葉に、レイナは困惑する。
「--きみのその魔法…
きみが魔法をちゃんと使えるようになるための
手助けをしにきたんだ」
男が言う。
「え…ほんとうに?」
レイナが少しだけ警戒心を解く。
男は、そんなレイナの感情の変化を見逃さなかった。
「そう。今のままじゃ、君はララちゃんたちの
足手まといだ。自分でも分かっていると思うが、
君のその力では、デビルマークの引越センターには
通用しない」
「うん…」
レイナは落ち込んだ様子で言う。
「俺も…デビルマークの引越センターに
友達が引っ越しさせられてね…。
なんとか、やつらに一泡吹かせたいんだ…」
その言葉に、レイナはまだ迷っている様子だった。
「で…でも…?」
確かに、力は欲しい。
けれども、よく分からない男を信用しても良いものだろうか。
レイナは、そう思ったのだった。
そんなレイナの様子を見て、男は告げた。
「--今のままじゃ、君は”お荷物だ”
ララちゃんたちの。
いいのかい?ララちゃんたちにとって、
君は、迷惑な存在以外の何物でもー」
「--ください」
レイナは押し殺していた感情を表に吐き出した。
「わたしに力を、下さいー」
にやりと男が笑う。
「あぁ…いいとも!」
男が、ガスのような姿に変形して、
そのまま、レイナの身体の方に突撃した。
「---ああああああっ!?
あ…ああ…」
驚くレイナ。
しかしー
次の瞬間にはー
男の姿は消えていた。
ボウッ…!
レイナの手から強力な光が放たれる。
「え…こ、これが、わたしの力?」
レイナは自分の力に驚く。
これだけの力があれば、
デビルマークの引越センターと戦うこともできる。
「や、、やった!
ありがと!!
ありがとう!!!」
レイナは、もう姿の見えない男にお礼を言う。
ゴオオオオオオオ!
炎の魔法ー
今までとは見違えるほどに力が増している。
「---やった!やった!
これでわたしは…
わたしは先輩たちの役に立てる」
レイナの目が、正気を失っていく
「やった!!!先輩たちの役に…
ううん、先輩たちなんていなくても…
そうよ…わたしの力で、
デビルマークの引っ越しセンターを倒すことができる!
あは…うふふ、はははははは♡」
レイナは笑う。
自分が”男”に憑依されたことも知らずにー
”ククク…君には素質がある。
だが、君はそれを引き出すことができていなかった。
なぜなら、君はまだ未熟だったからだ。
だがー、これからは…”
「あはははははは~!
あはははははははは~!
これでこの女は思いのままだ~!」
レイナは大声で笑うのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日。
デビルマークの引越センターが現れた。
新卒の社会人をターゲットに
強引な引っ越しを行い、異世界に新卒社会人を
送り込んでいる。
それを知ったララたち3人と、レイナが現場に駆け付けた。
「---おやぁ?」
デビルマークの引越センターの社員が振り向く。
「--邪魔しないでくれますかねぇ。
これからこの女を、異世界に引っ越しさせるのですから」
そういう男の隣には、
うつろな目をした女子大生の姿。
デビルマークの引越センターに洗脳されている。
引越センターは
ターゲットを洗脳、異世界に通じる次元の裂け目へと
飛びこませてその人間をこの世から葬ってしまうー。
そして、空き地になった土地を売買することで
利権を得ているのだ。
「その人から離れなさい」
ララ、ユキ、サクラの3人が、戦闘態勢を取る。
「--おやおや」
デビルマークの引越センターの男も臨戦態勢に入る。
しかしー
「--みんな!わたしに任せて!」
見習いのはずのレイナが前に出る。
「ちょ?レイナは引っ込んでろ!危ないから!」
勝気なサクラが言う。
「そうよ~わたしたちがやるから」
ユキが言う。
「--レイナ!あなたはまだ…」
ララがそこまで言いかけて言葉を止める
レイナから、邪悪なオーラが立ち上っていたのだ。
「--レ、、レイナ…あなた…」
ララが唖然として言う。
「あはははは!わたしの力見て下さい!先輩!」
レイナは、
ララ・ユキ・サクラの方を見て嬉しそうに笑う。
レイナは手から闇の瘴気を出しながら
にこにこと笑っている。
「お、、おい!その力は」
サクラが何かに気付く。
レイナが放出している闇はー
デビルマークの引越センターの幹部が使っている…
「--いいから見てなさい」
レイナは強い口調で言った。
「おや、確か君は見習いの…」
対峙していた、引越センターの男がそう言いかけると、
レイナは「消えろ雑魚!」と大声で叫んで、
デビルマーク引越センターの男を攻撃した。
「なっ!うぎあいいああああ!」
引越センターの男は、一瞬にして灰になった。
「くくくくくく…」
レイナは
ララたち3人に背を向けたまま一人で笑っている。
「ははははははははははぁ!
どうですか~!先輩!
この力~!」
レイナが振り向いて笑う。
ララたちは、そんなレイナの目を見て驚く。
レイナの目から闇の瘴気が溢れだしていた。
「レ…レイナ…?」
ララがレイナを呼びかける。
「わたし…頑張ったんだもん!
ほめて…ねぇ、ほめて…
ぐふ…わたし…わだしぃぃぃぃぃ!」
レイナから闇の瘴気が噴きだす。
「きゃっ!?」
ユキは驚いて身構える。
「ついに…ついに…くふふふふ!
魔法少女の身体を…!手に入れたぞ…!」
レイナが両手を広げながら笑う。
「あ…あなたは!?」
魔法少女たちのリーダー、ララが叫ぶ。
「--わたし…は…レイナ…
レイ…え、、、え、、
くくく…俺はデビルマーク引越センターの大幹部だ!
ぐはははははは!
この身体は俺が貰ったぁ!」
レイナが狂った笑みを浮かべる。
可愛らしい顔に謎の文様を浮かべたレイナは、
闇の魔法で、ララたちを攻撃した。
「きゃあっ!?」
ララたちが攻撃を受けて、吹き飛ばされる。
「くっ…くそっ!レイナ!弱みに付け込まれたのか!?」
サクラがそう言い、魔法で反撃しようとする。
しかし、次の瞬間、レイナは消えた。
「---!?」
サクラは驚いて周囲を見渡す。
そしてーー
サクラに鈍い衝撃が走るー
サクラの背後に、レイナは瞬間移動していた。
「サクラ!」
魔法少女の一人、ユキが叫ぶ。
「えへへ…せんぱ~い!
わたし、すっごく強くなったんですよ~!ほめてほめて~!」
レイナの人格が表に出てくる。
しかし、レイナはもう、自分が何をしているのか理解できていない。
「レ…レイナぁ!」
サクラが苦しそうに声をあげる。
「--わたしをほめて~!ねぇほめて!せんぱい!せんぱい~!
ねぇ、ほめて!えへへへへへ!ぐへへへへへ!
死ね!死ねぇぇええええええ!」
レイナが大笑いしながらトドメの攻撃を放つー。
サクラは断末魔をあげて、粉々に砕け散った。
「--う…うわあああああ!」
残っていた魔法少女の一人、ユキが叫ぶ。
しかし、ユキの攻撃は回避される。
レイナは目を漆黒に光らせると大笑いしながら
闇の魔法でユキを攻撃した。
「きゃあああああ~…」
ユキがその場に倒れて動かなくなる。
「さぁ、あとはお前一人だ」
完全に支配されたレイナが笑う。
「--レ…レイナ!目を覚まして!」
ララが言う。
しかし、レイナの目は完全に正気を失っている。
「この娘は力を欲していたー
そこに付け込み、支配するのはたやすかった!
くふふ…可愛いこの身体と、この魔力…
これさえあれば、何だってできる!
あははははははっ!」
レイナが両手を広げながら大笑いするー
「---そ、、そうはさせないわ!」
ララが魔法を放つ。
「おっと!?」
レイナはふわりと空中に浮き、
それを回避した。
しかしー
「言ったでしょ?油断しちゃダメだって!」
見習い魔女のレイナはよく”油断”する癖もあった。
ララは、ことあるごとに、レイナに”油断しちゃダメ”と
口癖のように注意していた。
「---わたしの魔法は、2段攻撃よ!」
「--!?」
避けたと思ったララの魔法が、
背後からブーメランのように戻ってきて、
レイナに直撃した。
「ぎゃあああっ!」
レイナが吹き飛ばされる。
「あ…ぅぅ」
苦しそうに膝をつくレイナ。
「---…終わりよ」
ララが、レイナに向かって魔法を放とうとする。
「---いいのか…?この娘は死ぬぞ」
レイナが言う。
ララの手が止まる。
分かっている。
けれどー
やるしかない。
妹のようにレイナのことを可愛がってきた。
けれどー
魔に魅入られた彼女は、
もう、助からない。
「--それでも、わたしはー」
ララが魔法を放とうとするー
しかしー
「い…いたいよ…」
レイナが目に涙を浮かべて言う。
「レ…レイナ…!」
ララが魔法の手を止めてしまったー
グサッ…!
「--ば~か!」
一瞬の隙を突いたレイナが笑いながら立ち上がる。
「--ふふふ!ばっかじゃないの?
せんぱ~い!わたしの身体と心は
もう、乗っ取られちゃったんですよ~!?
あはは、あははははははははっ!」
レイナが、魔法で作り出したブレード状の何かを
ララに何度も何度も突き刺す。
ぼろぼろになって倒れるララ。
「レ…レイナ…」
レイナは、ララを見下して唾を吐き捨てた。
そしてー
「おやすみー先輩」
そう言うと、レイナはララにトドメを刺した。
「うふふふ…」
レイナの側には
先輩の魔法少女であえる
ララ、ユキ、サクラの亡骸が横たわっている。
「ふふふふふ…はははははははははは!
わたしは強くなった!
あははは、あははははははははは~!」
レイナが狂ったように笑いながら、3人の亡骸を踏みつけていく。
「--人間なんて守るに値しない!
わたしには力があるの!
くくく…わたしは暗黒の魔法少女レイナよ!
くくくくく…は~~~はははははははは!」
レイナは大笑いしながら、
その場から立ち去って行くー
先輩の為に役立つことを夢見た少女は、もういない。
悪の意識に憑依されて、暗黒の魔法少女としてー
人類たちの脅かすことになるのだったー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
リクエストを元にした作品でした!
リクエスト原文は、
”もし魔法少女は好きですか。嫌いじゃないのならこれをネタとした小説が読みたいのです!
憑依でも入れ替わりでも構いませんので悪の組織の男幹部に体を
奪われて仲間同士で戦ったり正義の力(?)で
町の住民を襲ったりする様なネタですが気に入ったらどうかお使いください。”
というものでした!
頂いてから半年以上、どうしようか悩んだままになってましたが
ようやくなんとか形にできました!
お読み下さりありがとうございました!
そして、お待たせいたしました☆
コメント
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わぁ~
単純に乗っ取って記憶を読み取ったのではなく、人格が残ってるのがエグみがありますね。
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> わぁ~
> 単純に乗っ取って記憶を読み取ったのではなく、人格が残ってるのがエグみがありますね。
ぺちぺち~!
…じゃなくて、コメントありがとうございます~!
本人の人格も残った状態での支配デス―!
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ご無沙汰です
やはり魔法少女は最高ですな
皮肉な事に自分も少し落ち込んでた気分が晴れたので憑依…じゃなくて、頑張ります
余談ですが、今のプリキュアはノットレイダーなる敵が暴れてるようなので、いつか憑依されちゃうのか?、と思いながら見てます笑
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> ご無沙汰です
> やはり魔法少女は最高ですな
> 皮肉な事に自分も少し落ち込んでた気分が晴れたので憑依…じゃなくて、頑張ります
>
> 余談ですが、今のプリキュアはノットレイダーなる敵が暴れてるようなので、いつか憑依されちゃうのか?、と思いながら見てます笑
コメントありがとうございます~!
気分が張れてよかったデス!
憑依シーンがありそうな作品見てるときって
ワクワクしますネ!
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本人の振りをして油断させる外道っぷり!
最高ですねぇ♪