陰険女子4人組が、一人の女子生徒をいじめていたー。
しかしー
彼女たちは知らなかった。
執拗ないじめが、恐怖の扉を開いてしまったことに…。
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昼休み。
空き教室に呼び出された
花本 里菜(はなもと りな)は、4人の女子生徒に
囲まれていた。
「--あんたさ~!
自分がウザいってことに気付いてないの?」
4人のリーダー格である、
お嬢様育ちの篤美(あつみ)が腕を組みながら言う。
4時間目の授業中に、先生に里菜がほめられたことが
気に入らなかったのだ。
里菜は成績優秀で、人柄も良いが、
大人しい性格の持ち主。
先生や男子からちやほやされることが気に入らず、
篤美たち陰険な女子グループが、
徹底的ないじめをするようになっていた。
星宮 篤美(ほしみや あつみ)
4人のリーダー格で陰険な女子生徒。
気に入らないものは徹底的に叩き潰し、
欲しいものは何でも手に入れる傲慢な性格ー。
「---おら!」
ショートへアーの女子生徒、
水谷 真紀(みずたに まき)が、里菜の髪を引っ張る。
さばさばした性格で、篤美の親友。
一緒になって里菜をいじめている。
「やめなよ~!」
ギャル女子生徒・魚川 薫(うおかわ かおる)。
篤美の取り巻き的存在で、
いつも、金魚のフンのように付き纏っている。
「あっははは~!ばっかみたい~!」
ツインテールの幼い風貌の少女・滝道 菜々美(たきみち ななみ)。
子供のようにはしゃいでいる。
この4人に徹底的ないじめを受けた里菜は、
次第に学校で孤立していった。
先生たちは、見て見ぬふりー
生徒たちも、見て見ぬふりー
いじめのリーダーである、篤美が、
とある企業のトップの娘であることから、
先生たちは見て見ぬふりをし、
生徒たちは”面倒ごとに関わりたくない”と
見て見ぬふりをしているのだったー
「---あんたなんか、死ねばいいのに!」
篤美が笑う。
「あはははは!ほんと~にその通りね~!」
ギャル風の薫も笑う。
「死ね!死ね!死ね!」
4人が笑いながら死ねコールを里菜に送る。
里菜は泣きながら
「ごめんなさい…」と謝るだけだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
その日のいじめは終わったー
クラスでも孤立した里菜は、
もう、どうすることもできなかった。
毎日毎日いじめが続き、
里菜は心身ともに苦しんでいたー
放課後ー
里菜は、誰も居ない校舎で、
一人ブツブツ呟いていた。
「わたしなんて…
いない方がいいのかな…」
目から涙をこぼす里菜ー。
そして、里菜は”あること”を決意する。
教室で、机といすを不自然な形に
移動させた里菜ー
”少しは楽になれるかなー”
里菜はそんな風に考えることしか
できないほど、追いつめられていたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌朝ー
「おはよ~!」
篤美たちが、笑いながら登校したー。
里菜はいつものように、暗い様子で教室の
隅っこの机に座っている。
「今日もじめじめしてるね~!」
ツインテール少女の菜々美が笑う。
「---…」
里菜はうつろな目で菜々美の方を見て、
それからすぐに目を逸らした。
「何よあの態度…!」
篤美が不機嫌そうに吐き捨てたが
里菜は反応しなかったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
放課後ー
4人は、空き教室に呼び出されていたー。
里菜にー。
「--あいつからの呼び出しってどういうこと?」
ショートへアーの真紀が、不機嫌そうに言うと、
「さぁね?先生に言いつける、とか
そんな話じゃない?」
篤美が笑いながら言う。
”何かあってもパパが守ってくれる”
篤美には、絶対の自信があった。
”私はいじめのフリーパスを持ってるのよ”
篤美は自信に満ち溢れた表情で
空き教室に入る。
しかしー
そこには、誰も居なかったー
「--あれ?あいついないじゃ~ん!」
ギャル少女の薫が言う。
「--はぁ?イタズラ?マジでうざ!」
篤美が言うー
その時だったー
♪~~~
♪~~~~~!
不気味なチャイムの音が響き渡るー。
「--な、、何これ…?」
4人は、あまりにも不気味な音色に
ちょっと気味の悪さを感じて、
空き教室の出口に向かおうとするー
しかしー
突然黒い煙が、空き教室の中に入ってきてー
悲鳴を上げる間もなく、4人は気を失ったー。
・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
不気味なチャイムの音で目を覚ますー。
「---おはよう」
ーー!?
目を覚ました
いじめっ子のリーダー、篤美が
慌てて周囲を見ると、
そこはー普段自分たちがいる2年B組の教室だったー
「---えっ!?」
外を見るー。
外は真っ暗だ。
時計は8時を示している。
「---ちょ…ど、、、どういうこと!?」
他の3人も戸惑いながら、周囲を見渡している。
校内放送で、いじめられっ子の里菜の声が
流れてくるー
”よくもわたしをいじめてくれたわね…”
里菜が恨み募る声で呟く。
「---な…何のつもり!?
こんなことして…
ただで済むと思ってるの!?」
篤美が叫ぶ。
恐らく、空き教室に呼び出された自分たちは
何らかの方法で眠らされて、
そしてーー
拉致まがいのことをされたのだー
”ふふふ…あなたたちこそただで済むと
思ってるの?”
里菜の声は、いつもとは違い、
自信に満ち溢れた声だったー。
「---パ、パパに言いつけて
お前を退学にしてやる!」
篤美はそう叫んで、教室から出ようとしたー
他の3人も篤美についていこうとする。
しかしー
ガチャ…
「--!?」
教室の扉が開かない。
「ど、、どういうこと!?」
ショートへアーの真紀が少し怯えた雰囲気で教室の黒板を見るー
そこには、
赤いチョークで”怨”と書かれていたー
「---わ、、悪ふざけもいい加減にしなさい!」
篤美が叫ぶー
「な…何よこれ!」
真紀が叫ぶ
「きゃ~~こわ~い!」
ギャルの薫はまだ事の重大さに気付いていない。
「…な…何の冗談なの?」
ツインテールの菜々美は怯えきっている。
”ふふふふふふふふふふふ…”
里菜が不気味に笑った。
”わたしを苛めた罰よ…”
里菜が呟く。
”復讐ー。
あんたたちに地獄を見せてやるー
くくくくく…”
里菜の言葉に、
篤美は叫んだ。
「--ふ…ふざけんな!
何をするつもりなの!?」
篤美の言葉に、里菜は笑う。
”人間、死ぬ気になれば何でもできるのよ…
ふふふふふふふ…
あんたたちにチャンスをあげる…
これから30分ー
私に対する誠意を見せなさいー
そしたら、そこから出してあげる”
里菜の口調は、まるで女王様のようだった。
篤美は違和感を覚えながらも
「誠意…?」と聞き返す。
”そう。誠意ー
30分間、あんたたちの様子、見てるからー。”
それだけ言うと、
里菜の声は聞こえなくなった。
「は…?ふざけんな…!」
篤美はそう呟いて、教室の窓を開けようとしたー
しかしー
窓も開かなかったー
「---!!!」
それを見た菜々美は、スマホで外に助けを求めようとしたがー
スマホは奪われていた。
「くそっ!頭おかしいんじゃないの!?」
放送機に向かって叫ぶも、
里菜から返事はなかった…。
不気味なチャイムの音が鳴り響くー
4人とも恐怖に表情を歪める。
「---こ、ここから出て早く警察に助けを呼ぼうよ!」
ツインテールの菜々美が言う。
彼女はこんな時でも、ぶりっ子っぽい態度を忘れない。
「--そ、そうよ!これは犯罪よ!」
ショートへアーの真紀が言う。
「あはははは!なんかこの状況、ウケるんですけど!」
薫はのんきに笑っている。
「-----」
篤美は、放送機の方を見ながら思うー
今の里菜に、得体のしれない何かを
感じたー。
底知れぬ何かをー
「と、とにかく、脱出方法を探すわよ!」
篤美がそう言うと、
他の3人も、それぞれ教室の隅から隅まで、
脱出経路を探し始めた。
しかし、教室の前と後ろの扉は開かない。
窓も、開かない。
「どういうこと…?」
篤美は思うー
どうして、扉があかないのか。
里菜が何か細工をしているのか。
「--こんなもん壊せばいいじゃ~ん!」
ギャルの薫が笑いながら、机を持って、それを窓に投げつけたー
しかしー
ブワアアアアアア…!
謎の黒い霧のようなものが、窓を包み込みー
机を跳ね返したー
バン!
投げた机が、投げ返されるように飛んできて、
薫の目の前に落ちる
「ひっ…!」
薫は思わず、恐怖でその場に座り込んでしまう。
「--な、、何、今の…?」
今、確かに窓ガラスから黒い何かが、噴きだすように
して現れた。
ショートへアーの真紀は、わけが分からなくなって叫んだ。
「ねぇ!ここから出してよ!」
しかしー
返事はないー
次第に、4人はパニックになっていくー
そんな中ー
20時30分ー。
里菜の約束した時間
”わたしに対する誠意…
まるでないみたいね…”
里菜の声が放送される。
「あ…あんた…!
パパが必ずわたしたちを助けに来てくれるわ
覚悟してなさい!」
篤美が言うと、
里菜は鼻で笑った。
”ふ~ん!わたしをいじめたこと、
まるで悪いと思ってないし、
今の状況もただの悪ふざけだと思ってるってことね”
里菜が冷たい声で言う。
そしてー
”見せしめが必要ね”
そう呟くと、
突然教室の中で
「うっ…!」という声が聞こえた
「--!?」
篤美が振り返ると、
そこでは、ギャルの薫が苦しそうな表情を浮かべていた。
「--薫ちゃん!?」
菜々美が叫ぶ。
薫の身体の周りに黒い霧のようなものが
現れている。
そしてー苦しむ薫の口から、それが薫に侵入した。
「あぁ…あっ…あ…あぁああ…!」
色黒の薫がその場に座り込む
「あぁああ…た、、助けて…何かが…!」
喉元を押さえながら薫が苦しみの表情を浮かべる。
「ちょ…ちょっと!」
篤美が叫ぶ。
「あ”ああ””””ああああ””””」
奇妙な叫び声をあげると薫は白目を剥いて、その場に
蹲ってしまう。
「--か、、薫…?」
ショートへアーの真紀が気味悪そうに聞く。
そしてー
「--うひひひひひひひひひ」
薫がゾンビのようにして起き上がった。
「---ちょ、、ちょっと?大丈夫なの?」
篤美が聞くと
薫は笑いながら答えた。
「--わたしね~、
昨日の放課後、ここで自殺しようとしてたの。
でもね…
恨み、怒り、憎しみ…
私の怨念が、わたしに力をくれたの…
くひひひひ」
薫は赤く光る目で、
篤美たち3人を見た。
「こうして~!人の身体に憑依して、
操るのも自由自在なの~!あはははははは!」
薫が狂ったように笑い出す。
「ちょ、、悪ふざけしてる場合じゃ…!」
篤美が言う。
ギャルの薫はよく人を驚かせようと
悪ふざけをする。
「悪ふざけじゃないわよ~!
えへへへへへへ♡」
薫が胸を力強く揉み始めた。
「くふふふふふ…
スタイルだけは無駄にいいのね」
薫が胸を狂ったように揉みまくると、
にっこりと笑って、残りの3人にこう告げた。
「あんたらなんか、死ねばいいのにー」
そう言うと、薫は突然、教室の壁に
頭を自ら打ち付けはじめた。
ゴン!ゴン!ゴン!と
鈍い音が教室に響き渡り始める。
「--ちょ!?薫?」
篤美が驚いて叫ぶ
「あはははははははは!
どう?あたしがこうして自分で自分を
痛めつけたりする?
あははははは!ひぃっ♡ ははははは!」
頭から血を流し始める薫。
それでも笑いながら、自分の頭を壁に
思いきり叩きつけている。
「ちょっと!やめなさいよ!」
真紀が止めに入る。
「どけ!」
薫は手で真紀を振り払うと、
そのまま大笑いしながら血を流している。
やがてー
薫の笑い声が弱っていく。
そしてー
薫は動けなくなった。
「えへ…へへへ」
倒れた薫に近づく3人。
「ちょ、、ちょっと止血…!
誰か止血するものを!」
リーダー格の篤美が言うと、
真紀が鞄からタオルを取り出した。
しかしー
「---む…だ…よ…」
薫はそう言って唾を篤美に吐きかけると
動かなくなった。
「ひっ…!?」
ツインテールの菜々美が目に涙を浮かべて怯えている。
”どう…?
わたしが本気だって分かってくれたかしら?”
里菜の声が放送されるー
「--…ふ…ふざけないで!
これは人殺しよ!」
篤美が叫ぶー。
「パパに言いつけて、あんたが二度とー」
”パパにーー
会えると思ってんの?”
この世のものとは思えないほどの
冷たい声だった
「---…!!」
篤美は思わず言葉を止めてしまう。
”いいわ…
チャンスをあげる”
ガチャー
教室の入り口が開いた。
”わたしは図書室にいるわ…くくく…
わたしに会いに来て、土下座したら
許してあげてもいいわよ
ふふふふ…あはははははは”
里菜の笑い声と共に放送が途切れた。
「--くそっ、サイコ女!」
ショートへアーの真紀が叫ぶ。
薫は、もう死んでいるー。
「---薫ちゃん…薫ちゃん!」
ツインテールの菜々美はひたすら泣きじゃくっている。
「--くそっ!」
篤美が叫んだ。
「--みんなで行くわよ、図書室に!」
そう叫ぶ篤美。
廊下に飛び出した篤美は、
目を疑ったー
”怨”
赤い文字で廊下中に”怨”と書かれていたのだー
「ひっ…」
流石の篤美も恐怖を感じたー
「--わたしね~、
昨日の放課後、ここで自殺しようとしてたの。
でもね…
恨み、怒り、憎しみ…
私の怨念が、わたしに力をくれたの…」
一瞬、既に里菜は昨日、自殺していて
里菜の呪いなのではないかと、篤美は思った。
しかし、すぐに非現実的な考えを頭から振り払って
叫んだ。
「--ふざけんじゃないわよ!
あんたなんかに負けないから!」
そう叫んで、篤美は不気味な廊下を
歩き出した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
図書室で、里菜は映像を見ながら微笑んでいたー。
足を組みながらまるで、自分が女王になったかのようにー。
「---ふふふふふふ…」
不気味に笑う里菜の目には、狂気が宿っていた…
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
ホラー系憑依小説デス…!
明日以降もお楽しみくださいネ~!
コメント
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おおー! 復讐憑依ですね!
これから他の3人がどんな目にあっていくのかたのしみですよ、ふふ……
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> おおー! 復讐憑依ですね!
> これから他の3人がどんな目にあっていくのかたのしみですよ、ふふ……
ありがとうございます~!
楽しみにしていてください~!
次回からは…ふふふ