<憑依>怨①~いじめ~

陰険女子4人組が、一人の女子生徒をいじめていたー。

しかしー
彼女たちは知らなかった。
執拗ないじめが、恐怖の扉を開いてしまったことに…。

-------------------------

昼休み。
空き教室に呼び出された
花本 里菜(はなもと りな)は、4人の女子生徒に
囲まれていた。

「--あんたさ~!
 自分がウザいってことに気付いてないの?」

4人のリーダー格である、
お嬢様育ちの篤美(あつみ)が腕を組みながら言う。

4時間目の授業中に、先生に里菜がほめられたことが
気に入らなかったのだ。

里菜は成績優秀で、人柄も良いが、
大人しい性格の持ち主。

先生や男子からちやほやされることが気に入らず、
篤美たち陰険な女子グループが、
徹底的ないじめをするようになっていた。

星宮 篤美(ほしみや あつみ)
4人のリーダー格で陰険な女子生徒。
気に入らないものは徹底的に叩き潰し、
欲しいものは何でも手に入れる傲慢な性格ー。

「---おら!」
ショートへアーの女子生徒、
水谷 真紀(みずたに まき)が、里菜の髪を引っ張る。
さばさばした性格で、篤美の親友。
一緒になって里菜をいじめている。

「やめなよ~!」
ギャル女子生徒・魚川 薫(うおかわ かおる)。
篤美の取り巻き的存在で、
いつも、金魚のフンのように付き纏っている。

「あっははは~!ばっかみたい~!」
ツインテールの幼い風貌の少女・滝道 菜々美(たきみち ななみ)。
子供のようにはしゃいでいる。

この4人に徹底的ないじめを受けた里菜は、
次第に学校で孤立していった。

先生たちは、見て見ぬふりー
生徒たちも、見て見ぬふりー

いじめのリーダーである、篤美が、
とある企業のトップの娘であることから、
先生たちは見て見ぬふりをし、
生徒たちは”面倒ごとに関わりたくない”と
見て見ぬふりをしているのだったー

「---あんたなんか、死ねばいいのに!」
篤美が笑う。

「あはははは!ほんと~にその通りね~!」
ギャル風の薫も笑う。

「死ね!死ね!死ね!」
4人が笑いながら死ねコールを里菜に送る。

里菜は泣きながら
「ごめんなさい…」と謝るだけだった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

その日のいじめは終わったー

クラスでも孤立した里菜は、
もう、どうすることもできなかった。

毎日毎日いじめが続き、
里菜は心身ともに苦しんでいたー

放課後ー
里菜は、誰も居ない校舎で、
一人ブツブツ呟いていた。

「わたしなんて…
 いない方がいいのかな…」

目から涙をこぼす里菜ー。

そして、里菜は”あること”を決意する。

教室で、机といすを不自然な形に
移動させた里菜ー

”少しは楽になれるかなー”

里菜はそんな風に考えることしか
できないほど、追いつめられていたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌朝ー

「おはよ~!」
篤美たちが、笑いながら登校したー。

里菜はいつものように、暗い様子で教室の
隅っこの机に座っている。

「今日もじめじめしてるね~!」
ツインテール少女の菜々美が笑う。

「---…」
里菜はうつろな目で菜々美の方を見て、
それからすぐに目を逸らした。

「何よあの態度…!」
篤美が不機嫌そうに吐き捨てたが
里菜は反応しなかったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

放課後ー

4人は、空き教室に呼び出されていたー。
里菜にー。

「--あいつからの呼び出しってどういうこと?」
ショートへアーの真紀が、不機嫌そうに言うと、

「さぁね?先生に言いつける、とか
 そんな話じゃない?」
篤美が笑いながら言う。

”何かあってもパパが守ってくれる”
篤美には、絶対の自信があった。

”私はいじめのフリーパスを持ってるのよ”
篤美は自信に満ち溢れた表情で
空き教室に入る。

しかしー
そこには、誰も居なかったー

「--あれ?あいついないじゃ~ん!」
ギャル少女の薫が言う。

「--はぁ?イタズラ?マジでうざ!」
篤美が言うー

その時だったー

♪~~~

♪~~~~~!

不気味なチャイムの音が響き渡るー。

「--な、、何これ…?」
4人は、あまりにも不気味な音色に
ちょっと気味の悪さを感じて、
空き教室の出口に向かおうとするー

しかしー
突然黒い煙が、空き教室の中に入ってきてー
悲鳴を上げる間もなく、4人は気を失ったー。

・・・・・・・

・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・

不気味なチャイムの音で目を覚ますー。

「---おはよう」

ーー!?

目を覚ました
いじめっ子のリーダー、篤美が
慌てて周囲を見ると、
そこはー普段自分たちがいる2年B組の教室だったー

「---えっ!?」
外を見るー。

外は真っ暗だ。

時計は8時を示している。

「---ちょ…ど、、、どういうこと!?」
他の3人も戸惑いながら、周囲を見渡している。

校内放送で、いじめられっ子の里菜の声が
流れてくるー

”よくもわたしをいじめてくれたわね…”

里菜が恨み募る声で呟く。

「---な…何のつもり!?
 こんなことして…
 ただで済むと思ってるの!?」

篤美が叫ぶ。

恐らく、空き教室に呼び出された自分たちは
何らかの方法で眠らされて、
そしてーー
拉致まがいのことをされたのだー

”ふふふ…あなたたちこそただで済むと
 思ってるの?”

里菜の声は、いつもとは違い、
自信に満ち溢れた声だったー。

「---パ、パパに言いつけて
 お前を退学にしてやる!」
篤美はそう叫んで、教室から出ようとしたー

他の3人も篤美についていこうとする。

しかしー

ガチャ…

「--!?」
教室の扉が開かない。

「ど、、どういうこと!?」
ショートへアーの真紀が少し怯えた雰囲気で教室の黒板を見るー

そこには、
赤いチョークで”怨”と書かれていたー

「---わ、、悪ふざけもいい加減にしなさい!」
篤美が叫ぶー

「な…何よこれ!」
真紀が叫ぶ

「きゃ~~こわ~い!」
ギャルの薫はまだ事の重大さに気付いていない。

「…な…何の冗談なの?」
ツインテールの菜々美は怯えきっている。

”ふふふふふふふふふふふ…”
里菜が不気味に笑った。

”わたしを苛めた罰よ…”

里菜が呟く。

”復讐ー。
 あんたたちに地獄を見せてやるー
 くくくくく…”

里菜の言葉に、
篤美は叫んだ。

「--ふ…ふざけんな!
 何をするつもりなの!?」

篤美の言葉に、里菜は笑う。

”人間、死ぬ気になれば何でもできるのよ…
 ふふふふふふふ…
 
 あんたたちにチャンスをあげる…
 これから30分ー
 私に対する誠意を見せなさいー

 そしたら、そこから出してあげる”

里菜の口調は、まるで女王様のようだった。

篤美は違和感を覚えながらも
「誠意…?」と聞き返す。

”そう。誠意ー
 30分間、あんたたちの様子、見てるからー。”

それだけ言うと、
里菜の声は聞こえなくなった。

「は…?ふざけんな…!」
篤美はそう呟いて、教室の窓を開けようとしたー

しかしー
窓も開かなかったー

「---!!!」
それを見た菜々美は、スマホで外に助けを求めようとしたがー
スマホは奪われていた。

「くそっ!頭おかしいんじゃないの!?」
放送機に向かって叫ぶも、
里菜から返事はなかった…。

不気味なチャイムの音が鳴り響くー

4人とも恐怖に表情を歪める。

「---こ、ここから出て早く警察に助けを呼ぼうよ!」
ツインテールの菜々美が言う。
彼女はこんな時でも、ぶりっ子っぽい態度を忘れない。

「--そ、そうよ!これは犯罪よ!」
ショートへアーの真紀が言う。

「あはははは!なんかこの状況、ウケるんですけど!」
薫はのんきに笑っている。

「-----」
篤美は、放送機の方を見ながら思うー

今の里菜に、得体のしれない何かを
感じたー。

底知れぬ何かをー

「と、とにかく、脱出方法を探すわよ!」
篤美がそう言うと、
他の3人も、それぞれ教室の隅から隅まで、
脱出経路を探し始めた。

しかし、教室の前と後ろの扉は開かない。
窓も、開かない。

「どういうこと…?」
篤美は思うー

どうして、扉があかないのか。
里菜が何か細工をしているのか。

「--こんなもん壊せばいいじゃ~ん!」
ギャルの薫が笑いながら、机を持って、それを窓に投げつけたー

しかしー

ブワアアアアアア…!

謎の黒い霧のようなものが、窓を包み込みー
机を跳ね返したー

バン!

投げた机が、投げ返されるように飛んできて、
薫の目の前に落ちる

「ひっ…!」
薫は思わず、恐怖でその場に座り込んでしまう。

「--な、、何、今の…?」
今、確かに窓ガラスから黒い何かが、噴きだすように
して現れた。

ショートへアーの真紀は、わけが分からなくなって叫んだ。

「ねぇ!ここから出してよ!」

しかしー
返事はないー

次第に、4人はパニックになっていくー

そんな中ー

20時30分ー。
里菜の約束した時間

”わたしに対する誠意…
 まるでないみたいね…”

里菜の声が放送される。

「あ…あんた…!
 パパが必ずわたしたちを助けに来てくれるわ
 覚悟してなさい!」

篤美が言うと、
里菜は鼻で笑った。

”ふ~ん!わたしをいじめたこと、
 まるで悪いと思ってないし、
 今の状況もただの悪ふざけだと思ってるってことね”

里菜が冷たい声で言う。

そしてー

”見せしめが必要ね”

そう呟くと、
突然教室の中で
「うっ…!」という声が聞こえた

「--!?」
篤美が振り返ると、
そこでは、ギャルの薫が苦しそうな表情を浮かべていた。

「--薫ちゃん!?」
菜々美が叫ぶ。

薫の身体の周りに黒い霧のようなものが
現れている。
そしてー苦しむ薫の口から、それが薫に侵入した。

「あぁ…あっ…あ…あぁああ…!」
色黒の薫がその場に座り込む

「あぁああ…た、、助けて…何かが…!」
喉元を押さえながら薫が苦しみの表情を浮かべる。

「ちょ…ちょっと!」
篤美が叫ぶ。

「あ”ああ””””ああああ””””」
奇妙な叫び声をあげると薫は白目を剥いて、その場に
蹲ってしまう。

「--か、、薫…?」
ショートへアーの真紀が気味悪そうに聞く。

そしてー

「--うひひひひひひひひひ」
薫がゾンビのようにして起き上がった。

「---ちょ、、ちょっと?大丈夫なの?」
篤美が聞くと
薫は笑いながら答えた。

「--わたしね~、
 昨日の放課後、ここで自殺しようとしてたの。
 
 でもね…
 恨み、怒り、憎しみ…
 私の怨念が、わたしに力をくれたの…

 くひひひひ」

薫は赤く光る目で、
篤美たち3人を見た。

「こうして~!人の身体に憑依して、
 操るのも自由自在なの~!あはははははは!」

薫が狂ったように笑い出す。

「ちょ、、悪ふざけしてる場合じゃ…!」
篤美が言う。

ギャルの薫はよく人を驚かせようと
悪ふざけをする。

「悪ふざけじゃないわよ~!
 えへへへへへへ♡」

薫が胸を力強く揉み始めた。

「くふふふふふ…
 スタイルだけは無駄にいいのね」

薫が胸を狂ったように揉みまくると、
にっこりと笑って、残りの3人にこう告げた。

「あんたらなんか、死ねばいいのにー」
そう言うと、薫は突然、教室の壁に
頭を自ら打ち付けはじめた。

ゴン!ゴン!ゴン!と
鈍い音が教室に響き渡り始める。

「--ちょ!?薫?」
篤美が驚いて叫ぶ

「あはははははははは!
 どう?あたしがこうして自分で自分を
 痛めつけたりする?
 あははははは!ひぃっ♡ ははははは!」

頭から血を流し始める薫。
それでも笑いながら、自分の頭を壁に
思いきり叩きつけている。

「ちょっと!やめなさいよ!」
真紀が止めに入る。

「どけ!」
薫は手で真紀を振り払うと、
そのまま大笑いしながら血を流している。

やがてー
薫の笑い声が弱っていく。

そしてー
薫は動けなくなった。

「えへ…へへへ」

倒れた薫に近づく3人。

「ちょ、、ちょっと止血…!
 誰か止血するものを!」

リーダー格の篤美が言うと、
真紀が鞄からタオルを取り出した。

しかしー

「---む…だ…よ…」
薫はそう言って唾を篤美に吐きかけると
動かなくなった。

「ひっ…!?」
ツインテールの菜々美が目に涙を浮かべて怯えている。

”どう…?
 わたしが本気だって分かってくれたかしら?”

里菜の声が放送されるー

「--…ふ…ふざけないで!
 これは人殺しよ!」

篤美が叫ぶー。

「パパに言いつけて、あんたが二度とー」

”パパにーー
 会えると思ってんの?”

この世のものとは思えないほどの
冷たい声だった

「---…!!」
篤美は思わず言葉を止めてしまう。

”いいわ…
 チャンスをあげる”

ガチャー

教室の入り口が開いた。

”わたしは図書室にいるわ…くくく…
 わたしに会いに来て、土下座したら
 許してあげてもいいわよ

 ふふふふ…あはははははは”

里菜の笑い声と共に放送が途切れた。

「--くそっ、サイコ女!」
ショートへアーの真紀が叫ぶ。

薫は、もう死んでいるー。

「---薫ちゃん…薫ちゃん!」
ツインテールの菜々美はひたすら泣きじゃくっている。

「--くそっ!」
篤美が叫んだ。

「--みんなで行くわよ、図書室に!」
そう叫ぶ篤美。

廊下に飛び出した篤美は、
目を疑ったー

”怨”

赤い文字で廊下中に”怨”と書かれていたのだー

「ひっ…」
流石の篤美も恐怖を感じたー

「--わたしね~、
 昨日の放課後、ここで自殺しようとしてたの。 
 でもね…
 恨み、怒り、憎しみ…
 私の怨念が、わたしに力をくれたの…」

一瞬、既に里菜は昨日、自殺していて
里菜の呪いなのではないかと、篤美は思った。

しかし、すぐに非現実的な考えを頭から振り払って
叫んだ。

「--ふざけんじゃないわよ!
 あんたなんかに負けないから!」

そう叫んで、篤美は不気味な廊下を
歩き出した。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

図書室で、里菜は映像を見ながら微笑んでいたー。

足を組みながらまるで、自分が女王になったかのようにー。

「---ふふふふふふ…」
不気味に笑う里菜の目には、狂気が宿っていた…

②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

ホラー系憑依小説デス…!
明日以降もお楽しみくださいネ~!

PR
憑依<怨>

コメント

  1. 飛龍 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    おおー! 復讐憑依ですね!
    これから他の3人がどんな目にあっていくのかたのしみですよ、ふふ……

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > おおー! 復讐憑依ですね!
    > これから他の3人がどんな目にあっていくのかたのしみですよ、ふふ……

    ありがとうございます~!
    楽しみにしていてください~!
    次回からは…ふふふ