夜の学校からの脱出を目指すいじめっ子女子3人。
しかしー
里菜の憎悪と怨念が行く手を阻む…。
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1か月前ー。
「---ごめんなさい…もう、、許してーーー」
里菜が涙を流しながら土下座する。
”謝れば許してやるよ”と
4人のいじめっ子に言われた里菜は
土下座をしていた。
必死に謝る里菜。
しかし、そんな里菜の手を、
篤美は踏みにじった。
「---謝って済むなら警察はいらない。」
とー。
4人のいじめは、日に日に苛烈さを増して行ったー
そしてー
それが、”憎悪”を膨らませていることに、
この時の4人は、気づいていなかったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
不気味なチャイムが鳴り響く夜の高校ー
里菜は笑いながら、
廊下を走る3人を見ていた。
「--いじめでどれだけ苦しい思いをしたか…
思い知らせてあげる…」
里菜がクスクスと笑う。
いつもの気弱な雰囲気の里菜ではないー
狂気と憎悪に支配された里奈は、
まるで別人かのような雰囲気を醸し出していた。
図書室に向かう3人を見つめながら
里菜は、目を赤く光らせたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「くそっ!何なのよこれ!」
ショートへアーの真紀が叫ぶ。
廊下にも、教室にも、そこら中に
赤い文字で”怨”と書かれている。
「こ、、これ全部、あの子が一人で?」
ツインテールの菜々美がおびえた様子で言う。
篤美が可愛らしい腕時計を見る。
20時50分ー。
放課後、部活などで残っている生徒もいるはずだから、
18時ーいや、先生もいるはずだから19時?
学校に人が居なくなるまでには時間がかかる。
そもそも、警備員も居たはずだ。
なのにー
こんな学校中に”怨”と文字を刻んだり、
自分たちを拉致したり、
そんなこと、誰にもばれずに出来るのだろうか。
「---」
篤美は得体の知れない恐怖を感じながら、
図書室に走っていた。
図書室があるのは、C棟の4階。
2年の教室があるのはA棟だから、
連絡廊下を渡る必要があるー
しかしー
「--な…なにこれ…?」
ツインテールの菜々美が足を止めた。
目の前にはー
黒い渦のようなものが一面に広がり、
道をふさいでいた。
「--こ…これは…」
篤美も驚きを隠せない。
まるで、ブラックホールのようなものが連絡通路中に広がり、
先へ進むことを拒んでいた。
”ふふふ…どうしたのかしら?
わたしをいつまで待たせるつもり?”
里菜の声が校内放送で響き渡る。
「---…下の階から迂回するしかないね」
ショートへアーの真紀が言う。
図書室は4階。
4階の連絡通路がダメなら、
一回、3階に下りて、連絡通路を渡り、
C棟まで行ったら、4階に上がればいい。
「そうね」
篤美もそれに応じて引き返そうとしたときだった。
「---きゃああっ!?」
背後で声がした。
篤美と真紀が振り返ると―
黒い渦から出現した不気味な黒い手が、
ツインテールの菜々美を引きずって行くのが見えた。
「菜々美!?」
篤美が叫ぶ。
しかしー
菜々美の姿はもう消えていた。
ボコッ…!
「--!?」
しばらくすると、黒い渦が膨張してーー
中から菜々美が出てきた。
「----な、、菜々美…?」
真紀が、距離を取りながら菜々美を呼びかけると、
菜々美が顔をあげた。
その目は赤く光りー
表情は歪んでいたー
「---くふふふふふふ…
うっざいぶりっ子…」
菜々美が自分のことをそう言いながら、
クスクスと笑い続ける。
「--だ、、大丈夫…?」
篤美が菜々美にそう言いかけて、
あることに気付いた。
菜々美の手に、刃物が握られていることにー
”--菜々美ちゃんには、
私の怨念を憑依させたわー。
もう、菜々美ちゃんは、ただの操り人形。
くふふ…図書室に簡単に辿り着けたら
つまらないでしょ~?
菜々美ちゃん、いいえ、殺人人形から
逃げられるかしら~?
くくく、あはははははははは!”
里菜の声が響き渡る。
それと同時に菜々美が、大笑いしながら真紀と篤美の方に
向かって走り出した。
「---ちょ…!逃げるわよ!」
篤美が叫ぶ。
篤美と真紀は走り出した。
菜々美はツインテールを振り乱しながら、
2人を追いかける。
「--あ、、篤美…なんか、おかしくない?」
走りながら真紀が言う。
「---何が?」
篤美がいらだった様子で言う。
「-ーーこれってさ…
どう考えても、人間のできることじゃないよね?」
真紀が言う。
謎の黒い霧ー
最初に居た教室の開かない扉ー割れない窓。
憑依されて頭を打ちつけて死んだ薫。
渡り廊下をふさいでいた謎の渦。
そして、渦に取り込まれて豹変した菜々美。
「・・・・・・・」
篤美は走りながらも、答えない。
「わたし、思うんだよね」
3階に下りて、連絡通路に辿り着いた真紀は言う。
「--里菜…もう、死んでるんじゃないかって…
あの子を、自殺に追い込んだ私たちへのー
呪いなんじゃないかって」
真紀の言葉に、
篤美は走りながら返事をした。
「だとしてもー
今は、逃げるしかないでしょ?」
篤美の言葉に真紀は「まぁね」とうなずいた。
「--チッ!」
篤美が舌打ちをする。
3階の連絡通路も黒い渦で塞がれていたー。
「--篤美!近づいちゃダメよ!」
真紀が叫ぶ。
篤美は「分かってるわよ!」と答えるー。
4階の連絡通路で、菜々美は、黒い渦に取り込まれた。
近づきすぎたためだー。
だから、二人とも渦に近づかず、すぐに引き返す。
2階の連絡通路なら通れるのか?
それとも、回り道した方がいいのか?
篤美と真紀は、判断を迫られた。
「--ひひひひひひひひひひ~!」
!!
包丁を持った菜々美が笑いながら近づいてきた。
「--な…菜々美!目を覚ましなさい!」
篤美が叫ぶ。
しかし、
菜々美は目を真っ赤に光らせて笑っているだけだった。
「クソッ!」
真紀が菜々美に突進して、菜々美を抑え込んだ。
「--篤美!先に行って、
図書室に向かうことのできる道を見つけておいて!」
真紀が菜々美を仰向けに倒して、その上に多い被ると、
篤美に向かってそう叫んだ。
「--わ、わかった!」
篤美が走るー
2階の連絡通路もダメだったー。
そして、1階に下りる階段は、使えなかったー
赤い渦が道をふさいでいたからだー。
「--くそっ!なら回り道しかないわね!」
連絡通路を使わず、遠回りすれば、C棟に行くことができる。
篤美は、迂回してC棟をめざすー。
その途中ー
「---!?」
音楽室から、ピアノの音が聞こえてきたのだ。
「-…だ…誰かいる?」
篤美は、里菜が居るの?と一瞬思ったが、
里菜は図書室にいると言っていたー
嘘をついていない限り、里菜はここには居ない。
では、ピアノを弾いているのはー?
ふと、音楽の先生である、凜子先生の顔が浮かぶー。
凜子先生はよく、遅くまで学校に残っていることが多かった。
吹奏楽部の指導や、その後片付けなどでー。
もしかしたら、まだ凜子先生が学校にいるのかもしれないー
そう、ほんの少しだけ希望を抱いて、
篤美は音楽室の扉を開いたー
♪~~
♪~~~
♪~~~~
やさしいクラシック音楽のメロディを奏でる音楽室ー。
そこにはーーー
いなかったー。
少なくとも、正気を保った人間はー
「----えへへへへへ えへへへへへへへ~」
血まみれの凜子先生が、
白目でピアノを弾いているー
まだ20代後半で、可愛らしい風貌だった
凜子先生の容姿は、無残にも変わり果てて、
まるでゾンビのようだった。
「きゃああああああ!」
篤美は叫んで、音楽室から飛び出すー
”ふふふ…
凜子先生はねぇ、
わたしがいじめの相談をしたのに、
相手にしてくれなかったの。
だ~か~ら、
復讐したの!ふふふ”
里菜の声が響き渡る。
”狂ってる”
篤美はそう思った。
そして、再び走り出す。
とにかく、里菜の元に行くしかない。
そのまま逃げようとも思ったが、1階に下りる階段には、どこも
赤い渦が存在していて、降りることができない。
そう、
今、この校舎は里菜とその怨念に支配されているー
里菜のところに行くしかないのだー
「---ここからなら行ける!」
篤美は少しだけ笑みを浮かべる。
回り道ルートには黒い渦の壁はなかった。
これなら、図書室に行けるー。
「----!!」
前から人の気配がした。
篤美は警戒して立ち止まる。
「---はぁ…」
前から歩いてきたのはー
いつも夜間警備をしている警備員のおじさんだった。
「--あ!」
篤美は思うー
やっぱりまだ校内に人がいたんだ!と。
今は夜の9時。
まだ無人になっていない可能性は充分にあった。
「あ…あの…!助けて下さい!」
篤美が叫ぶ。
しかしー
警備員のおじさんは無反応だった。
懐中電灯を持ちながら、あくびをして、
眠たそうに廊下を歩いている。
そう言えば…”怨”と言う文字がそこら中に
刻まれているのに、おじさんはまったく気にする
素振りさえ見せない。
「お…おじさん!?」
篤美の呼びかけにも応じない。
そしてー
おじさんに手を触れようとしたが、
謎の黒い霧が出現して、はじかれてしまった。
篤美を無視して、歩いていく警備員。
そのまま階段を下りて、1階へと向かう。
1階へと向かう道には、
ツインテールの菜々美が取り込まれた黒い渦。
「お…!おじさん!そこはあぶな…」
ーー!?
警備員のおじさんは何事もなかったかのように
黒い渦をすり抜けた。
「---!?ど、、どういうこと…?」
篤美は焦りを感じる。
まるで
”自分がここに存在しないかのような”
そんな、反応だったー
「---ひっ!?」
篤美が、廊下の窓からふと空を見上げると、
空が真っ赤に染まっていた。
「---な、、、何がおきてるの…?」
バン!
さっき出てきた音楽室から不気味な音が聞こえた。
「--!?こ、今度は何?」
篤美が振り返ると、そこには、
音楽の凜子先生が笑いながら立っていた。
「-ーーーーー」
凜子先生が自分の両方の胸を触って、にやりと笑みを浮かべる。
そして、クスクスと笑いながら
猛スピードで、篤美の方に走ってきた。
「ひっ…!?」
篤美は恐怖を感じて逃げ出した。
何もかもがおかしいー
早く図書室にいる里菜と会って。
里菜から目的と、何がおきてるのかを聞きださないと…。
篤美は走る。
迂回ルートにも黒い渦があった。
まるで、迷路のように、黒い渦で道が塞がれている。
しかし、篤美は、校内の構造を必死に思いだしながら、
図書室をめざす。
「--ひひひひひひひひひひひひひ!」
背後からは音楽の先生が追ってきている。
捕まったら何をされるか分からない。
階段を上るー。
図書室は4階ー。
2階から3階へー
3階からー
「---きゃあああああああああああ!」
篤美は叫んだ。
目の前にチェーンソーのようなものを持った
いじめ仲間の菜々美がいたー
「--うひゃひゃひゃひゃひゃひゃ~!」
舌をペロペロしながら笑う菜々美。
ツインテールだった菜々美の髪は
ボロボロになり、制服も少し破けているー
「--篤美!先に行って、
図書室に向かうことのできる道を見つけておいて!」
おかしくなった菜々美を食い止めてくれた
友人・ショートヘアーの真紀のことを思い出す。
真紀がここに居ないでー
菜々美がここに居るということはー
「----邪魔…しないで!」
階段の上にはチェーンソーを持った菜々美ー
背後からは音楽の先生・凜子。
「---こんなところで死にたくないの!」
篤美は叫んで、菜々美に突進した。
火事場の馬鹿力…
この瞬間、それが発揮されたのかもしれない。
菜々美を投げ飛ばし、階段の下に放り投げる。
菜々美はケラケラ笑いながら階段から転落して、
階段を後から登ってきていた凜子先生に激突した。
そしてー
「うひゃああああああああああ~~♡」
菜々美がそのまま、凜子先生を切り刻んでいく。
菜々美だけではなく、
凜子先生も笑っている。
「---ーーーみんな狂ってる!」
篤美は、明らかに狂っている2人から目を逸らして、
そのまま図書室に走るー
ガン!
ついに、ついに、図書室に辿り着いた。
「---ようこそー」
いじめられっ子の里菜が、机の上に座って
足を組みながら本を読んでいたー。
本を閉じると、そのまま本を放り投げて、
里菜は不気味に微笑む
「あ…あんた…!どういうつもり!」
篤美が叫ぶ。
すると、里菜の目が真っ赤に光り、
図書室中に”怨”という文字が現れるー
「---お前たちを、許さないー」
里菜は、目を光らせながら
憎しみを込めて、そう呟いたー。
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
狂気の真相は…?
明日をお楽しみに~
コメント
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警備員に見えてないなど、何かありげな描写が…?
果たしてこれは現実なのか……。結末が楽しみです♪
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> 警備員に見えてないなど、何かありげな描写が…?
> 果たしてこれは現実なのか……。結末が楽しみです♪
ふふふ…
明日、全てが明らかになるのデス!